アイビスサマーダッシュ
あいびすさまーだっしゅ
概要
アイビスサマーダッシュとは、JRAの重賞レースの1つ(GⅢ)。アイビスとは新潟県の県鳥・朱鷺のことである。
2001年、新潟競馬場改装時に新設された、芝の直線1000mコースで行われる。
その名のとおり、夏(7月下旬~8月初旬)に行われる。JRAのサマースプリントシリーズのレースの1つにもなっている。
現在、JRAの重賞では最も距離が短く、かつ唯一の直線レースである。競馬ファンからは「新潟千直」とも通称される。
傾向など
新潟競馬場・芝の直線1000mは、残り600m以降は通常の(コーナーを回る)コースと共用のため、馬場の内側の芝が傷んでしまう。
そのため、芝が痛みにくい外側にロスなく向かえる外枠が有利と言われており、直線レースであるが内枠出走の馬が外に流れながら走っていくケースが多い。実際、枠番別の成績を並べると有意に外枠の方が好成績を残している。
アイビスサマーダッシュ開設当初は8月中旬の開催であり、内枠の芝の痛みが目立つ時期であったことも外枠有利に拍車をかけていた。その後、新潟競馬の開催週(7月下旬)へと施行日を移動させ、内側の芝が痛む前にレースが行われるようになって現在に至るが、今なお外枠有利の傾向には変わりはない。
ただし、外枠が常に有利とは言い切れず、内枠にも勝算がないわけではない。というのも、外枠の馬の場合、出走頭数を問わず、外側に馬が密集し馬群が形成される傾向が強く、出遅れるか位置取りに失敗すると馬群のせいで足を溜めにくいもしくは加速しにくいというリスクもある。一方で内枠は、最内直進で賭けに出るかスタート直後に外寄りに進路を変えるかのパターンが多いが、内枠の馬の場合、外側から馬群に近づく形となるため、多少出遅れても位置取りで巻き返せる可能性が残っており、内枠で馬券に絡んだ馬の走り方は、馬群の前残りあるいは末脚勝負で差し切るという展開が多く、実力馬ならば内枠でも連に絡むことがある。
実際、2016年の勝利馬ベルカントは、1番人気を背負うも4番ななため、不利かと思われたが、スタートダッシュを決め、外に流れた際、馬群の前方で走ることができ、そのまま加速してハナ差で勝利。2023年は内枠である9番人気の2番オールアットワンスは外側に流れ、集団後方で走る展開となるが、外ラチ沿い(芝の痛みが少ないとされる進路)を自分のペースで走ることができ、最後に末脚を発揮して馬群を潜り抜け勝利している。
また、2021年には最内1枠1番となった14番人気のバカラクイーンが定石破りの最内直進を選択し、3着に食い込んだものの、全体で見れば少数派である。
斤量が軽いからか牝馬が勝つ事が多い。7年連続勝利していた時もある。
競走条件
出走資格:サラ系3歳以上
JRA所属馬
地方競馬所属馬(2頭まで)
外国調教馬(優先出走)
負担重量:別定
3歳53kg、4歳以上56kg、牝馬2kg減
日本馬:収得賞金3000万円超過馬は超過額2000万円ごとに1kg増
外国馬:GⅠ競走1着馬は5kg増、GⅡ競走1着馬は3kg増、GⅢ競走1着馬は1kg増(ただし2歳時の成績をのぞく)
備考
海外では、直線だけの1600mコースのある競馬場も存在する。
タイキシャトルが制したジャック・ル・マロワ賞は、フランスのドーヴィル競馬場の直線1600mコースで行われる。
新潟の千直コースでは本レースの他にリステッド競走やオープン戦の設定があるほか、未勝利戦も行われる。特に未勝利戦は特定の馬主が多頭出しをすることがあり、一部のファンや競馬関係者からカルト的な人気を博している。
歴代優勝馬
回 | 年 | 馬名 |
---|---|---|
第1回 | 2001年 | メジロダーリング |
第2回 | 2002年 | カルストンライトオ |
第3回 | 2003年 | イルバチオ |
第4回 | 2004年 | カルストンライトオ |
第5回 | 2005年 | テイエムチュラサン |
第6回 | 2006年 | サチノスイーティー |
第7回 | 2007年 | サンアディユ |
第8回 | 2008年 | カノヤザクラ |
第9回 | 2009年 | カノヤザクラ |
第10回 | 2010年 | ケイティラブ |
第11回 | 2011年 | エイシンヴァーゴウ |
第12回 | 2012年 | パドトロワ |
第13回 | 2013年 | ハクサンムーン |
第14回 | 2014年 | セイコーライコウ |
第15回 | 2015年 | ベルカント |
第16回 | 2016年 | ベルカント |
第17回 | 2017年 | ラインミーティア |
第18回 | 2018年 | ダイメイプリンセス |
第19回 | 2019年 | ライオンボス |
第20回 | 2020年 | ジョーカナチャン |
第21回 | 2021年 | オールアットワンス |
第22回 | 2022年 | ビリーバー |
第23回 | 2023年 | オールアットワンス |