演:山田明郷
概要
東都の首相で、氷室幻徳の父親。日本がスカイウォールの惨劇によって3つに分断され、それぞれが対立していることに頭を抱えている。
スカイウォールの惨劇には居合わせておらず、西都首相の御堂正邦や北都首相の多治見喜子と異なりパンドラボックスの光による影響を受けていない。
三都の和平と経済の安定を第一に考える平和主義者だが、仮面ライダービルドについては国民の不安を煽る存在として排除すべきと考えている。
彼の平和主義という方針故に東都の軍事力は北都、西都に劣っており、両都首相にはあからさまに侮られている。そのため度々息子の幻徳に抑止力としての軍備増強(特に仮面ライダーシステムの軍用化)を提案されているがこれを良しとしておらず、仮面ライダーの存在もあくまで「東都市民に不安を与える要素」としか認識していない。
三都間の問題をあくまで話し合いで解決しようとし、パンドラボックスが三都の共有財産であることにこだわり続ける姿は、現在の日本のあり方を連想させる。
また、かつては優しかったという幻徳がパンドラボックスの光を浴びて以来軍事力にこだわる性格に変わってしまったことに思い悩んでもいる。
第10話でパンドラボックスがファウストによって強奪されたことを御堂や多治見に糾弾され、更に日頃の心労が祟って倒れてしまう。幻徳に東都政府を託してから救急車で搬送され、その後は病院の個室にて入院していた。
第15話では幻徳に利用される形で桐生戦兎達と電話越しで接触するが、これが原因で幻徳の正体を知る事となり、戦兎達にこれまでの事を詫びて幻徳を拘束。
第16話では幻徳の犯した過ちを公表しようと、衰弱した体で無理しながらも首相としての業務を行おうとしたが、その直後にブラッドスタークに猛毒を打ち込まれ倒れてしまう。これにより再び幻徳が首相の地位に就くことになった。
しかし第20話で石動美空が滝川紗羽の協力で病院に潜入し、美空が発現した治癒能力で無事に回復した泰山は首相の座に復帰。独断で戦争を引き起こし、北都に攻め込もうとした幻徳に勘当を言い渡すと同時に東都からの追放処分を下した。
第21話では東都と北都による仮面ライダー同士の代表戦を多治見首相に提案しており、戦兎には代表戦に東都からの代表として出てくれないかと頼み込むが、青羽を殺害したショックで戦意喪失していた戦兎に一度は断られている。
その後、第22話では紆余曲折を経て代表戦に出場することを決意した戦兎=ビルドの戦いを部下と共にテレビの前で見守っており、ビルドがグリスに辛くも勝利を収めた様子を見届けると安堵した表情を浮かべていた。
続いて、北都を制圧した西都との戦争が勃発。北都にて鷲尾兄弟によって人質に取られた黄羽を救いに向かう猿渡一海を援護しようとする戦兎と龍我に、国境まで向かうことを許した。
その後戦兎達ライダーの力を借りてパンドラボックスとフルボトルを守る多忙な日々を送っていたが、第25話では難波チルドレンであった秘書の増沢によって仕込まれた盗聴器によってパンドラボックスの在処が西都に漏れ、西都で仮面ライダーローグになっていた幻徳によりパンドラボックスが奪われてしまう。ちなみに増沢は戦兎達に正体を暴かれて自害、消滅している。
そして、東都のフルボトルを狙って西都首相・御堂正邦が代表戦を仕掛けてくる。第28話で行われた幻徳と戦兎の対決で戦兎が勝利し東都の勝利が決まると、勘当したとはいえ親子の情は捨てきれなかったのか、「もう良いだろう?帰ってこい、東都に」と敗れた幻徳に手を差し伸べるが、幻徳は黙って去って行った。
しかし戦争はこれで終わらず、第29話で難波重三郎が御堂を殺害し、ブラッドスタークの力で成り代わって東都を蹂躙しはじめたため抗議の電話をかけるが躱される(ちなみに御堂がすり替わった事は知らない)。
パンドラボックスを取り戻せば事態は改善すると考えた戦兎の提案を受け入れ、東都政府による西都攻撃だと思われないために仮面ライダービルドを首相から盗みを働いた反逆者ということ(実際に1ドルク渡した)にして指名手配、表向きの関係を絶つ(ここまでが戦兎の作戦)。その後「ビルドを連れ戻させる」という名目で龍我と一海を応援に向かわせた。
三人の活躍により第32話でようやくパンドラボックスが手元に戻り、御堂(に変装した難波)との交渉に臨むも「絶対に使いそうにないお前ではパンドラボックスを抑止力に出来ない」と一蹴される。更に息子である幻徳によって攫われてしまい、エボルドライバーを得るための人質として利用されることとなってしまう。
第33話にて幻徳の手引きにより救出されるも、その後誕生した仮面ライダーエボルの凶弾から幻徳を庇い、致命傷を負う。
今際の言葉にて幻徳に罪を償い国をもう一度立て直すように諭し「頼んだぞ…馬鹿息子…」とつぶやき事切れてしまった。
過去には幻徳の独断行動に対して勘当し東都を追放したものの、息子を守るために自ら盾となる姿は父親の鑑そのものであった。
最終話で誕生した「スカイウォールのない新世界」では首相として生存しており、新たに発足した内閣の厚生大臣に多治見を、外務大臣に御堂を登用した事を演説で語っていた。
備考
間違いなく『いい人』ではあるものの、政治家としての能力には大きな疑問符がつく。
特に、模擬戦を提案しておきながら約束が守られる保証を全く取らず、勝ったのに西都に出し抜かれたのは致命的。そもそも北都戦も、西都が直前に制圧したので未遂に終わったが、その介入がなければやはり出し抜かれていたので、同じ手に二度も引っかかった事になる。
それ以外にも、軍事拡大を忌避し平和主義を唱えながら具体案がまるでない、御堂(難波)と直々に交渉しにいってあっさり失敗し人質に取られるなど、劇中において政治家として活躍した描写はほとんどない。
まあ、味方の政治家が有能で外交問題を解決してしまうと仮面ライダーの出番がないので、仕方ない所ではあるのだが……。
乱世においては首相として能力を発揮できなかった彼だが、平時においては活躍出来る事を祈るばかりである。