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インディカーの編集履歴

2023-12-24 21:33:28 バージョン

インディカー

いんでぃかー

インディカーとは、北米ローカルにして最大規模のフォーミュラカーレース。INDYCAR。

紆余曲折あった概要

F1モナコGP、ル・マン24時間に並ぶ『世界3大レース』の一つである、インディアナポリス500マイルレース(略してインディ500)を擁する、北米最高峰のフォーミュラカーシリーズである。

ちなみに表記は"インディカー"であるが、実際の発声は"インディーカー"とされるのが慣習となっている。

「インディ」と略されることも多い。


かつて北米フォーミュラカーレースの頂点に君臨していた『CART(Championship Auto Racing Teams)』に反発し、1990年代にインディアナポリスモータースピードウェイ運営会社が新しいレース機構の『IRL(Indy Racing League)』を立ち上げたのが始まりである。その後運営の失敗で弱体化したCARTを吸収合併し、現在の形となった。


界隈では"第2のF1"的な立ち位置となっており、元F1ドライバーや金銭的理由でF1参戦を断念した才能あるドライバーたちがCARTの時代から現在まで多数参戦している。特に黎明期のF1はインディ500も一戦に組み込まれていたため、多数のドライバー・チーム・マシンが大西洋を往復した。

無論南北アメリカ大陸の中では最高峰のフォーミュラなので、最初からインディカーを目指しているドライバーも大勢いる。


日本でも90年代以降に多数の日本人メーカーや日本人ドライバーたちが参戦した。中でも佐藤琢磨は別格で、日本人には不可能と思われていたインディ500での優勝を2度も果たし、あちらでもスター選手となっている。日本のプライベーターの参戦事例は非常に少ないが、現地チームとのジョイントという形でスーパーアグリとチーム郷が参戦していたことがある。

また栃木県のツインリンクもてぎでは、00年代に日本ラウンド『インディジャパン』がシリーズの1戦として開催されていた。


F1との大きな違いは、シャシーがワンメイクであることと、楕円形のオーバルコースも走る点である(後述)。


日本ではGAORAが有料放送を行っており、F1とは違った雰囲気の"居酒屋実況"に定評がある。ただし野球のメジャーリーグと同じく地球の裏側なので、日曜深夜~月曜日の午前中に決勝が行われる事が多く、全戦を生で観戦できる人は多くないであろう…。


特徴

  • シャシー

以前はF1同様多数のシャーシ・エンジンコンストラクターが参入していたが、ここ10年以上はダラーラ社のワンメイク供給となっている。タイヤもワンメイクで、ブリヂストン傘下のファイアストンが供給している。


空力面での一番の特徴は、グループCと同じく車体のアンダーフロアも空力パーツとして設計するウイングカー形式の車体が使われること(ただし、ディフューザーに電動ファンやエンジン排気管出口を仕込みより多くの気流を流してダウンフォースを増やす仕組みは禁止されている)。競り合いになった時に発生する乱気流により事故が多発しているが、乱気流に対する影響を少なくする設計と万が一事故が起きてもドライバーと観客の命を守るための各種安全対策で対処している。

2017年まではエンジンサプライヤーでもあるシボレー・ホンダ両社による各種空力パーツの装着が認められていたが、これの開発競争が、規則で30万9000ドルまでに定められていたチームごとの予算を圧迫していたため、2018年シーズンからは同じくダラーラ社が開発したユニバーサルエアロキットを全チームが使用する形となっている。


外見面としては、世界的にフォーミュラカーレースで頭部保護デバイス『HALO』が導入される中、インディカーだけは透明な『エアロスクリーン』を装着しているのが大きな特徴である。HALOに比べて重量は重くなるが、外観が洗練されていて、ドライバーにとっての快適性も高いと好評である。これの開発・供給は、F1チームも持つ飲料メーカーのグループ会社レッドブル・アドバンスド・テクノロジーズ社が行っている。


また現代のプロ級のレーシングカーには珍しくパワーステアリングが装着されていないため、ステアリングはかなり重い。

  • エンジン

2021年現在は規定により「2.4L以下6気筒以下の直噴ツインターボエンジン」をシボレーホンダの2社が供給。ECU(エンジンコントロールユニット)はマクラーレン製である。回転上限は12000rpmと定められているが、ストリート及びロードコースでは回転上限向上(+200rpm)とブーストアップ(+11kPa)により一定時間のパワーアップを行う『プッシュ・トゥ・パス(いわゆるオーバーテイクボタンの使用)』が認められている。最高出力はオーバルトラック用で約550馬力、プッシュ・トゥ・パスが使用可能なロード/ストリートコース用で約700馬力。

両社とも供給全チームに全く同仕様のエンジンを供給すること、仕様変更したエンジンを使うのには他チームの許可を必要とすることが義務付けられている。


SDGsにうるさくエンジン車に厳しい昨今の情勢に合わせ、2023年からはハイブリッドシステムを導入する予定である。


  • 燃料

CART時代から伝統的にメタノールが使われてきた。燃焼熱量がガソリンより少ないため過剰になりがちなエンジンパワーを抑制できる、爆発の危険が少なく引火しても水で消せるといったメリットがある反面、炎が透明で出火が分かりにくいというデメリットもあった。現在は環境に配慮してトウモロコシから作るバイオマスエタノールにガソリンを15%混ぜた混合燃料が使われる(ガソリンを混ぜることで炎が見えるようになり、火災に対するより迅速な対応が可能になった)。

  • コースレイアウト

シリーズ戦の約1/3が左周りのオーバルトラック(競馬場のような楕円形コース)により行われる。元々は全戦がオーバルトラックであった。伝統のインディ500マイルレースではレースの平均速度は370km/hオーバー、最高速は380km/hを優に超える。これを揶揄してよく「インディカーは左にしか曲がらない」と言われることもあるがロード/ストリートコースではちゃんと右にも曲がりますよ。


このように、イコールコンディションを徹底させたレギュレーションにより、シリーズ戦はドライバーの技量とチームのマネジメント能力が純粋に問われるスリリングな展開が見られることとなった。


  • 問題点

オーバルコースのインディカーにおいて、オーバーテイクの最高のタイミングは、レーススタート直後、あるいはセーフティカー明けのリスタート時とされるが、それは同時にマシンが密集していて危険な状態である。特に空力への依存度が高いインディカーマシンは、乱気流に晒されて不安定な状態になりやすい。

またオーバルコースはランオフエリアが存在しないため、クラッシュしたら即ウォールに衝突したり、前方でのクラッシュを避けきれないなどの問題もある。


同じくオーバルコースのNASCARは頑丈なパイプフレームシャシーに身を包んでおり、重大事故はほとんど見られなくなったが、ドライバーがむき出しに近いインディカーでは近年重大事故が多発していた。特にペンシルベニア州のポコノ・レースウェイでは

  • 2015年にクラッシュで外れたタイヤがジャスティン・ウィルソンを直撃する死亡事故が発生。ウィンドスクリーン導入の契機となった。
  • 2018年にロバート・ウィッケンスのマシンが宙を舞ってフェンスに激突し、車椅子の生活を強いられる事故が発生。ウィッケンスはSNSで安全の問題について議論を提起した。
  • 2019年に佐藤琢磨を含む3台がからむ大クラッシュが発生。琢磨は数日間SNSで炎上した。

このように議論を呼ぶ事故を立て続けに起こしていたため、2020年からポコノはカレンダーから外れた。


ロード/ストリートコースなら安全かというとそうでもなく、ランオフエリアが狭い・無いコースが多いため、F1やスーパーフォーミュラと比べても安全面は見劣りする。4度のインディカー王者であるダリオ・フランキッティも、2014年にストリートコースでのクラッシュにより、キャリア半ばで引退を余儀なくされている。


こうした安全性の問題から、F1のシートを失ったドライバーが第二のキャリアとしてインディカーに興味を示しても、万が一の時に遺されてしまう家族のことを考えて参戦を断念するケースが跡を絶たない。

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