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インディ500

いんでぃごひゃく

アメリカのインディアナポリスで行われる、北米最大規模のオープンホイールレース。
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概要編集

F1の『モナコグランプリ』、WECの『ル・マン24時間』と並ぶ世界三大レースの一つ。初開催は1911年で、3つの中で最も古い歴史を持つ。

インディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)のオーバルコースで行われ、1周2.5マイル(約4km)を200周、距離にして500マイル(約800km)を走り抜く。


特徴編集

レースの位置付け編集

本レースが持つ歴史と伝統から米国のモータースポーツの中でも特別視されている。形式としてはインディカー・シリーズの1戦に組み込まれているが他のレースとは扱いが全く異なり、決勝には30万人もの観客が集まる一大イベントである。

他のカテゴリのドライバーも憧れており、インディ500のみスポット参戦するドライバーも存在する。F1王者のフェルナンド・アロンソやジム・クラークがモナコグランプリを休んでまで参戦した事もある。


他の三大レースとの違い編集

「抜きどころの少ない狭い市街地をいかに限界まで攻めるか」のモナコグランプリ、「トラブルを最小限に抑えつつハイペースで24時間走り続ける」ル・マン24時間に対し、インディ500は「常に350km/hで走りながら、見えない空気との戦いをいかに制するか」が醍醐味である。


一見するとただ回っているだけに見えるが、以下の点から一筋縄ではいかない奥深いレースである。

  • マシンは左回りを速く走るため特殊なセッティングが行われ、ただ加速するだけでは左へ逸れるのでストレートでは常にハンドルを右に切り続けなければいけない。
  • マシンの特性上、周囲にマシンがいる場合は乱気流で挙動を乱しやすいため、わずかなライン取りのミスがクラッシュに繋がる危険性を孕む。
  • 高速かつ密集した状況で走行するため、1台がクラッシュすると後続の選手も巻き込まれて大事故に発展するケースが多い。
  • 先頭を走ると巨大な空気抵抗に阻まれて速度が伸びず、燃費も悪くなるので一旦後ろに下がってスリップストリームに入る、など位置取りを考えた走りが必要。ただし後ろに長く留まりすぎるとエンジン等が冷却できずマシントラブルに繋がったり、上述の乱気流の影響を受けるため一長一短である。
  • 1周の時間が短い(40秒程度)ためピットのタイミング1つで大きく順位が入れ替わる。クラッシュでコーション(黄旗)が発令された時のピットインはタイムロスを抑えられるが、今後のピットの予定がリセットされるのでチームは作戦を練り直し、ドライバーもそれに対応する必要がある。

  • 以上を200周、約3時間にわたってミス無くこなし続けなければならない。

スケジュール編集

ルーキー・オリエンテーション・プログラム (ROP)編集

4月に実施され、初参加や期間が空いた者(前年のインディ500から一度もオーバルレースに出走していない選手)に対して350km/h以上でオーバルコースを走行できるレベルに達しているかを実際にマシンを走らせて確認する。これに合格しないとエントリーすらできない。


予選編集

決勝に進出する33台のマシンを決める。どのセッションでも1台ずつコースインし4周の平均速度を競う。

  • 1日目(土曜日):上位30台は決勝の出走が確定し、うち13~30位はグリッドが決定する。
  • 2日目(日曜日):土曜日で31位以下だったマシンを対象にラストチャンス・クオリファイが行われ、上位3台が決勝の出走権を得る。同日には土曜日の上位12台が一度きりのタイムアタックを行う予選が行われ、最後に上位6台(ファスト・シックス)がもう一度アタック。全てのスターティング・グリッドが決まる。

予選から決勝まで1週間空くが、その間に走行できるのは「カーブ・デイ」と呼ばれる、決勝の2日前に用意された1時間のみである。


決勝編集

当日の事前走行は無くホームストレートにマシンを止めた状態で各種セレモニーが行われる。パレードラップを終えると即200周の決勝レースが開始される。


特徴編集

トロフィー編集

勝者にはボルグワーナー・トロフィーと呼ばれる、歴代優勝者の顔をかたどったレリーフが埋め込まれたトロフィーが贈られ、翌年までに最新の優勝者の顔も追加される。ただし高さ約1.6m, 重さ約70kgと巨大なため優勝者が持ち帰る事はできず、小型のレプリカが渡される。

普段は主催者のミュージアムに展示されており、400万ドルの価値を持つとされるため2016年まではアメリカから持ち出された事はなかった。

2017年に佐藤琢磨がアジア人初の優勝を達成した際は多額の保険を掛けたうえで日本へ運ばれ展示が行われた。歴史上初めてアメリカ国外へ持ち出された瞬間であった。


牛乳一気飲み編集

優勝者は渡された牛乳を一気飲みするのが恒例。1930年代、ルイス・メイヤーが優勝した際に好物のバターミルク(牛乳からバターを取り出した乳製品)を要求し、自身3度目の優勝後にリクエスト通りバターミルクを受け取って飲み干したエピソードが慣習化されたものである。


一気飲みにもスポンサー(賞金)がついている。飲み干す必要はなく、少し飲んで残りは頭からかぶってもOK。過去には一気飲みを拒否、もしくは手順を守らず先に他の飲み物を口にしたため賞金を貰えなかった例も2人存在する。


日本人ドライバーの成績編集

1990年にヒロ松下が挑戦して以来、日本人の参戦が続いている。

1996年に松田秀士が8位、2003年に高木虎之介が5位を記録。以降も毎年1人以上は挑戦するものの、2016年までトップ5以上に手が届かなかった。


2012年佐藤琢磨は当時未勝利ながら優勝争いに絡み、ファイナルラップのターン1でトップの選手を攻め立てたところでライバルのブロックを前に姿勢を乱しクラッシュ。結果は伴わなかったがこの追い上げはレース関係者およびファンを惹き付け、キャリアの延長に繋がった一因とも言われる。

2017年、佐藤は自身8度目の挑戦でついに優勝を成し遂げる。日本人として、またアジア人としても初のインディ500制覇であった。佐藤は2020年にも優勝し、史上20人しかいない複数回優勝の仲間入りを果たした。


題材にしたゲーム編集

1968年にKasco(関西精機製作所)が、自車とコースをセルロイドフィルムにし影絵のように投影する方式のエレメカを販売し2,000台を売り上げるヒット商品に。海外ではシカゴコイン社がそれを『SPEEDWAY』と改題して翌年に販売し10,000台を売り上げている。


1995年セガアーケードゲームとして販売。移植は北米でのみ、Tiger Electronics社が販売したgame.comおよびR-Zoneというゲーム機用に発売されている。


1997年TOMY(現タカラトミー)がPlaystation用として発売。


2007年に海外メーカーDestineer社が『Indianapolis 500 Legends』のタイトルでWii用として発売(日本未発売)。


2014年にフランスのメーカーHyperDevbox社がAndroid用としてダウンロード販売。


2023年にMotorsport Games社がXbox、Playstation(おそらくPS5)、PC用に発売予定だったが、ライセンス契約に於ける義務を怠ったとしてインディカー側が契約終了を通達したのに伴い製作中止。


関連項目編集

モータースポーツ インディカー

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