イベントのネタバレになってしまうため閲覧注意!
概要
成人後、お笑い芸人「隈乃院ヨシスケ」として活動していた木乃美芳助が、買い物帰りのデパートで偶然見かけたアイドル。
歌も踊りも容姿も芸名もイマイチで、どこかパッとしない印象だったが、何となく気になった木乃美は活動を追ってみる事に。
そして一度だけ番組の休憩時間で話してみる機会が訪れ、彼女のひたむきで健気な人となりを知った事で「この娘に成功してほしい」と善意の願いを抱き、本格的に応援を始めた。
しかし程なくして彼女の訃報が耳に入り、生まれつき身体が弱く、週に何度も人工透析が必要なほど腎臓に重い病を患っていた事実も知る。
結局彼女が報われる事は無く、「社会という消費者に消費すらされなかったアイドル」と語る残酷な幕切れへの虚無感から、木乃美は芸能界を引退。偶然流れ着いた隈乃旅館でセカンドライフを送るようになり、ついでに彼女のことを忘れないようポスターを旅館内に貼っていた。
そんな折、不思議なキャンディマシンが目の前に現れ「この世で一つだけの願いを叶える」と言ってきた。
それは『オンリーワン/ナンバーワン・シャイニースター』。以前久遠寺有珠が作ったプロイキッシャーの失敗作であり、隈乃山で解体処分中のところ、昔から山に言い伝えられている牛神が実体を持つために盗み出したものだった。
彼も牛神の伝承自体は聞いていたため、『一度でいいから、水嶋まさごの歌が、世界で一番になってほしい』と軽い気持ちで口にする、「"推しに一番になって欲しい"というだけの、ありふれた誰もが思った事がある願いだ」と分かっていながら、冗談まじりに。
だが願いは受理された。受理されてしまった。
「何だそれ、世界で唯一の願い?今のが!?」
「ただのひとりも?ただのひとりも、あの娘の歌を覚えていないのか?」
「あんなに頑張ってた、あんなに寂しかった、あんなに立派だったあの娘の歌を」
「ただのひとりも、一番になってほしいと思わなかったのか!?」
彼は怒った。彼女の努力が、自分以外の誰にも顧みられなかったという現実に。両親や親族も芸能人としての成功ではなく、長生きや健康を願っていたのだろう。
そして彼の願いは『滑稽で』『面白い』からという侮辱以外の何物でもない理由で、最悪の形で願い星に利用された。
しかし、後の世に木乃美の捜索に端を発する形で、あの娘に感化された人物が現れた。
木乃実はファンレターを熱心に送っていたらしく、まさごはそれを励みに芸能活動を続けていたらしい。遺族は娘がアイドルとして活躍した数少ない成果を大切に保存しており、送り主へ感謝と共に返してあげたいと捜索を依頼したのだ。
これによって『唯一の願い』は否定され、旧友達の尽力で願い星は砕け散った。
余談
まさご(真砂)とは細かい砂。浜の真砂の数ほどもある事例。という意味が存在する。(石川五右衛門の遺した「浜の真砂の尽きるとも、世の盗人の種は尽きまじ」="浜辺の砂が全部無くなっても泥棒は居なくならないさ"という辞世の句が有名)
転じて「どこにでもあるなんの意味もない砂つぶ同然の存在」
また、真相を考慮するに、数少なかったまさごのファンも「来世では」と言う形や、安らかな眠りを願う形に変化してしまったことで、「まさごに一番になって欲しい」と今でも考えていたのが木乃美だけだったというだけの話と考えられ、本当に誰にも見向きもされていなかった、アイドルとして誰にも覚えられてなかったのかと言われると断定できない。
一応補足しておくと、シャイニースターの願いの捉え方はかなり恣意的なモノであり、融合した牛神の悪意によるものが混ざっている。
というのも、2001年時点の牛神本体と相対した際「お前を止める」と言う個人指定による発言を「累形あり」「つまらない」として却下している。
シャイニースターの願いの条件である『利他的であり』『純粋であり(ずっと願っていた)』『世界でただ一つ』という特性上、これは要するに根底の「世界を救う」を読み取っていると思われるが、プロキシャーを取り戻すと言う自己利益の混ざっている有栖はともかく青子や主人公達のそれは「世界のため」「特異点修復のため」と細かいラベリングが違うので、これを同じと判断するなら木乃美の願いもどこかの誰かと同じはずだが、上記の通り受理されている。
そしてシャイニースターもとい牛神の発言から『融合している牛神が面白い、滑稽と感じるかどうか』が新たに条件に入っていると考えられる。
では何を面白いと感じたかといえば、まさごが故人であると言う点であろう、何もなさず何にもならず報われず死んだ真砂(すなつぶ)を本気で推している愚か者を滑稽に感じたからこそ個人指定を読み取ってまで類型無しと判別したのだろう。
仮に生きていた場合は「推しに一番になって欲しい」という広義で判別して類型有りと却下したであろうと推測される。