概要
物語の本編開始の十年前、人類の滅亡の危機に備え、人類の後継種となるAIを生み出そうと計画した鴻上聖博士が起こした事件。博士は新たなるAIイグニスを生み出すべく、藤木遊作ら6人の子供を誘拐・監禁する。監禁された子供たちはそれぞれ閉鎖空間に隔離された。その空間は白一色の無機質な空間で、ゴーグル型のVR装置があるのみ。子供たちは、そこでその装置を使用したデュエルを強制させられることになる。
子どもたちは、対戦相手はそもそも人間なのか一切不明、さらに敗北すれば電撃によるリアルダメージが発生するデュエルを強制される以外、許されたのは定期的に機械によって与えられる食事と薄い布一枚被っての睡眠のみだった。さらに、食事の内容も謎の錠剤や正体不明の固形物などの得体の知れないもので、時が経つにつれて、敗北すれば紙パックの飲み物しか与えられないように、その食事の内容すらもデュエルの内容で左右されるようになった。
この拷問と言っても過言でない食う・寝る・デュエルの繰り返しにより、子供たちの心が蝕まれていく中(一人だけ例外有)、事件の罪悪感に押しつぶされた一人の少年が匿名で警察に通報、子どもたちは解放され、事件が発覚したのだった。その時には誘拐から半年もの歳月が経過しており、救出された子供たちには深い心の傷を負わせることになった。
博士は子どもたちのデュエルで得たデータからイグニスを作成したが、3年後、何億回にも及ぶシミュレーションを繰り返した結果、「イグニスはやがて人類の管理を目論み、人類を破滅させる」という結論に辿りつき、これほどの事件を起こしてまで作り上げたイグニスを廃棄しようとした。しかし、それを良しとしないSOLテクノロジー社の重役たちに博士は電脳ウイルスを仕込まれこん睡状態に陥り(もっとも仕込んだ張本人はライトニングだが)、表向きには死亡したと報じられた。その後、リボルバーの助力により、LINK VRAINSに意識のみを移し、イグニスを抹殺するべくハノイの騎士を結成した。ここから本編に繋がっていくことになる。
最終的に鴻上博士の死亡、Playmakerの尽力によるハノイの騎士の壊滅により、事件は終結となった。しかし、事件の爪痕は今も酷く残っており、新たな戦いを起こす火種にもなっている。
なお、人類の後継種にAIが選ばれた理由は、人類はどれだけ進化しても、自然現象の前では常に絶滅の危機に陥るほか、博士が人類が近いうちに絶滅すると考えていたため、肉体に縛られないAIに希望を託したため。なぜ誘拐された子供が6人だったのかは、デュエルモンスターズの6つの属性に合わせるためであり、なぜデュエルによるデータ収集だったのかは、デュエルの思考がAIが人類を理解するのに最適だと考えられたためである。
要約すると人類の未来を導くためのAIをデュエルによるデータ収集によって生み出そうとした、身も蓋もない言い方をすれば人類の未来をデュエルで決めようとしていた訳だが、遊戯王ではよくあることである。
ロスト事件は上記の通りSOLテクノロジー社も関与しているが、彼らにとっては「AIが生み出したサイバース世界のデータマテリアル」に需要を見出し会社の予算を博士に投資していたに過ぎず、役員らは博士の非人道的な研究実態は知らなかった模様。
その対応として博士を廃人に追い込んだのは企業倫理として問題視されるべきだが、シーズン1の出来事でLINK VRAINSの信頼が失墜した上で事実が世間に明るみに出た場合、会社としての存続が不可能になる程の損失が出ることは容易に想像できる(メタ的には『遊☆戯☆王VRAINS』のストーリーそのものが破綻してしまう)。
結局ロスト事件の真相はあくまで作中の関係者だけの話で留まり、世間には公表されなかった模様。
生み出されたイグニスと事件後の子供達
被害者 | 生み出されたイグニス | 属性 | 備考 |
---|---|---|---|
藤木遊作 | Ai | 闇 | PTSDを発症、現在も克服できていない |
草薙仁 | ライトニング | 光 | 精神を病み、施設で療養中 |
スペクター | アース | 地 | 彼のみ例外で、事件によって「救われた」存在。 |
穂村尊 | 不霊夢 | 炎 | 両親が行方不明になった尊を探す中事故死、無気力になり引きこもりに |
??? | ウィンディ | 風 | ウィンディに不要とみなされ、AIの暴走事故という名目で殺害される。ウィンディの回想シーンを見る限りでは、(特殊なスペクターを除けば)一番社会復帰できていた様子 |
杉咲美優 | アクア | 水 | 人類を敵視したライトニングにより電脳ウイルスを仕込まれ、昏睡状態に |