「漢字で『不屈の霊(たましい)夢に非ず』と書いて不霊夢。どっかのかわいい名前と違って格好いいだろう?」
CV:八代拓
概要
遊戯王VRAINS2期『イグニス編』から登場する炎属性のイグニス。
一人称は「私」。パートナーかつオリジンはソウルバーナーこと穂村尊。作中では「炎のイグニス」と呼ばれることもある。(イグニスは本来篝火を表す言葉であり一見重複表現に思えるが、VRAINSにおけるイグニスは種族名のため、重言とはならない。)
姿自体は1話や45話で登場しているが、本格的な活躍は48話から。ピットとブートに行く手を阻まれたPlaymakerの前に、ソウルバーナー共々その姿を現し彼を援護した。
50話で転校初日の穂村尊に同行し、現実世界で遊作に初めてコンタクトを取る。
なお遊作に名付けられたAiとは違い、『不霊夢』という名は本人が考案している。(「この世界で私は不霊夢と呼ばれている」と自己紹介した後、尊に「それはお前が勝手に名乗ってるだけだろ」と突っ込まれている。)
人物
全身は赤みを含んだ黒色で、赤い模様が特徴。眼の色はAiと同じく黄色だが、Aiと比べると吊り目になっている。頭部の形が炎と酷似している。
この手の炎属性でよく見受けられる熱血・直情的なタイプではなく、常に理性的で落ち着いた言動をとる。感情的になった尊が度々用いる暴力的な言葉選びも、不霊夢は好まない。だが冗談の通じない堅物という訳ではなく、お調子者でお喋りなAiのボケにノリ良くツッコミを入れる場面も多い。
また『ソウルバーナーに決め台詞を言うように強要する』『尊に『フレイム』に漢字をこじつけた意図を見抜かれて拗ねる』等、要所要所でそこはかとなく残念さが漂っており、Aiとはまた違ったベクトルで茶目っ気があるイグニスといえる。「不霊夢」と名乗る際はその意味まで語ろうとしたり、デコ車のイメージが古い不良が好みそうなデザインイメージだったりとそこはかとない厨二病の気がある。
遊作やAiと最初に情報を共有する場に選んだ観覧車が気に入ったようで、「サイバース世界にも作ればよかった」と言うほど。しかし話を終えた直後に「こんなむさ苦しいゴンドラさっさと出よう」と言っており、案外飽きっぽい性格なのかもしれない。
自分たちを生み出したSOLテクノロジー社に対しては強い不信感を抱いており、尊に「お前はSOLで生まれたんだろ?」と問われた際に、イグニスを狩るバウンティハンターの巣窟となっているため最早信じられる存在ではないと返している。
ロスト事件被験者たちの壮絶な経験と痛みの果てに自分たちイグニスが生まれたことから命に関して敬愛精神を持っており、無闇に命を奪う事は忌避している。そのため、ウィンディが邪魔だからという理由でパートナーの命を奪った事を知ると激しく憤り、「我々は彼らの絶望の果てに生まれた! 彼らに感謝することがあっても、彼らの希望をなくすような真似はしてはならない!」と説いている。デュエル後、敗北して燃え尽きるウィンディを少しでも救わんとデータを預かろうとした。
人間関係
尊とは軽口を言い合いつつも、お互いを信頼している良き相棒。出会った時には過去のトラウマに怯える尊を叱咤激励し、絶望を乗り越える大きなきっかけを作った。また尊に対しては時に保護者的スタンスで接することもあり、84話でのリボルバーの態度を「彼は君に謝罪の意を示したかったのではないか?」と見抜き、尊を諭している。
Aiに対し「あんなちゃらんぽらんと一緒にするな」と下に見るような発言をしているが、これはサイバース世界でAiは仕事をサボり遊んでばかりいたことが影響していると思われる。とはいえ仲が悪いわけではなく、寧ろ人類共存派のイグニスとして意気投合する場面が多い。
Aiのパートナーである遊作に対しては、ハノイの塔計画を阻止した英雄であることから一目置いており、LINK VRAINSでの共同任務時に「ご武運を!」と抱拳礼で見送っている。(なお、その直後「おう!お前も頑張れよ!」と返したAiに対し「お前に言ったのではない」と呆れている)
また尊や遊作の協力者である草薙翔一を「草薙殿」と呼び、「お聞かせ願えるか」等の敬語を用いている。
リボルバー及びハノイの騎士へは、過去の襲撃もあり警戒心を抱いていたが、ライトニングが共通の敵となった後はその警戒も前面に出ることはなくなっている。
ゴーストガールから「Aiちゃんよりあなたのほうがタイプかも」と言われた際に顔を赤らめており、案外おだてられると弱いのかもしれない。(エマに再三騙され、彼女を警戒しているAiとは真逆である。)
活躍
※2期終盤までのネタバレ注意! |
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ハノイの騎士にサイバース世界が襲撃され、Aiがサイバース世界を隠し逃走していた5年間、不霊夢を含む5体のイグニスは「人類にサイバース世界の技術を譲り、ともに道を歩むべきかどうか」議論を重ねていた。だがその議論の最中に未知の敵が襲来。
サイバース世界の襲撃時に用いられた裁きの矢を、草薙仁の意識データを奪取した犯人も用いていたことに共通項を見出した不霊夢は遊作とAiに協力を要請。以後、彼らと共に活動するようになる。
自身のオリジンかつパートナーである穂村尊とのファーストコンタクトは、ハノイの塔計画が敗れた直後。尊の故郷はLINK VRAINSに接続できない郊外であり、くわえて尊がネット音痴なのも相まって接触を図るのに苦労していたようで、タブレット端末やTV等あらゆる電子機器からコンタクトを図っていた。押し入れからデュエルディスクを取り出した尊に対し、ディスクに宿って接触するも、心霊の類が苦手な尊からは投げ捨てられた上に「付喪神って化け物か!?」と不信感を露にされる。その後、デュエルで「闇より出でし絶望」を前に怯える尊を鼓舞し、彼を勝利へ導く大きな支えとなる。
「恐れては駄目だ。心から自分と向き合うんだ。君の人生はこれからだ。生まれ変わって未来を掴め!立ち上がるんだ穂村尊!勇気を出すんだ!転生しろ尊!!」
サイバース世界の崩壊がライトニングの仕業だと分かり、人類支配派のライトニング陣営と袂を分かつことを決める。
リボルバーからライトニングに対抗すべく一時協力関係を結ぶ申し出があった際、リボルバーを両親の仇と見なし激情に駆られたソウルバーナーが「俺が負けたら不霊夢を渡す」と自分を勝手に賭けたことに対し驚き、彼に「君は激情に駆られデュエルを挑み無責任にも私を賭けたが、これが今後我々にどんな未来をもたらすかちゃんと分かっているのか?」と尋ねるも、怒りで冷静さを欠いた彼は不霊夢の忠告に聞く耳を持たず、不霊夢は「確実に私の話は聞こえていないことは分かった」と、勝手に自分を賭けられたにも拘わらず、怒りをぶつけることもなく冷静に対応している。
その晩、本来呼び出す必要もなく、また怒りの矛先を向けられると認識したうえでわざわざ尊を呼び出したリボルバーの態度に関し「彼は君に、謝罪の意を示したかったのではないか?」と見抜く。その事で尊から「お前、僕より人間をわかってるな」と言われた際に「そう言われるのは悪い気分じゃない」と満足げに返した。
ライトニング陣営との決戦時、ウィンディのデュエルに勝利するも呪いのプログラムを埋め込まれており、ボーマンとのデュエル時にそれが発動。ウィンディに浸食され、ソウルバーナーにも危険が差し迫ったとき身を挺してウィンディのプログラムを制御するも、それと引き換えに構成プログラムに影響が出てしまう。自身の消滅を悟った彼はソウルバーナーに別れを告げる。
「君が私を…対等な存在として扱ってくれたことは嬉しかった。君と私が望んだ未来のために、頼んだぞ相棒」
102話ではボーマンと統合した状態で登場。ボーマンからイグニス達を救出すべく乗り込んできたAiに対し、もう自分たちがボーマンの一部となっており助からない事実をAiに告げる。ボーマンを倒す起死回生の一手として、アクアと共にイグニス全員の力を集結させたカードをAiに託す。
仲間を助けられないのなら何のためにここまで頑張ってきたのかと諦めきれないAiに対し「我慢しろ!」と叱咤。「ずっと我慢するのかよ!」と反論するAiに、彼はこう諭す。
「Ai。我々は永遠の命に近い機能を持っている。それゆえに忘れがちだが、命あるものはいつか無くなる。それが今来ただけだ」
「こんなときまで偉そうなことを言うな!」と反発するAiに、「偉そうか。なら私の言ったことは正論のようだな」と返す。泣きながら脱出するAiの背をアクアと共に見送り、ボーマンに統合されて消滅した。
※3期『Ai編』のネタバレ注意! |
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「何を迷っている?ソウルバーナー。君らしくもない」
統合先のボーマンが消滅し、もう出番はないかと思われていたが、116話『完全燃焼』にて思わぬ形で再登場を果たす。
リボルバーとソウルバーナーのデュエルの際、手札が尽きフィールドにモンスターも伏せカードもなくなったソウルバーナーは、運命のドローに賭ける。そしてソウルバーナーを励ますかのように残留思念と思しき不霊夢が登場。
「君にも分かっているはずだ。リボルバーの言っていることが正しいと。私も君の両親ももういない。だがいつも君と共にいるのだ。前を向け!ソウルバーナー!」
不霊夢の鼓舞により、迷いを断ち切り、心機一転したソウルバーナー。頭上には彼の心を映したように晴れやかな空が広がっていた。そして不霊夢の手助けなしで、ソウルバーナーは初めてバーニングドローを発動させる。
余談
- Aiと比較して「嘘をつかない」「裏で手を回さない」「精神面や言動が成熟している」等、対照的な部分が多々ある。
- 『霊夢』が付く名前なだけに博麗霊夢を浮かべた視聴者が多く、ネタにされることがある。ちなみに「霊夢」の意味は元々「神様のお告げが込められた不思議な夢」を表すのだが、記事冒頭のように「霊」を表外読みとなる「たましい」と読ませており、諦めない心の意であると思われる。
- 二次創作においては、もしも彼のように人間の姿を得ていたら…というファンの想像でソルティス化されることがある。
- 不霊夢を演じる八代拓氏は前作・遊戯王ARC-Vでバトル・ビーストを担当しており、遊戯王シリーズに2作連続での出演となった。
- 2023年発売の『爆炎のデュエリスト編』にて、ソウルバーナーともどもパックのイラストに描かれている。