「復讐を下らないというなら、それでいい。だが、運命の中には果たさなければ前に進めないものもある」
CV:石毛翔弥
概要
徹底的にカスタマイズされた旧式のデュエルディスクを使い、高度なハッキング技術を有する。目立つことを極端に嫌う性格であり、クラスでも目立たない存在。
ハノイの騎士と名乗るハッカー集団が起こしたロスト事件の影響によって事件以前の記憶を失っており、ハノイに対して復讐と形容できるほどの強い敵意を抱いている。同じ事件の被害者である弟を持つホットドッグ屋の店主、草薙翔一は本編開始前からの協力者であり、VR空間にログインする際は草薙の屋台を一部展開し、Playmakerへと変身する。
ハノイの騎士を誘き寄せるために1話でイグニスと呼ばれる謎のAI、Aiを人質としてディスクにロックして以降、VR空間を荒らし回るデュエリスト達と対峙していく。
なお遊作のように復讐を掲げる主人公は遊戯王シリーズ初。ホビアニの主人公としてもかなり異色であり、ダークヒーローとしての側面も持つ。
人物像
クールな性格やハッキングが得意、旧式のデュエルディスクをカスタマイズして使用している等の設定は一見5D'sの主人公不動遊星と似ている。だがクールなようですぐ熱くなる遊星に対して、遊作は日常でもデュエルでも理性的な言動が目立つ。冷静沈着で寡黙な性格だが、見方を変えれば不愛想なコミュ障にも映る。
後述するトラウマの影響により対人経験に乏しいためか、『自分の言動が他者にどんな影響を与えるのか』と言う点に関してはあまり考えが及ばない様子が見受けられる。
常にクールで険しい表情が多いものの、他人に対して冷酷なわけではない。6話で財前葵からデッキを見せてほしいと言われた際に「いいよ、見なよ」と至って自然な受け答えをしており、デュエル部で過ごす際も終始目立ちも浮きもしない年相応の振る舞いをしていた。ハノイの塔の騒動時、逃げ遅れた少年アバターを助け彼がログアウトするまで見守るなど、見知らぬ他者に対し手を伸ばすことを躊躇わない描写もある。
但し他者を巻き込まないスタンスを貫くあまりハノイへの対策が後手に回る場面もあり、1期では年相応の危さを見せる場面もあった。
ハッキング技術だけでなく、他者やデュエルに対する分析力も高い。絡んできた島直樹の性格等を即座に分析し、デュエルが強くないと推察される点と、彼の長所を3つずつ挙げている。この性格分析に限らず、作中では3つの要素を述べる場面が多く、島に「一人でデュエルやってろ!」と言われた際に真っ先に「メインモンスターゾーンが3つのレギュレーションってあったか?」と考えるなど、3という数字に何かこだわりがある様子。
自らが掲げる復讐の危険性を理解しており、ロスト事件の情報を掴むため財前晃とデュエルし勝利した後、無関係の財前兄妹を巻き込まないよう「この件から手を引け」と忠告している。
ブルーエンジェルとのデュエル後、ウイルスにより財前葵がLINK VRAINSからログアウト出来なくなり、昏睡状態に陥った時、罠と知りながらも財前晃に状況を伝えるために、敢えて偽のブルーエンジェルのもとへ向かう等、筋の通った一面を見せた。
ネットワークの気配を感じ取るリンクセンスという能力を持っている。この能力によって、Aiやハノイの騎士を感知したり、現実世界において本来視覚可されないはずのネットワーク内を移動するリボルバーの姿を鮮明に捉えていた。リンクセンスはイグニスとそのパートナー間で発生する干渉に由来する能力らしく、68話で行方不明になったAiを探す際にこの能力を使い、Aiの居場所を探し当てた。
対人関係
ロスト事件の影響もあってか対人関係は極めて狭く、Ai、草薙翔一、穂村尊といったごく限られた関わりが中心である。加えて自身の目的である「ハノイへの復讐」に他人を巻き込みたくないという信条も相まって、ぶっきらぼうに映る場面も少なくない。
本作のヒロインにあたる財前葵とも日常的に関わる機会はなく、待望のイベントであるリアバレが3年目に起きたが、その反応も普段の彼と変わらず淡泊なものだった。
とはいえ一度認めた相手に対しては甘い対応になりやすく、恩人とはいえネットワークに甚大な被害を与えるハノイの塔を起動した彼を不問にしており、彼に憤慨していたロスト事件の被害者の誤解を解くべく説明して庇ったほど。
なお遊作の家族は作中で一切描写されておらず、健在かどうかも不明。前述した記憶喪失の影響により、家族の有無すら覚えていない可能性がある。
1話で人質として捕らえたAiに対する扱いは当初ぞんざいで、掛ける言葉も態度も辛辣だった。腹の底を見せないAiの胡散くささもあったとはいえ、作品初期は情報入手の為なら分解して解析すると脅迫したこともあった。3話で彼に名付けたAiという名称も「AIだからな」という安直なもの。(過去作品で例えるなら遊馬とアストラルの関係に近いが、早期に絆が芽生えていた彼らとは違い、遊作とAiは長らくビジネスライクに近い契約関係であった)
しかし話が進むごとにAiへの態度も軟化していき、二人でハノイの塔の一件を解決した2期以降は相棒と呼べる関係に変容、互いに強い信頼で結ばれるようになる。
お調子者で多弁なAiに向ける「黙れ」の台詞は最早お約束。
余談だが遊戯王主人公ズ中において、回想や引き分けを除いて遊星以来の作中で無敗の主人公となった。遊星と比べた場合、遊作はデュエル回数自体が少ないものの敗北確定したデュエルが中断された事がない等の差異がある。
外見
海産物にも野菜にも当てはまらない独特な髪型をしている。一部からは「ウミウシじゃないの?」「とあるカードゲームのあれに似ている」と言われる事も。
全体的に青を基調とした髪色だが、前髪の一部がやたらと尖っており、頭に板を張り付けたような髪型をしている。前髪の一部はマゼンタ色のメッシュが入っている。
この個性的な髪型になった経緯としては、本作のデュエルがスケボーに乗って行う形式のため「主人公の頭にもスケボーを乗せよう」との発案を受けたとのこと。まるで意味がわからんぞ!
このように遊戯王主人公恒例の派手な髪型をしていながら「目立つことを極端に嫌っている」という設定に突っ込みを入れるデュエリストが多数発生した。尤も訓練されたデュエリストからは遊戯や遊星や遊馬より地味という評価を受けているので、遊作の目立ちたくないという願いは叶ったのかもしれない。
目の形と大きさは遊星と遊矢の中間ぐらい。人によってはセレナの目に似ているという意見もある。また、二重瞼の主人公はアストラルを除けば遊矢に次いで二人目である。
Playmaker
VR空間「LINK VRAINS」での姿。
特殊なボディスーツを着用しており、髪も青とマゼンタの配色から、黄と赤に変化する。顔の輪郭は変わらないが、目は少し鋭く、黒目も小さくなっている。体格は普段の遊作に比べて細身だがやや筋肉質。
物語開始時点ではハノイの騎士を圧倒的なデュエルで倒し、何も語らず去っていくスタイルを取っていた。アカウント名の由来は、自身の名前から遊=Play 作=makerであると考えられる。(Playmakerはスポーツにおいて司令塔という意味がある。)
サイバース族を手に入れる以前は「Unknown」と名乗っていた。
ちなみに左半身にある黄色いラインは召喚法によって色が変わる。(儀式召喚⇒水色、エクシーズ召喚⇒青、シンクロ召喚⇒ライムグリーン、融合召喚⇒紫)
過去
ハノイの騎士への復讐を掲げる遊作だが、その過去は視聴者が予想するよりも壮絶なものであった。
10年前、遊作はわずか6歳の時に何者かの手によって誘拐される。
監禁された場所は外界から完全に隔絶された、白一色の無機質な狭い部屋であり、くわえて犯人側からの接触すら無いという不気味な閉鎖環境だった。窓も家具もない部屋の中に置かれていたのは、ゴーグル型のVR装置のみ。それを使用しデュエルするよう強要されるが、デュエル相手の情報は不明、更にデュエルに敗北すれば強い電流で全身を痛めつけられるという拷問にも等しい内容だった。
デュエル以外に与えられるものは、機械によって供給される食事と、薄い布を一枚被っての睡眠のみ。その食事内容も謎の錠剤や、正体不明の固形物など得体のしれないもので、やがてその食事の質すらデュエルの勝敗によって左右される様になっていく。(敗北した日は紙パックの飲み物しか与えられない描写があった。)
「いつここから出られるのか。いつまで自分が生きられるのか。何も分からない不安の中で、俺達はデュエルを続けた」
この過酷な日々は延々と続き、着実に幼い遊作の心を蝕んでいった。心が壊れかけていたある日、幼い声に『3つのことを考える事』と励され、それを生きる希望として指し示される。
敵を倒す3つのこと。生きるための3つのこと。帰るための3つのこと。それら3つのことを考える事、それを強く心に留める事によって、遊作は辛うじて精神を保つことが出来ていた。
そしてある日、匿名の通報によって事件は発覚し、遊作はようやく過酷な生活から解放される。世間では実に半年もの時間が経過していた。後にロスト事件を呼ばれたこの事件だが、被害の規模に反し事件自体が隠蔽され世間の口の端に上ることは無く、犯人もその目的も謎のまま10年の歳月が経過する。
その後、遊作は社会的なケアを受けつつ新たな人生を送ることになった。
何年にも渡って治療を受け続け、遊作自身も事件を忘れて平穏に生きようと努力してきた。だが、どれほどカウンセリングを受けようと、あの過酷な日々は彼の中から払拭されず、事件から10年の歳月が経過しても幾度となく事件当時の悪夢を見る等、当時の記憶は彼を蝕み続けていた。そこから抜け出すべく、遊作は運命に立ち向かう事を決意する。
LINK VRAINSでハノイ騎士の情報を掴むため活動していた最中、同じくハノイ関連の情報を探していた草薙翔一と出会う。ハノイの騎士に追われていた草薙を助け、この件に関わらないよう忠告するが、現実世界で彼の経営するホットドッグ屋で再会した際、彼の弟が自身と同じロスト事件の被害者だったこと、草薙が事件の真相究明のため動いていることを知り、彼と協力関係を結ぶ。
苦労の末、ロスト事件が別名『ハノイプロジェクト』と呼ばれていることを突き止める。事件の唯一の手掛かりとして関連性が疑われるハノイの騎士を追うべく、遊作はUnknownから復讐の使者Playmakerへと名を変える。
1つ、事件の真実を知り、断ち切られた自分の人生を繋げるため。
2つ、事件は自分や他の監禁された子供のみならず、被害者家族の心にすら大きな傷を刻みつけている。被害者とその家族に代わって、真相を突き止めるため。
3つ、解放された被害者の中に確認できず、現在も囚われている可能性が高い、自分を励まし支えてくれた”誰か”を救い出すため。
全てはそのために……。
遊作が持つ高いデュエルスキルや分析力、どれほど不利な状況に追い込まれようと冷静さを失わない強靭な精神力は、この復讐を果たす上での強力な武器となっているが、その基盤が培われた経緯は監禁中にペナルティ付きのデュエルを幾度もこなしたからだろう。何とも皮肉な話である。
なお、ロスト事件の被害者は国家のSランク保護プログラムの対象になっているため、『藤木遊作』という名前と戸籍すら、自身に関する記憶の一切を失った遊作に事件後与えられたものである可能性がある。
作中の活躍
※作品終盤までのネタバレ注意! |
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1期 ハノイの騎士編(1話~46話)
財前晃とのデュエルによってロスト事件の首謀者を突き止めたのち、ハノイ三騎士の将であるファウストを撃破。リボルバーの手によってEMP兵器に等しいハノイの塔が起動されてからは、塔の完成を阻止すべくハノイの騎士のリーダーであるリボルバーを追う。
リボルバーとのデュエル中、Aiが遊作の思考パターンから生み出されたイグニスである事、Aiが仲間のイグニス及びサイバース世界を守るために遊作達に真実を隠し利用している事を指摘される。
衝撃的な内容に思案するも、Aiに対し絆を感じたこともなくただの人質であるとリボルバーの告げた真実を切り捨て、デュエルを続行する。勝利を掴むために、成功の確率が低いことを承知でストームアクセスを行うも失敗。右腕が千切れデュエルを諦めかけるが、Aiの機転と自滅覚悟の行動によってストームアクセスを成功させ、形勢逆転する。その後リボルバーとのデュエルは中断されるも、会話の中で彼の居場所を推察した遊作は、草薙と共にスターダスト・ロードの見える邸宅へ向かう。
現実世界で相対したリボルバーから、鴻上博士らがイグニスを作った目的と、ハノイがイグニス殲滅を目指す理由について明かされる。同時に、事件中の遊作に「3つのことを考えるんだ」と励ましてくれた恩人が彼だと知る。ハノイの塔の完成を阻止し、過去に囚われたリボルバーを救うべく、遊作はデュエルを挑み勝利を収める。
追い求めていたロスト事件の真相を掴み、過去を清算した遊作は、Aiのロックプログラムを解除。スターダスト・ロードを眺めつつ、ネットワーク空間へ旅立つAiを見送った。
2期 イグニス編(47話~103話)
ハノイの塔計画を阻止してから3ヶ月後、突如として草薙仁が何者かに襲撃され、その意識データが奪われてしまう。LINK VRAINS内に逃げ込んだ敵を追う道中、Aiと再会。敵のデッキがサイバース世界でしか作り出せないサイバース族である事と、サイバース世界の襲撃に共通項を見出した遊作は、Aiを再びデュエルディスクにロックする。草薙仁の意識データを取り戻し、また行方不明のイグニス達を捜索するため、転校生の穂村尊と彼のパートナーのイグニスである不霊夢と協力し、手掛かりを探していく。
人類を見定めようとしたアースにデュエルを挑まれ、彼から何故Aiと共にいるのかを問われた際、「同じ目的のために自らの意思で共にいる」ことを挙げ、その在り方を相棒と呼ぶなら好きに呼べばいいと、一貫して人質として扱ってきたAiとの関係に変化を見せる。
2期中盤、ウィンディからイグニスが人類の後継種となりえるか尋ねられた際、イグニスが作られた目的と、将来イグニスが人類の驚異となる可能性を知った上で、後継種になるかもしれないと肯定している。だがライトニングやウィンディが引き起こそうとしている急激な変化に対しては難色を示し、ロスト事件のように多くの人間の人生を傷付けるものだとして否定する。
人類支配を掲げるライトニング、ウィンディ、ボーマン、ハルの陣営と思想の違いから対立。人類とイグニスの戦いに身を投じる覚悟を決めるとともに、Aiや不霊夢に対し、この戦いが終わったら身を隠すように勧めた。
人間の尊厳とAiや不霊夢といった共存派のイグニスの未来を守るために、ボーマン達との最終決戦に挑み勝利を収める。
3期 Ai編(104話~120話)
ボーマンとの決戦後、姿を消したAiに対し「唯一生き残ったAiには自由に生きてほしい」と考えており、現存の社会を保つためには人類より上の存在はあってはならないと主張するリボルバーから、イグニスの危険性を再度説かれた際も、人間とイグニスは違う存在としたうえで「Aiを信じている」と反論した。
AiとロボッピがSOL社トップのクイーンを襲撃し、コードキー奪取のため財前晃へ襲撃予告を行ったことで激しく動揺するも、相棒としてAiを止めることを決意し、Aiと対峙する覚悟を決める。ソウルバーナーとのデュエル中に暴走し初期化したロボッピを見た際は、沈痛な面持ちでその様を眺めつつソウルバーナーに介錯を頼み、その最期を見届けた。
ソウルバーナーとリボルバーとのデュエル後、ロボッピが持っていたメールに示されたSOL社の工場へ向かい、現実世界で人間の姿のAiと再会。Aiが『自分の意思と外見を複製したコピー体』を、世界へ大量にばら撒くためにSOL社を乗っ取った事を知り、彼に全てを返して姿を消すよう迫るも、Aiは既にコピー体が起動するよう計画を実行していた。Aiに対し「俺に自分のやっていることを止めてほしくて呼んだんじゃないのか」と問い詰めるもAiは真意を見せず、彼の提示する条件を呑んでデュエルするほかない状況となる。
最終4話でのAiとの決戦
デコードトーカーを召喚した際、Aiに「5年前から自分に干渉し、ハノイへの復讐を目指すよう干渉し続けていた」のではないかと尋ね、その事実をAiに肯定される。
最初はただ利用するためだけに遊作に接触したAiだが、苦楽を共にし相棒としての関係を築き、またイグニス達を亡くした今となっては「たった一人の友達だ」と返した。「それを失ってもいいのか」と遊作は問うが、覚悟を固めたAiには響かない。
デュエルの中で、Aiが単体で生存した場合、Aiの存在が人類の滅亡を招く事を知ると共に、仲間を失い孤独になっている彼の本心に触れる。
窮地に追い込まれた際、Aiから「意識をデータ化して、俺と融合しないか」と提案される。だが融合して個を失えば、遊作でもAiでもない別の存在になってしまう。それはAiが求める「二人で共に生きる」答えにはならないとして、その提案を拒んだ。
リスクを看過できないAIの性質ゆえに、絶望のシミュレーションを覆す絶対的な『答え』を求めるAiに対して、「生きることに答えはなく、この世に絶対的なものはない」と自身の死生観を告げる。絶対的なものがない代わりに、生きていく中で残るものは『人と人の繋がり、何かと何かの繋がり』であると説く。その繋がりの性質も絶えず変化し、繋がりを失う事もあれば新たな繋がりが生まれる事もある、その連続が命であると。
Aiに「それって、強くないとやっていけないんじゃないのか」と返された際は、「だからこそ人は強くなる」と主張。時にその信条で人と対立するとしても、繋がるためには戦い続けるしかないと返す。
生きていくことに、性急な『答え』を見いだせはしないと語る遊作。だが『答え』のない戦いを続けるつもりのないAiからは、そうした生きるための戦いを求めなくなった自分はやはり消える運命にあると返されてしまう。互いに掲げる道が決まり、デュエルは最終局面へ向かう。
決着後、Aiが自身を消滅させてまで本当に守りたかったものを知る。
当初「AIだから」と適当に付けたAiの名前に、新たな意味を込めるシーンは二人の築き上げてきた絆が光る場面であり、作中屈指の名シーンと名高い。詳細は彼の記事も参照。
Aiとの決着から3ヶ月後、遊作は誰にもその行方を知らせず何処かへ旅立った事が示され、LINK VRAINS内を駆けるPlaymakerの姿を映して物語は終幕する。
このように、失った記憶を断片的でしか取り戻せず、守りたかった存在を守れないENDであるため、遊戯王シリーズの中で最もハードな結末を迎えた主人公と評される事が多い。遊戯王シリーズの最終回は、未来を掴んだ主人公の明るい表情で締めくくられるのが恒例だが、遊作は望む未来を掴めていないために微笑すら描かれなかった。
ラストシーンで復活が仄めかされたAiとの再会を望むファンも多く、また旅立った彼の行方についても様々な予想が上がっていたが、最終回から3年後の2022年9月、『デュエルリンクス』にて公式から回答が示されることとなる。
デュエルリンクスでは…
2022年9月のVRAINSワールド実装と同時に、『Playmaker&Ai』として登場。VRAINSワールドは最終回からの地続きとなっており、アニメ本編のネタバレを避けたい場合は、視聴後にワールド解放するのが望ましい。
※以下、ステージ10以降のネタバレ注意! |
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「すまない。俺がここにいることは、まだ誰にも知られたくはなかった」
長らくその行方が分からなかった遊作だが、姿をくらませていた理由がLINK VRAINSにAiの気配を感じ、ネットワーク内を探して回っていたためと判明。
LINK VRAINSの最深部の未到達エリアにAiと共に身を隠していた彼は、ソウルバーナーに居場所を突き止められる。ソウルバーナーとのデュエル後、Aiが復活した事実を語り、そして今の自分がやるべき事として「Aiが復活した理由と原因を調べる」「デュエルリンクスという存在について調査する」「Aiを守らなければならない」の3つを挙げる。
デュエルリンクスで活動する目的の中で「Aiを守ること」を最も重要視している。
リボルバーとの対峙を懸念するAiに対して、「やるしかない、Ai…オレはもう二度とお前に消えてほしくはない」と悔恨と覚悟を滲ませた。その覚悟が強すぎる事から、言動がやたら重くなって帰ってきたというファンの声も少なくない。(不可抗力かつAiの意志とはいえ、相棒殺しをさせられたので致し方ないのだが…。)
Aiや他のイグニス達を救えなかったことを深く後悔しており、彼らを救うにはどうすれば良かったのか自問自答し続けていた。
『遊作が犠牲になる未来』への不安が拭えないAiに対し、未来を作るのは予測ではなく、自分たちの行動の結果であると主張。全てを完璧にシミュレーションできるならAIにとってデュエルなど結果が分かりきった茶番にすぎない、だが事実ボーマンでさえ全力で戦って負けたと例を挙げる。「リボルバーがAiの存在を認めないなら彼と闘い、Aiが人類の脅威になるなら止めてやる。だから自分と共に生きる道を探すんだ」と訴える。
志を同じくした二人は最高の相棒として、再びLINK VRAINSを駆け抜けていくのであった。
本編での悲劇的な結末を救済するかのような二人の再会に、多くのファンが歓喜した。
またファンから不安視されていたメンタル面だが、蓋を開けてみればその覚悟をより強固なものにして帰ってきた。最終回のラストシーンでリボルバーが語った「Playmakerは必ず帰って来る、さらに強くなって」は正しかったといえよう。
「俺はもう二度と過ちは繰り返さない! 俺は今度こそAiを守ると誓った!」
リボルバーには、対立を避けるために自身の行方とAiの存在を意図的に隠していた事を見抜かれていた。リボルバーからAiが過去に仕出かした人類への敵対行動を問い質された際も一貫してAiを庇っている。
なお、3期のAiが人間と敵対した本当の理由について周囲に明かしておらず、仲間達からは、Aiが仲間の復讐を果たすべく活動していたと誤認されたままである。(Ai単体で生存した場合、人類の滅亡を招くシミュレーション結果が出たのは事実であり、打ち明けるリスクを考慮しての事だろう。)
またタッグデュエルのイベントでは、プレイヤーに対して「共に闘えて…楽しかったよ」と微笑んでみせる等、言葉や態度から棘が無くなっているのが窺える。別のアプリゲーム『クロスデュエル』での彼と比較すると、その変化が分かりやすい。(クロスデュエルでの遊作は1期の時間軸であるため)
なお、彼らをゲットできるのはソウルバーナー、Go鬼塚に続く3番目である。公式の粋な計らいにニヤリとしたファンも多いだろう。劇中は無敗だったが、デュエルリンクスでは貴重な敗北シーンが拝める。
使用デッキ
OCG第10期からの新種族サイバース族の統一した【ビートダウン】デッキを使用する。
リンク召喚を主軸とした特殊召喚を多用する展開力重視のデッキだが、単なるリンク一辺倒ではなく、サイバース・ウィザードなどのメインデッキのモンスター効果も補助的に用いる。リンクモンスター以外にもメインデッキには儀式モンスターが加わり、エクストラデッキに投入可能な各種モンスター達も使用している。
また、魔法・罠カードを駆使して相手ターンを凌ぐなど防御面も厚く、そつなくまとまったスタイルと言える。スピードデュエルの場合はスキルを活かす面もあるためか、ライフ調整できるカードも多く使用している。
スピードデュエルのスキルは「Storm Access」。ライフが1000ポイント以下で発動出来るスキルであり、自分のターンでデータストームの中にいる未知のサイバース族リンクモンスター1体をランダムにエクストラデッキに追加するスキルである。
2期ではAiが「Storm Access」をアップデートしたことで、「Neo Storm Access」へと進化しており、ライフポイントが1000以下の時にデータストームの中にいる未知のサイバース族モンスター1体をランダムにエクストラデッキに追加する。「Storm Access」とは違って、追加出来るモンスターがリンクモンスター限定では無く、融合やシンクロにエクシーズモンスターなど、「Storm Access」よりも獲得出来るモンスターの枠が広がっている。更にライフポイントが100以下でライフポイント1000以下の時にサイバース族のモンスターに回収に失敗している場合、もう一度使用することができる。その場合、カードを1枚ドローする能力が追加されている。
スキルの能力上新たに得られるモンスターは遊作が選べることが出来ないため、どんな能力を持つモンスターかは追加するまで把握できないが、遊作は自身の高いデュエルスキルや分析力で、スキルで新たに得られたモンスターを難なく使いこなしている。
VRAINS世界でのサイバース族はイグニスに関係しているため、イグニスの関連人物やサイバースを狩るハノイの騎士しかその存在を知っておらず、一般的には知られてない種族である。遊作はLINK VRAINS内でのサイバースデッキに関する都市伝説の情報を知り、サイバースデッキがハノイの騎士に対する切り札だと考え、LINK VRAINSに存在していた隠された場所でサイバースデッキを得るための詰めデュエルを解くが、ハノイの騎士の妨害もありサイバースデッキを得られなかった。だが遊作が詰めデュエルに隠された真の意味を解読したことで、現実世界のサイバースデッキの在り処を突き止め獲得することができた。
1期目は唯一のサイバース族使いであったためか、あらゆる属性のモンスターを使っている。
2期目はサイバース族の使い手の増加及びAiが闇のイグニスであることから新規モンスターが闇属性を中心に増えている。
3期目はデュエル回数が2回(片方は省略デュエル)ではあるが、アクセスコード・トーカーなどに繋げることもあり、各種属性の新規リンクモンスターを使用している。
Unknown時代のデッキ
現在のデッキを手に入れる前は、「フォトン・スラッシャー」や「切り込み隊長」といった特殊召喚を出来るモンスターをメインにリンク召喚をしたり、「禁じられた聖槍」や「リミッター解除」などを使用するビートダウンデッキを使用していた。
エースモンスター
本編内でPlaymakerが特定のカードに関し思い入れを述べる場面が無いため、主に周りがエースモンスターと称したり、CMでPlaymakerがエースモンスターと称するパターンがほとんどである。
遊作のエースカード。最初のスピードデュエルの際に入手。
スキル「Storm Access」で初めて入手したモンスターでもあり、後に続くコード・トーカーシリーズの第一号でもある。
攻撃力を見る限りではブラック・マジシャン等のような2500組ではなく、ジャンク・ウォリアーのような前期エースモンスターだったと言える。
ただ後述するファイアウォール・ドラゴンサイドの事情もあり、実質的にはデコード・トーカーがエースモンスターという扱いに近い。
その他のコード・トーカーは該当記事を参照。
同じく遊作のエースモンスターカード。こちらはリボルバー戦(1戦目)にて入手。
攻撃力を見る限りではこちらがブラック・マジシャン等のような2500組だと考えられる。
スターターデッキに入る人型エースモンスターと新シリーズのブースターパックの第一弾に入るドラゴン型のエースモンスターという5D'sを思い出す登場形式である。
しかしリンク4という召喚条件やアニメにやや不向きな効果からか、登場回数は少なく、さらに禁止カードに指定されてからは3期OPにて存在すら消えてしまった。
儀式モンスターのエースモンスターカード。ボーマン戦(1戦目)で初使用。
融合モンスターのエースモンスターカード。ブラッドシェパード戦で初使用。
登場回数は少な目なものの、3回連続でフィニッシャーになったり、強敵を撃破しダメージを与えたりと活躍を見せている。
シンクロモンスターのエースモンスターカード。ボーマン戦(3戦目)で、新スキル「Neo Storm Access」にてデータストームの中から入手した。
効果が分かりやすく強力なこともあり、対戦相手が対策をとることも多い。初登場回も引き分けに終わったこともあり、他のエースモンスターと比較すると活躍の機会に恵まれていない。
エクシーズモンスターのエースモンスターカード。
Go鬼塚戦(2戦目)で、スキル「Neo Storm Access」にてデータストームの中から入手した。
ボーマン戦(4回目)で入手したカード。
Unknownと名乗っていた時期に使っていたエースモンスターと思われるモンスター。
劇中ではハノイの騎士相手に使用。相手の攻撃力の上がっていた「ジャック・ワイバーン」を「禁じられた聖槍」で弱体化させ、「リミッター解除」によるブーストで勝負を決めた。
台詞集
1期
「よく来たな、お前には救世主になってもらう」(1話)
「財前。きっとあんたは良い人なんだろう。だがあんたは俺を知らない! あんたが知っているのは虚構の世界の俺だけだ!」
「財前、俺達は本当に救われたと思うか? …俺達は何も救われていない!!」(19話)
2期
「俺がこいつと共にいる理由は3つある。1つ、俺もこいつもやるべき事がある。2つ、そのために見つけ出さねばならない共通の敵がいる。3つ、だから俺達は自らの意思で共にいる。それを相棒と呼ぶのなら…好きに呼べばいい」(67話)
「だがお前達が人類の後継種だろうがそうでなかろうが、俺にはどうでもいいことだ。急激な変化は多くの人間を傷付ける。ロスト事件が多くの人間を傷付けたように…それは誰も望んでいない!」(68話)
「リボルバー、鴻上博士の想いに縛り付けられるな! お前の目で見、お前の想いで考えろ! 過去に囚われているだけでは、未来を描くことはできない!」(69話)
「おそらくAIと人間の戦いは繰り返されるだろう…だが少なくとも、巻き込まれるのはお前たちじゃない。俺はお前たちに生きてほしい。持っている命を大切にしてほしい」(83話)
「いいや違う! 絆なき意思の繋がりに、俺達を倒す事など出来ない!」(101話)
3期
「Aiは笑っていた…楽しげに、何かのゲームでもやるように人を傷付けた。だが俺は…Aiを信じたい…!」(105話)
「Ai…お前は、自分の死に様を俺に決めさせようというのか?」(118話)
「仲間を失うことは、心が壊れること。…ならお前は、俺の心を壊したいのか?」(119話)
「Ai、生きるという事に答えはない。誰もが苦しくなると、楽になるための答えを求める。簡潔で絶対的な答えを。だが、もし答えがあるとしたら…答えは無い、だ。絶対的なものなど、この世界にはない。そういうものがあったと思い込んでも、結局それは一時的な慰めに過ぎないんだ」(120話)
余談
- 遊作を演じる石毛翔弥氏は歴代主人公を演じた中では最年長である。苗字と名前から、情報公開直後は藤木茂等に絡めてネタにされることもあった。
- 「自身に関する記憶を失っている」「もう一人の自分と呼べる存在がいる」「闇属性の相棒がいる」など、過去の主人公と共通する部分がある。ちなみに『遊☆戯☆王デュエリスト&モンスターズ メモリアルディスク』では、先輩主人公に対し「十代さん」「遊星さん」と呼び、海馬に対しても「あなたは…!」と発していた。
- BSテレ東で放送されていた『デュエルアワー』において、遊星や遊馬とハイタッチする様子が描かれた。
- 『デュエルアワー』の番組コールの映像の中には遊星とPlaymakerの二人が横に並んで腕を軽く合わせる物があったが、二人の身長差はほぼ無く(Playmakerの方が僅かに低い)、仮にPlaymakerの身長と本体である遊作の身長が同じの場合、遊作の身長は約170cm前後と推測でき、歴代主人公の中では2番目に背が高いことが窺い知れる。
- 遊戯王シリーズでは『友情』となる名前の組み合わせが恒例だが、遊作とAiは名前を組み合わせることで友愛となる。OCGでもユウ-Ai-のカードが出ており、公式も意識している模様。(他にもYou&I、UIと掛けている可能性もある。)
- Aiとの決戦4話はOCGパック『サイバーストーム・アクセス』の発売記念に期間限定で公式配信された。
関連イラスト
- 藤木遊作
- Playmaker
関連タグ
遊戯王 遊戯王VRAINS Ai(遊戯王VRAINS) リボルバー(遊戯王VRAINS) ソウルバーナー