概要
アメリカ合衆国で一般的に使われる温度単位。記号°Fで表記される。世界的には、国際単位系(SI)に基づくケルビンから273.15を減じたセルシウス度(摂氏温度)が一般的に使われており、アメリカやジャマイカ以外ではあまり馴染みがない。日本の計量法ではカ氏度と表記する。
ドイツの物理学者ガブリエル・ファーレンハイトが1724年に提唱し、先行するレーマー度(塩水の凝固点を0°Rø、水の沸点を60°Røとする単位)における気温測定でマイナスが登場することへの不満から作られた。ファーレンハイトが測ることができた真冬の最も寒い気温を0°F(-17.8°Cに相当)とし、ファーレンハイトの体温(37.8°Cに相当)を100°Fとしたと言われている。
セルシウス度に慣れた我々から見ると、区切りが恣意的でわけがわからない単位に見えるが、この単位の支持者は人間の生活圏の気温が0°F〜100°Fの範囲におさまっているため直感的であると主張する(日常的に0°Fを下回る冬の北海道の道北や道東、あるいは100°Fを上回る夏の熊谷や多治見は人間の住む環境ではないということだろうか)。ちなみに37.8°Cというのは体温が高い西洋人とはいえど明らかに平熱とは思われない。この単位を決めた当時のファーレンハイトは微熱があったのだろう。
現代では同じくイギリスやアメリカ合衆国、パラオでしか使われないマイル/ヤード/フィート/インチ、ポンド/オンス、グレーン、ガロンなどとともに、広義のヤード・ポンド法に含まれる。アメリカやジャマイカでは気温や体温をはじめ、エアコンやオーブンの温度設定なども華氏温度で表示されるので、現地在住の日本人を始めとしたユーラシア太平洋諸国人、カナダ人、ラテンアメリカ人やアフリカ人は苦労することになる。