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ケルビン

けるびん

ケルビンとは、熱力学温度の量を表す単位。国際単位系の基本単位の1つ。
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概要

ケルビン (Kelvin) とは、熱力学温度の量を表す単位の1つ。国際単位系における7つのSI基本単位の1つでもある。ケルビンの記号はKであると定められている。かつてはケルビン度 (degree Kelvin・記号°K) と呼ばれていたが、1967年の第13回国際度量衡総会によって現在の名称へと変更された。

名称ケルビン (Kelvin)
記号K
単位系国際単位系
熱力学温度
現行定義 (概略)1.380649×10^-23Jの平均運動エネルギーを持つ粒子系
現行定義の発行日2019年5月20日
依存するSI基本単位smkg
依存されるSI基本単位無し
由来気体体積が0になる温度を0度とし、セルシウス度と同じ温度目盛りとした場合の温度

定義

現行の定義

ケルビンの定義は国際度量衡委員会によって定められている。4年に一度国際度量衡総会が行われ、必要があれば定義の見直しと改定が行われる。最新の定義は2018年11月16日に行われた第26回国際度量衡総会によって決議され、2019年5月20日より発行される以下の定義である。

  • ケルビン、記号Kは、熱力学温度のSI単位である。それはJ K^-1と等しく、kg m^2 s^-2 K^-1とも等しい表現で、キログラム、メートル、及び秒の定義はh、c、及びΔνCsとし、ボルツマン定数kを1.380649×10^-23と定める事によって決定される。

普段聞かないような用語の連続でかなり難しいが、各用語は以下のように対応している。
熱力学温度熱力学で定義される温度。深く掘り下げなければ普通に連想される温度と考えて差し支えない。
J K^-1と等しくエネルギーの単位であるジュールとケルビンの割り算。J/Kと等しい。
kg m^2 s^-2 K^-1とも等しい表現ジュールをSI基本単位で分解した物。kg×m^2/s^2/Kと等しい。
ボルツマン定数状態数とエントロピーを関係付ける物理定数
kケルビンの定義を他の単位の定義に使用する際に使う記号。ボルツマン定数の記号でもある。

つまり、厳密性を損なわずなるべく平易に言おうとすると、ケルビンの定義は以下のようになる。

  • ケルビンは世界共通に使われる熱力学での温度の単位である。記号はKとする。エネルギーの単位であるジュールをケルビンで割った単位J/Kをまず定義する。これはkg×m^2/s^2/Kと書いても同じである。キログラムの定義はプランク定数、メートルの定義は光速度、秒の定義は摂動の無い基底状態のセシウム133原子の超微細構造遷移周波数を用いる。詳しくはそれぞれの定義を参照せよ。J/Kの単位でボルツマン定数という物理定数の大きさをピッタリ1.380649×10^-23とし、粒子の平均運動エネルギーが1.380649×10^-23Jであるような状態を1Kとする。この定義を他で使う際の記号はkとする。

厳密性を省き、もっと簡単に言うとこのようになる。

  • 温度を測りたいものを構成する粒子の運動エネルギーが1.380649×10^-23Jならば温度を1Kとする。

かいつまんで言えば、温度とは物質を構成する原子分子のような粒子がどの程度激しく運動しているかで表される。激しく動いていれば温度は高いと表現され、あまり動いていなければ温度は低いと表現される。古典的には、温度が0Kである絶対零度では粒子の運動はゼロとなる。量子力学ではそうではないが、今回は割愛する。ボルツマン定数とは、粒子の運動の激しさが温度当たりどの程度の運動エネルギーを持つかを結びつける物理定数である。ややこしい事に、ケルビンは大文字のK、ボルツマン定数は小文字のkである。

特に高温であるプラズマ物理学の分野では、ケルビンとボルツマン定数を用いて、エネルギーの単位である電子ボルトに換算し、その値で温度を表現する事が古くから行われてきた。今回の定義はむしろその逆で、エネルギーとボルツマン定数からケルビンを定義する。難しく聞こえるかもしれないが、実は非常に単純な掛け算割り算で求まる単純な定義を定めているに過ぎない。

ケルビンの定義は、かつては他の基本単位に依存せず定義されたが、現行の定義はメートルキログラムに依存する。逆にケルビンに依存して定義される基本単位は無い。

前回の定義

前回の定義は、1954年の第10回国際度量衡総会によって決議された以下のようなものである。先述の通り、この時にはまだケルビン度で呼ばれていた時代であり、1967年の第13回国際度量衡総会に名称が変更された。また、2005年にはより厳密になるよう定義に補則が加えられた。

  • ケルビンとは、水の三重点の熱力学温度の273.16分の1である。
  • 補則: この定義は、以下の物質量の比によって厳密に定義された同位体組成を持つ水に関するものである。
  • 1molの水素1あたり0.00015576molの水素2
  • 1molの酸素16あたり0.0003799molの酸素17
  • 1molの酸素16あたり0.0020052molの酸素18

かつてのケルビンは、三重点によって定義されていた。三重点とは、物質の三態である固体液体気体の相全てが共存する温度と圧力の事であり、1つの物質に1つだけ決まる。この定義によって水の三重点は273.16K (0.01℃) と定義される。ただし、同じ元素でも原子質量が異なる同位体の比率が異なると、三重点は動いてしまう。従って補則では、ウィーン標準平均海水と呼ばれる、世界共通の水の標準を基にする様に定義が変更された。

歴史

温度にはセルシウス度やファーレンハイト度といった各々な単位が存在するが、熱力学を軸に絶対温度を定義したのはウィリアム・トムソンである。1848年に論文で、熱力学的に取り得る最低温度をゼロ度とする絶対温度計を定義した。目盛りの間隔はセルシウス度と同じとし、気体の膨張率が温度1度当たり0.00366な事から逆算し、-273℃を絶対零度と定めた。これは後にケルビン度と呼ばれる事になり、絶対零度が-273.15℃と定義される現在の水準とほぼ遜色ない。なお、ウィリアム・トムソンが男爵に叙せられ、ケルビン卿となったのは1892年の事である。

1954年の第10回国際度量衡総会で、ケルビン度は正式に国際単位系におけるSI基本単位となり、同時に定義が水の三重点を基準とする以下の定義となった。

  • ケルビン度とは、水の三重点が273.16°Kとなるような熱力学温度である。

ただし、これは単位というより尺度のような書き方である。そこで1967年の第13回国際度量衡総会では、定義を単位となるよう以下のように変更した。また、ケルビン度はケルビンと改名された。2005年にはウィーン標準平均海水を使用するよう定義が改まった、

  • ケルビンとは、水の三重点の熱力学温度の273.16分の1である。

しかしながら、これは何らかの物理的な存在を定義に使用している事、その計測精度が低い事が、高温物理学や低温物理学の発展により問題となった。現行の定義では20K (-253℃) 以下と1300K (1017℃) 以上を精度よく計測できないという問題があり、キログラムと共に主要な課題となっていた。2004年と2011年にケルビンをボルツマン定数で定義する提案が出されたが、結局採用されるのは、ボルツマン定数の測定精度が整う2018年の第26回国際度量衡総会を待たなければならなかった。

  • ケルビン、記号Kは、熱力学温度のSI単位である。それはJ K^-1と等しく、kg m^2 s^-2 K^-1とも等しい表現で、キログラム、メートル、及び秒の定義はh、c、及びΔνCsとし、ボルツマン定数kを1.380649×10^-23と定める事によって決定される。

ケルビンの大きさ

他のSI単位と同じく、ケルビンにもSI接頭辞を付けて大きさを表す事が出来る。ただし、1K以下の引く温度を表すのにSI接頭辞はしばしば使用されるが、高温に対してSI接頭辞はあまり使用されず、ほとんどの場合冪乗で表すか、先述の通り電子ボルト単位で表す。

接頭辞大きさ他単位での表現
1YK10^24K約86.2EeV3.8YK: 超高エネルギー宇宙線同士の衝突
1ZK10^21K約86.2PeV1ZK: 活動銀河核内の暗黒物質
1EK10^18K約86.2TeV2EK: LHCで重元素合成をした場合の温度
1PK10^15K約86.2GeV1.3PK: 陽子と反陽子の衝突
1TK10^12K約86.2MeV5.5TK: 人類が達成した最も高い温度
1GK10^9K約86.2keV10GK: 超新星爆発
1MK10^6K約86.2eV1MK: 太陽コロナ
1kK10^3K約86.2meV5.78kK: 太陽の表面温度
1hK10^2K約8.62meV2.7315hK: 0℃
1daK10^1K約862μeV4.4daK: 冥王星の平均表面温度
1dK10^-1K約8.62μeV9.5dK: 加圧ヘリウムの融点
1cK10^-2K約862neV6cK: 常磁性物質に断熱消磁で到達できる温度
1mK10^-3K約86.2neV2.5mK: ヘリウム3の超流動遷移温度
1μK10^-6K約86.2peV1μK: 断熱消磁やレーザー冷却で到達できる温度
1nK10^-9K約86.2feV4nK: はくちょう座X-1のホーキング放射温度
1pK10^-12K約86.2aeV50pK: 人類が達成した最も低い温度
1fK10^-15K約86.2zeV14fK: いて座A (銀河系の中心) のホーキング放射温度
1aK10^-18K約86.2yeV1aK: 発見されている最も重いブラックホールTON 618のホーキング放射温度
1zK10^-21K約0.09yeV
1yK10^-24K約0.00009yeV

関連タグ

国際単位系
メートル キログラム アンペア ケルビン モル カンデラ
熱力学温度 温度 セルシウス度 摂氏 ファーレンハイト度 華氏
物理 数学

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