概要
フォーミュラEとは、国際自動車連盟(FIA)が主催する自動車レース。都市部における大気汚染対策となる電気自動車の普及促進を狙い、レースを世界各地の大都市や有名リゾート地の市街地コースで行い、当初は一般的なサーキットでのレースを一切行わない(シーズン9以降は行っている。理由は後述)。また、市街地コースを使用するために、インドネシアやモロッコ等のF1が開催されない国でもレースが行われる。
FIA傘下の他のレースカテゴリーがエンジン付きの自動車を用いている中、唯一完全な電気自動車を使ったカテゴリーとなっているため、「電気自動車(EV)のF1」という俗称もある。
大会は「E-Prix」(Eプリ)と称される。これはF1が各大会を「グランプリ」と称するのにちなみ、電気を強調するためにEと付けたものである。
東京E-Prix
2024年3月30日、東京ビッグサイト東展示場周辺にて日本初開催。
コースの一部に公道を使用する事から警視庁が実施に難色を示していたが、調整の末に開催にこぎつけた。
コースは1周2.582km×33周(プラス、セーフティカー導入時間に応じて加算されるアディショナルラップ)。
会場には東京都知事・小池百合子氏と内閣総理大臣・岸田文雄氏も訪れた。
なお、大会開催に先立って2022年11月にフォーミュラEマシンのデモランが行われ、山本左近(当時はもうレーサーではなく衆院議員)がGen2マシンをドライブ。ドーナツターンを沢山披露したが最後にガードレールにぶつけてフロントウイングを壊した。
マシン
「フォーミュラ」とは「決まり」「規定」を意味し、モータースポーツでは「タイヤとコックピットがむき出しのマシン」を指す(→フォーミュラカー)。「オープンホイール」とも呼ばれる。
F1とは異なり、車体はFIAから指定された物を全てのチームで使用するワンメイクレースである。世界の多くの育成フォーミュラシリーズのマシンを製作するイタリアのダラーラ製である。
ガソリン車における燃料タンクにあたるバッテリーも全てのチームで共通化されている。パワートレイン(モーターやインバータ、ギアボックス等の総称)とリアサスペンション周りについては各チームの独自開発が認められている。
また、F1マシンに2018年から装着された頭部保護デバイス「HALO(ハロ、ヘイロー)」も同年のフォーミュラEマシンに装着されている。
2023年のシーズン9からは「Gen3」と呼ばれる新型マシンが投入された。
Gen3
前述の通り、シーズン9から投入された新型。上から見ると紙飛行機みたいなくさび形をしている。
Gen2までと異なり、フロントのタイヤカバーが無くなりフロントウイングの取り付け強度が高くない事などもあり接触にはあまり強くないため、強引なオーバーテイクを仕掛けることは難しくなった。しかしハンコックが供給するローグリップの全天候型グルーブドタイヤやローダウンフォースの特性も相まり、オーバーテイク回数は劇的に増加した。
コーナリングが速くなくともハイパワーなため速度域は高く、近年の安全意識の高まりもあり市街地の開催は難しくなっており、メキシコシティやアメリカ・ポートランド等常設サーキットを利用する事も多くなっている。
チーム
大半がEVを製造する自動車メーカー傘下のチームとなっており、中にはメルセデス(後にマクラーレンに売却)やポルシェ、ジャガー、マセラティといったF1参戦経験のあるメーカーのチームもある。
日本勢の活躍
フォーミュラEの最初の車体の開発ドライバーの1人として佐藤琢磨が起用され、後にスポット参戦した。この他にも山本左近や小林可夢偉といったF1経験者が参戦した。
2024年現在は日本人ドライバーはいないが、ルノーが運営していたチーム「e.dams」を日産自動車が買収し、2022/2023シーズンからフルコンストラクターおよびモーターサプライヤーとして参戦している。
また、ニック・キャシディやストフェル・バンドーン、かつてはアンドレ・ロッテラーやオリバー・ターベイ、ロイック・デュバル等、日本のスーパーGTやスーパーフォーミュラに参戦した外国人ドライバーが多数参加しているのも親近感が湧くポイント。
フォーミュラG
2024年以降に発足する事を目指している電気自動車のフォーミュラカーレースシリーズ。フォーミュラEや既存の内燃機関車両のシリーズのサポートレースとして開催されるという事以外で現時点で判明している情報は少ない。
関連イラスト
別名・表記ゆれ
例)フォーミュラE Formula E FiaFormulaE
関連タグ
モータースポーツ F1 フォーミュラカー ニスモ メルセデス・ベンツ 電気自動車