解説
天空の城ラピュタのヒロインであり、もう一人の主人公。12歳。
パズーと同じく孤児で家族は既におらず、北方にあるゴンドアの谷で、家族の残した畑やヤクを飼って、一人暮らしをしていた。
三つ編みにしたおさげが特徴的な一見普通の村娘だが、その出生に大きな秘密がある。
実は嘗て天空に浮かぶラピュタ王国を支配していた王族の末裔で、本名は「リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ」。
彼女の家系で代々受け継がれてきた名前である。
ラピュタ語でウルは“王”、トエルは“真の”を意味し、つまり彼女が正統な王位継承者である事を示している。
人物
性格は清楚な外見通りにおしとやかで、人が傷つくことを嫌う心優しい少女。パズーも初対面で「ひょっとして天使じゃないか」と思っていたことを打ち明けている。
一方、宮崎ヒロインらしくただ助けを待つだけのヒロインではなく、自分の目の前の状況を自力でなんとかしようという行動力とタフさも持ち合わせており、思い切った大胆な行動に出て周囲を驚かせることもある。
そのため、海賊の元締めたるドーラをして「あたしの若い頃にそっくりだよ」と言わしめている(それに対してルイは「え、ママみたいになるの?」とツッコんでいる。一応若い頃のドーラは外見もシータに似た美人だった)。
また、山育ちゆえに視力が良く頭の回転も速い。適応力も非常に高く、初めての事態や新しい環境に直面しても大抵のことにはすぐ慣れてみせた。
特にドーラ一家の飛行船に乗り込んだ際には、
などなどその高いスキルを如何なく発揮した。
略歴
ラピュタ到達を目論む軍の特務機関に捕らえられるが、ドーラ一家に襲撃され、その混乱に乗じて背後からムスカの頭を瓶で叩き、飛行船から脱走(というか落下)。
その際、鉱山で働く機械工見習いの少年・パズーに偶然助けられ、やがてラピュタを巡る冒険に巻き込まれていく。
ムスカ率いる軍隊によって再度捕らえられ、地下室にある壊れたロボット兵を見せられ、ラピュタが平和にとっていかに危険な存在であるかを説明される。その夜、シータがかつて祖母に教えられた呪文を呟いたことで飛行石が覚醒し、壊れたはずのロボット兵が起動してビームを放ったことで要塞が大炎上する。当初はロボット兵の行動の意図をいまいち理解していなかったが、すぐに自分を守るための行動だと悟る。その後、そのロボット兵はゴリアテの砲撃によって大破したが、シータはドーラ一家と一時的に手を組んだパズーによって軍の要塞から救出される。
その後はパズーと共にドーラ一家に合流してタイガーモス号に乗船し、自分たちもラピュタに到達するが、パズーを助けるために再びムスカに捕まってしまう。ラピュタの中枢部に連行された後、後を追ったパズーと辛くも合流し、共に滅びの呪文を唱える。ラピュタは崩壊し、ムスカの暴走を食い止めることに成功した。
無事だったドーラ一家と合流した後、譲ってもらったグライダーにパズーとともに乗って去って行った。小説版の後日談では元通りの日常を過ごしており、パズーとの交流も続いている。
余談
彼女の名前は、監督の宮崎駿氏が学生時代に書いた人形劇のヒロイン・「シータ」が由来。ギリシャ文字の「θ」(シータ)からきている。
また、作品でも言及されていた「ラーマーヤナ」でも、「シーター」というキャラクターが登場し、シーターもシータのモデルとされる。
シータとパズーの劇的な出会いはボーイミーツガールの典型例ともされるが、飛行船の移動速度を考えれば、シータの落下が前後に数秒ずれていただけでもパズーと出会えなかったことになり、またパズーの父がラピュタの近代初の目撃者であった点も含め、この二人の邂逅はまさに運命的なものだったといえる。
尚、劇中では物語の進行に伴い服装がコロコロ変わっている。
①物語開始時点では青のワンピース
↓
②パズーと共にドーラ率いる海賊の追跡から逃れるためにパズーの服を借りて男装する(逃げる最中に転んで帽子が取れてすぐバレてしまったが)
↓
③国軍に捕まって要塞に連行された際、白いワンピースに着替える(ムスカは他にも流行りの服を提供しようとしたがどうやらお気に召さなかった模様)
↓
④パズーに救出されてドーラ一家と合流した際、ドーラに「この恰好じゃ何もできやしない、これを着な!」と言われ、黄色いシャツと赤いブルマを提供される。以降最後までこの服装。
終盤でムスカに銃で狙撃されたことにより特徴的な三つ編みを落とされショートカットになってしまい、全てが終わった後ドーラ一家と合流した際、ドーラに「かわいそうに、髪の毛を切られるのが一番辛いさ」と同情された(ただし、本人はそこまで気にしている様子はなかった)。尚、後日談ではこちらも元通りになっている。