概要
CV:大友龍三郎
グリニデとは、『冒険王ビィト』前半にて登場した強力な魔人(ヴァンデル)。
その中でも最強クラスに位置する七ツ星の魔人であり、「深緑の智将」の二つ名で呼ばれている。
その名の通り深緑の体色を持ち、粗暴で品性に欠ける者が多い魔人という種族の中では珍しく、紳士的でインテリジェンスを感じさせる異名通りの”智将”。
原作2巻より登場し、冷静で奸智に長けた序盤の強敵としてビィト戦士団を苦しめた。
繁殖力に優れた「樹の章」に分類される植物系・昆虫系の魔物を大量に駆使して”黒の地平”と呼ばれる地域にじわじわと着実に領土を広げている。
その巧妙かつ情け容赦のない攻撃によって、黒の地平の人口は当初の10分の1にまで激減し、作中でその功績を評価され六ツ星から七ツ星に昇格した。
狩りと称して罠を仕掛けてバスターを倒すという、魔人なりの実益も兼ねた趣味を持っている。
そして将来有望なバスターを見つけたら、たとえルーキーでも油断せず早々に芽を摘み取っておくという実に合理的な主義も持つ。
品性のある行動を尊ぶため、粗暴で短絡的な者が多い魔人という種族全体の気風に苛立つ様子も見せ、戦闘が出来れば何でも良いスタンスで魔人のトップに立つベルトーゼは特に忌み嫌っている。
この様なスタンスからか、有能・有益とあらば、本来競争相手でしかない同じ魔人を三人、蔑み敵対する人間すらをも一人配下に従えるという、より魔人としては珍しい組織網を有していた。
彼らは「忠誠の腕輪」と言うグリニデの冥力で作動する毒針付きの腕輪を付けられているが、その内過半数は自らの意思で彼の元についていた事からもその器量とカリスマ性が窺える。
こうした色々と個性的なキャラクター造形から、読者人気も高いお方。
部下達
グリニデ配下の五ツ星魔人。蛾のような姿が特徴的な冥撃使いであり、グリニデの信頼も厚い忠臣である。
配下になったのはグリニデから勧誘されたのが切掛であったが、会談の末に起こった事からグリニデの力量に感服して従うようになった。
故に強い者に従う事を正しいことだと信じて疑わない人物である。
フラウスキー
”鮮烈の紅弾”の異名を持つ五ツ星魔人。凶悪な殺し屋として名を知られており、グリニデからも切り札として重宝されている。
植物のような姿をしており、体全身に銃火器を満載した強敵である。・・・が、一方でカワイイ生き物をこよなく愛するおかしな性分の魔人でもある。
ベンチュラ
偵察を仕事にしている三ツ星魔人。虚仮威しと大言で自分を言い飾る典型的な小物であり、グリニデからも「明日の小遣いしか頭にないタイプ」と言われる始末の情けない魔人。
グリニデの部下になったのも、彼に捕まって無理矢理従わされたからに過ぎない。
とはいえ目端は利き、利益さえ与えておけば仕事はするため便利な雑用として見切られてはいない
グリニデの知恵袋をつとめる人間の少年。グリニデが押さえている古代遺跡の解析や諜報活動を担当している。
ビィトの親友であったが、彼と別れた後に組んだチームの人間から捨て駒にされたことで人間不信に陥り、当て所なく彷徨っていたところをグリニデに捕らえられて部下にされた。
ダンゴール
グリニデの副官を務めるダンゴムシのようなモンスター。グリニデの身の回りの世話から仕事のサポートまで幅広くこなす執事のようなポジションである。プロテク虫(ちゅう)と呼ばれる種族に分類され、体を丸めるとどんな攻撃にも耐えることが出来る能力を持っている。ダンゴールは魔賓館により人語の読解力が付与された特殊個体である。
小柄で可愛らしい容姿をしており、健気で素朴な性格をしている。
ウゴ
ダンゴール以前にグリニデの副官を務めていたハサミムシのようなモンスター。サムニョールと呼ばれる種族に分類されている。
関連タグ
ウッドワス、ガンガディア…後述のネタバレが共通。前者の方が似ているが、後者は作者が同じ。
ロズゴート「・・・おまえの記事だけで説明されてもなぁ・・・」
「・・・お・・・・ま・・・・・え?」
「『おまえ』だとおオオオオオオォォオオッ!!!?」
人物
では本題へ……。
と言っても上に挙げたことは全て事実である。
「冷静」と言うことを除いて。
そう、このグリニデはとにかくキレやすいのだ。プライドが高いとかそんなこと以上に、当人も自分の感情を制御できないほどに。
なんとかキレないようにいたいものの、それを押さえ込むことは難しく、怒りのままに暴れた後、そんな自分にまた苛立ちを覚える。
怒りの度合いに応じて額の角が伸び、伸び切ると激昂して手の付けられないほどに暴れ回る。
この時は腹心のダンゴールが、その耐久力でサンドバッグ代わりにグリニデの八つ当たりを受けることでその怒りを鎮めている。そのため、グリニデはダンゴールに対し非常に感謝している。
ちょっとからかった魔人を掴み、自前の凄まじい怪力をもって仕返ししていたりもする(これでも当人的にはほとんどキレていない)。
かつてロズゴートを配下に誘いに来た際には、終始紳士的な態度を崩さずに良好な空気だったっぽいのだが、 ちょっと「お前」と言われただけで激昂し、
- ロズゴートの左目をグーパンで潰し、一発KO
- さらに暴れまくって城を瓦礫の山に変える
- 一緒に居たウゴまでも握りつぶして殺害
と、凄まじい暴れっぷりを見せた。
ちなみに彼の腹心モンスターはダンゴールで4体目であり、それ以前の腹心達は全て激昂したグリニデの癇癪で殺されている。(恐らくこのことの反省から防御力の高いプロテク虫を4体目の腹心に選んだのだと思われる)
そんな彼の本来の二つ名は「血塗られた獣」と言い、上の数々の暴れっぷりを考えるとピッタリなネーミングで、獰猛な戦闘本能と底なしの怒りによって暴れ狂う”最も魔人らしい魔人”なのである。
そんなグリニデ本人は「すぐ激昂しそうになるのが私の悪い癖」と言って自分の短気、粗暴さを忌み嫌っており、前述の「深緑の智将」も基本的に周りの人間や魔人が名付ける二つ名を自分で考え、広めたもの。
己が本性を忌み嫌ったグリニデ自身が努力によって己を律した姿である。
一方、短気さと相反する形で器量の広さも確かに持ち合わせており、人間を侮蔑しているにも拘わらず、激怒した状態でさえキッスのことは高く評価し続けている発言も見受けられた(故にビィトに対して余計に怒る要因になったわけだが)。
奥底に潜む残虐性などを加味してもなお、それを押さえつけて理想の自分にならんとしている努力の人でもあり、通常の魔人とは一線を画す礼節や知性を備えた人物と言えよう。
劇中での動向
ビィト達に配下である三魔人を倒され、キッスが反旗を翻したことでかつてないほどに激昂。
ビィト達がグリニデ城に攻め込んだ時には既にグリニデ自身の手によって城も部下の魔物達もメチャクチャに破壊されていた。城にエネルギーを供給する中枢部まで。
しかしここまで暴れても一切破壊されていない場所がひとつだけ。
彼自身が「世紀の大偉業」と称する部屋……それは魔物の製造部屋であった。
現在、魔物の製造は魔賓館独占の技術。
グリニデは黒の地平にある遺跡から古代の魔人の技術を積極的に発掘し、キッスの知識も借りて九分九厘までこの技術を再現させていたのだ。
これが完成した場合、確かに他の七ッ星を上回る脅威になることは想像に難くない。
許せぬ裏切り者でながら天才的な頭脳を持つキッスを惜しんだグリニデは、彼を城のトラップでその部屋まで連行し、怒りのあまりとても魅力的なスマイルを浮かべながら、言い分を聞いてもまだ再び自分の部下に戻るよう脅は…説得する。
だがキッスが更に拒否したため、ブチ切れそうになった…所にビィトが乗り込み、そこで「お前」呼ばわりされたことで遂に怒りが頂点に。
そして…。
「……ちっぽけなゴミクズのくせにッ!! よくもッ……よくもオレを……このッ……!!」
「この……バケモノの姿に戻してくれやがったなァァァァァッ!!!!」
深緑の外皮をぶち破り、中からカブトムシを思わせる甲殻に覆われた、今までの面影など全く無い攻撃的な姿が現れた。
実は普段の深緑の外皮は、凶暴な本性を抑えるために精神安定作用のある薬草「トラキラ」の成分を溶かした液に日々浸かり続けることで得たもの。
つまり、今まで腹心達を殺めたり、他人や自分の城を破壊しつくした時でさえも、まだ精神が安定していた方だったのである。
だが、ひとたび怒りが頂点に達すると体の筋肉が異常膨張し、外皮が割れ真っ赤な本体があらわになるのだ。
実際にこの姿のグリニデの暴走は今までの比ではなく、あれほど大切にしていた世紀の大偉業の部屋をも自ら破壊してしまうほど。
こうなってはダンゴールを使ったストレス解消も確実に保たない。しかし、ダンゴールに対しては今までの感謝の念からどうにか理性が保てたのか、己が全力をぶつけずに見せつける事で無事に逃がせた。
肉体の頑丈さは魔人の中で最強クラスであり、冥力の全てを肉体強化に活かしたことで得た超怪力で所構わず暴れ回るため”災厄”としか言いようのない被害を周りに撒き散らすことになる。
上位天撃をまともに受けても意に介さず、生半可な攻撃では傷もつけられない。炎の天撃ならまだ幾分かダメージは通るものの、それさえ決定打には至らない。
単純だがそれ故に厄介極まりない能力であり、ベルトーゼですらまともに戦えば圧倒されてしまうその超暴力は、力量で劣っていたビィト達を半死半生にさせた。
…しかし、怒りの赴くままに暴れまわるしか能の無い野獣であった自分を厳しく律し、深緑の智将と自称しうるまで知略と度量を磨き続けたグリニデの苦労を思うと、いささか胸が痛む姿でもあった。
実際、怒りにまかせて長年の努力の結晶を破壊してしまった際のやるせなさは言語に絶するものがあり、悔し涙と無限に吹き出る怒りで暴れ狂う彼の背中は、凄絶でありながらどこかもの悲しいものであった。
そのインパクトのある容姿と、どこか哀愁の漂うキャラクターから、グリニデは読者にとって忘れがたい人物の一人になったと言えるだろう。
「……そうだ……それでいい。とっとと逃げろダンゴール。この姿になってしまったからには…………オレは……また一人だ……」
本人も「魔人の典型」と自嘲した凶暴な本性を持つ一方で、その凄まじい暴虐さを自ら律していた強靭な理性と優れた知性を有していたのは紛れもない事実であり、
- 古代の魔人の古文書をキッスに解読させ、魔賓館に頼らないモンスター製造技術の復活を目指す
- その古代技術の確保の為に黒の地平の広大な土地を自らの支配地とする
- 有能であれば人間でも同族である魔人とほぼ同じ待遇で迎え入れる
- 実験と勢力拡大を兼ねて、戦闘力は低いが繁殖力の高い樹の章の魔物を制覇する
- 基本的に魔札は札束のまま出す魔人の中では珍しく小出しで魔物を買い、自前で増やすことで研究費用などの必要経費を確保する
- 真の姿でもビィト達の連携を読んだり、あえて攻撃を受け続け消耗を狙う戦法を取る
という他の魔人ではまず見られない行動を見せており、魔人博士ノアなど他に研究面で優れた魔人は存在しているが、ここまで戦略的に動いたのはグリニデただ一人である。
そのせいか、魔賓館館長であるシャギーからはその知略家としての面をもどかしく思われていたようで、作中では配下の魔人が全滅したことをグリニデに告げる等、ビィトをぶつける事でわざとグリニデを怒らせようとしていた為、グリニデが激怒し本性を露わにした際は非常に喜んでいた。
最後
その圧倒的な力の差にビィトは唯一ダメージを与えられるボルティックアックスで対抗するも、まだ上手く使えず消耗が激しい上に、それすら決定打にはなり得なかった。
その為、一か八か魔人の冥力を制御する器官である「角」を折ることを提案。
そしてキッス、ポアラ、ビィトそれぞれが持てる力を全て出しきり、見事にアックスの全力を角に乗せて切断することに成功。
錯乱しながら尚も暴走を続けるも、ビィト渾身のパンチによって遂に頭の右半分が暴発する致命傷を負う。
だが"燃え尽きた"為か、そこで何と智将としての人格を取り戻し、自らの死と負けを認める。
そして自身を打倒したビィト達に己の内に秘めたコンプレックスを吐露し、勝利したことを素直に賞賛した。
しかしグリニデほどの強大な冥力の持ち主の角を折ることは、その死と共に有り余る冥力が暴走して大爆発を招く事を意味しており、最後の最後でついでと言わんばかりにそのことを告げて意趣返しを果たし、戦慄するビィト戦士団の姿に激励とも嘲笑とも取れる言葉を残して事きれた。
直後駆けつけたミルファが、自身の才牙「ライボルトグラスパー」の一撃で爆発寸前のグリニデを上空高く打ち上げ、間一髪で事なきを得た。
同時にグリニデを倒したことによってビィトの名は広く知れ渡り、後の八輝星争奪戦の引き金となっていくのだった。
アニオリではそっくりさんの人間であるグリファスが登場。
グリニデ語録
「Be Cool・・・Be Cool・・・」
「・・・『節度』!私の非常に好きな言葉だ。知的な者とそうでない者を分ける境界線と言ってもいい・・・」
「さぁ話し合おう・・・君にも言い分はあるだろうし・・・ね!」
「お前の耳には穴が開いてないのか!!?それとも粘土でもつめてやがんのか!!?ひきちぎったら少しは聞こえるようになるのか!!? ああっ!!?」
「・・・お・・・ま・・・え?『おまえ』だとオオオオオオォォオオッ!!!?」
「オレが一番嫌いなのはなッ・・・!!おまえみたいな・・・アッタマ悪いヤツだぁあーーーーーーーっ!!!!」
「・・・ではGOOD LUCK!!」
余談
魔神博士ノアは知的な魔人ということもあって仲良くなろうとした時期もあったらしいがノアの親友がベルトーゼだったため止めたとか。
最初の強敵ともいえるグリニデだが後にビィトたちが戦うことになる七つ星魔人に遜色ないポテンシャルを誇るためいまだに評価が高い。ダイの大冒険の大魔王バーン程ではないが、神に嫌われていると思われる位、実力差が開きすぎて皮肉にもビィトに攻撃が当たらないという「奇跡の連続」により破れた為、主人公補正や神の奇跡が無い状態でまともに戦うと勝つのは難しいとされている相手である。