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A350の編集履歴2024/09/22 09:13:27 版
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A350

えあばすえーさんびゃくごじゅう

A350とは、エアバス・インダストリーが開発した大型ワイドボディ旅客機である。

概要

エアバスA350 XWB(Airbus A350 XWB)は、欧州の航空機メーカー・エアバス社がエアバスA300エアバスA330ceoエアバスA340の後継機として2010年代に新発売した最新鋭の双発ワイドボディ機。

2015年1月15日カタール航空が世界初の営業運行を開始した。

当初はA330の形をベースとした機体を「A350」として発表していたのだが、機体設計などが不評で対抗となるボーイング787に受注数で水を開けられ開発を一度断念し、一から設計をやり直した。

その後、2006年7月のファーンボロー航空ショーで完全新設計のエアバスA350 XWB(eXtra Wide Body)を発表したところ多くの航空会社から発注を獲得し、エアバス社の新たなベストセラー機となった。

なお一度開発が立ち消えとなった初期構想型はエアバスA330neo(Airbus A330 neo)として2014年によみがえり、こちらも(A350ほどではないが)一定の受注を獲得できている。

A350 XWBの発表時点ではA350-800、A350-900、A350-1000の3種類があったのだが、-800型だけは受注が低迷したことに加え、後発のA330neoと機体規模での被りが多くなってしまったため開発が御破算となった。残った-900型と-1000型の2機種のラインナップで構成されている。

対抗機種は米国ボーイング社のボーイング787及びボーイング777シリーズ(X型も含む)。

後述するとおり本邦の日本航空は777シリーズの後継として本機種を採用し、以降JALがエアバス社に接近するきっかけを作ることとなった。

エンジンは英国ロールス・ロイス社製の「ロールス・ロイス トレント XWB」しか選択できない(米国のゼネラル・エレクトリック社ともエンジンの交渉をしていたが最終的には破談になってしまった)ため、純ヨーロッパ製の機体となった。

機体

カーボンファイバーを全面的に採用し、機内環境の改善(与圧・加湿面で)や軽量化、高々度の巡航を可能とした。

航続力も長く、双発機最長の航続力を持つA350-900ULR型(世界ではシンガポール航空一社のみ運用しており、全機プレエコ+ビジネスのみの仕様である)はシンガポールからニューアークまでひとっ飛びすることが出来るほどである。また豪州のカンタス航空はA350-1000ULR型を2026年頃に導入予定で、「Project Sunrise(日の出計画)」と銘打ったシドニーロンドン直行路線の開設を目指している(なおこの計画ではカンタスがエアバスA350-1000とボーイング777-9のどちらを選ぶかが注目されていたが、エアバス社が勝利した)。つまりほぼ地球の真裏であっても直行便で結ぶことが出来るということであり、これまでの飛行機では考えられなかったような飛行性能を備えているのである。

ビジネスジェット仕様に至っては航続距離が2万キロメートルを超える模様。

機体断面は従来のエアバス機の円形からダブルバブル構造(円を2つ重ねた形状)に変更し、座席数の増加や大型コンテナ対応化を可能とした。

エンジンはR.R トレント1000シリーズを基にしたトレントXWBのみを採用している。当初はゼネラル・エレクトリック GEnxも採用候補に挙がっていたが、ライバル機であるB777の現行モデル(777-300ERと777F)及び改良型(777X)のエンジンがGE製のものに限定されており、B787を運航している航空会社の半数以上がGEnxを選択している関係で交渉が決裂したため、当面はトレントXWBのみになっている。

ウィングレットは曲線的な形状を描く独特なもの。

コクピット窓は曲線的な形状で黒縁という、これまた独特なものとなっている。(A350以降、エアバス社の新型機のコクピット窓はこのような黒縁があしらわれることが多くなった。)

しかし一方、以下のようにB787の先進的すぎる技術の大量導入で問題点となりかねない点については採用を控えたり、従来技術・機能をあえて採用しているといった相違点も見られる。

  • B787のバッテリートラブルの元となったリチウムイオン電池は採用していない。
  • B787は機体構造が筒状単位となっているが、A350では従来通りパネル単位となっているため、部品交換が容易となっている(その代わり重量がややかさばる)。
  • B787ではニューマチック・システム(圧縮空気系統)を廃止しているが、A350では従来通りニューマチック・システムを搭載している。
  • B787では胴体がほぼCFRPだが、A350ではバードストライク等で強い衝撃が加わることを踏まえて機首部分は金属製になっている。
  • B787では電子的に窓の暗さを変えることでシェードの代わりとしていたが、A350では遮光性能や整備性を考慮して従来の物理的なシェードを搭載している。

この他にも、標準型の900型は主脚のタイヤの数が4本だが、胴体を延長した1000型は6本に増えていることが特徴である。(ウィングレットの形状も微妙に異なる)最大離陸重量の増加に備えた形だが、同じシリーズの機体の中でも、タイプごとに主脚の数が異なるのは極めて珍しい。(ライセンスは共通である)

日本におけるA350

2013年10月に日本航空(JAL)が国内キャリアで初めてA350型機を発注。2019年9月には同社の国内線でA350-900型機の運航が開始、2024年1月には国際線でもA350-1000型機が運航開始された。

かつては米国ボーイング社の牙城であった日本市場で、しかもかつては世界最多機数のB747を運用するなど完全に蜜月関係にあった日本航空から、エアバス社が本機種の大量発注を勝ち取ったことは各所から衝撃を持って受け止められ、エアバス社側も歴史的勝利だとして諸手を挙げて歓迎した。

日本航空は旧・日本エアシステム(JAS)から引き継いだエアバスA300を保有していた時期はあったものの、日本航空側から直接エアバス社へ発注を行ったのはこれが初のことであり、歴史的な転換点になったと言える。

導入後はボーイング787などと並行して運用を行っており、2013年以降もボーイング社への発注も定期的に行っているため、JALはまだ完全にボーイング社を見放した訳ではない。とはいえ、ボーイング社が日本航空で築いていた強力な牙城を壊した機種として、エアバスA350は名を残すことになった。

A350の対抗としてボーイングはボーイング777Xを開発していたのだが、上述の通りJALはA350を選択し、2024年になっても結局777Xを発注することはなかった。今後はA350でフラッグシップ機材を統一すると見られており、ボーイングはエアバスに痛い敗北を喫してしまったのである(ただしライバル社の全日本空輸(ANA)からは777Xの発注を獲得し、その後もANAがA350を発注することはなかったためボーイングの勝利となった)。

立ち位置としては国内線・国際線において広く運航されているボーイング777シリーズのリプレース機種であり、2024年現在も777-300ERの置き換えをA350-1000で進めている。

また、900型の1・2・3号機(JA01XJ・赤文字、JA02XJ・銀文字、JA03XJ・緑文字でそれぞれ「AIRBUS A350」)と1000型の1・2号機(JA01WJ、JA02WJ・どちらも赤文字で「A350-1000」)の胴体後部には大きく機種名を示すロゴが入り、ウィングレットも他機種とは違って全機赤のグラテーションで塗装されている(737・767ではこのような赤塗りはなかった。ただし導入予定のA321neoではこの塗装がされているためJAL側がエアバス機限定の塗装としている可能性がある)。キャビンに至っては国内線ではJAL史上初めて最初から全席個人用モニターを装備する(元々JASから引き継いだ777には同様のものがあったのだが、JAL統合後に座席更新されてなくなっている。A350の少しあとに導入した国内線用787-8でも同じようなモニターがあった。)等、フラッグシップ機材としてのJALの気合の入りようが伝わる扱いを受けている。JALは過去にも新フラッグシップ機材導入の際にシンボルマークの導入、塗装変更、愛称の付与等を行ってきたので、その流れを受け継いでいるといえよう。

なお、2024年1月2日に東京国際空港のC滑走路上で発生した羽田空港地上衝突事故では日本航空の国内線用A350-900型機(JA13XJ)が巻き込まれてしまい、A350では世界初の全損事故となっている。

日本航空のA350が運航されている路線

2024年9月現在。

A350-900型機

A350-1000型機

関連タグ

飛行機 航空機 旅客機

エアバス

A330A340 - これらの後継機として開発された。

A380 - こちらで確立された新技術も盛り込まれている。

B777B787 - 事実上の直接の競合機。

JAL

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