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概要
『NEXON』を退社したメンバーが設立した『Dynamis One』・『スタジオアラヤ』による新作ゲーム企画『プロジェクトKV』(以下、KV)へ関する炎上騒動である。
2024年8月に発表されたこのプロジェクトは、NEXON開発のソーシャルゲーム『ブルーアーカイブ』(以下、ブルアカ)のシナリオディレクターを務めていたisakusanが、NEXONを離れて初めて手掛けるゲーム企画として主に日韓のブルアカユーザーたちより大きく注目されていた。
しかし、いざ9月1日に公開された概要やティザーPVを見てみると
- 学園もので、「学寮都市」という世界観(ブルアカは「学園都市」)
- プレイヤーは生徒を導く存在で、「わが師」と呼ばれる(ブルアカの先生と役割が同じ)
- 登場人物の頭の上にはブルアカのヘイローのような光輪がある(ブルアカのものよりシンプルなデザイン)
- 宗教要素がある(ブルアカはキリスト教、KVは仏教)
- 赤色・秋のイメージ(ブルアカは青色・夏のイメージがある)
- 武器として刀を使う(ブルアカの生徒が有する武器は銃)
と、明らかにブルアカとの類似性や対比が感じられる内容となっており、そこでまず多くのユーザーが困惑することとなる。
その後、ブルアカで活躍していたメインイラストレーター(Mx2JやDoReMiなど)や音楽コンポーザー(ミツキヨ)がKVに参加していること、さらにブルアカ公式4コマ漫画を描いている純粋な不純物がKV漫画を描き、KV公式Xで公開されたことに伴い、ユーザーの間でKVがブルアカのスピンオフや外伝作品であると解釈する者が増えていった。
しかしそんな中、ブルアカ総括Pであるキム・ヨンハが、「ブルアカとプロジェクトKVは無関係である」という意見をXでリポストする。これにより、KVがブルアカと似ているだけの別作品であることが明らかになってしまった。
これを受け、ブルアカでやりたいことをやり切ったisakusanらによる全く新しいゲームを期待していた一部ユーザーの間で、「結局ブルアカの焼き直しか」と失望と怒りの声が上がった。
また、KV公式サイトに関係者による同人サークル『黒ネズミたちのパトス的弁証法』活動予定が記載されていたが、2日後に公式アカウントが「誤解を招く職権濫用であった」と謝意とともに削除宣言。本社メインのプロジェクトとは無関係であると表明した。
(コミックマーケットは、法人・営利目的団体の参加を企業ブース以外認めていないため)
このサークルの宣伝はティザーPVにも入っていたため、Dynamis Oneはその部分をカットして再度PVを上げ直したのだが、これも一部ユーザーから「荒れていたコメント欄の浄化のためだ」と批判されていた。
NEXON / Dynamis One内部事情
この項目に書かれている情報は一応信憑性・確実性が高いとされているものですが、正確な情報でなかったり、裏取りがされておらずデマである可能性があります。
上記のことを念頭に置いて読んで下さい。
また、これらの情報を他者に伝える際も「裏取りが取れていない情報として」伝えて下さい。
NEXON社員による暴露
企業の従業員だけがその企業コミュニティへ入れ、匿名で意見交換可能なアプリ『Blind』でNEXONブルアカチームの人事異動が発表された直後、NEXON退社組の行動を告発する投稿があり、それが韓国のブルアカコミュニティへ流出した(参考)。
その内容はと言うと
- Dynamis Oneを立ち上げたパク・ビョンリム(元ブルアカ日本版プロデューサー、統括ディレクター)がNEXONが退社する際にブルアカチームから20人程の人員を引き抜いていった。しかも、引き抜かれたのはその多くが各分野の責任者クラスの人間
- さらにビョンリムを始めとした退社組は給与面での不満を煽り、引抜き工作を行っていた。しかし、退社組は給与受領額が多い方であり、インセンティブもきちんと受け取っていた
- 退社組は本来禁止されているリモートワークを特例として許可されており、その裏でプロジェクトKVの仕事を進めていた。中には体調不良を理由に長期休暇を取った後、復職後わずか2週間で退職したものもいたという
- 退社組は普段からプログラマーチームを小馬鹿にしており、そのせいでプログラマーは誰1人として引き抜き工作に応じなかった
これらの情報が出るとさらに韓国ユーザーの世論は加熱。取り付く島は完全になくなった。
プロジェクトRXとの関係と社員の心境
韓国ゲームメディアであるThis is gameは同年9月3日にプロジェクトKVとNexon Games社員の心境についての記事を出した。
Nexon GamesはMXスタジオ(プロジェクトMX=ブルアカ)後継作を制作すべくプロジェクトRX(以下、RX)という名前の研究開発を開始。しかし、様々な問題が発生したため開発は約2年間停滞。
そこから何とか立て直し、RXスタジオの求人を開始し本格始動しようとしていた所、KVが発表され事態は一変。KVはブルアカと酷似する点が多く、NEXON社員の間でも「まさか作っていたゲームがこんなものとは思わなかった」との声が相次ぎ、波紋が広がっていった模様。
KVが話題となる中RXは出し抜かれた形となってしまい、どのような形であるにせよNexon Gamesにとっては由々しき事態であったようである。
Dynamis OneとNexon Gamesの双方は公式な対応を取っていないため、今後の対応が焦点であると報じた。
なお、その記事にはKVに関するいくつかの噂は事実無根であるとも書かれている。
Dynamis Oneサイド
この状況の中、遂にDynamis Oneサイドからの暴露者も出た。Dynamis Oneの暴露者は2名。最初の暴露者は離脱組の給与状況を知らずにDynamis Oneについていった者である。
以下が最初の暴露者のリークである。
- 自分はもう退職したいが、時既に遅しで自身のキャリアはここで終わりと諦めている
- 表面上ではそこまで深刻ではないが、社内は暗い空気となっている
- 社長・ビョンリムは席を空けている時間の方が長い
- Mx2Jは、チーパオマリナのイラストに手を抜いたことはないと悔しがっている(※)
- DoReMiは傍から見るには何も考えてなさそうにしている
- isakusanは苦虫を噛み潰したような感じ。即興幻想も顔が深刻で、何か知っていそうではある
- 「病気そうなあの人」(恐らくジウォン)も合流している
- X管理者は別におり、XでのセンシティブなイラストのRPはアカウントをミスしたのではなく恐らく意図的なもの
- 日本語がまともに出来るスタッフはいない
- PVのイラスト等はNEXON(MX)在職中に作ったものだと思われる
- まだNEXONを9月に退職してDynamis Oneへ合流する予定のエフェクトスタッフが1人いる
- KVは韓国コミュを覗いている
- 二次創作でふたなり要素がくっ付いてしまっていることも認知している(※)
- 暴露者には投資状況は分からない
- プログラマーは1人いるが、そのプログラマーもHPは作れず、KV公式HPは外注で作ったもの
- KVは2023年11月頃から本格的に始めていた
※詳細は余談項目
従業員のNEXON退職理由
2人目の暴露者は30秒後に投稿を消すと前置きした上で、従業員が退職した理由は3つあると語った。その内容は
- NEXONとの契約、グローバル事業への不満
- パブリッシャー(Yostar)ストーリー進行、翻訳、キャラクター解釈への干渉へ対する不満
- 給料への不満(NEXONは多額の給料を3年間しか支払わない)
であり、特に3はこれ以上ブルアカを成長させても高い賃金が見込めないと判断したのであるという。
そして上記へ加えて、以下のことも語っている。
- MXスタジオの売上のみで運営されている新作スタジオの多さ(それによりMXスタジオ社員への給料がさらに減る)
- このような不満を上層部は訴えても変えるには会社自体を変えなければならないので無理であると言われる
- ネクソンを退職した者たちはDynamis oneへ「書きたい文章、作りたいものを全て可能とします。報酬もNexon Gamesより多く提供します」と誘惑されて入社した
- 退社した人のほとんどはビョンリム、isakusanの正確な給料を知らず、後から正式な文書で正確な金額を知った
- NEXONの賃金を決定する構造は会社の方針でインセンティブが減ったのか、チーム長の裁量で配分され減ったのかわからない構造となっていた(部長>チーム長>パート場の順番)
- 6~7月からはNEXONの社員へ離職勧奨を行ったが、社員の多くはブルアカが好きな人が多く、離職に失敗するケースが多かった
- 日本語の担当者を置かなかった理由は皆通訳が必要ない程には日本語を話せたため、自信からそうしたが、ビジネス面ではそう上手くはいかなかった
- RXスタジオに転職させてくれず不満を持ったのはデマである。KVの意味は「kivotos」。Yostarからの干渉がない、本来製作陣が作るはずであった「本物のキヴォトス」を作ろうとしていた
さらにはこの暴露とは別件でNEXON退社組がブルアカのアプデスケジュール等の内部情報を持ち出したという疑惑も浮上した。
開発中止
同年9月8日、Dynamis One公式Xで突如プロジェクトKVを中止するという発表がされた。
上述の経緯から、「中止するのは当然だろう」「何がしたかったんだ」「自爆」などという意見も出たが、あまりに急過ぎる発表に「段階を飛ばし過ぎなんじゃないか」という声もあった。
開発中止の具体的な理由は公表されておらず、その点も「誠意がない」「責任逃れである」と批判されていた。また、「関連資料を削除する」と宣言していることから、批判のために中止したというより、法的な問題が原因ではないかという推測もあるが、真相は不明である。
また、「普通に楽しみにしてたから残念」という声も、忘れてはいけないものである。
中にはisakusanを始めとしたDynamis Oneへ引き抜かれたクリエイターたちの今後のキャリアを心配する声や、作品と運命を共にするキャラクターと彼女たちを生み出したデザイナーへ同情する声も見られた。
何にせよ、プロジェクトKVは発表より2週間弱で企画中止という、とんでもない短命コンテンツとなってしまった。
ユーザー反応
この項は、問題に対しての不特定多数のユーザー反応傾向を説明しているため、主観的な文脈や表現が含まれる場合があります。
中止発表前
韓国では、NEXON退社者に対して「金のためにブルアカを捨てた裏切り者」との非難が集まり、大炎上といえる状況に発展した。
これには、韓国は儒教の影響で不義理や裏切りに対して非常に厳しく、それに対する反発が過激になりやすいという背景がある。
一方、日本では、Dynamis Oneに対して「不義理だ」と批判する声も多くあったが、全体としては中立的な立場で静観する傾向が強く、韓国ほどの炎上には至らなかった。
この違いは、日本のユーザーがKV関連の情報を第三者を介した翻訳でしか得られず、状況を十分に把握できなかったためだと考えられる。
さらに、日本にはメーカー独立問題に対して耐性がある者が多い点や、海外メーカーの問題に対して自分たちが騒ぐ意味が薄いと感じた点も、炎上を抑制する要因となったかもしれない。
しかし、時間の経過とともに日本にも状況が伝わり、KVに対する反発が徐々に強まっていったため、単純に日韓のサブカルや文化の違いだけで判断はできない。
また、韓国での炎上が進む中、公式アカウントが日本語のみで情報を発信し続けたため、一部の韓国ユーザーには日本市場にしか関心がないように映り、結果的に怒りを増幅させてしまった。
シナリオディレクターや複数のイラストレーターの退社により、作品の質の低下や一部キャラ・新衣装の実装が中止される懸念が広がり、KVもろとも共倒れになるのではないかと心配する声も上がった。
しかし、NEXON退社組が抜けた後に制作されたとされるイベント『Sheside outside』・『月華夢騒』が好評だったため、こうした不安は杞憂に終わるという見方も出ている。』
中止発表後
本プロジェクトの中止が発表され、まず驚きと困惑の声が広がった。
KVを追っていたユーザーからすればまさに青天の霹靂、KVから距離を取っていたユーザーからすれば「ブルアカに似たゲームが出て来たと思ったら何か急に消えた」くらいの印象であろう。
そうした声が落ち着き、KVリリース実現の可能性が消えたことが受け止められて以降はネットの関心は大きく分けて
- (本記事を含めた)騒動自体に対する議論
- Dynamis One社や参加したクリエイターの将来
- NEXONやブルアカの現状や将来
の3種にシフトしていった。
今回の騒動により、ブルアカ界隈に不信感や不安を抱いてしまったという声も一部で見られているが、Dynamis Oneが新たな動きを見せるか、ブルアカでメンバー離脱による問題が起こらなければ、この話題もやがて収まることであろう。
余談
- ブルアカとKV双方へ関わっていたスタッフに対して「Dynamis Oneへ引き抜かれた」としている者が多いが、両作に関わるスタッフ全員に当てはまるとはいえない。実際、KV開発に関与したスタッフの中には、今後も引き続きブルアカの仕事に携わってゆくという声明を出した者もいる。isakusanの様に退社を報告した例もあるが、少なくともKVに関与したことがブルアカから完全に離れる理由にはならないことは事実であろう。
- そもそも「引き抜かれた」とされるスタッフについて、本当にNEXONへ所属していたかも不明である点に留意すべきである。NEXONやDynamis One、または本人からの正式な発表以外の情報は、現時点で鵜呑みにするべきではない。
- この騒動の中で、KV応援イラストやファンアートを描いたイラストレーター・漫画家に対して「同人イナゴ」と非難する声が上がり、中でもこれまでブルアカのイラストを描いていた者たちは「裏切り者」として批判された。中には、ファンアートのリプライ欄で直接攻撃する者もいた。
- しかし、応援イラストを描いた絵師たちは単にDynamis One側からの依頼を受けただけであるため、裏切り者と決め付けるのは誤りである。
- ファンアートを描いた絵師たちに対しても、個人的にブロックしたり、鍵アカウントのような見られない場で批判したりするのは自由であるが、直接攻撃することは確実に不適切であるため、そのような行為は控えるべきであろう。
- そもそも「同人イナゴ」とは、利益目的で興味がない人気ジャンルへ飛び付く同人作家を指す言葉であり、閲覧者が嫌いな作品のファンアートを描いた人を非難するためのものではない。作品に問題があっても、キャラが好きで描くことは普通にあり得ることであり、それを非難するのは不当である。
- しかし、応援イラストを描いた絵師たちは単にDynamis One側からの依頼を受けただけであるため、裏切り者と決め付けるのは誤りである。
- 削除前のティザーPVへついたコメントの中には「責任を負う大人について考えたことがありますか?」「私はあなたのような大人が嫌いです」といったブルアカキャラのセリフの引用したものがいくつか見られた。
- ティザーPV公開から数日後、韓国ユーザー間でKVについて「刀じゃなくて ふたなりチン○チャンバラした方が人気となるんじゃないか」という意見が出た。
- これは韓国語で唐辛子(男性のアレの隠語)を「ゴチュ(KOCHU)」、勃起は「バルギ(VALGI)」と発音するところから由来したものだと考えられている。
- またこの発想は、小説『アンシーズ ~刀侠戦姫血風録~』に登場する「男性キャラが自身の男性部位を刀に変えて女体化しながら戦い、刀が壊されると一生女性として過ごさなければならない」という設定が元ネタと思われる。
- その意見はなぜか日韓両国で好評を得てしまい、その結果KVの二次創作イラストがソレに関連するもので溢れる事態となった(中にはブルアカファンとKVファンの対立を煽る様な表現をしているものも見られた)。
- また、この意見は「こんな状況ならニッチ方面に舵を切った方がまだマシになるんじゃないか」という皮肉交じりの冗談であるのであるが、一部ではキャラ設定が未公開のキャラにこうした二次設定を押し付け、ミームによって作品やキャライメージを損なわせようとする動きがあった。
- これは韓国語で唐辛子(男性のアレの隠語)を「ゴチュ(KOCHU)」、勃起は「バルギ(VALGI)」と発音するところから由来したものだと考えられている。
- KV開発にデザイン面で携わっていたMx2Jであるが、一部ユーザー間で、直近のブルアカイラストでは手を抜いていたのではないかと疑われてしまっていた(特に池倉マリナは通常版と衣装違いとで絵柄が大きく乖離していると指摘されていた)。
- これに関しては、前述のDynamis Oneの暴露者の話が本当であるのならばそんなことはないようである。
- そもそもイラストを仕事としているプロが手を抜くことはあり得ない話であるし、多少の絵柄の変化はどのイラストレーターにも起こり得ることである。明らかな劣化や既存イラストからのコピペでもない限り、批判するのはイラストレーターへの侮辱に等しいことである。
- またブルアカ制作陣が作品へ合わせて絵柄を変えるよう要請した可能性もあり、真相は不明であるが、我々としては現在のブルアカに合わせて描いたと考えるのが最も(精神的にも)良いであろう。
- 上述したThis is game記事の中でキム・ヨンハは個人垢だけでブルアカエロ画像をリポストしていることを暴露されている。
- しかしこれは本来暴露というより、キム・ヨンハが公私を区別していることを示す発言である。また、ブルアカ界隈では彼が同人誌即売会でブルアカの同人誌を購入していることは以前から知られていたため、今回の発言については「何を今更」という反応や「寧ろヨンハの好感度が上がった」という意見が多い。
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