解説
自らの売上のために興味のない人気ジャンルの作品を回り、作品を制作する同人作家の呼称である。
大移動するイナゴのように例えた言葉。
男性向けでも女性向けでも発生するが、ジャンル移動が頻繁な前者では多く生じ(後述の被害に遭った作品も男性向けばかり)、一方で「ジャンルの切れ目が縁の切れ目」と言われる女性向けでそれをやると非難されやすい。
作品をないがしろに扱う態度が嫌われる
下記の通り、流行りに飛びつくこと自体は一定の正当性を有し、趣味や作品が多様化しており作品の賞味期限も短くなっている昨今、色んな作品の同人誌を出すこと自体はむしろ自然なことであり、それ自体が非難されることではない。流行りだから飛びついたら、面白かったので好きになった、ということだって当然ありそのような区別は難しい。
なので下記の例に挙げるように、イナゴが嫌悪されるのは、目先の利益だけに執着して作品をないがしろに扱う態度が目に見えている場合である。もしくは二次創作ガイドラインに違反している場合である。
- 作品に対する理解が足りていないために、キャラクターの言動が原作と著しく矛盾している(原作未読やエアプは当たり前)。
- 作品への愛情や公式側に対する敬意に欠けている場合。
- よく売れるからと作品のイメージを損なうR-18系ばかりに手を染める。(ガイドライン違反)
- 発売・放映前の作品の同人誌やグッズを販売する(つまりはどういう作品か分からないので作品を愛している訳では無く流行りにのっているだけ。最悪の場合はリーク。)。またそれを差し止められるとその作品の不買運動を煽る等公式に迷惑をかけたりする。
特に上記画像を始めとしたブルーアーカイブでは近年特に多く見られる。(ヘイロー忘れと呼ばれる作画ミスが存在しているためエアプではないかと疑われている例。)
二次創作ガイドライン前後での問題の違い
2010年代にはTPPの影響もあって、二次創作ガイドラインの整備が進み、二次創作を公認する流れが出てきている。
二次創作ガイドラインが出る前は、特にガイドラインもないグレー性が高かっため、同人イナゴという批難には一定の正当性が見られた。一方でガイドラインが作られ公認されるようになってからは、公認されているものを批難するという正当性の薄い物も見られる。(もっとも設定を読み込んでいない等の批難が妥当なこともある)
このように、二次創作ガイドラインの出現前後で批難として使う正当性が大きく異なっていることに注意が必要である。
評価する側にも問題がある
流行りにすぐに飛びつく作家は批難されてしまうのだが、ではオリジナルやマイナー作品などの方が評価されるかというとそんなことはない。また古参だから評価されるかというとそんなこともない。
評価する側も当然ミーハーで、流行り物というだけで大きく評価してしまうのが実情である。
そして描く側がイナゴのように批難されるが見る側だって当然イナゴのように大移動しているのである。
流行りに飛びつくのを全て作家のせいにするのも問題があり、それはそれで嫌われるので注意。
嫌儲主義
他人のもので儲けることを嫌う嫌儲という考え方が存在しており、そのような考え方から同人誌即売会や同人作家、二次創作そのものを嫌う人が存在する。
ただ、同人誌即売会は8割が赤字と言われており、あまり正当性は無い。
エアプ決めつけ等の正当性の無い批難についてはこの嫌儲主義が極端化したもので、逆に嫌われるので注意。
同人イナゴの被害に遭った作品
タイトル | キャラクター等 | 備考 |
---|---|---|
ウマ娘プリティーダービー | ウマ娘全般 | 公式より暴力的・グロテスクなもの、及び性的描写性的表現を含む描写の二次創作が明確に禁止されており、それにもかかわらずそのような作品を投稿するユーザーもいる。最悪の場合、アプリ配信停止となり自身でコンテンツを終わらせる事態となりかねないが、イナゴユーザーの場合は元から興味のないジャンルな為ノーダメージという胸糞の悪い事となる |
SSSS.GRIDMAN | 宝多六花、新条アカネ | メロンブックスで同人作品の取扱い停止なった。後、公式から抱き枕が販売されるがその際に彼らは一部「公式が稼ぎを独占するな」と文句を飛ばしている者も存在している。 |
SPY×FAMILY | ヨル・フォージャー | 2022年4月、アニメ化に伴いそのような傾向のイラストが多く投稿された。 |
その着せ替え人形は恋をする | 喜多川海夢 | 2022年1月、アニメ化に伴いそのような傾向のイラストが多く投稿された。 |
ゾンビのあふれた世界で俺だけが襲われない | 武村雄介、藤野深月 | 漫画版のある一コマがネットミームとなり、大量にコラ画像やパロディイラストが作られた。しかし、原作未履修者によるネタ成分のみを使用した作品が大半を占め、原作成分重視の作品も少ない。更にpixiv上ではヒロインの藤野深月の本名タグより、そのコマの台詞から取って付けた愛称の「抱かせろちゃん」のタグの方が多く登録されている。だがミーム化の影響で少なからず原作の知名度が上がっている |
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか | ヘスティア | |
NEWHORIZON(2016) | エレン・ベーカー | |
ライザのアトリエ | ライザリン・シュタウト | ゲーム発売前にR-18同人誌を販売しようとした作家が現れるが、公式に規制され販売中止となった。また、アトリエシリーズ未履修作家を見分ける方法として、「錬金術士」の「士」の部分が「師」になっているかいないかで見分ける事ができる方法が話題となった。ちなみにpixiv百科事典にはライザのスタイル評価タグとして「お前のような錬金術師がいるか」という間違えた表記のタグが登録されている。 |
ブルーアーカイブ | キャラ全般 | 2022年から流行りだした作品であり、現在進行形で同人イナゴの餌食となっている作品。運営母体が良くも悪くも二次創作の活発性を重視してるため、類を見ないレベルで民度の悪化に拍車が掛かっているのが問題であり、【令和の艦これ】とまで呼ばれている。また、人気の海外絵師が飛鳥馬トキ(バニーガール)のリークを元にイラストを描くという暴挙も発生している。また、ヘイロー忘れという、設定をきっちり知らないとやらかすミスが存在する。 |
アイドルマスターシンデレラガールズ | キャラ全般 | 流行は落ち着いたが、アニメ放映当時は同人イナゴの餌食となっており、現在も悪質なまとめブログが運営されている。 |
プリンセスコネクト | キャラ全般 | 一時期は流行しイナゴが群がっていたが今は落ち着いた |
グランブルーファンタジー | キャラ全般 | 同上 |
東方Project | キャラ全般 | 太古の同人イナゴの溜まり場。古くから活動しているイナゴは必ずと言っていいほど東方に触れている |
艦これ | キャラ全般 | 同上 |
関連タグ
同人ゴロ:同人ゴロという言葉の中に同人イナゴの意味を含む場合がある。同一ではないので注意。
大庭詠美:売れなかった反動で、売れるジャンルにばかり手を出すようになってしまった(メイン画像のキャラ)。
ヘイロー忘れ:連続でやると同人ゴロ扱いされやすい作画ミス