概要
『近畿霊務局 - Kinki Spiritual Affairs Bureau』とは、2024年10月4日にSteamで発売された霧笛ノト氏による和風ホラーTPSである。「幽霊に思いっきりやり返せるホラーゲーム」をテーマに、セーラー服姿の主人公を操り襲い掛かる幽霊たちを物理的に除霊していく。
ホラーのお約束やネットミームなどを踏まえたギャグアクションゲームではあるが、ストーリーが進むごとに明らかになっていく世界観、大量の犠牲者が出るシリアス展開、シュールギャグと小粋なセリフ回しを挟みつつ国家ぐるみの陰謀に立ち向かっていくハードボイルドな主人公など、タイトルから想像もつかない方向に話が進んでいく。
ストーリー
除霊が行政によって行われる平行世界の日本。
霊務省 近畿霊務局に属する公認除霊師「白石瑞希」は、突如としてインターネットから存在が消えた自治体、奈良県賽河村を調査しに訪れた。村内に住民は一人もおらず、自然発生にしては数が多すぎる違法幽霊と遭遇する。電力・電話・インターネットはいずれも遮断されており、何者かが巨大な結界で賽河村を封鎖しているのを見抜いた白石は、除霊課長の小日向と後輩の丸岡から無線で助言を受けつつ、悪霊の巣窟と化した賽河村の謎を追う。
登場人物
- 白石 瑞希(しらいし みずき)
「霊務省 近畿霊務局 霊事部 除霊一課 一級除霊師」
女子高生の(コスプレをした)主人公。20代後半の女性で、fanboxで公開されていたプロフィールでは26歳だが、本編ストーリーでは27歳になっている。
心霊現象を行政として扱う霊務省の職員で、廃校や空き家を不法占拠する幽霊を強制的に除霊するのが主な業務。幽霊に効果のある対霊銃の扱いに長け、場合によっては徒手格闘で幽霊を蹴散らす戦闘力の持ち主。過酷な経験をしてきたせいか、どこか脱力的でやさぐれており、幽霊にも一切動じないどころか、逆に幽霊が怖気づいている状態ですら容赦がない。ついでに同僚でも敵対したら平気で撃つ。
女子高生のふりをしているのは幽霊をおびき寄せるための擬態だが、同僚からも異常な行為として受け取られている。本人談でセーラー服自体は学生時に着ていた当時品とのことで、その頃から背が伸びなかったのでそのまま着用できた。あくまで擬態なので必要ならプレートキャリアやヘルメットを着用。本気モードでは髪をベリーショートにし、ボディーアーマーなどに身を包んだ装甲兵と化す。
(画像左側)
作中のセリフによれば「台湾以降シャバに馴染めなかった元自の2水機1中隊」とのことで、元は陸上自衛隊の第2水陸機動連隊の所属で台湾有事らしき紛争を経験している(正規リリース版ではミャンマーのPKOに変更された)ことが示唆されている。
- 小日向 智樹(こひなた ともき)
「霊務省 近畿霊務局 霊事部 除霊一課長」
白石の直属の上司で、現地上空に飛ばした無人飛行機(ISRドローン)で白石を監視しつつ、作戦室より無線で指令を出す。埼玉出身。
白石とは互いに皮肉を言い合うほど気心の知れた間柄。除霊案件の処理に手段を選ばない白石の事後処理に毎回追われており、禁煙中でも投げる用の灰皿を用意するほど。
- 丸岡 詩織(まるおか しおり)
「近畿霊務局 鑑識課」
白石の大学時代からの後輩で、小日向の部下として作戦室から白石をサポートする。
心霊現象を科学的に解析する心霊科学のエキスパート。眼鏡と役職の書かれたパーカーを着用している。
- 紫藤 暁彦(しどう あつひこ)
「霊務省 除霊総括審議官」
白石や小日向の上司にあたり、裏で賽河神社の秘匿技術を応用した「フナト計画」を進めている。
孫がおり、霊務省本庁舎の執務室にも一緒に写った写真を飾っている。また甥が霊務局に所属している。
- 賽川 絢音(さいかわ あやね)
賽河村の賽河神社を代々守る賽川家の跡継ぎ娘。
神務庁所属の主任巫女でもあり、下級巫女「神社警務隊」を従える。上京して大学に通うことを希望しており、白石とは違って本物のJK(16~18歳)と思われる。都会にあこがれる一方、丸岡でも容易に解除できないプロテクトを組んだり、ミサイルやドローンなどの高度電子機器を完全無力化する電子対抗結界を構築するなど研究熱心。密輸阻止した装甲車を戦力として秘匿する等したたかな面もある。
- 賽河神社警務隊
賽河神社の巫女さん。現地採用のJCで、賽河神社の場合は賽河村の過疎化により、全員が隣の下滝町の出身であり、全員関西弁で話す。また、休暇の日は奈良市のラウ〇ンに出かけているらしい。時給は1300円、食事付き住み込み可。車輛運転もできるが、飲酒や喫煙など素行の悪いところもある。窃盗や売春に比べればましとの判断で、家庭に問題のある少女のセーフティネットでもある。
白石が交流するのは菊川、大崎、板倉、橋爪、柴山、西岡の6人。過去回想では栗原、七瀬、伊藤(班長)、川嶋(班長)、長岡、筒井、葛西、鈴木、菅原、飯島、池上が登場。墓地での初交戦時には坂井、木塚、前川の3人が登場している。
用語
- 対霊火器:外傷性ショックにより違法幽霊を強制成仏させる対霊弾の装填された銃火器。現政権では国民の霊障からの自衛のために銃刀法を改正、対霊火器の販売・使用の許可を検討している。対霊弾は幽霊“にも”有効なだけで殺傷能力は普通にある。また、霊の未練が強い場合は強制成仏させても数日程度で復活してしまう。
- 霊務省:作中日本における行政除霊組織。本庁は東京都千代田区におかれ、職員は国家Ⅰ種エリート官僚。東京の墓地不足からサーバールームはチタン製墓石を用いた納骨堂となっている。
- 近畿霊務局:霊務省下で近畿地方の除霊を実行する現場担当(総務省に対して、窓口となる郵便局のようなもの)。また除霊困難な霊の収容も行ている。対霊火器をはじめ、大型ヘリやドローン、対地ミサイルなど装備・資金面では優遇されているが、本質的に人手不足にあり、年間除霊件数には限界がある。
- 除霊師:霊務局において違法幽霊除去の行政代執行を行う警察における刑事の役割。
- 警備部戦闘部隊:除霊師の除霊業務を数の力で援護する警察における機動隊の役割を担う。戦闘服にはデジタル迷彩が施されている。
- 神務庁:霊務省とは別の除霊組織。この世界では古くから神社や寺が独自に地域の除霊を行っており、神務庁は神社を管轄下においている。宗教組織から除霊行為を取り上げようとする霊務省とは対立関係にあるが、最近は人手不足もあり、ある程度協力関係にある。白石をはじめとした戦闘のプロを擁する霊務省に比べて、素人集団だが兵員輸送車や攻撃ヘリ、対空ミサイル「スティンガー」など武装面では見劣りしない。また、自衛隊と誤認を避けるためか、ビークル類は赤で全塗装されている。
- 警務隊:神務庁所属の神社で除霊を行う武装した下級巫女。同一の恰好(下記)と集団生活と除霊戦闘に耐えられる女の子なら採用される。賽河神社の場合は、全員オカッパに同じ顔や巫女衣装・装備をしているが、化粧などで意図的に合わせたものであり、悪霊に個人特定されるの避けるための対策。作中では東京都の神務庁直属の巫女も登場しており、そちらは黒髪のロングで統一。展開していた陸上自衛隊を制圧する戦闘力を持っている。
- 防衛省:霊障の実戦運用のモデルケースとして、賽河村での事変に干渉。警察の対処能力では手に余る事態に陸上自衛隊を派遣している。
- 内閣情報庁:情報隠蔽と事態終息の一部としてSATを派遣する。
- 賽河村:作中舞台となる奈良県某所(吉野郡近辺)の高齢化率45パーセント以上の限界集落で、現人口は213人。ふるさと納税の返礼品「濃縮還元口噛み酒」が白石が村のSNSをフォローしていた要因。
- 賽河神社:賽河村の神社。代々保有してきた村を守るための霊石鏡による結界技術が今回の事件の発端となっている。当代の神主(絢音の実父)は婿入りした東京の神務官僚。
- フナト計画:霊務省の進める違法幽霊対処の持続可能な解決策。賽河村でのテストが成功すれば、山梨県駒石村(人口357人)、秋田県荒瀬村(人口518人)鳥取県金ヶ谷村(人口193人)で実施。最終的に全国10ヶ所程度に拡大する予定。
違法幽霊
いわゆる悪霊であり本作の敵性存在。ボス格の特殊個体や様々なバリエーションが登場する。
基本的に孤独死や自殺などで現世に未練をもって死亡し、法定成仏を拒んだ霊魂が性別・年齢に関係なく髪の長い女性型の初期アバターの姿の悪霊となる。幽霊なのだが、日常的な会話やブラックな業務に愚痴るなど生前の習性を残した個体もいる。作中日本ではおおよそ年間1万体が発生、これに対して行政機関での処置件数は年2千から3千体にとどまる。また対霊銃による成仏は完全では無く、怨念の強さによっては数日で復活してしまう。
- 長い髪の女:一般的な髪の長い女性型の雑魚幽霊で、とにかく数が多い。
- 自爆霊:地縛霊の誤字ではなく、文字通り体にC4爆弾をくくり付けており、至近距離で爆発すると一発アウト。
- エンハンスド:太陽の莫大なエネルギーを吸収し、助走つけて殴りかかってくるレベルにパワーアップした幽霊。本来幽霊の活動できない日中に生前より元気に暴れ回り、対霊火器も効果が薄い。
- 幽撃連隊:知能・身体能力に優れた個体に訓練を施し、武器を装備させた幽霊。戦力的には一般的な兵士に劣らないらしい。最低でも500体は養成されている。
- 歩兵:知能が高いのが災いして成仏を恐れるので、射線から遮蔽したり、人間を見て驚く、お互い死人だというのに負傷した味方に蘇生措置を行う、倒れている悪霊を見て「幽霊が死んでいるぞ」と警戒、敵を発見できずにしばらく経つと警戒を解除したりと、本作の悪霊たちの中でも極めてツッコミどころが多い。哨戒、狙撃のほか、軽トラに機銃を乗せたテクニカルの運転も可能。
- 装甲兵:全身アーマーを装備し、軽機関銃を乱射する。
- サタコ:貞子みたいな幽霊。某ホラー映画よろしくテレビの井戸から這いずり出てくる… と思いきやダッシュで殴り掛かる。出現時の大きさはテレビの画面に比例するようで、巨大スクリーンからはメガサタコが登場する。元々は伊豆や四国で活動していたが、ホラー系YouTuberの立てる騒音に耐えきれず賽河村に引っ越した。知り合いの霊にはカヨコがいる。
- トイレの花子さん:全国の各地の噂の数だけ存在する普遍的な幽霊。平成13年に廃校となった村立賽河中学校跡地を拠点にその3分の2が集まっており、最初に遭遇するのは宇都宮第2小学校の花子さん。女子トイレの3番目の個室をノックすると出てくる・・・、訳ではなく2番目の個室扉を蹴破って登場する。曰く、最近の子はテンプレートでは驚かないらしい。
- スケバン幽霊:廃校内でオリジナル花子とつるんでいる幽霊。釘バットを振り回すほか、銃火器も使用する。学生生活に未練を持つ魂がなりやすい、元々無かった青春を取り戻そうと躍起になるオッサン達など。
関連動画
関連項目
CoD…作者がかなり影響を受けていると思われる作品で、パロディと思われるシーンが登場する。コレっぽい武装も出て来る。