概要
穀物やイモなどを口で噛んで吐き出し、唾液の作用で発酵させて作る酒のこと。
環太平洋地域に分布し、中東やヨーロッパ圏では見られない。
口で噛むという作業は、唾液アミラーゼを用いてデンプンを糖に変換することで、酵母によるアルコール発酵を可能とするためのものである。
(要はビールでいう麦芽の役目を唾液にさせている。)
麹菌が発見される前の古代における日本酒の作り方であり、今でも神事などで行われている(ちなみに当時は嫁入り前の娘に作らせていたらしい)。
中国の清王朝を建国した満州族の先祖にあたる靺鞨(まつかつ)も口噛み酒の文化を持っていた。
アンデス地方(インカ帝国)には「チチャ」というトウモロコシの口噛み酒があり、国中から集められた十歳前後の少女たちによって作られていた。(現在のチチャは口噛みではなく、麦芽から作られている)
また、太平洋の島々やニュージーランドでは「カバ」(カバカバ、アウァ、ヤンゴーナとも)という飲み物が酒と同じく神事に使われる。カバはコショウの仲間の根を砕いた汁を水やココナッツミルクに溶かすことで作られるが、フィジーのロツマ島では処女が口で噛み砕いて作っていたという。
なお、無免許での製造は酒税法違反になる。試しに作ったりしないように。
関連タグ
口噛み酒が出てくる作品
注:視聴や閲覧等に年齢制限がある作品は除く。
もやしもん
作品の性質上、科学的にアルコールに変化する過程がわかりやすく描かれている。ただし、作中でコレを作ったのは男であり、しかも相方が勝手にとんでもないヤツの卵鞘を加えたりしている(本当にある製造方法で本人に悪気は無い)。
君の名は。
れっきとした神聖な儀式として行われており、本作のキーアイテム。
旬な作品故かこのタグが付いたイラストが最も多く、実質的にこの作品専用のタグのようになっている。
(リンク先ネタバレ注意)
嵐の伝説
作中の崩壊後の世界では酒造設備も破壊されているため、古代の製法である口噛み酒が復活を果たす。本作品はギャグ漫画のため非常に残念な扱いで描かれており、崩壊前の過去(現代)に戻った青柳佐助が現代の酒を飲んで「………ハハ 申しわけないけど未来の酒より全然うまい というか未来の酒キモイかも」とコメントしている。
天穂のサクナヒメ
加工品の一つとして登場。米類1つで作成できる。
食事に使うと技の威力が上がるが、基本攻撃の攻撃力が下がる。
説明文でもタマ爺から「今更このようなものをお口になさることもありますまい…」と辛辣なコメントをされている。
外部資料
世界の酒の大系 口噛み酒(月桂冠)
口噛み酒(PBO:NPO法人 プロフェッショナル・バーテンダーズ機構)
Kava (Wikipedia(英語版))
Kava culture(Wikipedia(英語版))