熱燗とは、酒の飲み方の一つである。
概説
燗酒(かんざけ)の一種。
日本酒を温めて飲む方法で、温度を高めに設定したものを指す。
燗にもいくつか段階があり、熱燗は上から二番目に位置する。
名称 | 温度 |
---|---|
飛び切り燗 | 55℃以上(持つと徳利が熱い) |
熱燗 | 50℃前後(徳利から湯気が上がり、持ち続けていると熱く感じる) |
上燗 | 45℃前後(酒を注ぐと湯気が上がる) |
ぬる燗 | 40℃(触ると温かい程度) |
人肌燗 | 35℃(ぼんやりと温かみを感じる程度) |
日向燗 | 30℃以上(特に熱くは感じない) |
江戸時代初期までは直火で徳利や銚子を熱していたが、徐々に錫製の銚釐(チロリ)と呼ばれる小さなバケツ状の燗専用の容器が使用されるようになる。
近畿ではそのまま銚釐が定着したが、関東では急須型の「燗徳利(かんとっくり)」が登場し、熱燗をそのまま注げるという利点から定着していった。
日本酒の定番の飲み方ではあるが、熱することで酒の成分が味わいとして顕在化するため、市販の安価な酒などは特に雑味が出やすくなる。
また吟醸酒など、繊細な味わいを持つ酒を燗にするとせっかくの風味が飛んでしまうとして、また酒の匂いも強くなるため、燗酒を忌避する人も少なくはない。
そうした事情もあってか、昨今ではラベルに「適温」や「飲み方の相性」が表記されるようになり、その酒が冷酒と燗酒のどちらと相性が良いか、また温度はどの程度が最適かを見てわかるようにしている。
熱燗の作り方
- 徳利に酒を注ぐ。
- 鍋に徳利の肩まで浸かる程度水を沸かし、沸騰させるかその手前までで火を止める。
- 徳利を湯につけて湯煎する。
- お好みのタイミングで引き上げる。
昨今では徳利の口にラップをして電子レンジで温めるという方法もある。
世界の熱燗
醸造酒を燗酒にする文化は珍しいものの、日本以外にも東アジア圏を中心に燗酒の文化はある。
またヨーロッパでも、ドイツのグリューワインや、ベルギーのリーフマンス・グリュークリーク(燗酒専用のビール)など、一部の地域では燗酒の文化がある。