概要
てんとう虫コミックス22巻及び、藤子・F・不二雄大全集11巻に収録「タイムマシンがなくなった!!」に登場。
ボタンを押すと、竜や河童、天狗などの伝説のモンスターを出現させることができる。
ストーリー
のび太は「モンスターボール」を使用してドラゴンを出現させてママを驚かしイタズラを仕掛けた。気絶から目を覚まし怒ったママはのび太の部屋に向かうも、のび太は「タイムマシン」出入り口(机の引き出しの中)に隠れてやり過ごした。
その後、ドラえもんが帰宅し、のび太のいたずらを叱りつつ引き出しの中を確認すると、タイムマシンが無くなってしまっていた。ドラえもんは「のび太君がブレーキをかけ忘れたせいで、マシンがどこかの時代へ流されてしまった」と考え、急いで「タイムベルト」と「タイムセンサー」を取り出し、のび太を連れてタイムマシンを探しに向かう。
タイムセンサーを使用してタイムマシンの行方を探っていると、弥生時代に流されたことが発覚する。時空間から抜け出したドラえもん達は「タケコプター」で飛行しながらマシンを探すことにする。しかし途中で電池切れを起こしてしまい、日も暮れてきた為、ドラえもん達は仕方なくその場で野宿する。その際に悍ましい声が聞こえた為、ドラえもんはひみつ道具で迎え撃とうとするが、結局何も現れず夜が明ける。
ドラえもん達は徹夜明けでフラフラになりながらもマシンを探す。すると村を発見し、「ほんやくコンニャク」を使用してマシンのことを尋ねる。村人曰く「半年前にヤマタノオロチが現れ、生贄として村の娘を差し出さなければならないことになってしまった」とのことで、ドラえもんとのび太は村の娘を助けようと考え、ヤマタノオロチを退治することにした。
その夜、ドラえもん達はオロチが現れるであろう場所で待ち構えていた。するとのび太が「頭が8つなら、または7つだからナナマタノオロチじゃないの?」という疑問を抱く。ドラえもんは「昔からそう決まってるんだよ。そんなこと考えてる場合か!」と言っていると、ヤマタノオロチが出現する。
ドラえもん達は様々なひみつ道具を使用してオロチを攻撃するが、全く効果が無い。大慌てで逃げ出すドラえもん達だったが、オロチの傍にタイムマシンとモンスターボールが存在していることに気がつく。
ドラえもんがモンスターボールのスイッチを切ると、途端にオロチはボールに吸い込まれてしまった。ドラえもんは「タイムマシンとモンスターボールが半年前に流れ着いており、オロチはボールが生み出した幻影だからひみつ道具の攻撃が通用しなかった」と察する。
その後、オロチ事件を解決したドラえもんとのび太は、無事に発見したタイムマシンで帰路につく。しかしのび太は相変わらず「どうしてヤマタノオロチなの?」と言い続けた為、ドラえもんは「しつこいな!」と言いながら、再び頭を悩ませるのだった。
アニメにおける原作との主な相違点
大山版と水田版で各2回ずつ放送されており、放送日は前者が1981年2月9・10日及び1987年1月30日、後者が2005年4月15日及び2013年12月6日である。
1981年版
- ママの悲鳴を聞いてドラえもんは一階に降りてきていて、ドラゴンを見て気絶している。
- のび太は引き出しから出て来た後、そこにあったドラえもんのどら焼きを食べていて、お詫びに代わりのを買いに行くこととなった。そしてこれから帰って来た際タイムマシンがなくなっていることが発覚した。
- ドラえもんとのび太が時空間を通る描写はカットされていて、ドラえもんはタイムセンサーは一切使用していなかった。また、夜中に森の中を移動した際は松明を使用していて、焚火をどんどん燃やしたり、色々な道具を準備して身構える下りはカットされている。
- 箸を追う際はタケコプターを使って川に沿うようように移動している。
- ドラえもんはほんやくコンニャクを使用せずに村の人と会話できていた。ちなみにのび太が「ナナマタノオロチじゃないの?」と疑問に思う場面がカットされている。
- 先ほどカットされた桃太郎印のきびだんごやらを出して応戦しようとした下りは、娘が本当に生贄にされそうになった下りで使用されている。ちなみにこの時ドラえもん達は箱の中には入っていなかった。
- 娘がドラえもん達に救出される展開になっていて、娘はオロチが2人によって退治しされた後、2人にキスをしている。
- エピローグは時空間からのび太の部屋に変更されている。
- 本編終了後のショートアニメは、ドラえもんがモンスターボールのボタンを押すと、煙状のドラえもんが出現して驚かしてくるというものと、ドラえもんがヤマタノオロチをなでなでしたら、火を吐かれ黒焦げになってしまったというものだった。
1987年版
- サブタイトルが「モンスターボール」に変更されている。
- ママは「一分遅れるごとに一時間お説教を増やしますよ!」と言ってのび太を呼び突けたが、振り向いた際にドラゴンを見て気絶した。
- ママは押し入れだけでなく机の下も見ている。
- のび太が1600年前に到着した際、家の間取りを照らし合わせたり、小便をする下りはカットされている。そしてタケコプターが電池切れになって墜落したり代わりのを出す描写もカットされていて、これによりのび太が日本の広さを実感したセリフは「こうやって見ると日本って広いんだね」と、単なる感想的なものとなっている。
- 娘の両親はどちらも髪の色がしっかりあり、白髪だった原作よりも若い見た目になっている。
- のび太も出現したヤマタノオロチをすぐ目の当たりにして逃げている。そして逃げた途中で坂を転がり落ちてドラえもんは桃太郎印のきびだんごを自ら出していて、応戦した際に使った道具にはホームミサイルとスモールライトが追加されていた。
- タイムマシンとモンスターボールはドラえもんが一人で取りに行っていて、残されたのび太はヤマタノオロチに上空へと投げ飛ばされ、危うく食われるところだったが、間一髪のところでドラえもんがこれを回収した。
- 事件解決後、ドラえもんがのび太を叱る下りはカットされ、ラストではのび太があまりにしつこく質問するあまり2人してタイムマシンから落ちそうになっている。
2005年版
- ママがのび太を叱ろうと思ったのは、のび太が居間にゲームやお菓子をちらかしっぱなしだったから。またのび太が出した怪物は狼男で、この後も部屋に帰って河童やミノタウロス、グリフォンを出して遊んでいる。
- ドラえもんとのび太はタイムベルトをしまってから移動している。またドラえもんが弥生時代にはまだ文字がなかったことを説明する描写はカットされている。
- たくさんの動物が過ぎ去った後には子連れのアヒルが歩いていた。
- ドラえもんはのび太に言われて原作に出ていた物以外にも、必中ゴムパッチコやスモールライトの他、色々な道具も取り出している、
- 娘の両親は容姿こそ原作と同じであったが、髪の色は1987年版と同じく黒であった。ちなみに言葉が通じるようになった際、ドラえもんはタヌキと間違えられている。
- 生贄の娘の代わりをした際のび太は女装をしていて、ドラえもんがヤマタノオロチ伝説を解説する下りも追加されている。また生贄の儀式をした場所は昨晩ヤマタノオロチが出現した場所で、ヤマタノオロチは計画通り酒を飲んだが全く酔っぱらうことなく2人を追いかけ始めた。ちなみにこの時使用した道具は必中ゴムパッチコ、スモールライト、空気ピストル、さいみん機だった。
- のび太は茂みに入った際、迷ってドラえもんとはぐれた上ヤマタノオロチの前に出てしまい、食われてしまったが腹の中で偶然モンスターボールのボタンを押したことでヤマタノオロチが回収され、タイムマシンも見つかった。
- 技研解決後、のび太はドラえもんに説教されるも嫌そうな顔はしておらず、途中自分の名前を呼ぶ娘の声がしたので、行って褒めてもらおうとしたが、これ以上歴史に関わってはいけないとドラえもんによって強制的に帰ることになった。ちなみにドラえもんが出しっぱなしの件を責めたのは時空間にでのことになっている。
2013年版
- のび太はモンスターボールを使ってジャイアンとスネ夫を驚かして帰宅していて、この時ドアが開けっ放しだったり、靴が脱ぎっぱなしだったりしたので、このことでママがお説教を始めたため、ドラゴンを出してその隙に逃げた。
- 今回ものび太は2005年版と同じく部屋に帰ってからモンスターを出して遊んでいたが、出したモンスターは半分出すだけで、出したのは河童、一つ目入道、カラス天狗、狼男、ドラキュラ、ミイラ男、怪獣だった。またママが去った後は漫画を読んでいた。
- 時空間を移動した際、のび太はドラえもんの背中に乗っている。ちなみにのび太は時間をかなり遡ったことで不安になり、もう帰らないかドラえもんに言っていたが、あっさり却下された。
- 落下した時の衝撃でタイムベルトは壊れてしまっていて、2005年版と同じくドラえもんがした弥生時代の説明の中には文字を持っていなかったことは話されなかった。
- 逃げ出してきた動物は猿の群れで、ドラえもん達は1981年版と同じく、松明を持って物音がした方へ向かった。ちなみに焚火をどんどん燃やす描写はカットされている。
- 箸が流れて来た際ののび太のセリフはカットされている。
- 村での登場人物達が変更されており、生贄の娘はしずかそっくりのシズナダヒメに、彼女の兄はジャイアンそっくりのタケヅチになっている。また、のび太がシズナダヒメにご飯を分けてもらっている五峰で、ドラえもんはタヌキに間違われて捕えられ生贄にされそうになっていた。ちなみにヤマタノオロチが現れたのはタケヅチが川で魚を捕った帰りに水の神様にお礼をするのを忘れていたために怒らせてしまったからだと思われていた。
- そんな中、スネ夫そっくりな旅の戦士・スネオオノミコトが通りかかり、ヤマタノオロチ退治を引き受け、この時代では貴重であった金属の剣を持っていたので皆も信じ切ってしまった。だがシズナダヒメを嫁にする条件をいいだしたので、のび太は反対したが、長老から「ならおぬしは何ができるのじゃ」と言われてしまった。
- ヤマタノオロチ退治の作戦を建てたのもスネオオノミコトで、シズナダヒメは一番大きな瓶の中に入れられていたが、ドラえもん達によって逃がされ、この2人が代わって中に入った。だがさすがに2人入るには瓶が狭すぎたため、外に出た際にタケヅチとスネオオノミコトに見つかってしまった。またドラえもんがヤマタノオロチの頭の数を説明した際、スネオオノミコトは初めから知っていたが、タケヅチはのび太と同様に分かっていなかった。
- スネオオノミコトはヤマタノオロチに酒を飲ませてその隙にやっつけるつもりだったが、全く効果がなかったため、ドラえもん達と一緒に逃げることとなった。そして逃げた際はコエカタマリンも使用して、のび太は山田を叫んだが、あっさり噛み砕かれてしまい、タケヅチが見つけた洞窟に逃げ込んだ。
- だがそこにシズナダヒメが心配して戻って来てしまったために、ヤマタノオロチに襲われてしまい、ドラえもん、のび太、タケヅチが立ち向かったが、ドラえもんはタケコプターを外されて川に落ちてしまった。しかし流されていった先の滝の裏でタイムマシンとモンスターボールを見つけ、ヤマタノオロチを回収した。
余談
今でこそモンスターボールといえば『ポケモンを捕まえるアイテム』が圧倒的だが、初出はドラえもんのモンスターボールが先である。