「私はいつか "科学" でこんな世界を作りたい!!」
「世界中に無償で "エネルギー" が行き渡る世界!!!」
「──これを目に見える "力" に変換出来れば戦争の大きな火種を一つ世界から消せる!!」
「科学はいつか必ずそこへ到達できる!!!」
「神がいるかいないかなど考えるまでもない…!!」
「面白かろう!!?この世界!!!」
この記事は単行本・アニメ未収録、1099話の重大なネタバレ情報を含みます。 |
---|
概要
海軍特殊科学班(SSG)班長。
海軍の科学者達のリーダーであり、「世界最大の頭脳を持つ男」と称される天才科学者。画期的な技術の裏には必ずベガパンクがいるとされる。
現在は新世界にある未来島エッグヘッドに研究所を構え、日々研究に没頭している。
「ある科学者が人智を超えた新技術を海軍に提供している」事実は作中では序盤から何度も指摘されており、作中で何か新しい技術が登場すると「海軍の天才科学者が作った」とする伝聞情報がついてくるのもお約束になっている。その科学者の名前がベガパンクだと明かされたのはエニエス・ロビー編終盤である。
それからも名前だけはたびたび出てくるものも本人の詳細は分からず、パンクハザード編の回想シーンで首より下のシルエットが登場。
そして、本作が最終章に突入したエッグヘッド編でようやく本人が登場した。
プロフィール
本名 | ベガパンク |
---|---|
異名 | 天才科学者、世界最大の頭脳を持つ男 |
年齢 | 享年65歳 |
身長 | 不明 |
所属 | 平和研究所「MADS」所長 → パンクハザード研究所所長 → 海軍特殊科学班(SSG)班長 |
悪魔の実 | ノミノミの実(超人系) |
出身地 | 偉大なる航路 カラクリ島 バルジモア |
誕生日 | 8月9日(ベガ、パ←8、ン、ク←9) |
星座 | しし座 |
血液型 | 不明 |
好物 | 不明 |
笑い方 | ぺぺぺ |
初登場 | 単行本106巻 第1066話『オハラの意志』 |
CV | 安原義人(第610話)、多田野曜平(エッグヘッド編~) |
人物
容姿
後述の能力の特徴とベガパンク自身の施しによって頭の形が特徴的なものになっている。
他にも舌が胴体の下肢に差し掛かるほど長かったり、脚も足長族程では無いが細長いなど、作中に登場する人物の中でも一際目立つ個性的な容姿をしている。
服装は科学者らしく白衣を羽織っている。また、若かりし日はサングラスをかけていた。
性格
一人称は「私」。口調は基本的には普通だが、誰かに指示や依頼といった命令形で話しかける際に「くれ」が「クエーサー」になる特徴がある(「助けてくれ」→「助けてクエーサー」など)。
高齢になってからは割とテンションが高くノリも良い好々爺。また、自分の意見は決して曲げず、時には歯に衣着せぬ物言いで相手を突っぱねる事もある生粋の正直者である。
幼少の頃から常軌を逸した知識欲と発想力を秘め、様々な分野の学問や研究に手を伸ばし、あらゆる知識を己の頭脳に収めている。作中世界において知識力に関して言えば、間違いなくベガパンクの右に出る者は誰一人として存在しない。
徹底的な完璧主義者であり、特に自身が深く関わる研究に関しては一切の妥協を許さない。周囲や関係者からすればほぼ成功と言って差し支えない研究結果でも、ベガパンク本人が少しでも納得できない部分があればその成果は彼にとって「大失敗」と断定され、最悪の場合そのまま放棄されてしまう。
また、理性はあるものの自分の隠された欲については自覚が無く、その結果大惨事を引き起こしている。
ジュエリー・ボニーに凄まれてもバーソロミュー・くまとの約束でくまが殺された経緯を話そうとしなかったり義理堅い一面もある。
頭脳・科学力
ベガパンクが持つ頭脳は人類が500年をかけて到達する域にあると言われており、若い頃に制作した設計図ですら完成させるのに200年~300年を要するとされる発明がいくつも存在している。その研究分野も非常に広く、兵器開発から人間の細胞研究まで行っている。
天才すぎて常に忙しいベガパンクは人手を増やすために、個性的な分身体、猫(サテライト)を6人作成。
その一人一人が歴としたベガパンクであるが、ベガパンク本人は本体(ステラ)と呼ばれ、それ以外の6人には数字とコードネームと思しき名前が付けられている。
そんな先進的過ぎる実態には、普段は冷静なロブ・ルッチも自分の常識を超えているとボヤいていた。
自他共に認める天才であるが、その頭脳に関してのプライドは高く、どんな些細な事柄であっても「知らない」状態をバカにされたり挑発されたり、ド直球に「バカ」呼ばわりされたりするとムキになってしまう。これはたとえ自分の分身体が放った言葉であっても同様なので、結果としてベガパンクがベガパンクに対して「ベガパンクをナメるな!!!」と食って掛かると、文面だけではまるで意味が分からない事態が発生してしまう。
倫理観
読者の間では「どのような倫理観の持ち主か?」について、たびたび議論が持ち上がる人物でもある。
ペガパンクが本編に実際に登場する以前から、作中で様々な人々の口を通じてベガパンクの業績が語られてきたが、それを聞く限りは「正義の科学者」であるかのようだ。
ベガパンクの故郷であるバルジモアの人々の評価によれば、島の発展の為に様々な技術の研究や発明を行っていた良心的な人物である印象を受ける。
ルフィもベガパンクの研究や行為に対しては「皆を喜ばせようとしてる奴は立派だよ」と発言していたり、真っ当な善性はある模様。
また、かつてベガパンクに師事していたシーザー・クラウンの回想シーンでは、非人道的な大量殺戮兵器の研究に没頭していたシーザーを糾弾し追放したり、そのシーザーによって引き起こされたパンクハザードでの事故の全責任を1人で背負った経緯が断片的に語られている。
だがその一方で、ベガパンクの実際の経歴を冷静に分析すると、「本当に善人だったのか?」疑う意見もある。
まず、バルジモアに在住していた頃から、秘密裏に軍事的な研究も行っている。わざわざ研究所を2ヶ所に作って違法な軍事研究は島民にも隠していた。つまり、世界平和に関係なく幼少期から兵器研究に興味があったように見受けられる。
また、かつては無法な研究チームに所属していた経歴と、本編に登場した人間兵器の試作品及び完成品の存在、そしてパンクハザードでのカイドウ並びにアルベルの実験についても、倫理観を疑われる要素の1つになっている。
実際、後述するパンクレコーズ(=記憶と経験を複数人で共有できる装置)に対して、ジンベエは「他人の思想や人格が植え付けられるのでは」(=強制洗脳)と懸念を示したが、「そんな心配をしていては科学は前に進めない」と気に止めないなど、MADSの仲間ほどではないが倫理観が欠如している姿が見受けられる。
そして、上述のシーザーを追放した件もシーザーの提唱する大量殺戮兵器が「非人道的だ」と憤慨したからではなく「お前の奇行は目に余る」のが理由。ベガパンクは大量殺戮に快楽を感じるシーザーの歪んだ人格を「兵器研究者としては非効率的だ」と考えていただけで、「大量殺戮兵器は存在してはならない」とする倫理観と使命感はあまり持っていなかった可能性もある。
ジュエリー・ボニーからはバーソロミュー・くまの人格奪取の件で命を狙われる程に恨まれており、「科学の発展のためならば、いかなる犠牲も厭わないマッドサイエンティストと見なされ、その所業を「科学という名の殺人」とまで酷評されていた。
ベガパンク本人はボニーが自分を殺したいほど憎んでいる現状に関しては、ショックを受ける素振りを見せるも「当然じゃのう……」と受け入れている。
ただし、くまの改造に関しては「私だって辛かった!!! 思い出したくもないくらいにな!!!」と発言していることから、ベガパンク本人が進んでやったわけではなく、自我を無くす予定は無かったが上の命令とくま本人が了承したことによりやらざるを得なくなった。
実際、人間そのものを改造することには否定的な様子を見せており、くまを改造人間にする際、改造時にくまの思考や自我を消すことを条件として挙げられた時は 「待てそれは死ねっちゅーことじゃ!!!”改造人間(サイボーグ)”から意志を取ればただのロボットじゃろう!!!私に人を殺せというのか!!?」 と普段からは考えられないほどの険しい表情を見せて激昂していた。
また、ボニーにくまの壮絶な記憶を見せるのを必死で止めようとする、ボニーの真実からベガパンク自身戦えないなりに彼女を守ろうと奮起するなどの一面も。
尚、実は彼は過去に1度だけマリージョアに訪れ五老星に謁見した経験があるのだが、その際に恐らく今の世界貴族の腐敗ぶりを直接見ているのか、天竜人を全く良く思っていない。そのような意味では、彼の倫理観とは、天竜人はまた相容れない存在なのかもしれない。
一連のベガパンクの面を総括すると「私人としては相応の倫理観を備えているが、科学者になるとより良い未来の発展以外を切り捨てる」と考えられる。
能力
悪魔の実
「持って生まれた天才の頭脳に無限のデータパンク!!!」
上限無しの記憶能力を持つ「脳みそ人間」だが、知識を蓄えるほど脳みそが(物理的に)肥大していく。幼少期のジュエリー・ボニーと会った頃の頭は巨人族に匹敵する程と化して、最早電球や気球の様な形状と化していたが、無限に肥大化する脳を自分の肉体がいずれ支えきれなくなる事態を悟った彼は、脳の大部分を切り取ったために現在は通常サイズになっている。
切り取られた脳の大部分は「パンクレコーズ」と呼ばれるクラウドのような記憶保存装置に搭載され、残りは分身体であるサテライト達に分け与えた。
ペガパンク本人は脳を切り取った後の頭の断面を、リンゴのヘタのようなもので蓋をしている。これは記憶保存装置と常時接続するために必要なアンテナとなっており、脳が肉体から離れても今まで蓄えてきた知識については全く失われていない。
これらの経緯を本人は「伸びてきたから切った」と軽く答えている。日常会話の言い間違いで「頭切った?」は有名な話だがこちらは本当に頭が伸びたので切っている。ボニーにも「髪切ったみてェなテンションで言うな!!」と突っ込まれている。
尚、彼はノミノミの実によって天才になったのではなく、初めから人類最強の天才だったのがノミノミの実によって更なる天才になっただけである(ノミノミの実は記憶力を高めるだけであり、知性を高めるわけではない)。
「パンクレコーズ」はペガパンク本人だけでなく、各サテライト達も常時接続しており、そのためにペガパンクおよび猫達は記憶や経験を共有している。それぞれの性格が異なる事情から、その記憶や経験から様々な刺激を互いに受けているらしい。
夢
将来的には「パンクレコーズ」を世界中に広め、全人類がパンクレコーズと接続されることで、あらゆる知識を共有できる時代を作る夢を語っており、世界の発展を真剣に考えている本心も明らかになった。ただし、倫理観の項目にもある通り、パンクレコーズの危険性については把握していながらも、人類の進歩の前にそれを無視する狂気性も垣間見せた。
更に「全人類が私の知識を身に付けたもの同然」と発言している様子から、暗にオハラの知識を世間に公開させる気である意志を示唆させている。
そのため読者からは「世界で一番危険な男」「世界政府に狙われて当然」とする意見も挙がっている。
また、「世界中に無償でエネルギーが行き渡る世界を作りたい」とも語っている。それによって戦争の大きな火種を世界から消せるとしている。
それに伴うリスクのようなものは作中ではまだ言及されてないが、これまでの言動から何かリスクがあってもそれを気にしていない可能性もある。
研究成果
達成済みの事項
- 作業用改造動物(サイボーグアニマル)
少年時代に冬島の環境を改善するための「土暖房システム」を完成させるために、バルジモアの森の動物達を改造した結果の産物。
動物達は現在もバルジモアに解き放たれている。
自身の研究ラボのあるエッグへッドの近海にはそれを更に発展させた海獣兵器(シービーストウェポン)を大量に解き放っている。
- GPフラワー
MADSに所属していた頃に開発した“火薬に咲く花”。
開発過程は不明だが、この成果は世界で評価され、イベル平和賞を受賞した。
- 血統因子の発見
MADSに所属していた頃の世紀の大発見。
「生命の設計図」とも云われる血統因子は後の研究開発にも重宝されている。しかし、この成果は発見当時の同僚達がそれぞれの利益のために、血統因子を悪用する事態も招いてしまった。
- 複製人間(クローン)
MADSに所属していた頃の成果。
ベガパンク曰くクローンは立派な「人間」であり「この成果は世界の平和への大きな一歩である」との弁。
クローン実験の成功体第1号はあの人物。
- 海楼石の利用
海と同じエネルギーを発する海楼石を航海の際に利用する技術を確立させた。
この技術が反映されているのは海軍の軍艦である。また、新世界編の世界会議解散後には海楼石パドルシップも開発された。
- 悪魔の実の伝達条件の解明
後述の物に悪魔の実を与える技術にも繋がった成果。また、2つ悪魔の実を食べれば体が跡形も無く飛び散って死ぬという事実もこの成果によって発覚した。
- 無機物に悪魔の実を与える新技術
銃や剣などの形のある武器はもちろん、形のない殺人ガスなどに悪魔の実の能力を与えられる技術。
現状、これらの技術が反映されているのは、いずれも実に意志が宿る動物系の悪魔の実ばかりである。
- 人工悪魔の実
昔、百獣のカイドウを捕えた際に彼の血統因子を抽出して、ウオウオの実の模造品の誕生に成功した。ただしモデルは青龍ではなく桃色の龍になっている。
尚、この実を食したモモの助は後にカイドウと同等の能力を発揮しているが、ベガパンク本人はその出来に納得していない。
- 人工生物の生成
実在する生物のみならず、空想上の生物をも生み出す技術。この技術には恐らく血統因子が応用されている。
パンクハザードにサイズが異なる2種類の竜が解き放たれており、後に誕生した小型の方が凶暴な性格であった。
- 防護服
たとえ灼熱や極寒の過酷な自然環境の中であろうと、空間内に一度吸い込めば死に至るガスが充満していようと問題なく活動できる装備。
パンクハザードでシーザーに利用されていた兵士達が着用していた。
マリンフォード頂上戦争より少し前の時期から導入され始めた海軍の人間兵器。バーソロミュー・くまの人体改造手術を進めて開発に至った。この経緯から、パシフィスタにはくまの血統因子が応用されていると思われる。
試験体であるにもかかわらず、その戦闘能力は新世界の海賊達でも破壊に手を焼く程強力。
元は弱き市民達を救うヒーローとして作られ、くまが自身を「気弱な“平和主義者”」と称したことからその名が付けられた。
王下七武海制度の撤廃後、彼らに代わる新戦力として導入され始めた人間兵器。
その全貌はまだ明かされていないが、上記の複数の研究成果の集大成と断言できる性能を誇る。
「最強の人類」として生み出された。
- ベガフォース01
200年前、聖地マリージョアを襲撃した伝説の鉄の巨人を参考に作り上げた巨大なロボット。ただし当時の動力は未だに再現できていない。
海中での活動が可能で、エッグヘッドの環境でのみ飛行もできる。
エッグヘッド内で利用されている立体映像。
自身が開発した「光圧グローブ」を併用すれば、ホログラムの人間とも物理的な干渉が可能。
- 島エアコン
少年期に完成を目指した「土暖房システム」を更に発展させた上で完成させた大規模な装置。その規模は本来冬島であるエッグヘッドの環境を南国のものに変えてしまう程。
- 無人調理器
材料さえあれば、1分以内に500種類の東西南北の海の美味しい食事を提供できる。
食べたいエリア(海)の料理の選択と次の料理の表示は、中央の4つのボタン(同じスイッチを2回押すと次の料理)、料理の選択は左右のディスプレイで操作する。
作中で判明している作れる料理の内容はハンバーガーセット、ステーキ、フライドチキン、ホットドッグ、オムライス、とんかつ、綿飴、ケーキ、ラーメン、ピザ、パスタ、ワッフル、エビフライ、etc.。
「余った食材お任せモード」もあるらしく、ベガパンクとしても自信作だったらしいが、設計図通りに作れる技術者がいない為、量産はできていない。
- 未来風の服装
重厚な見た目に反して異様に軽い服装。
ヘッドホンのような装置は他に着けている者達の声が聞こえる機能が付いている。また、DOMシューズと呼ばれる靴はどんな足にもフィットできる他、レバーを引くと浮遊ができる機能や、研究所内であればベガパンクの意志でコントロール出来る機能も付いている。
尚、上半身の服装がアロハシャツになる南国仕様もある。
- 空島の再現
エッグヘッドの空調を完璧に制御し、海楼石に含まれる成分「パイロブロイン」と水分の密度を変化させて、「島雲」と「海雲」の形成に成功している。
超人系悪魔の実の能力を再現できる人工血液。
超人系悪魔の実の能力者の血統因子から造られ、セラフィムに搭載するとそのセラフィムは超人系悪魔の実の能力を再現できる。
完成度や悪魔の実の研究が高いレベルまで進んでいるのか、血液さえあれば少しの時間で再現可能で、スイスイの実の能力者セニョール・ピンクのインペルダウン投獄から、S-シャーク実戦投入までの(最長でも)2ヶ月も無い期間で実現している。
- マークIII
エッグヘッドに保管されている新型のパシフィスタ。
モデルは試験体と同様にバーソロミュー・くまだが、あらゆる攻撃から身を守る盾「バブルシールド」を新たに身につけており、その実力は試験体を遥かに凌ぐ。
- ベガタンク
真空ロケット以外でエッグヘッドの研究層と工場層を移動する際に使用する乗り物で、機体には「VEGATANK8」とマークされている。
外観はシャボンの膜でコーディングされた球状のコックピットの左右に「島雲」がついた車輪がある。
島雲は互いにくっつく性質が有るので、島雲を使えば垂直移動が可能。
未達成の事項
- 人体の巨大化
世界政府が戦力増強のために昔から推進している研究だが、天才であるベガパンクをもってしても、この技術は未だに確立できておらず、シーザーもベガパンクの失敗をバカにしていたが、内心では絶対不可能と判断してる。
- 自然系悪魔の実の能力再現
超人系、動物系の能力をそれぞれ異なる手段で再現しているベガパンクだが、自然系は難しいとのこと。
作中ではピカピカの実の能力を再現したレーザービーム装置のみが登場してる。
経歴
過去
偉大なる航路の冬島「未来国バルジモア」で生まれ、文化的発明を目的とした研究所と、兵器的発明ができる研究所を作って日々を過ごす。
少年期には故郷の人の助けるための"土暖房システム"を開発するため、森の動物たちを労働力に改造していったが、そこまでしても頭の中の設計図に現実がついて来れない現状に悩まされることになった。
バルジモアから飛び出した後は平和研究所という名目の無法な研究チームMADSに所属し、シーザー・クラウン、ヴィンスモーク・ジャッジ、クイーンたちとあらゆる分野の研究に取り組んでいた。
その際、MADSの元同僚であるミス・バッキン曰く35年前に誕生したウィーブルの誕生にも関わった模様。
ある日、一歩間違えれば神の領域に達する生命の設計図と呼べる代物「生物の血統因子」を発見する。しかし、この功績が世界政府に危険視されたためベガパンクは逮捕され、所属していた研究チームは世界政府に買収された。
1089話の黄猿の回想にて海軍に入隊前と思しき黄猿と幼少期ベガパンクに拾われた戦桃丸が出てきたことから30年程前には既に世界政府に所属していたことが判明。
22年前には「(物理的に)世界最大の頭脳を持つ男」となっており、海軍がパンクハザードに所有する研究所の所長を務めていた。
またモンキー・D・ドラゴンとは旧知の仲で、彼が立ち上げた「自勇軍」の勧誘を「私の知恵と技術があった所でお前達の様な貧乏軍隊で何が作れるのか」という理由で断っていた。
そんな中、面識のあったクローバー博士率いるオハラが「歴史の本文(ポーネグリフ)」を研究した罪でバスターコールにより滅亡。
知己であったクローバー博士を弔うためにオハラを訪れたところで偶然ドラゴンと再会し、彼に対して世界政府の巨大さと海軍には特に話のわかる者が多いこと、そして標的を見失うべきでないことを助言する。
この事件をきっかけに革命軍を旗揚げしたドラゴンとは現在も通話するなど、裏で交流は続いている。
また、巨人族が湖に沈んだ大量の書物を運び出しているのを目撃しており、この後で内密にエルバフに行き、「空白の100年」と「ある巨大な王国」のことを知ったという。
その後、海楼石を用いた軍艦、悪魔の実の伝達条件の解明と、物に悪魔の実を食べさせる新技術の確立など数多くの偉業を達成し続けている。
また、4年前にシーザーが汚職により海軍に捕まる際に抵抗して殺戮ガス兵器を発動させたことでパンクハザードの研究所は壊滅してしまった。
海軍科学班第8研究所のある島(現・エッグヘッド)に拠点を移した後、娘の病気を治すためにくまが来訪。ここでくまが希少なバッカニア族である事を知ったベガパンクは、ボニーを治す最新式の治療には金が掛かるため、くまに高額な治療費の代わりにくまの血液提供とくまのクローンの作成の許可を条件として提示する。くまはこれに困惑しつつも「もし自分のクローンが誰かを救ったなら自分が生まれた意味があるかもしれない」「ボニーが助かるならベガパンクが悪魔でも構わなかった」との考えから承諾。
ベガパンク「聖人じゃな お前は」
くま「聖人…?…おれはただの気弱な“平和主義者(パシフィスタ)”だ」
ベガパンク「ぺぺぺ‼︎気に入った‼︎『未来の戦士たち』をそう呼ぼう!!!」
しかし五老星のジェイガルシア・サターン聖からいくらくまがクローンの素体として優れていても、名の知れた高額賞金首の海賊であるくまの姿をしたクローン兵を海軍が保有すれば海軍の面目が立たない事、革命軍の元メンバーであるくまがその力を世界政府に向けてくる可能性がある事を指摘される。
追加条件として
- くまが王下七武海に加盟する事
- くま自身も人間兵器となる事
- くまに一切の「思考」と「自我」を残さない事
というあまりに残酷な条件を提示する。
このあまりに人道に反する取引に対しベガパンクは激昂。
猛反対するものの、くまはその条件を涙ながらに承諾。
ベガパンクはサターン聖にくまの改造に2年、ボニーの病気の手術に半年と1年の養生の計1年半が必要だとと説明。
これを受けサターン聖は更なる追加条件として
- ボニーの治療完了後、ボニーの身柄は世界政府が預かる
- 治療後はボニーとくまの接触及び逃走を禁ずる
- 以上の取り決めを破った際はボニーを奴隷とする
- くまの自我が消えた時、ボニーを自由の身にする
という追い討ちをかけるような難題を要求。
これに対しくまは
- ボニーにこの取引を知らせない事
- 手術後のボニーを政府の施設ではなくソルベ王国の教会で養生させる事
と以上の取り決めを要求。双方が合意することとなった。
ベガパンクも不本意ながらにボニーの病気の治療とパシフィスタの作成に加え、くまの改造に取り掛かることとなる。
3年前の時点では、脳を切り離し林檎のアンテナを被った現在の風貌となっており、第8研究所の島も現在のエッグヘッドに近づきつつあった。
この期間内で“魂”に関する研究を行っていたベガパンクはくまのニキュニキュの実の能力は「痛み」だけでなく「イメージ」や「思い出」といった“心象”も具現化できるのではないかと考察。くまに「記憶」を出して欲しいと頼み、最初は断られるも最終的に承諾される。
第1部 サバイバルの海 超新星編
本人の登場は無いが、ベガパンクの研究成果はアラバスタ編から登場していた。
この時点で現在のエッグヘッドは完成していた。
エニエス・ロビー壊滅後に人間兵器パシフィスタの試験体を完成させた。それを視察に来たくまから世界政府に喧嘩を売った海賊団の船長がドラゴンの息子である事を知らされる事となる。
そしてマリンフォード頂上戦争勃発の数日前。
最後の改造によりくまが自我を完全に失う日がやってくる。
この直前ベガパンクはサターン聖に万が一の為にくまに自爆スイッチを取り付ける事を強要される。その代わりに二重人格のように意識を切り換える回路を試す為にくまの自我を少し残させて欲しいと懇願するも聞き入れられなかった。
以前の約束通りくまから「記憶」を出して貰い、保管するベガパンク。
そして、くまの最期の頼みを聞き入れ「麦わらの一味の誰かが戻ってくるまで彼らの船を死守せよ」というプログラムを施す。くまがルフィをこの海を変えるヒーローだと思っている事を明かした際には
「…“革命軍”が“海賊”に賭けたか…ずいぶんなダークホースを選んだな」
と笑いながら答えた。そして、ボニーへの10歳の誕生日を祝う伝言を託される。
最初は淡々と最後の改造を準備を進めていたベガパンクだったが、次第に涙を流しながらくまをヒーローだと称える。
部屋の外では研究員達や戦桃丸がくまに敬意を示し、黙祷を捧げていた。
「…‼︎お前を愛した人間の数だけ‼︎お前の死は迷惑である!!!」
「ええか くま」
「お前こそヒーローじゃ!!!ボニーの!!!みんなの!!!」
悲痛な思いの中、最後にくまからボニーを救ってくれた事を笑顔で感謝されながら、ベガパンクは自らの手でくまの自我を消し去った。自我の消えたくまのそばでベガパンクの慟哭の声が響き渡るのであった…。
第2部 最後の海 新世界編
世界会議~ワノ国編
海軍大将藤虎の口から、ベガパンクが王下七武海に代わる新兵器を完成させたことが明らかになった。
そしてワノ国編終幕後にはその新兵器セラフィムが実戦に初投入され、九蛇海賊団と黒ひげ海賊団の面々を驚愕させた。
エッグヘッド編
ワノ国を出航した麦わらの一味が次に到達した未来島エッグヘッドにて遂に麦わらの一味と邂逅。
フランキー曰く「とんでもない未来」を感じさせる新たな研究成果のほか、これまで謎に包まれていたベガパンクの詳細について語られることになった。
ベガパンクの本体は自身の能力や分身体である"猫(サテライト)"の詳細やパンクレコーズ、自身の夢を話した後、現在より科学が優れていた「空白の100年」の知識に興味を持ち研究を進めたために世界政府から消されようとしていると語り、この島から連れ出してくれるように頼み、ルフィからは承諾される(因みに選考基準は頭が面白いから)。
そして懸念通り、政府からベガパンク抹殺の指令を受けたCP‐0が近海に現れる。派遣された戦力はロブ・ルッチ、カク、ステューシー、そしてバーソロミュー・くまタイプのセラフィム「S-ベア」と精鋭揃いであったが、島の工場層でルフィがギア5を駆使してルッチを圧倒し、S-ベアも戦桃丸が出陣して一時的に奪還したことで島を脱出するための時間稼ぎに成功した。なお、ルフィ達よりひと足早く研究所に戻った本体は、その場にいた一味の面々に太陽の神“ニカ”の存在と悪魔の実の正体の仮説について話した。
その後、S-ベアに加えて戦桃丸と共に出陣した「S-スネーク」、「S-ホーク」、「S-シャーク」がCP‐0の手に渡る事態になってしまうも、サニー号の船番に残っていたゾロの活躍と、ベガパンクと深い縁のあるステューシーがルッチたちを不意をついて眠らせたことでセラフィム全員の動きを止める時間を作り、研究所が破壊される事態は防がれた。
しかし、一味と成り行きで行動を共にしていたジュエリー・ボニーから、くまを非道な実験の犠牲にしたことの経緯について問い詰められることになってしまい、本体は能力で非力な子どもの姿にされてしまう。本体は「くまが自らの意志で人格を手放すことを決意した」と話したが、その理由までは口にせず膠着状態に。そして、ボニーがくまの記憶の結晶が保管されている部屋を発見した際には、彼女が結晶に触れるのを阻止しようとしたが、部屋から追い出されてしまう。
その後、ベガパンクは突如何者かに拉致され、旧悪魔の実研究室にて「エッグヘッド失踪事件」で消息を経っていたサイファーポールの面々と共に監禁されてしまう。
2か月前からエッグヘッドに訪ねてきたサイファーポールが全員監禁されている現状に驚きつつ、ベガパンクはそもそも何故自身の空白の100年に関する研究が世界政府に漏れたのかを考え始める。
そして彼は予想だにしなかった裏切り者の正体を知ることになる。
しかし、この一連の騒動の翌日には麦わらの一味とボニー、そして一時的に彼らと共同戦線を張ったルッチたちの手によって解放されたようで、黄猿率いる海軍の艦隊が到着した際には騒動の黒幕と五老星の通信を横で聞いていた(救出されるまでの具体的な過程は現時点では明かされていない)。
また、麦わらの一味の次の目的地はエルバフに決定したものの、海兵3万人の乗って居る軍艦100隻が脱出出来ない様にエッグヘッドの全方位を固めて居る事で港からの出航は不可能となる。
そこでベガパンクは、「フロンティアドーム解除後はベガフォース01で研究層に停泊しているサニー号をエッグヘッドの気候区域の限界まで運搬し、その後はベガフォース01を放棄してサニー号の風来バーストで1km飛行して海軍の包囲網を突破する」という、所謂二段ロケット方式での脱出作戦を提案する。
だが、先の騒動によりシャカとピタゴラスは死亡し、脱出の弊害となるフロンティアドームの解除も騒動の黒幕の手で暗証コードが掛けられている為、自身は生き残ったサテライト達と共にドームの解除を試みる。
その後、何とかコードを解く事には成功するも、脱出作戦の「一段ロケット」であるベガフォース01はルフィと黄猿の戦闘の余波で大破してしまい、自身も黄猿に狙われ窮地に陥るも、ルフィによってギリギリ助けられる。そして黄猿との戦闘で下層に落下したボニーの救助と、並びにパシフィスタへの命令権を奪うべく、サンジ、フランキー、リリス、アトラスと共に「ベガタンク」で一度下層へ向かう。
ボニーの救助には成功するも、パシフィスタの命令権の奪取は、島に五老星のジェイガルシア・サターン聖がやって来て完全に命令権を奪われてしまった挙句、ベガタンクは黄猿のレーザーで島雲が消えた事で落下し壊れてしまう。
が、くまの姿をしたパシフィスタは秘密裏にボニーの命令を聞くように設定し形勢逆転。くまタイプのパシフィスタはバスターコールのため集まった軍艦を攻撃し大打撃を与える。その結果、怒れるサターンからの攻撃で重傷を負う。
その後サンジに瀕死の重体の状態で担がれるものの、黄猿の天叢雲剣をまともに喰らってしまい絶命した。
だがベガパンクもこうなる事を予期しており、彼の死の直後、あらかじめ録画されていた彼による世界の重大な秘密を暴露する放送が世界中へと放映された…
『世界~~ 世界い~ 応答せよ……』
『私はDr.ベガパンク しがない天才科学者だ……‼︎』
『──これから残すメッセージに皆驚くと思うが、それが世界の「真実」である…!!!』
余談
- 麦わらの一味との関係
海軍の下でペガパンクが発明した兵器や武器は海賊に脅威を与えるためのものが多く、本作の主人公であるルフィとその仲間たちはその兵器類によく苦しめられている。その意味で言えばペガパンクは「ルフィの敵」という立ち位置でもある。
一方フランキーに限っては、ベガパンクが海軍に入る前から使っていたバルジモアの研究所に押し入り、そこにあった設計図などの資料を参考に体を再改造した為、極めて間接的だが彼や一味の戦力増強に少なくない影響をもたらしている。大天才であるベガパンクも彼が作ったコーラを動力源とする風来バーストは驚いた模様。
また上記の様に、ジャッジが転用した血統因子操作の影響を受け生まれた子供の一人がサンジであり、間接的にベガパンクはサンジの出生の大きな要因にもなっている。
- 月の技術の持ち主?
空島スカイピアでルフィと激闘を繰り広げたエネルが主役を務めた表紙連載「エネルのスペース大作戦」には、月に残されていたからくり人形軍団の同型であるスペーシー中尉率いるからくり人形部隊が登場する。
このスペーシー達を作ったツキミ博士だが、彼の出身はベガパンクと同じバルジモアだと語られている。
この事からツキミ博士は月の文明=空島の人々の祖先が用いていた技術体系を何らかの形で(恐らくほぼそのまま)継承していたことが推測できるが、同郷のベガパンクもまた月の先史文明の技術や知識を持っており、数々の発明はそれをもとにしたものではないかという考察が存在する。
- オマージュ
・容姿
常に出しっぱなしの舌を含めた全体的な容姿は、恐らくアインシュタインのオマージュ。
アインシュタインは死後研究の為に自身の脳が分割されている点及び彼自身の脳も常人よりも発達している点もオマージュされていると思われる。
ただし、彼の脳はその後散逸の憂き目に合っている。
・リンゴ型アンテナ装置
万有引力発見のヒントとなった「ニュートンのリンゴ」や、スティーブ・ジョブズ達が創業したApple_Inc.がモチーフと考えられる。
同時に、食べることで人類に”神と等しき善悪の知識”を与えるとされる「知恵の実」も候補に挙げられる。パンクレコードを通じて世界中の人々に英知をもたらそうとしている点や、それにより”神に近しい存在”の禁忌に触れその罰を受けつつある点は、元ネタである失楽園のエピソードと通じるものがある。
・脳を切り取り
ベガパンクは脳を切り取って分身を作っているが、これはおそらく作者の漫画家としての師である徳弘正也の作品の1つ『狂四郎2030』に出てくる八角博士が元ネタではないかと考えられる。
両者共に「遺伝子」に関する研究をしている。
- 担当声優
パンクハザード編におけるシーザーの回想では安原義人氏が担当しているが、ジャンプフェスタ2023においてエッグヘッド編以降はアニメオリジナルキャラのプロディ中将も担当した多田野曜平氏が担当することが発表された。
関連タグ
ONEPIECE 悪魔の実 海楼石 バルジモア エッグヘッド
バーソロミュー・くま カイドウ:ベガパンクの研究対象。
ポートガス・D・エース:小型船ストライカーは、エースとマスクド・デュースが作ったものだが、技術的に高いレベルの代物なので、製造にベガパンク由来の知識が活用された可能性が高い。(ベガパンクが作ったエッグヘッドの設備もストライカーも同じく火を動力源としていた)さらにいえばエースが火の能力者かつ擬似的な太陽も作れたことから、ベガパンクの“消えない火”や“太陽”の言及にも繋がってくるため、面識があった可能性が高い。
PUNK-01〝正〟(シャカ)
PUNK-02〝悪〟(リリス)
PUNK-03〝想〟(エジソン)
PUNK-04〝知〟(ピタゴラス)
PUNK-05〝暴〟(アトラス)
PUNK-06〝欲〟(ヨーク)
アルバート・W・ワイリー:ロックマンシリーズ、特に初代シリーズに登場する科学者にしてマッドサイエンティスト。彼もまたその高度な技術力ゆえに完全とはいかずとも理解・応用できる者が少なからずいたり、資金不足・予算不足にいつも悩まされる科学者という共通点がある。
Dr.エッグマン:ソニックシリーズのマッドサイエンティストとして前述のロックマンのワイリーと比較対象されやすい。だがこちらはベガパンクとは真逆に利己心のカタマリで怪物カオスを蘇らせたり(ソニックアドベンチャー)、星の資源を収奪したり(カラーズ、ロストワールド)で頭脳を良心に活かした例は特にない。それどころかテイルスに機械をいじられたりもした。
ワイリーのような資金と予算の悩みは特に聞かれないが、お供のオーボットとキューボットにはムカついている様子。
「ジェネレーションズ」ではソニックとテイルス同様、過去のドクターエッグマンも参戦していた。
IQ300らしいがソニックのスピードには通用している様子はない。