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厨ポケ

ちゅうぽけ

『ポケットモンスター』シリーズにおける、「非常に強いポケモン」の総称。
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概要

語源は厨房でもゴリ押しで勝てるポケモンから。
ポケモンバトルにおいて、圧倒的なパワーと汎用性を持ち、細かな戦術を考えずとも勝負を有利に進める事のできるポケモンを、その使い手と共にやや蔑称気味に呼んだものである。

そもそもポケモンの強さに差が生まれてしまう背景には、以下のような理由がある。

  • 素の能力の優劣:ポケモンには「種族値」と呼ばれるステータスが各々設定されているのだが、同じ最終進化形でも高い種族と低い種族では、合計で倍近い差が開いている。また、その配分にも効率的なものとそうでないものがおり、合計値が同じでも使いやすいポケモンとそうでないポケモンが生まれてしまっている。
  • タイプの優劣:ポケモンには他の多くのゲームと同じく「タイプ(属性)」が設定されており、その相性によって技の威力が倍増したり半減したりする。タイプ毎に有利なタイプやその数は異なっており、それはじゃんけんのように全てのが平等にはされていないのが実情である。
  • の優劣:ポケモンには、攻撃技だけでも上記のタイプと物理/特殊という攻撃手段の違いによって、多種多様な技が用意されている。しかし、これもまた平等に分配されているわけではない。技の取捨選択に困るほど多芸なポケモンがいる一方、自タイプの技すら満足に揃わないポケモンもいるのである。
  • 特性の優劣:ポケモンには第3世代(RSE)以降、各々「特性」という特定の状況下で効果が発動する副次的な能力が設定された。やはりこれも平等ではなく、「ほぼ自動的に先制攻撃できる」という強力なものから、そもそもバトル中に発動する効果が無いものまで、途方もない格差が開いてしまっている。

もちろん、ポケモンという作品が一つの生態系を描いている以上、強いポケモンと弱いポケモンが存在する事はおかしな話でもない。現実同様、状況次第では下克上もいくらでも起こり得る。
メタな話をするなら、いくつかの種族はストーリーにおける雑魚キャラ中ボスにあたる存在として、意図的に能力が低く設定されてもいるクリボーが弱いからとハンマーブロステレサばかりを配置していたら、マリオシリーズは今ほどのヒット作にはなっていなかっただろう。
むしタイプのポケモンには特に能力の低い最終進化形が多く集まっているが、これは「成虫にならないとまともに活動できない」という虫にありがちな特徴と、敵キャラとして出した時のゲームバランスを両立させた結果である。公式も何も考えていないわけではないのだ。


とは言え、そうした事情とは無関係に弱いポケモンも確かに存在する。
希少だったり、登場がストーリー終盤~クリア後になるにもかかわらず、大した戦力にならないといったパターンである。全てのポケモンが進化をするわけでもなく、ポケモン発売以来20年間大幅なテコ入れが無いまま放置され続けている種族さえもいる。
そのようなポケモンで、強いポケモンに勝つのは至難の業である。対戦ゲームとして見た場合、必ずしもバランスが良いとは言えない事もまた事実なのである。

なお、ミュウツーなど一部の破格に強いポケモンは、ほとんどのバトルで公式に出場が禁止されているため、基本的に「厨ポケ」には含めない。それらを呼び表す場合には別に「禁止級」の語が用いられる事が多い。

「厨ポケ」の功罪

上記のような背景から、「厨ポケ」と呼ばれるポケモンは「とりあえずパーティに入れておくだけで勝率が上がる」というレベルで圧倒的な優位を誇っており、ガチ勢ならば「使わない方が舐めプ」とされてもおかしくない状況となっている。
それはポケモンの歴史にも等しく、発売直後から既にお互いのパーティが間違い探しのレベルで酷似している事は日常茶飯事であった。強いポケモンの対策には、こちらも強いポケモンをぶつける事が最も手っ取り早く、そのようなポケモンはそう多くはないためどうしても似たようなメンバー・戦術になってしまいがちなのである。
単に格差があるというだけでなく、面白みが無い・NPCと変わらないとする否定意見は多いのである。


もっとも、20年間まるで成長していないという事は、それを良しとした確信犯なのだとも考えられる。対戦バランスの悪さを前提とすれば、ポケモンの数が絞られる事で、かえってじゃんけん的な平等が達成されるとも言える。
相手も強いポケモンを用いるなら、当然自分だけが一方的に暴れる事は難しくなる。そこで初めて戦略的な思考の積み重ねが発生し、勝負が面白くなるというのがガチ勢側の言い分である。

そもそも多くのガチ勢にとって、ポケモンバトルは遊びではない。彼らからすれば真剣勝負の場に勝てる駒を連れてくるのは当たり前なのであり、軍拡競争的な観点から言っても、自分だけが弱いポケモンを使うわけにはいかないのである。
むしろ、どれだけえげつない戦いを繰り広げても実害が無いからこそ、際限なく強さだけを追い求められるとも言える。このあたりの感覚は、理解できない人にはとことん理解できないものであり、残念ながら多くのゲームが抱えている普遍的な課題でもある。


また、ポケモンは中学生どころか、小学生幼稚園児をもターゲットにしたゲームである。そうした子供達が勝てるようにするためにも、「厨ポケ」は必要なのだという意見もある。
例えば特性「いたずらごころ」持ちのポケモンは、最後の1ターンまで運ゲーを仕掛けられる往生際の悪さで嫌われがちであるが、観方を変えれば戦略を上手く組み立てられない子供にも一定の勝ち筋を与えられる頼もしい助っ人とも言えるのである。
遊びだからこそお手軽に勝ちたいと思う事もまた、一つの人情であろう。

ジェネレーションギャップ

「厨ポケ」という単語は、第4世代に『ポケモンバトルレボリューション(バトレボ)』の普及と共に広まっていったとされている。「厨ポケ」の概念は、この背景と密接に関わっているという指摘もある。
ポケモンは『バトレボ』の発売によって初めてネットを通じた不特定多数との対戦が可能になったのだが、これはWii用ソフトであった上に前世代までのような1人用ストーリーモードもほとんど無く、決してライト層がお手軽に始められる代物ではなかった。
そのため必然的にディープなポケモンファンを中心とした比較的小規模な対戦環境となり、特に発売当初は各種コミュニティサイト等を通じたアナログな方法で対戦者を募る事も少なくなかったと言われている。
すなわち近所の友達同士で対戦していたノリを色濃く残していたわけであり、貪欲に勝利を目指すというよりも、好きなポケモンや戦術を披露し合うという意味合いが強い環境であった。それ故にガチ勢が悪目立ちしてしまい、「厨ポケ」が嫌われたのだというのである。

また、当時台頭しつつあった動画投稿サイト「ニコニコ動画」にて、「バトレボ実況プレイ動画(外部リンク)」が一つのエンターテイメントとして確立した影響も挙げられる。
エンタメならば、視聴者を楽しませる事が第一目的であり、お決まりのメンバーや戦術では注目を集められない。敵として出てきても展開が見えて面白くない。そうした観点からも「厨ポケ」は忌避される傾向にあった。


第5世代(BW)に入ると、ネット対戦機能がソフト内に標準搭載されると共に、強弱が数値化される「レーティングバトル(レート)」と勝ち数の累計のみが記録される「フリーバトル(フリー)」の2種類の環境が用意され、公式にガチ勢とそれ以外の棲み分けが図られるようになった
「『厨ポケ』をフリーに持ち込むな(あるいはその逆)」といった小競り合いは引き続きあったものの、少なくとも勝利が明確な目的となったレート環境において「厨ポケ」に対する批判が意味をなさなくなった事は確かである。

これで一応の解決を見たかに思われた「厨ポケ」問題であったが、対戦人口が増加するにつれて「一期一会であろう相手に配慮などする必要は無い」という風潮が蔓延し始め、コミュニティサイトでの議論もレート環境における勝ち抜き方法の模索が中心となり、それらに引っ張られる形でフリーでもガチ志向が強まってゆく。
唯一王」など、それに付いて行けないポケモンに対するネタも次第にいじめ煽りの性質を帯び始め、『BW2』が発売される頃には「厨ポケ」に対する扱いとほぼ逆転するまでになっていた。

上記ニコニコ動画においても、そうした風潮の伝播に加えて、実況者同士の交流戦等を通じてレート環境で戦うトレーナーの強さが明らかとなり、従来のエンタメ路線に代わって資料映像としての需要が生まれてきた。
資料映像ならば、誰もが真似できる汎用性を持った戦略である事が望ましく、似たような展開も、むしろその中で一歩上をゆく手段を披露するための舞台設定として好都合なものとなる。

もはや何もかもが『バトレボ』当時から変化したと言っても過言ではなくなっていた。

「厨ポケ」が死語になる日

第6世代(XY)ではネット対戦のルールに変更があり、「禁止級」がフリーバトルに出場可能となった。これは弱いポケモンにとって、「厨ポケ」以上の力で蹂躙される事を公式が許可したという死刑宣告も同然の措置であった。
第5世代で最後までフリー対戦を続けていたニコニコ動画の実況者達も、これを受けて相次いでレート環境への移住を余儀なくされており、それに伴ってパーティも一層のガチ化が進行している。
「厨ポケ」を批判したところで、今や誰も聞く耳を持たなくなったのである。

新たに実装された「メガシンカ」システムもそれを一層助長した。
メガシンカをすると「種族値」が上昇するのだが、その幅は基本的に「種族に関わらず100固定」。メガシンカ自体、強いポケモン・人気のポケモンを中心に選定された事から、強いポケモンはますます強くなるという格差の固定化が進行した。
さらに、メガシンカが可能なのは1試合中1体のみ。この仕様は6体を選ぶパーティ以上の激しい枠の奪い合いを生み、生半可な強化では到底選定されないという事を意味していた。これで救われた弱いポケモンは、本当に少ない。

公式も環境に変化を付けようと、使用率の高いポケモンやメガシンカの使用を禁止するといった特殊ルールでのバトルを度々開催してもいるのだが、情報伝達の早い現代では選挙の出口前調査よろしく、始まる前から新たなテンプレパーティが出来上がっているというのが実情である。


弱い ポケモンなど いません
弱い トレーナーが いるのみです
これはカロス四天王ズミの言葉であるが、逆も当然同じ事が言えるだろう。
誰もが「厨ポケ」を使うならばその優位性は無くなり、使い手の力量が差を付ける世界となる。トレーナーたるもの、ポケモンのスペックに慢心せず、常に己の指揮官としての実力を高め続けなければならないという事である。

注意点

よく「厨ポケ」の使い手を「ポケモン廃人」と同一視して「ポケモンを勝つための道具として見ていない」とする言説があるが、それは必ずしも正確な認識とは言えない。
ガチ勢の実況動画を見れば分かりやすいが、愛情たっぷりに接し、ポケパルレ等の対戦以外の要素も存分に楽しんでいるというトレーナーも少なくない。あくまで好きなポケモンが強いポケモンなだけなのだ。
むしろ、常日頃から接している分、彼らの方が「ゴキブロス」とか「コピペロス」とかのかわいさを熟知しているとも言われる。

「でも、弱くなったらあっさり捨てるんでしょう?」と思われるかもしれない。
確かに、対戦環境は対策に次ぐ対策の連続で刻々と変化を続けており、「厨ポケ」といえども生態系の頂点に君臨し続ける事は難しい。特に大幅な仕様変更があった際には、評価が一気に変動する事もある。
しかし、環境は回り続けていつかまた日の目を見るかもしれず、警戒が薄れた時ほど地雷的に機能するという事もある。あらゆる可能性を想定して、全てに気を配り続けるのが真の強者なのである。
実際、大会決勝レベルともなると、『バトレボ』環境ですらめったにお目にかかれなかったようなどマイナーポケモンが紛れ込んでいるパーティ稀によくある。強さを貪欲に追い求めるからこそ、一般的な評価に捉われない考察ができ、「弱い ポケモンなど いません」を地で行く構築を生み出せるとも言える。

それと関連して、「『厨ポケ』使いは皆似たような事しかしていない」というのも誤りと言える。
変化し続ける環境の中で、ガチ勢は常に相手を出し抜く方法を模索しており、それに合わせてポケモン1体単位で調整を行っている。素の能力が高い「厨ポケ」はそれだけ発展性も大きく、バリエーションの多さはマイナーポケモンの比では無い。
そのようなポケモンを6体も集めて戦うのだから、たとえ全てが被っていたとしても、戦略がまるで異なっているという事は大いにあり得る話である。その違いを見極めて一本取った、取られたとやり合うのがガチ勢にとっての愉悦なのである。

関連項目

スラング 厨房 ポケモン廃人
禁止級 伝説ポケモン 準伝説 600族 130族
不遇ポケモン:対義語。これも定義を巡っては争いがある。

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