概要
近畿圏における三大都市として数えられる大阪府の大阪市北区に本社を構える鉄道会社の一つ。
その本社ビルから丁度南側には同社の代表駅とも言える梅田駅が営業しており当駅から兵庫県の宝塚を始め同県の神戸、京都府中心地の河原町といった三つの大都市とを結ぶ基幹路線を有している。また、それらを軸に数多くの支線も有しており、神戸高速鉄道や大阪市営地下鉄の堺筋線など複数の他社路線との相互直通乗り入れも行っている。
同社が保有している鉄道車輌には伝統的なマルーン色(栗色、あずき色)で車体のほぼ全体に塗装を施すことで有名であり、開業当初から100年を越えた現在でも同色を採用し続けている。
鉄道事業以外にも様々な事業分野も行っており、不動産や交通公社の他に女性のみの団員で構成された劇団「宝塚歌劇団」(下記参照)も運営していることでも知られる。
歴史
1907年に箕面有馬電気軌道が設立され、1910年には大阪の梅田~宝塚間の宝塚線、石橋~箕面間の箕面線を開業したのが始まり。
イラストは創業者の小林一三氏。
年表
1907年 箕面有馬電気軌道を設立。
1910年 大阪府の梅田~宝塚間の宝塚本線と石橋~箕面間の箕面線を開業。
1911年 宝塚新温泉(後の宝塚ファミリーランド)を開業。
1918年 社名を「阪神急行電鉄」に改称。
1920年 兵庫県の神戸~十三(及び梅田)間の神戸本線、塚口~伊丹間の伊丹線が開業。
1921年 宝塚本線の宝塚と神戸本線の西宮北口を結ぶ西宝線を開業。
1924年 夙川~甲陽園間の甲陽線が開業。
1926年 西宝線の西宮北口から南の今津まで延伸し開業。西宝線を今津線に改称。
1936年 神戸本線の西灘~神戸間が開業。旧神戸駅は上筒井駅と改め西灘~上筒井間の上筒井線として営業開始。阪急職業野球団(後の阪急ブレーブス)を結成。
イラストは福本豊選手。
阪急不動の1番バッターにしてシーズン106盗塁・通算1065盗塁を誇る伝説的盗塁王。
1940年 上筒井線 廃止。
1943年 戦時中の国策により京阪電気鉄道と合併「京阪神急行電鉄」となる。
1949年 京阪電気鉄道との合併を解消。この際に京阪神京都(現在の大宮駅)~十三の新京阪線を阪急側で運営する事が決定。京都本線と改める。
1959年 梅田~十三間がこれまでの複々線から3複線化に増線。
1963年 京都本線が河原町まで延伸。
1967年 千里山線、北千里まで延伸。千里山線は千里線に改称。
1968年 神戸本線の神戸駅を三宮駅に改称。三宮駅(後の神戸三宮駅)から神戸高速鉄道を介し山陽電気鉄道と相互直通運転を開始。
1969年 京都本線の天神橋駅を天神橋筋六丁目駅まで移転、駅名の改称の後に大阪市営地下鉄の堺筋線と相互直通運転を開始。
1973年 現在の「阪急電鉄」に社名を変更。
1984年 阪急六甲駅列車衝突事故が発生。山陽電鉄の回送車両と阪急の特急車両が衝突し脱線する。
1988年 阪急ブレーブスをオリエント・リースに譲渡、球団名をオリックス・ブルーウェーブに変更(後に近鉄バッファローズと再編)。
1995年 阪神淡路大震災で甚大な被害を受ける。不通から全線開通まで146日を要する。
1997年 宝塚本線の川西能勢口駅から能勢電鉄へ直通する特急「日生エクスプレス」を運行開始(阪急からの片乗り入れ)。
1998年 山陽電気鉄道との相互直通運転を中止、神戸高速鉄道新開地駅までの乗り入れに短縮。山陽は神戸高速(阪急)三宮駅までの乗り入れに短縮。
2005年 子会社の阪急電鉄分割準備に鉄道事業等を会社分割し持株会社化、(旧)阪急電鉄が阪急ホールディングスに、阪急電鉄分割準備が(現)阪急電鉄に社名変更。
2006年 親会社の阪急ホールディングスが阪神電気鉄道(阪神電車)と経営統合。阪急阪神ホールディングスに社名変更する。
2010年 神戸高速鉄道の運営体制が変更され、三宮駅~新開地駅間が阪急の路線として営業開始。
2011年 関西テレビ発案のもと、阪急を題材にした小説「阪急電車」を元にした映画「阪急電車 片道15分の奇跡」が公開。
2013年 京都本線の西山天王山駅の開業を機に一部の駅名を変更及び駅ナンバリングを導入。
2014年 車両譲渡により、特急「日生エクスプレス」が能勢電鉄との相互直通運転に変更。
路線
梅田駅を中心に宝塚と京阪神地区を結ぶ阪急の路線をそれぞれ「宝塚本線」「神戸本線」「京都本線」で分類されている。また、宝塚線と神戸線を「神宝線」と通称され、新京阪(現在の京阪電気鉄道の子会社)の路線だった京都線と大別される場合がある。
区別される理由として神宝線と京都線にはわずかに違いがあり、遠目に見てしまえば区別がつきにくいが、曲線駅が多い宝塚線と地下鉄路線の堺筋線に乗り入れる京都線とでは車両限界の関係で差異がある。そのため、車内の設計がわずかに違ったり他の本線に乗り入れ出来ない車両が存在する。
本線の全てにJR線が競合しているため、阪急の路線は「阪急○○線」JR線は「JR●●線」と分けて呼ばれている場合もある。
宝塚線系統
宝塚本線
梅田~石橋~宝塚間を結ぶ本線。
開業時に出来た基幹路線で阪急電鉄のルーツとも言うべき路線。100年以上の歴史を持つ路線でもあってか敷設した当時の事情で曲線区間が多い路線であり、スピードを上げる事が困難なため速達よりも本数と停車駅を重視したダイヤで運行されている。
ダイヤは基本的に宝塚行きの急行と雲雀丘花屋敷駅行きの普通が交互に行き交うダイヤ編成を組み込まれており、ラッシュ時には支線の箕面線の箕面~梅田間の直通運転も運行されている。
開業100周年と宝塚歌劇団生誕100周年の際には宝塚駅にて出発式が行われ、特別塗装が成された記念列車が運行された。
また、阪急の子会社である能勢電鉄とは川西能勢口駅を共同使用駅としており、朝夕ラッシュ時には特急列車「日生エクスプレス」が日生中央~梅田間で相互直通運転を行っている。また、能勢電鉄6000系は日生エクスプレス以外でも宝塚本線内で他の阪急車と同様に運用されている。
支線
箕面線
石橋~箕面間を結ぶ支線。
宝塚本線と併せて開業した支線。
前述した通りラッシュ時には石橋~梅田間の直通列車が運行されているが、ラッシュ時以外の日中は基本的に箕面~石橋間の折り返し運転を行っている。
神戸線系統
神戸本線
梅田~西宮北口~神戸三宮間を結ぶ本線。
宝塚線と比較すれば直線区間が多く良好な線形を有しており、他社路線にも引けを取らない速達性のダイヤを運行している。梅田、三宮(神戸)ともに近畿圏でも有数のビジネス街を繋ぐ路線でもあるためか、車内や駅ホームには終日に渡ってビジネスマンの姿を見ることが多い。また、当路線は高級住宅街が並ぶ西宮七園を通るため、地元の人間からは沿線沿いに住むことが一種のステータスとして見られる事もある。
朝夕ラッシュ時を除けは普通、特急列車を中心に梅田駅から神戸三宮駅又は神戸高速鉄道の新開地駅まで直通運転する。以前は山陽電気鉄道の列車と相互直通運転を行っていたが1998年に廃止、現在の山陽の列車は神戸三宮駅での折り返しの運行に留まっている。
支線
伊丹線
塚口~伊丹間を結ぶ支線。
1995年に発生した阪神・淡路大震災で崩壊した駅舎が印象に残る伊丹駅と通じる支線。
塚口駅では同ホームで梅田行きの神戸本線の列車に乗り換えが出来る。線路は繋がっているが本線との直通運転は行っていない。
伊丹線の塚口駅付近カーブは半径60mの急カーブで、阪急の鉄道路線では最も急なカーブである事でも知られる。
今津線
今津~西宮北口間、西宮北口~宝塚間を結ぶ支線。
今津線は今津~西宮北口間を「今津南線」、西宮北口~宝塚間を「今津北線」と呼称する場合もある。今でこそ北と南で分断されているが、元々は今津~宝塚間の線路は繋がっており西宮北口駅構内で神戸本線と今津線が平面交差する通称「ダイヤモンドクロス」という特殊な線形で営業を行っていた。しかし、その後のダイヤ増発と車両増結の必要に迫られるとダイヤの都合とホーム長の狭さがネックとなっとなり、1984年にはダイヤモンドクロスは廃止され神戸本線はそのままに今津線を北と南で分断した現在の駅ホームの形に至る。戦時中には国策により今津駅で阪神線と線路が繋がっていた時期がある。
ラッシュ時には宝塚駅発の西宮北口駅連絡線経由(西宮北口駅は通過)の梅田駅行きが運行されている。阪神競馬場のレース開催日などの際にも連絡線経由の梅田直通臨時列車の運転も行っている。
甲陽線
夙川~甲陽園間を結ぶ支線。
阪急屈指の高級住宅街を通る路線。春になると当路線に沿って流れる夙川に植えられた満開の桜並木を見ることが出来る。そのため当地は人気の観光スポットとなっており訪れる多数の観光客の目を楽しませている。
当線からの本線直通列車の設定はなく、基本的に夙川~甲陽園間の折り返し運転が行われている。2008年には終点の甲陽園駅で発生した脱線事故の影響で分岐器を撤去し1面2線から1面1線に改修された。
神戸高速線
神戸三宮~新開地間を結ぶ支線。
神戸本線の神戸三宮駅から西に延長し山陽電気鉄道、神戸電鉄とを連絡するために建設された支線。
阪急は第二種鉄道で、神戸高速鉄道が第三種鉄道となっている。高速神戸駅で阪神電鉄神戸高速線が合流し新開地駅まで第二種鉄道が重複している。2010年までは神戸高速鉄道が駅の管理をしていたため、他社線として扱われることがある。運賃体系は現在も阪急の他の路線とは異なる。2010年まで、山陽の西代駅まで阪急の第二種鉄道だった。また、山陽も阪急神戸三宮駅(と阪神元町駅)まで第二種鉄道となっていて、重複していた。神戸高速鉄道での路線名は阪神神戸高速線も含めて東西線。
京都線系統
京都本線
梅田~高槻市~河原町を結ぶ本線。
元々は京阪電気鉄道の子会社であった新京阪が敷設し開業した路線だった。しかし、戦中の国策(私鉄統合政策)やその後の京阪側との分離、及びその際の協議などの結果、阪急電鉄が当路線を管轄することになった。そのため上記でも前述したように神宝線とは車両規格や京都線側の梅田~十三間に中津駅が設置されていない、河原町駅方面が上り(神宝線は逆)などの差異が見られる。また、梅田~十三間は正確には宝塚本線を間借りする形の複々線だが、運行・案内上は京都線として扱われる。
かつては十三~淡路間は十三線で、千里線の天神橋~淡路間が京都本線だった。
神宝線に比べ、停車駅が多く堺筋線との乗り入れがある関係上、列車種別や行き先の種類が多く乗り越しや乗り間違えには注意が必要。
京都の中心地や嵐山へアクセス出来るため、観光路線としての特色が強く土日祝日には特別料金不要の観光列車「京とれいん」が運行されている。また、京都市内での祭事や大晦日と元旦の終夜運転の際には神宝線よりも多い本数で運行が行われている
支線
千里線
天神橋筋六丁目(通称「天六」)~北千里間を結ぶ支線。
大正10年に十三~豊津(同年千里山駅まで延伸)間が北大阪電気鉄道によって開業しており、これが京都線グループの始祖とも呼べる存在。阪急とは別会社で後に京都線が京阪資本で作られた事もあり「元は京阪路線」などと誤ってイメージされるが、開業当初はむしろ阪急との方が繋がりは深かった。
前述したように、後に京阪資本の新京阪から京阪時代を経て、京阪と阪急(阪神急行)の合併により名実ともに阪急の一員となる。昭和30年代後半以降から40年代にかけて沿線に千里ニュータウンが出来た事で北千里駅まで開業、昭和44年には天神橋駅(後に天神橋筋六丁目駅と改称)から大阪市営地下鉄堺筋線の天下茶屋駅までの相互直通乗り入れを始めている(北大阪急行電鉄を除けば大阪の地下鉄としては初の本格的な相互直通運転でもある)。
北千里発の列車はほとんどが梅田駅か堺筋線の天下茶屋駅まで乗り入れている。また、最近の運行形態は京都線と一体化した運用が組まれており、河原町~天下茶屋間の直通列車も多数設定されている。中間駅の淡路駅でX字に交互に乗り入れる運用が取られている。
地下鉄天下茶屋駅では南海電気鉄道の乗り換えが可能なため、関西空港駅までの切符が千里線、京都本線、嵐山線の各駅で発売されている。関西空港駅でも同様に阪急京都線系統の各駅への切符や格安切符などが発売されている。(ニュースでも報道されていたが認知度は低く利便性も悪いのが実情)
嵐山線
桂~嵐山間を結ぶ支線。
京都の有名な観光地の一つとして挙げられる嵐山とを結ぶ路線で、各駅にはモダン的な照明器具が設置されている。京福電気鉄道の嵐山駅とは同名称の駅ではあるが、桂川を挟んだ対岸にあり位置的に距離はあるものの、日本人なら誰でも見たことがある渡月橋を渡る必要があるため敢えて乗り換えを選ぶ観光客もいる。
当路線は基本的に桂~嵐山間の折り返し列車が主体だが、秋の行楽シーズンになると河原町駅、高速神戸駅、宝塚駅、天下茶屋駅のそれぞれの終端駅から嵐山駅までを結ぶ臨時の直通特急が各1日1往復運転されている。
休止・廃止路線
上筒井線
神戸本線として建設され、神戸本線が三宮駅(現:神戸三宮駅)へ乗り入れ開始により支線となった。
利用者が少なかったため1940年廃止された。
北野線
梅田~北野間、宝塚本線に存在した支線。
宝塚本線として建設され、宝塚本線・神戸本線の高架化時に地上に残され支線となった。
1949年に休止した後、宝塚本線の線路を使用していた京都本線を別線で梅田へ乗り入れさせるため、当線を復活する形で当線の用地を利用し、宝塚本線の複々線として京都本線用の高架線が建設された。
計画路線
なにわ筋線
阪急沿線から関西国際空港方面へのアクセスを改善するため、十三駅から北梅田駅(仮)へ阪急が新路線を建設し、JR西日本・南海電気鉄道との相互直通運転を行う計画。2030年の開通を目指す。
新規路線は既存の路線(標準軌)とは異なり狭軌で建設され、阪急も狭軌区間専用の車両を用意する方針となっている(十三駅乗り換え)。
車輌
塗装
上記で述べたように車両は伝統的にマルーン色(別名「阪急マルーン」)で塗装されている。16進表記では「#813452」もしくは「#7E2355」「#451c1d」。
阪急に縁が薄い人からは「古い」「ババ(うんこ)色」と揶揄されるが、天皇陛下が御乗車になられるお召し列車と同じ塗装と言えば気品のある伝統色だということがわかるはず。
車両設計
アルミ車体で製造されており最近の鉄道車両で主流となっているステンレス車体はこれまで一度も採用されたことは無い。アルミ車体を採用している理由としては様々な憶測があるが、利点として挙げると「万一の衝突や脱線などの事故の際にアルミ車体は衝撃に強く変形しづらい強度がある」「アルミ車体は改造がしやすいため、車両の更新時に車体の強度を落とさずに改造が行える」という点が述べられる。
神戸線・宝塚線(神宝線)系統の車両は東芝製の制御装置類、京都線系統の車両は京阪と同じ東洋電機製造製の制御装置類を搭載している。
車内の景観も非常に気を配っており、木目の化粧板を中心とした落ち着いた高級感のあるデザインでまとめており、座席に至っては柔らかい緑のアンゴラ山羊の毛皮を使用するなど、とことんこだわった車内設計になっている。そのため、他県(特に関東在住)の人が乗車すると有料特急でしか有り得ないような乗り心地の良さと車内サービスに驚く事も珍しくない。
また、一時期には運転室がある先頭車両を多数製造していたため、後の車両増結工事の際には運転台を撤去し中間車に再利用された車両が多数運行された。そのため、運転室があった中間車両はちょっとした個室空間を味わうことが出来た。
車番
形式として4桁の数字が中心で、「モハ」「クハ」といった記号は使われない。
6000系、6300系が登場して以降の下3桁目が「0」が神宝線、「3」が京都線と区別する方式に切り替わっている。
9000系や9300系が登場してから、次期新車両に対する車番が桁上がりするのか注目されていたが、過去に存在した車両の車番(その車番を有していた車両は既に廃車)を使いまわす方針になった模様。
車内広告
車内に貼り出す広告の内容や掲載する数にまで非常に厳しい審査と制限がある事でも有名である。そのため自社グループの広告が多く、車内全部が宝塚歌劇団の広告なんてことがざらにある。阪神電気鉄道と経営統合で阪急阪神ホールディングスが発足した際には、記念として阪急車両の広告に阪神タイガースの広告が掲載された事がある(逆に阪神電車の車内には宝塚歌劇団の広告が掲載れた)。
主要な車両一覧
100系:京都線を代表した特急電車。P-6として知られる。現在は1両だけ正雀車庫で保存されている。
900系:神戸線を代表した旧型特急用電車。現在は1両だけ正雀車庫で保存されている。
1010系:阪急初の高性能電車。1000形(初代1000系)はその試作車。現在は引退し、全車両廃車となった。派生系列として1100系、1200系、1300系(初代)、1600系があった。
2000系:阪急の車両の基礎を作った車輌。ローレル賞受賞。一部は能勢電鉄に譲渡され1700系として残っている。
2100系:2000系の性能を落としたグループ。一部は能勢電鉄に譲渡され2016年度まで能勢電鉄1500系として在籍した。
2200系:1975年に登場した電機子チョッパ制御装置の長期実用試験車。
1985年には、阪急では初のVVVFインバータ制御装置を搭載する中間電動車2両が追加製造されその後の8000系の量産に大きく貢献した。
現在残っている車両は改番のうえ、6000系に編入された。
2300系:2000系の京都線バージョン。建設中の東海道新幹線の線路を走行した最後の系列である。全車両が引退し、2両が保存されている。
2800系:京都線の特急車輌であった阪急の一時代を築いた名車。6300系が運用に就く頃には普通車運用に格下げとなり、その際には2ドアから3ドアに改造。現在は引退し、全車両廃車となった。
3000系:架線電圧の600Vから1500Vへの昇圧を見越して製造。現在は主に支線運用。
3100系:3000系の性能を落としたグループ。4両編成1本は能勢電鉄に譲渡された。
3300系:京都線用。車体各所の設計は、ほぼ同時期に製造の5000系に近い。以降の京都線用の車両は6300系を除き大阪市営地下鉄堺筋線と同じ寸法。1300系(2代)導入に伴い廃車が進む。
5000系:日中は神戸線の普通列車運用。リニューアル工事の時に一部が5100系から編入され、8両編成8本が在籍していたが一部廃車がでている。
5100系:全線対応だが、現在は主に宝塚線で使われている。5000系への編入改造や能勢電鉄への移籍で数を減らす。能勢電鉄への移籍の際には阪神電気鉄道尼崎工場で工事を行うために阪急の車両として初めて正式に阪神線を走行した(尼崎行き走行時はすでに能勢電鉄の車両だったが阪急の社章が付けられたままだった)。
5200系:阪急初の新製冷房車(試作車)。現在は引退し、全車両廃車となった。
5300系:京都線用。3300系とは異なり製造当初から冷房装置を搭載。ブレーキシステムは阪急では初めて電気指令式ブレーキが採用された。
6000系:サイリスタチョッパ制御を採用した。宝塚線を中心に運行されている。もと2200系からの編入車がいる。2014年に8両編成1本が能勢電鉄へ譲渡された。譲渡後も宝塚線系統で運行されている。
6300系:元々は、京都線の特急用車輌であったが、現在は嵐山線で4連3本(6351F~6353F)が運用されている。また6連1本(6354F)は改修工事を受けた上で、京都線観光特急「京とれいん」として運行している。屋根部分にアイボリーを配したカラーリングから通称「チョコレートパフェ」の第1号。ブルーリボン賞受賞。
7000系・7300系:阪急の主力形式。とくに7000系は、阪急電車の単一系列としては最多の両数を誇る。最近はリニューアル工事が進む。
神戸線と宝塚線用の8000系の8両固定編成には神戸・宝塚方1両目と2両目がクロスシート車両となっている編成がある(宝塚線は増結用2両固定編成を除く全編成)。宝塚線増結用の8040形のうち2編成は連結し4両1編成となり、箕面線で運行されている。
車両個別ページ→阪急8000系
8300系:8000系の京都線仕様車。
阪急京都線用の8300系は一時、イギリス領ケイマン諸島の「S&H Railway Co.,Ltd.」が保有し、阪急が車両を借りている時期があったが、この記事(外部サイト)からでは、契約期間5年(2002年~2007年)で現在は阪急籍に復帰しているという。
8200系:神戸線の増結用車両。2両編成2本が在籍。デビュー当初は関西では珍しい折りたたみ式座席だった。改造工事により折りたたみ式座席は廃止されている。
9300系:6300系の後継として登場した特急車。車端部を除き転換クロスシートだが2800系と6300系と違い、新造時から3ドア車として設計された。屋根上の機器が見えないよう仕切り板があるのが特徴で通称「チョコパフェ大盛り」とも呼ばれている。現在8両編成11本が導入され運行している。
車両個別ページ→阪急9300系
9000系:9300系の神宝線バージョン。室内はロングシートである。そのため側面の窓が9300系より少し小さい。
車両個別ページ→阪急9000系
1000系(2代):2013年冬に導入の新型車両。過去に使用された形式名を再び使用。(ただし、初代は形表記)
車両個別ページ→阪急1000系
1300系(2代):2014年春に導入の新型車両。1000系の京都線バージョンであるが、1000系が全閉自冷式永久磁石同期電動機(PMSM)を使用するのに対し、1300系は全閉内扇式かご形誘導電動機を使用。
車両個別ページは阪急1000系の記事を参照
主要駅
注:阪急では各ホームを「○番線」ではなく「○号線」で呼称する。
梅田駅
梅田(うめだ)駅。
阪急を代表する巨大ターミナル駅。当駅発の切符は一目で区別が付くように梅田の田(U+7530)が龱(U+9FB1:国構えに"メ")に置き換えられている。
頭端式ホームの10面9線で日本全国の私鉄の中では最大の線とホーム数を誇る。また、3階の改札口には約40台以上もの自動改札機が並んでおりこちらも日本一であり、関東の東武の浅草駅や過去に存在した東急の渋谷駅や蒲田駅とは比較にならないほど規模を有する。
ホーム上はライトが反射するほどのワックス掛けが施されており、線路先端には花が植えられているなど阪急電鉄の気遣いがわかる。
3階の改札口から見える現在の大型発車案内板はLED式だが、以前の反転フラップ式案内表示機(通称「パタパタ」)は有名で海外の鉄道ファンがパタパタを見て「ウメダ!ウメダ!」と呼ぶほど有名だったという逸話がある。
十三駅
十三(じゅうそう)駅。
阪急電鉄京都本線の正式な起点を有する駅。
難読駅としても有名。2014年には駅西側の飲食店街で大規模な火事があり長らく西改札口が閉鎖されていた。
宝塚駅
宝塚(たからづか)駅。
宝塚市の中心部に位置する高架駅で、宝塚本線の始発及び終着駅。
宝塚本線と今津北線の発着駅。宝塚大劇場の最寄り駅でもある。当駅は2面4線で、本線終点駅である神戸三宮駅と河原町駅より多いがラッシュ時を除けば3号線と4号線の1面2線しか使用されていない。
西宮北口駅
西宮北口(にしのみやきたぐち)駅。
神戸本線を代表する中間駅で、神戸本線と南北の今津線を結ぶ。今は亡き阪急西宮球場の最寄り駅だった(現在は阪急西宮ガーデンズが立地している)。西宮車庫が近いため当駅始発と終着の列車が多く、各路線の乗り換え客や前述した阪急西宮ガーデンズの利用客などが多く、一日中人も列車も絶えない巨大中間駅。
神戸三宮駅
神戸三宮(こうべさんのみや)駅。
当駅より西の区間へは神戸高速鉄道の路線で一部列車は新開地駅まで乗り入れする。当駅は神戸阪急ビルと一体となった商業施設だったが震災の影響で現在は屋根部分を残したのみの形になっている。2013年12月に駅名を三宮駅から神戸三宮駅に変更。
上記イラストの神戸阪急ビルは震災前の姿。現在はホームより上の部分は屋根以外が無くなっている。
→2013年6月の阪急阪神ホールディングス株主総会にて「阪急三宮駅の建て替えを行う 25階建てを超える高層ビルのうち低層部分は地震で壊れる前の外装をだいたい再現する(意訳)」と発表。震災から20年の節目でもある2015年着工を目指すとのことである。
西山天王山駅
西山天王山(にしやまてんのうざん)駅。
京都府長岡京市にある、2015年の時点で阪急で最も新しい駅であり京都縦貫自動車道との交差地点に設置された。
開業時には「高速長岡京バスストップ」も平行して開業しており、当バス停から関東方面(東京、TDL、長野)を中心に岡山や京都北部行きなどの高速バスが運行されている。なお、駅名の正式決定前は「南長岡京市駅」という仮称が使われていた。
烏丸駅
烏丸(からすま)駅。
待避線を持たない駅ではあるが、京都市営地下鉄烏丸線の四条駅と当駅とを乗り継ぐ乗客が多いことから全営業列車が停車する。地下鉄烏丸線に乗り換えJRと近鉄の京都駅方面、あるいは逆方向の国際会館駅方面へ向かう乗客が多い。
河原町駅
河原町(かわらまち)駅。
島式1面3線のホームの駅で2号線は平日朝の数本を除き普段は使用されない。(このホームが7両分しかないため京都線の全車両8両編成化を阻害している原因と揶揄されている。)ここで折り返す特急車両が車内のクロスシートを転換するために一旦乗客を降車させたのちに扉を閉めてシートの転換を行い、その後で乗車扱いする場合があるので注意が必要。
駅は地下駅で地上には阪急百貨店の四条河原町阪急が存在していたが売上高の低迷により閉店し、後継テナントとして丸井が出店。上記の神戸三宮駅への名称変更と同じく当駅も「京都河原町駅」への改称を検討していたが、地元自治体の反対により名称変更は断念された。
その他事業
宝塚歌劇団
兵庫県宝塚市を本拠とする、未婚の女性のみからなる日本を代表する有名歌劇団。
阪急電鉄株式会社の直轄組織となっており、同社の社内部署「創遊事業本部歌劇事業部」が事業運営を行っている。このため劇団員は同社の社員扱いとなっている。「宝塚」といえば当劇団を指す程の全国的な知名度もあり、ファンからは親しみを混めて「ヅカ」と呼ばれてる場合もある。他には阪急電鉄で新駅開業や大規模な記念行事の際など大きなイベントがある時には必ず劇団の組長が数名参加し催しの花を添える事がある。
pixivにおいては「宝塚」で検索する方が検出数が多いが、純粋な劇団関係のイラストを探すのであれば「宝塚歌劇団」で入力をした方が良い。
阪急百貨店
阪急電鉄と同じく阪急阪神東宝グループ傘下の株式会社阪急阪神百貨店が運営する日本の百貨店。(阪急阪神ホールディングスの持分法適用関連会社)
関西を基盤に店舗を展開する百貨店で元々は小林一三が宝塚歌劇団と同じく沿線住民の自社路線の利用を促す目的で開業された世界初の鉄道会社直営のターミナルデパートである。この阪急による鉄道会社が直営する百貨店運営はビジネスモデルとなり全国の鉄道会社直営百貨店の模範になった。阪急うめだ本店を皮切りに関西有数の立地に支店を開業したが、バブル崩壊以降の所謂「百貨店離れ」により売上低下、不採算店の閉鎖や収益性の高い本店の改装工事などの事業見直しが行われている。かつては資本関係は強くなかったが阪急百貨店と阪神百貨店の経営統合で資本関係が強化された。
左図は阪急百貨店でよく使われる紙袋 右図は阪急メンズ大阪
阪急バス
京阪神の自他様々な鉄道会社の沿線を運行している。市内で運行しているバスは主にクリーム色の塗装が塗られている。また、高速バスも運行しており関東から九州方面までカバーしている。
阪急不動産
阪急沿線の宅地や分譲マンションの開発を行っており、「阪急西宮ガーデンズ」や「梅田阪急ビル」「グランフロント大阪」などの開発事業にも携わっている。
阪急そば
駅構内に存在する立ち食いそば・うどん店である。1号店の十三店をはじめ、各駅で営業をしている。
最近では「かけそばの上にフライドポテトを載せた」なるものを開発し最初に販売したのがここである。
阪急電鉄とサブカルチャー
阪急はアニメやゲームなど、様々な作品のモデルや舞台となって登場するのを見ることができる。
涼宮ハルヒの憂鬱
一世を風靡した人気ライトノベルシリーズである涼宮ハルヒの憂鬱。
この作品内で登場する舞台モデルは作者の出身地である兵庫県西宮市を元にして構成されており、アニメ版の中で甲陽線の沿線や西宮北口駅など、実際に存在する風景を元にして描かれているシーンが多々ある。
2011年の6月に「涼宮ハルヒの驚愕」が発売される際にはキャンペーンとして広告が梅田駅に掲示された。作者自身も阪急への思い入れを語ったりイベントにも協力している。
メタルギアソリッド
大人気ゲームソフト「メタルギアソリッドシリーズ」。
一見全く関係が無さそうであるが、グレイ・フォックス、発狂した大佐、サニーの台詞に阪急の子会社である能勢電鉄の各駅名を列挙するシーンがある。これは監督でメタルギアソリッドの生みの親である小島秀夫が能勢電鉄の沿線に住んでいたことに由来する。
サクラ大戦
登場人物が所属する帝国華撃団のモデルとなったのは言うまでもなく宝塚歌劇団。
アイドルマスター
当作品から関連した出自はないが、ゲーム内で登場する高槻やよいと水瀬伊織の名前と似た駅名が阪急京都線内に存在するため(高槻市駅と水無瀬駅)、一部の熱烈なファンからは聖地として訪れる人が多い。実際に高槻市駅の近くには定食店「やよい軒 高槻店」が存在するため巡礼地として訪れるファンがいる。ちなみに高槻市駅の駅番号はどういう訳だかHK-72である。更には、JR線を見れば関空特急「はるか」が通っているため天海春香を連想する人もおりその手のネタに尽きない地域である。
ちなみに高槻市は2016年にふるさと納税制度を導入したが、その返礼品(30,000円以上)の中にアイドルマスター高槻やよいグッズ詰合せ(2種)が用意された。
小説「阪急電車」
「図書館戦争」を執筆した有川浩による小説作品。2008年にラジオドラマが2週間連続放送され、ウェブコミック誌『MAGNA』で村山渉によって漫画化された。2010年には上述した通り、阪急電鉄会社協力の下に映画が製作された。撮影場所は設定通り今津北線を中心にロケを組み、昼間の営業時間内を駅構内で撮影されていた。
電車でD
電車でDとはサークル「○急電鉄」が発行する同人誌である。頭文字Dを基にしたパロディ的な同人誌シリーズであるが、藤原拓海が運転する車がAE86から阪急電車の2000系に、など自動車から鉄道車両に置き換えて描かれている。他の主要な登場人物も各鉄道会社の社員として勤務している。また、この電車でDシリーズは同人業界ではその手の人達にとっては有名処で、近年ではまさかの同人ゲーム化され、2014年にはMEGA WEBでまさかの頭文字Dとの共演を果たしている。
東宝
ゴジラ映画シリーズの製作、配給を行っている会社として有名な東宝株式会社。この「東宝」という社名は「東京宝塚劇場」が由来である。→詳しくは「東宝」
リラックマ
人気マスコットとして知られる「リラックマ」と阪急電鉄がコラボしたリラックマ号を2015年7月18日から8月31日の夏休みの期間中まで運転を開始した。
ヘッドマークから外装、内装至るところにリラックマのイラストが飾られており人気を博している。また、同マスコットと阪急とのコラボグッズも販売されている。
北神弓子
子会社の北神急行電鉄のキャラクター。登場時には阪急電鉄・能勢電鉄などの一部の駅などにポスターが貼られていた。
手塚治虫
豊中市生まれ、宝塚市出身の漫画家。宝塚歌劇団から着想を得て「リボンの騎士」を描いたり、逆に宝塚歌劇団で作品の舞台公演が行われたり、阪急宝塚線でラッピング電車が2003年と2015年から2017年に運行されたりした。宝塚大劇場・宝塚ファミリーランド跡の隣に宝塚市立手塚治虫記念館があり、ファミリーランド側にも入口があった。
他に、2014年3月のダイヤ改正の時に、宝塚駅の発車メロディのうち今津線の列車のものに「鉄腕アトム」のアレンジが採用された。ちなみに宝塚本線の列車は「すみれの花咲くころ」(ざっくり言うと「宝塚歌劇を象徴する一曲」)。
小林一三の曾孫「松岡修造」
上記でも載せた箕面有馬電気軌道の創業者の小林一三氏の曾孫がテレビやニコニコ動画などで有名な松岡修造(通称「炎の妖精」)のその人である。松岡修造から見れば曾祖父にあたり、修造自身が御曹司の出身である。
ちなみに、松岡修造の父親・功も日本代表に選ばれるほどのプロテニスプレーヤーであった他、修造曰く「小さいころは兄さんの方が上手だった」など、阪急創業者の子孫と言うよりテニス一家であったようだ。
関連タグ
宝塚歌劇団 東宝 阪急阪神東宝グループ 阪急阪神ホールディングス
阪急ブレーブス(⇒オリックスブルーウェーブ⇒オリックスバファローズ)
引用先
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