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ヘラクレスの編集履歴

2020-08-16 08:39:57 バージョン

ヘラクレス

へらくれす

波乱万丈な一生を遂げたギリシア神話屈指の英雄。

概要

ギリシャ神話に登場する半神半人の英雄。

ギリシア神話に登場する多くの半神半人の英雄の中でも最大最強の存在である。

後にオリュンポスの神に連なったとされる。

まさしく人間離れした怪力を誇り、棍棒や強弓を得物とする。後には自身の怪物退治を通して入手した獅子の鎧兜やヒュドラの毒矢といったアイテムも戦力に加えている。怪力のイメージが強いが決して力押し一辺倒の脳筋系ではなく、下記の偉業でも見られるように敵の弱点を見抜いて的確に攻略することにも長けた戦闘巧者でもあった。

神々の王・ゼウスと人間の女性アルクメネーとの間に生まれた。

母の家系はあの『メデューサ』を退治した英雄・ペルセウスの子孫であり、ミュケナイ王家の血を引く。

幼名をアルケイデースといい、後述する12の功業を行う際、ティリュンスに居住するようになった彼をデルポイの巫女が 「ヘラの栄光」を意味するヘラクレスと呼んでからそう名乗るようになった。

しかし、その名前とは裏腹に父・ゼウスの妻であるヘラからはトコトン嫌われた。

実子ではなく愛人の子なのだから好かれないのは当然かもしれないが……。

  • ゼウスが「今日生まれる最初のペルセウスの子孫が全アルゴスの支配者となる」と宣言⇒出産の女神に「誕生を遅らせてこい」⇒結果、7か月で後にムチャぶりを出す親戚のエウリュステウスが先に誕生。明らかに小物であるエウリュステウスの下僕として仕える運命を負わされる。
  • ヘラクレス誕生後、ゼウスは不死の力を与えようとして眠っているヘラの乳を吸わせた。ヘラクレスが乳を吸う力が強く、痛みで目覚めたヘラは赤ん坊を突き放した(これが「天の川」誕生のいきさつ)。これを恨んだヘラは密かに二匹の蛇を放ったが、赤ん坊のヘラクレスは素手でこれを絞め殺した。

成長すると、ケンタウロスの賢人・ケイローンに弟子入りし、武術を学ぶ。(ディオスクロイの一人、カストルも師匠であった。)

テーバイとオルコメノスの戦いで活躍し、テーバイのクレオーン王の娘メガラと結婚。

3人の子供が生まれた。

しかし、またもやヘラが邪魔立てをする。

ヘラクレスに狂気を吹き込み、我が子と異父兄弟:イピクレスの子を炎に投げ込んで殺してしまう。

これを悲しんだメガラも自殺。

正気に戻ったヘラクレスは、罪を償う為にデルポイに赴き、アポロンの神託を伺った。

神託は、「ミュケナイ王エウリュステウスに仕え、10の勤めを果たせ」というものだった。


12の功業(という名のムチャぶり)

ネメアの獅子討伐

鋼鉄の爪と牙を生やし、青銅並の硬度を持つ毛皮の獅子を退治しろというもの。

こいつは邪悪なる女神エキドナが、自分の息子であるオルトロスと交わって生んだ子供であり、ほぼ不死に近い生命力を持ち人や家畜を襲っては食い殺していた。

こいつには刃物や弓矢が通じないので、棍棒でぶん殴ったら棍棒が折れた。

しかしこれはそこそこ効いたようで、隙をついて首元に抱き着き、3日かけて絞め殺すことに成功。

後にこの獅子の皮を(獅子の爪を使って裁断し)鎧兜にした。

ヘラクレスの着る獅子の毛皮のエピソードとして知られているが、実は毛皮を被ったのはこれが最初ではない。12の試練を課せられる前にキタイロン山で倒したライオンの皮を被ったのが最初とされている。


水蛇ヒュドラ討伐

猛毒ガスを吐く九本の首を持つ大蛇を退治しろというもの。

無限の再生力を持つヒュドラには悪戦苦闘するものの、従者(甥っ子)イオラオスが松明を使って切り口を片っ端から焼き焦がす事で何とか事なきを得る。

最後の首は不死だったので炎も通じなかったが、大岩で無理矢理押さえつけて封印する。

戦いの途中でなんかデカイ蟹が出てきて脚を鋏んだが、即座に踏み殺す。

しかしこの難業は「従者の助力で倒した」として、ノーカンとなる。


ケリュネイアの鹿捕縛

女神アルテミスの、計5匹存在する聖獣のなかでも特に素早い個体。黄金の角と青銅の蹄を持つアルテミスでさえ追い付くことの出来ないこの鹿を、何と1年も追い回した末になんとか傷つけないようにして捕獲。

この鹿は後に持ち主のアルテミスへ返却された。


エリュマントスの人喰い猪捕縛

都市を破壊する巨大な怪猪。大猪自体は簡単に捕えることが出来た。

しかし、問題はこの時、協力してもらったケンタウロス一族の保管していた酒をヘラクレスが勝手に飲んだ事から争いが起き、その最中誤って師のケイローンにヒュドラの毒矢を放ってしまった。

ケイローンは純粋なる神であり、死ぬこともできず猛毒によって苦しめられる。

この失態はヘラクレスの心に遺恨を残す事となった。


アウゲイアスの家畜小屋掃除

エーリスのアウゲイアス王は3千頭もの牛を飼っていたが、その家畜小屋は30年間一度も掃除された事がなく、世界一汚いと言われていた

そんな汚物の塊の様な家畜小屋を一日で綺麗にしろという難題に対し、ヘラクレスはまず家畜を全て外に出し、壁に大穴を開けてそこに川の水を流し込むという強引な方法で一日でキレイにした。

しかし、2つの川の流れを強引に変えたが為に、この川の流れが狂ってしまい、たびたび洪水が起こる様になってしまう。

更に、罪滅ぼしの勤めでありながら報酬を要求した(3千頭の牛の10分の1)としてノーカン。

挙句にアウゲイアスはこの約束を無視したが、後々この時のお礼参りをする事に。


ステュムパリデスの怪鳥討伐

軍神アレスの作った鳥の大軍に対し悪戦苦闘するが、アレスの兄で彼の事が大嫌いだった鍛冶神ヘパイストスの楽器を借りて鳥を脅し、見せしめにヒュドラの毒を塗り込んだ矢を放って数羽射落とす事で追い払った。


クレタ島の牡牛捕縛

嘗てミノス王が、海神ポセイドンの恩恵を求めて与えられた牡牛。本来は再びポセイドンの元へ戻す為に生け贄にされるはずだったが、渋ったミノス王が代わりの牡牛を捧げると、激怒したポセイドンによってボーボーと火を吹きながら暴れ回る怪物にされたと同時に悪名高い人喰い怪物ミノタウロスが誕生する切っ掛けとなった。

ヘラクレスはこの牡牛を捕らえ、おとなしくさせた後に放ってやったが、再び暴れだした為、最後にはポセイドンの息子、テセウスに討ち取られた。


ディオメデスの人喰い馬奪取

トラキア王ディオメデスは父アレスから貰った人食い馬に旅人を殺して食わせていたが、すぐに見抜いて彼の差し向けた暗殺者を返り討ちにし、逆にヘラクレスが王を殺して馬に食わせた。


アマゾンの女王・ヒッポリュテの腰帯の奪取

ヒッポリュテは強靭な肉体のヘラクレス達勇士を見て、自分達との間に子供を作る事を条件に腰帯を渡すことを承諾した。

ところが、ヘラがアマゾン族を扇動したため戦いになってしまい、結果ヒッポリュテを殺害して腰帯を持ち帰るはめに。

部下の数名がアマゾン族の美しい女戦士達を本国に連れ帰る。


妖怪ゲーリュオーンの飼う牛の捕縛

この冒険の途中、ジブラルタル海峡を通過した際に海峡の両岸に「ヘラクレスの柱」を残した。

もうこの辺りになると面倒になったのか番犬の双頭狼オルトロスを速攻で殺し、抗議に来たゲーリュオーンもボコボコにして牛を分捕って帰ってきた。


ヘスペリデスの黄金の林檎入手

この功業は「ヘラクレスが林檎を守る怪物・ラードーンを退治した」と「天空を支えるアトラスが代わりに取ってくる間、ヘラクレスが天空を支えた(アトラスはヘラクレスを騙そうとしたが、ヘラクレスの方が上手だった)」などの異説がある。(そもそもアトラスは曾祖父であるペルセウスに石にされていたというこの話が根本から成立しない説もある。)

この旅の最中に、人間に炎を与えた事で鷲に肝臓を食われ続ける刑罰に処されていた巨人プロメテウスを救出し、今まで死んだ回数だけケイロンの不死の力を与える事によりケイロンはようやく死ぬ事が出来た。

ゼウスは彼の偉業を称え、射手座を作ったという。


地獄の番犬ケルベロス捕縛

ヘラクレスが冥王ハデスに頼んだところ、事情を知っていたハデスから「素手でなら良い」との条件の元、ケルベロスを連れてきた。

この時地上に無理矢理引きずり出されて驚いたケルベロスが涎を垂らし、その涎から毒草のトリカブトが生まれた。


サイドストーリー

メインとなる12の試練以外にも怪物退治を請け負っており、ガイアとポセイドンの息子で大地に足が付いている間だけ無敵になる巨人アンタイオスを倒したり、プロメテウスの肝臓を啄む鷲エトンを弓矢で撃ち落として、彼を救出したりもした。トロイアでは海の怪物を退治したはいいものの、胃酸のせいで髪が禿げてしまったうえ、報酬を要求しても反故にされた為にトロイアを攻めている…そりゃ怒るわ。


また、自分をもてなしてくれた王の為にタナトスを脅して、彼の妻であるアルケスティスを生き返らせたというエピソードやアポロンに河の神など神々と敵対したエピソードも残っており、義理のためならば不法も辞さないスタイルを取っている。このような狼藉が許されたのも来るべきギガントマキアの為に作られた英雄としての側面があるからだろう。ヘラが私情で行なっていた嫌がらせの数々も結果として、ギガントマキアを戦い抜く為の糧になったのである。

上記のような武勇伝を持つ彼だがテュポーン相手には全く敵わず、動物に化けて逃げ出したそうな…。


ある時、ヘラクレスは神託を受け取り、オムパレーの元で奴隷として使えるようになった。

しばらくしてからオムパレーはヘラクレスに女装を要求し、家事をさせた。一方のオムパレーはヘラクレスの棍棒と獅子の毛皮を借りて男装してみせたが棍棒の扱いに難儀したというエピソードが残されており、子供を3人儲けたという。


その後の冒険

イアソンの呼びかけに応じてアルゴ船(アルゴナウタイ)に乗り込み(途中離脱したとも、陸路を追いかけて再合流したとも言われている)、神々と巨人族との戦い『ギガントマキア』にも参戦、12の功業で自分を酷使したエウリュステウスとその一族も息子たちと協力して滅ぼした。

また12の功業で倒した魔物たちの母であるエキドナに遭遇。馬を盗まれてしまい、馬の返却と引き換えに彼女を抱き、スキタイ民族の祖となる3人の子をもうけている。


最期

ニンフディアネイラと再婚。

その後、ケンタウロスのネッソスがディアネイラを犯そうとし為にヒュドラの毒矢で射殺。

ネッソスは死ぬ前に「自分の血は媚薬になるので、ヘラクレスの愛が減じた時に衣服をこれに浸して着せれば効果がある」と言い残した。

ディアネイラはその言葉を信じ、ネッソスの血を採っておいた。

後にヘラクレスがオイカリアの王女を手に入れようとしているのを察したディアネイラは、ネッソスの血に浸した服をヘラクレスに送った。

すると、たちまちヒュドラの猛毒が回って体が焼けただれ始めた。

観念したヘラクレスは木を積み上げてその上に身を横たえ、炎に包まれて死んだ。

そして人間であった部分が焼かれた結果、死後、神の座に上った。

この時に至ってようやくヘラの許しを得て、彼女の娘のヘーベーを妻に迎えたという。

そしてこの結婚が、新たな悲劇を生むこととなる


イソップ寓話では

イソップ寓話自体が古代ギリシャに成立した物語である為、度々登場する。

「喧嘩の玉」というエピソードではある時、りんご大の玉のような物を見つけ棍棒で小突いた。すると玉は見る見るうちに大きくなっていき、怪物ではないかと訝しんだヘラクレスは尚も棍棒で叩き続けるも、玉は大きくなる一方で全く効果が無かった。アテナからは正体は「喧嘩の玉」と呼ばれるものである事を教わり、ヘラクレスは手を出すのを止めたという。

この他、御者が車輪を泥に詰まらせて途方に暮れていた為、神に至ったヘラクレスに祈りを捧げ、体良く運んでもらおうとしたが、ヘラクレスは「まずは自分で努力してみせろ。それでもダメなら手を貸してやろう」と言ったので、御者は馬を奮い立たせて、自身も車を押してみせると見事に泥から抜け出した。以後、御者は安易な神頼みはせず、自分で努力する大切さを学んだというエピソードも残っている。



使用した武具

  • 獅子の皮

ヘラクレスのシンボルで、ネメアのライオンを倒した際に剥ぎ取った皮から出来ている。

いかなる武器をも弾く無敵の鎧で、加工の際にはネメアのライオンの爪を使わなければならなかった程に頑丈である。


  • 棍棒

恐らく、万人がヘラクレスと聞いて思い浮かべる事の多い武器。ヘルクレス座の星にもコルネホロス(棍棒持つ人)と名付けられるようにポピュラーな武器である。

ネメアの人食いライオンとの戦いで丸太から作り出した武器で、ライオンを気絶させた他、一振りで山を崩してジブラルタル海峡を作り出したという逸話も残っている。


  • ヘラクレスの弓矢

矢先にヒュドラの毒が塗られたヘラクレス最強の武器。

ケンタウロス族やモリオニダイとの対決、スチュムパリデスの鳥を撃ち落とす為に使用し、絶大な効果を上げた一方でフォーローやケイローンといった恩師や友人の命を誤って奪った諸刃の剣でもある。

一度、旅の途中太陽の暑さに我慢ならず、ヘリオス神に向けてしまった際には咎められるどころか、逆に蛮勇を褒められた(または太陽を打ち落としてしまった)という逸話がある。

死後はピロクテテスに受け継がれ、トロイア戦争パリスを討ち取るなど活躍したとされる。


  • 鉄の鎌

ヒュドラとの戦いで使用。ヒュドラの首を次々に刈り取っていったが、次々と再生するヒュドラの首には苦戦を強いられた。ヘラクレスの使用する武器の中でもドマイナー。


  • 銅羅

元はキュクロプス達が目覚し時計代わりに使用していた銅羅(ガラガラとも)。

スチュムパリデスの鳥との戦いで使用し、大きな音を鳴らして奴等をおびき寄せた。


  • マルミアドワーズ

 アーサー王伝説に登場する剣で、原典のギリシャ神話には登場しない剣。

記録によれば、ヘパイストスが鋳造した剣で、ヘラクレスが使用した後にアイルランドの巨人王リオンの手に、そして最後にアーサー王が手に入れたとされる。性能はエクスカリバーよりも優れているらしい。


  • 竪琴

本来は武器ではない。狂気に陥った際に、師匠であるリノスを竪琴でぶん殴って殺したという逸話がある。


  • 戦車

アンフィトリオンから操縦技術を教わっているものの、移動は徒歩で行っていた為か、神話中で戦車に乗るシーンはあまりない。引いていた馬を上記の通りエキドナに盗まれてしまったこともある。この他、ポセイドンデメテルの息子である右足が人間の足になった神馬「アリオン」に乗る事もある。



考察

彼の生涯は、考えようによっては「前述の12功業を初めとするヘラの課した試練をクリアした結果、『神の座と言う栄光』に到達した」と取れなくもない事から、「ヘラ女神の栄光」を意味するその名に偽りはないと言えよう。


仏教との関連

西洋の神話体系に類する存在でありながら、実は東洋の神話体系にも影響を及ぼしており、西洋美術を取り入れたガンダーラ美術の発展により、インド神話仏教に取り入れられて執金剛神(ヴァジュラパーニ)となった。

執金剛神の半裸で棍棒を持った姿もヘラクレスの姿に起因しており、一説にはヴァジュラが現在の形状になったのはヘラクレスの棍棒が要因なのではないかとする説もある。黎明期はまんまヘラクレスの姿で、仏像の隣に平然と居座っていたりする。

また、インド神話とライバル関係にあるゾロアスター教がヘレニズムの影響を受けると現地の英雄「ウルスラグナ」と習合されるなど、西洋世界の大英雄は遠い異国で姿を変えて尚、人々に愛されていると言える。エジプトではヘリシャフ神として同一視された。



ヘラクレスが元ネタ、名前の由来にしているもの

ヘラクレス

ハーキュリーズ (ヘラクレスの英語読み)


関連項目

ギリシャ神話 英雄 半神半人


スサノオ:日本神話の神。一部性質がヘラクレスと共通している。


外部リンク

ヘーラクレース - Wikipedia

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