概要
はじけて!ザックとは井上大助が1984年から1986年までコミックボンボンに連載された漫画である。展開が迷走した事で有名で、ギャグバトル→ボクシング→バイオレンス→英雄の居るクトゥルフや黙示録の展開と四度も作品の内容が改変された。
狂人・白河ユダの惨虐性は今もトラウマで、余りに惨虐な内容から単行本化は見送られ、1988年に「迷宮神話・はじけて!ザック」に改題の上、ぶんか社から全4巻が刊行された。
その後2011年に復刊ドットコムにより、迷宮神話版を底本にして(迷宮神話と付かない元のタイトルで)全3巻にて刊行された。
pixivでは
現時点ではその白河ユダのイラストしか無く、如何にインパクトの強いキャラクターだったかが判る反面、主人公のザックや他の人物のイラストは残念ながら現時点では無い。
内容
破天荒な少年、地蔵瓦作左衛門ことザックが日本にやってきた。彼は「お尻の形の良い女性」を嫁にするため、そしてサムライの国・日本でケンカでナンバーワンになるために、127歳の父親・鬼右衛門より命じられ来日。遠い親戚の水森家にやってくる。
水森家では、一人娘・ノンがいた。ノンはザックにセクハラめいた事をされつつも、同じ学校に通う事に。
学校ではボクシング部の氷石リョウと出会い、決闘する事に。
用務員にして、元東洋チャンプのおっちゃん・小沼源三に導かれ、「ケンタッキーのおっさんパンチ」を習得したザックは、氷石との決闘に勝利。以後、彼とはマブダチとなる。
ここまでは、学園物ドラマ。以降、白川ユダの登場とともに、過激かつ残虐な内容へと変化する。
登場人物
- ザック（地蔵瓦作左衛門）
13歳の少年で、本編の主人公。
登場したての頃は、非常に能天気かつ奔放、なおかつスケベな性格。また、頭はあまりよろしくないが、恐竜には詳しい（博物館で様々な恐竜の名前を羅列し、感心されていた）。
ユダが登場してからは、能天気な一面は影を潜めるように。
御年127歳の父親・鬼右衛門に命じられ、嫁探しと、喧嘩修行のために来日した。特に嫁は「お尻」を重要視しており、お尻の形の良い女性が居たら、触るだけでなく、「スカートをめくってパンツを降ろし、直接お尻に顔をうずめてパフパフする」事を実行する。これはノンだけでなく、ノンの母親にも即座に行っている（ちなみに母親は、夫の目前でこれをされて感じていた）。ちなみにこの性癖は、父親譲り。
亀のペムを親友としていつも連れている。また、実家は資産家らしく、手にしたバッグには大金が、更には銀行口座にはかなりの資金が振り込まれているらしい。
ちなみに未成年だが喫煙および飲酒もする。また、一般常識に欠けるところがあり、町の警察署長に対し、股間に実弾の入ったピストルが何かも知らず（ペストルと呼んでいた）、引き金を引いていたりする。
ケンカの腕前はかなりのもので、当初はボクシング部のチンピラめいた不良生徒たちを叩きのめしていた（バーベルを落とし、止めを刺そうとしていた）。
しかし、あくまでも我流ゆえに、氷石との最初の対戦では、ボクシングの技術を用いられ敗北。しかし用務員のオッチャンこと、源三により「ケンタッキーのおっさんパンチ」を身に着け、彼に勝利する。
後に、白川ユダと対決する事になり、その際に氷石とタッグを組み彼と戦う。
以後、ドゲスの部下と戦うことになるが、その際には「ギョオルル」という唸り声とともに髪が逆立つように。
- 水森ノン
ザックと同じく、13歳の少女。ザックの遠い親戚。
見た目は快活な少女であるが、剣道、ボクシング他、様々な格闘技やスポーツを嗜んでいる。ナンパされたら「うるせータコ！」と言い返すほど、気が強い。
ザックと同居する事になるが、ザックからは「すばらしいおしり」の持ち主としてセクハラを受ける事に。
両親はごく普通の夫婦。母親はノンに似たおっとりした美人であり、ザックにパンツを降ろされ、お尻に直接顔を埋められていた。
父親はそんなザックに対し「妻のお尻だけは触るな」と申し出たが、ザックが大金を持っていると知り「妻と娘のお尻も、いくらでも触っていい」と掌返しする。
- ペム
ザックといつも一緒にいる亀。「ぴいっ」という鳴き声でザックと会話する。
ザック曰く「ブラジルからやってきたたったひとりのともだち」。しかしユダとの最初の対決時、ユダにより握りつぶされ、上下半身をほぼ両断された状態で地面に叩きつけられた。
動物病院にすぐに運ばれ治療を受けるも、手の施しようもなく死亡……と思われていたが、実は病院スタッフもユダの手先で、包帯姿で生存。以後、人質にされる。
ユダとザックとのデスマッチ時には、ユダの父親の市長により、フォークで突き刺され、火で炙られ、生きたまま齧られていた。
以後、テレパシーでザックと会話できるようになる。
- 氷石リョウ
ザックとノンが通う、池田学園のボクシング部主将。最初に登場時には、手にくるみを握ってゴリゴリとこすっていた。
ボクシングの技術を用い、必殺技のギガトンアッパーを用いザックを翻弄。しかし後にザックとのボクシング勝負で、彼と戦い破れる。
ボクサーとしては才能があり、天才的な技量を有す。そのフットワークは、ザックの間合いに瞬時に入り込み、彼に一撃を食らわすほど。また、試合中にザックが放った「ケンタッキーのおっさんパンチ」を一度喰らった後、すぐにその対抗策を編み出して破っている。
ザックと戦った後には、彼の親友に。ザックと異なり常識的な性格。
ユダとザックとの戦いでは、タッグマッチを申し出て、ザックとタッグを組む。が、作中の展開について来れず、足手まといかつ傍観者的なポジションになってしまう。
- 小沼源三
池田学園の用務員を務める老人。通称・おっちゃん。
実は、元ボクシングの東洋チャンプ。ザックにボクシングの手ほどきをして、氷石との決闘への特訓を行った。「ケンタッキーのおっさんパンチ」を伝授させたのも彼である。
※ちなみにこのパンチは、相手のアッパーを拳で受け止め、自身もジャンプし、その勢いで自身もアッパーカットを放つ、というもの。その後に、空中からパンチを放ち止めを刺す。名前の由来は、サンドバッグの代わりに、捨てられていたカーネル・サンダース人形を用いていた事から。
- 小沼才蔵
おっちゃんの孫。いわく「アタマも悪いが顔も悪い」。
ザックと出会い、すぐに「あにぃ」と懐いた。
- 白川ユダ
メイン画像の男。ザックらの町を支配する「市長」の息子であり、残忍かつ凶悪な性格。
不死身の肉体を有し、カミソリなど刃物で自身の肉体が切り刻まれ、流血しても全く動じない。
その瞳は、ザック曰く「人間の目じゃない、蛇の目だ」。
ペムの事も、ただ愉しむためだけに握りつぶした。その際にも、一気に行わず、じわじわと苦しめるようにして握りつぶしている。
本作のトラウマメーカーであり、ペムを握りつぶした以外にも、
：生きたウナギにフォークを突き刺し、そのまま食し『うめぇ……』
：ザックを恫喝する目的で、ガラス片で自分の腕を切り裂き、ホチキスで止血。
：デスマッチ前、リングロープにカミソリの刃が埋め込まれているのを説明する時、それを握り、自分の手や腕を切り裂く。
：試合中、腹部をナイフで刺され、パンチを食らって大穴が開いたが、火のついた松明を押し付けて止血し傷口をふさぐ。
などの凶行を見せた。
その不死身の肉体は、魔王ドゲスの加護によるものらしいが、最後にはそのドゲスの波動（いき）を受け、凶悪な面相に変化。完全な怪物に変化しザックに挑む。
が、ザックに敗れ、最後には廃人のようになって果てる。
- 市長
ユダの父親。ノンたちの町の支配者であり、市長と言う以上の権力を有する。
ノンいわく「市長といってもたいへんな権力者で、いわばこの町全体の持ち主みたいなものなの」
息子同様に傲慢で凶悪な性格。息子とザックとの戦いでは、ペムを生きたまま火で炙り、齧っていた。
魔王ドゲスの加護を受けていたが、そのドゲスの加護が得られなくなったと知るや、即座に死を選ぶ。
- 警察署長
最初に、ザックを逮捕した警察の幹部たちの上司。市長とつるんでおり、権力のおこぼれを頂いている。
巨体を有しており、最初にザックと対決し叩きのめそうとする。が、逆にザックに翻弄され、その股間に実弾入りのピストルを突き付けられ、発砲される（なんとか直撃はせずに済むが、股間部を火傷し、痔になって毎夜悩まされるように）。
ザックがユダと戦うと知り、嬉々として駆けつける。
- 蜘蛛丸
ユダの部下。小柄だが動きが素早く、卑怯な手を用いる事が得意。
虎バサミを用い、デスマッチ直前にザックの右こぶしを傷つけ、潰す事に成功する。
- ヒドロ
デスマッチ時の、ユダのパートナー。
トラに育てられたという男で、市長が引き取り十数年かけて育てたらしい。見た目は獣人で、怪力と凶暴性を有する。しかし途中でザックに負けそうになり、ユダに助けを求めるも、それが気に入らないユダにより惨殺された。
- 将軍キル
魔王ドゲスの部下で、ドゲス帝国の将軍。見た目は長髪の美形キャラ。
最終局面で、ユダたちを復活させてザックに差し向けた。
- ガイエ軍曹
キルの部下だが、任務失敗の為キルに粛清される。
- ゴルガ
ザック抹殺の為に送り出されたA級ソルジャー。虫の様に細かく分裂させる事でダメージを軽減・分散させる為、ザックも苦戦を強いられた。ザック曰く「ゴルガ虫」との事。
