注意!「被虐のノエル SeasonFinal前編」のネタバレが含まれます。
概要
「エレナ・ドロエット」は、元対テロOCT隊員の一人で、ジーノ・ロレンツィと同期であった人物である。女性。フェンシングの経験を持っており、それゆえか特別な警棒を用いた「突き」という珍しい接近戦を好む。その「突き」の強さ、相手の懐に素早く潜り込むインファイトの強さからOCTにスカウトされるが、魔人との闘いで、瓦礫の下に埋もれ、帰らぬ人となってしまう。
それから3年後、ジーノはエレナの「突き」を受け継ぐためにひたすら突きの鍛錬を行っていた。他のOCT隊員からはその鍛錬は実戦で使えない無駄な行為だと言われるものの、エレナの存在を忘れ去られることがないように、彼は「突き」を鍛錬し続けた。
ここから、更なるネタバレ注意
それから、エレナによく似た新人のOCT隊員に出会う。名はルーチェ・マリー。
ジーノが一目でエレナと勘違いしてしまうほど似ていた。
彼女は、ジーノが「突き」の訓練をしているところを目撃する。警棒を持ってトレーニングをしている彼に不思議に思っていたルーチェにエレナのことを話した。友達思いな彼に感心した彼女は「突き」のトレーニングを試しに行ってみたが、フェンシングでの独特な持ち方を見て、ジーノは本当にエレナではないかと確信する。彼女の死体が出てこなかったのが疑問を生み、記憶を失っているかもしれないと思い、ルーチェを問い詰める。
「キミは本当は、エレナ・ドロエットなんじゃないのか.....!?」
「....あの」
「ーーうるさいですよ。」
「そんなにエレナ、エレナって叫ばれちゃ、なんのために3年空けたのかわかりゃしない。」
「そうですね、私の正体を見破ったご褒美に.... 教えてあげましょう。」
「あなたが相棒と呼んだ人間の、本当の姿を。」
正体
彼女の正体は、さまざまな悪魔と契約して長い年月を生きながらえたルーチェ・マリー本人である。悪魔の契約により200余年を生き、13の名前を持つ"魔女"。
このルーチェ・マリーという名前も素性を偽るための偽名にすぎず、本名は不明。悪魔を探すためにいくつもの偽名を使っていたが、その中でもエレナ・ドロエットというOCT隊員として潜り込んだ時は、直接魔人との戦闘に駆り出されるため、悪魔の召喚方法などを探すのにうってつけだったという。
魔人の戦闘で帰らぬ人だと思われていたのも、その魔人と同じ悪魔と契約した直後に名前を変え、行方をくらませ、エレナという人物の存在を静かに風化させるためである。悪魔をもう一度見つけるために再びOCTに潜伏しようとするが、ジーノに彼女の正体を感づかれてしまった。
ジーノが受け継がなくてはならないと思っていた「突き」も、手っ取り早くOCTに注目してもらうためのその場しのぎに過ぎなかった。
しかし、ジーノはそんな「突き」に本気で憧れており、ルーチェ・マリーが死んでもこの技があれば生き続けると、本気で仲間を信じる発言をするが、それも虚しく、ルーチェ・マリーには届かず、悪魔の契約によるものであろう力でねじ伏せられる。
ケガを負ったジーノにOCTを除隊し、ルーチェの目に映らないところで生きるように突き立てられる。
そして、強いものとはどういうことかを言い残す。
「強いものとは、どんなものか?」
「それは、決してあなたのように一時の感情に左右されたり、熱くなったりしない者。」
「表面をすべて嘘で鎧い、本心は決して悟らせず、自分のためだけに、自分の剣だけを研ぎ続けられる者。」
「負けないことこそが、勝つということ。」
ルーチェは、やがて「最強の個」になり、滅びることもなくそうあり続けるといい、彼女のことを真似るといいと言って、この場から立ち去る。
今のジーノ・ロレンツィの姿も、仲間であるバロウズやオスカーに対しても壁を作る態度を取り、最強の個であり続けることから、彼女の言葉に影響されていることがうかがえる(なぜ途中でオネエになったのは最後まで分からなかったが)。