「誰のおかげって?
ったく、チームプレイをわかってねーやつばっかだよ」
CV:梶裕貴
概要
渋谷を拠点に活動するバトルクールチーム「ブルーブレイズ」のリーダー。
サマーニットキャップをはじめとするスタイリッシュな格好から受ける印象どおりのクールかつぶっきらぼうな性格の持ち主で、チームプレイや結束を何よりも大事にしている。そのため、一匹狼を気取って孤立しているチームのエース・ヒビキとは折り合いが悪く、事あるごとに彼に悪態をついている。
また、チームの拠点である『令洋』で観測生活を送っている科学者のマコトに対して強い恋心を募(つの)らせているものの、彼女へのアピールはしょっちゅう空回りしている。
そんなカイは、あるときヒビキが連れてきた不思議な少女・ウタが巻き起こす破茶滅茶な騒動に頭を悩ませるも、それと同時にヒビキからパルクールの技を教えてもらう彼女の成長ぶりから、彼女を「ブルーブレイズ」の新メンバーに加えられるかどうかを見定めるようになる。そして、ウタとの交流を通して少しずつ人間性が丸くなっていくヒビキに対しても、チームのエースとしてのリスペクトからくる信頼を覚えるようになっていく。
人物
容姿
目深に被った薄手のサマーニットキャップと、そこからこぼれる明るい色味のやや癖のある長髪が特徴的な、クールかつスタイリッシュな雰囲気を漂わせる青年(小説版、22ページ、106ページ、『バブル』オフィシャルブック、49ページ)。一重瞼(まぶた)の切れ長の目や不服そうな面付き、ガンガンと音を立てる荒っぽい振る舞いなどから、年相応のトゲトゲとした印象も受ける。(小説版、22ページ、119ページ)
普段はタイトめのノースリーブパーカーにハーフパンツという格好をしており、その服装から彼の趣味である機械いじりに対するこだわりをうかがい知ることもできる。(『バブル』オフィシャルブック、95ページ)
性格
チームプレイや結束を重んじる根っからの仕切り屋で、普段からぶっきらぼうな言動が目立つ。しかしながら、同時に誰よりもチームのことを大切にする熱血漢な一面も秘めている。(小説版、42ページ、155ページ、『バブル』オフィシャルブック、68ページ)
バトルクールの勝負に際しては、感情に流されることなく冷静に戦いの流れを見据え、そのなかから最善の判断を導き出すことを常としており、その卓越したリーダーとしての手腕と振る舞いは敵味方の双方から高い評価のもとに見られるものとなっている。(小説版、53ページ、195〜196ページ、213ページ、310ページ)
なお、カイの声を演じた梶裕貴は、カイの人間性について「思春期真っ只中を生きる、シンプルに熱くていいヤツ」と評しているほか、大人と子供の境目ほどのメンタリティ(年齢感)やリーダーとして慕われる空気感を出すために、シリアスとコミカルの匙加減や主要キャラクターたちとの距離感の配慮、作中の台詞に積極的にアドリブを織り交ぜたことなども語っている。(『バブル』オフィシャルブック、57ページ)
その他
- 「ブルーブレイズ」の試合前後のコール「青い炎で─── 焼ーきー尽くす!」の発案者であるカイは、ダサいと白けるヒビキやウサギとは対照的に「カッコいい」と思っている。(小説版、56〜57ページ)
- 『令洋』内で使っている自身の専用のマグカップには、「戒」という音の響きが気に入った自身の名前の当て字をサインとして書き込んでいる。(小説版、32〜33ページ)
- 物資運搬用のモーターボートの操舵(そうだ)はお手のもので、しばしば「ブルーブレイズ」のメンバーを乗せて水没した東京の街に繰り出している。(小説版、164〜165ページ、『バブル』オフィシャルブック、68ページ)
経歴
渋谷を拠点に活動するバトルクールチーム「ブルーブレイズ」のリーダーであるカイは、バトルクールの勝負に際してチームの作戦を示したり各メンバーに対してアタッカーやディフェンダー、ジャマー(陽動・撹乱役)といった役割を達するなど、自チームのメンバーの強みや相手チームの特色に基づいた適切な指示を下している(小説版、39〜40ページ、195ページ)。また、カイ自身はバトルクールで戦う際にアタッカーのポジションを受け持っており、ゴール地点に設置されたフラッグを奪取することを最優先にしつつ、道中に現れる相手プレイヤーをコース外に蹴り落としたり、不安定な足場から最善のルートを割り出しながら進むなどのプレイを見せている。(小説版、43〜44ページ)
バトルクールの勝負以外の日常生活においては、チームの拠点である『令洋』のさまざまな機械を趣味の一環で整備したり、『令洋』のマニュアルを片手に操船技術の勉強に打ち込むなどしている(小説版、105〜106ページ、『バブル』オフィシャルブック、68ページ、95ページ)。あわせて、バトルクールの勝負で手に入れた生活物資の余剰品をゴーストタウンと化した東京の街に残って暮らす一部の人々に配って回るなど、地域社会とのつながりも構築している様子もうかがえる。(小説版、156〜157ページ、『バブル』オフィシャルブック、68ページ)
主要キャラクターとの関係
ヒビキ
バトルクールチーム「ブルーブレイズ」のエースとして活躍している少年。
カイはヒビキのことを「ヒビキ」と呼んでおり、対するヒビキは「カイ」と呼んでいる。
いつも一匹狼を気取ってチームに協調しようとしないヒビキに対し、カイは事あるごとに「チーム・プ・レ・イ!」や「やっとお出ましだよ」などといったあからさまな不服ぶりをあらわにしている(小説版、21〜22ページ、41〜42ページ、100〜101ページ、107ページ)。バトルクールの勝負前後にかけるコールにおいても、ひとりだけ参加しようとしないヒビキのことをチームメンバーから言われた際に「今までいたことあったかよ」とうんざりした答えを返している。(小説版、56ページ)
しかしながら、ヒビキの卓越した身体能力とそれによる華々しい活躍には一目置いているところがあり、
彼の活躍ぶりを評価せざるを得ない状況においては、それを頑なに明かしたくないというプライドの高さも相まって意地を張ってしまうような一面も見せている。(小説版、53ページ、55ページ、155ページ、『バブル』オフィシャルブック、57ページ)
ウタ
『タワー』から落下して溺れていたヒビキを助けた不思議な少女。
カイはウタのことを「お前」「ウタ」と呼んでおり、対するウタは「カイ」と呼んでいる。
ヒビキとともに『令洋』に連れてこられた彼女(このときはまだ名前がつけられていない)の破茶滅茶な行いに、カイは当初「何してんだ!」などと振り回されていたものの、自身が憧れているシンから「彼女をここに住まわせてほしい」と頼まれたことで、「シンさんがそう言うなら……まぁ、住まわせますけど」としぶしぶ彼女を受け入れている(小説版、87〜88ページ、90ページ)。その後は、ヒビキに懐いて彼からパルクールの技術を教えてもらうウタの習熟ぶりを傍目(はため)から見て評価しつつ、彼女を「ブルーブレイズ」の新たなメンバーに加えられるかどうかを見定めている。(小説版、154〜155ページ)
マコト
都外にあるNPO法人から派遣された現地調査員の科学者。
カイはマコトのことを「マコトさん」と呼んでいる。
快活な「年上のお姉さん」であるマコトに強く惚れ込んでいるカイは、たびたび「うわ、これマジで美味しいです。マコトさん!」「俺は鶏なんかに絶対やられねっすよ」などといった熱烈な好意をアピールしている。しかし、マコトにとってのカイは異性として若すぎると見られているため、彼の渾身のアピールはそのたびに「あっそ」と軽くあしらわれ、相手にされないカイはその都度がっくしと肩を落としている。(小説版、31ページ、33ページ、36ページ、60ページ、『バブル』オフィシャルブック、57ページ、68ページ)
ウサギ
バトルクールチーム「ブルーブレイズ」の最年少メンバー。
カイはウサギのことを「ウサギ」と呼んでおり、対するウサギは「カイ」と呼んでいる。
お調子者でいろんなことに首を突っ込むウサギに対して、カイはしばしば「調子に乗んなよ」とたしなめたり注意を投げかけたりするなど、彼にとっての兄貴分のような立ち位置になっている(小説版、37ページ、44ページ、107ページ、272ページ)。とりわけ、ウサギがカイのことを茶化したりあからさまに手柄を独り占めしようとした際には、容赦なくヘッドロックをかけて懲(こ)らしめたりするなど、過激なスキンシップを日常のやりとりにしている。(小説版、33ページ、61〜63ページ、105ページ)
シン
バトルクールの立案者で、同ゲームの審判人を務めている男性。
カイはシンのことを「シンさん」と呼んでいる。
かつて伝説のパルクールアスリートとして名を馳(は)せ、バトルクールの発足時には多くの若者を導いたシンに対してカイは強い憧れを抱いており、無様な姿は見せたくないといった襟(えり)を正す思いのもとに接している(小説版、23ページ、61ページ、277〜278ページ)。ウタが『令洋』にやってきた際にカイが彼女を一緒に住まわせる決断をしたのも、自身が憧れていたシンから直接頼まれたことによるものである。
関連タグ
ヒビキ(バブル) - バトルクールチーム「ブルーブレイズ」のエースとして活躍している少年。
ウタ(バブル) - 『タワー』から落下して溺れていたヒビキを助けた不思議な少女。
参考文献
- 武田綾乃『小説 バブル』 集英社文庫 2022年4月30日発行 ISBN 978-4-08-744376-9
- 『バブル オフィシャルブック』 集英社 2022年4月28日発行 ISBN 978-4-08-102413-1