概要
頭を脇で抱えて腕力で締め上げる技の総称。プロレスにおいては新人が最初に学ぶべき、最も基本的な技の一つであり、派生技や連絡技、返し技も多数存在する。
第二次世界大戦以前の黎明期にはフィニッシュ・ホールドとしても使用されていたが、技が多様化するごとに痛め技、つなぎ技としての使われ方へと移行した。
新人レスラーはこのヘッドロックとドロップキック、ボディスラムで試合を組み立てられるようになることが第一歩となる。
サイド・ヘッドロック
ヘッドロックの最も基本的な形。相手の後頭部に左腕を回して巻き付け、頭を自らの胸に抱え込んだ状態で右手と左手を組み、締め上げることで、顔面やコメカミ、頸部を圧迫して苦痛を与える。
ロックアップ(カラー・アンド・エルボー)から移行したり、打撃で痛めつけてから相手を前かがみにさせて仕掛けたりする。プロレス界のお約束として、基本的に左脇に抱える事が多い。
著名な使用者は”ザ・ストラングラー”エド・ルイス、"ホッジ・ヘッドロック”ダニー・ホッジ等。
ヘッドロック・バリエーション
グラウンド・ヘッドロック
倒れた相手に仕掛けるサイド・ヘッドロック。総合格闘技でも吉田秀彦などが得意とする。
フロント・ヘッドロック
がぶり状態から仕掛けるヘッドロックで、スタンディング、グラウンドどちらの形もある。
同じ形から顔面ではなく頸部を狙うとフロントチョーク(フロントスリーパーホールド、ギロチンチョーク)、頸椎を狙うとフロント・ネック・チャンスリー(フロントネックロック)になる。
ブルドッギング・ヘッドロック(ブルドッグ)
考案者はカウボーイ・ボブ・エリス。相手を牛に見立て、頭を掴んだままねじり倒す(=ブルドッグ)ヘッドロックで、カウボーイギミックのレスラーに使い手が多い。スタンディングのサイド・ヘッドロックの状態から助走をつけてジャンプし、相手を抱えたまま仰向けに倒れこんで相手の顔面をマットに叩きつける。
日本ではブルドッ〈キ〉ングと誤った表記をされることも多い。日本人の著名な使い手はラッシャー木村、越中詩郎、中西学、菊タロー(ただし失敗ムーブ)等。
相手をロックせず髪の毛や後頭部を掴んで顔面を叩きつけると「フェイスクラッシャー(ワンハンドブルドッグ)」になる。
ヘッドロックからの移行例
・顔面への打撃
パンチや膝、凶器による打撃を繰り出す。コーナーポストに叩きつけることも。
タッグマッチの場合、ヘッドロックで相手を捉えてパートナーが攻撃する。または自軍コーナーに連れていき、タッチしつつツープラトン技に移行する。
スタンディングのサイド・ヘッドロックから自分の腰に相手の腰を乗せ、捻り倒す。相撲や柔道にも同種の技あり。
フロント・ヘッドロックで相手を抱えた状態から、自分の首を相手の首の下にくぐらせるように回転して相手と背中合わせになり、相手の頸部を痛めつける。
上記参照
初代タイガーマスクが考案。基本(左脇抱え)のサイド・ヘッドロックに抱えた後、自ら回転して右脇抱えに移行→相手の左手を取りつつ更に回転を続けてバックを取る→そのまま回転しつつ倒れ込み、蟹挟みを仕掛けて左脚を極める、というムーヴを高速で行う。
フロントネックロックの状態からブレーンバスターの様に後方に投げつけ、相手の背中をマットに叩きつける技。
受け手は首にもダメージが行くが、掛け手も腰に負担がかかるそうで、現在ではあまり使い手がいない。
名前が長いせいか「フロントネックチャンスリー(あるいは単にネックチャンスリー)」と略されることが有るが、これは前述通りの投げない技の状態なので厳密に言えば誤り。
ヘッドロックの返し技
・首を抜いてバックを取る
ムーヴとしては定番。ヘッドロックをかけ返すムーヴもあり。
・ハンマースロー
こちらも定番。相手をロープ際まで押し込み、ロープの反動を利用して首を抜きつつ反対のロープへと振る。
ヘッドロックの名手エド・ルイスの弟子だった"鉄人”ルー・テーズが考案。ヘッドロックをかけさせた状態から相手の背後へ回り込み、反り投げる。
バックドロップの要領で相手を抱え上げた後、相手の背中を自分の膝の上に落とす。
・ラテラル(抱分)
軸をずらして座り込みながら相手の足を払い、倒す。
関連タグ
フェイスロック:相手の背面から顔面を締め付ける。
スリーパーホールド(裸絞め):背後から顔ではなく頸部を圧迫する。