概要
日本国有鉄道が製造した石炭車の1形式。1951年から1965年にかけて2730両(セキ3000-セキ5729)が製造された。
最高速度は空車時65km・積車時は55kmまで。1968年10月1日のダイヤ改正以降は速度制限車両に指定され、側面に最高速度65km制限を示す黄色の帯が入れられた他、北海道地区で運用される車両には黄帯の部分に「道外禁止」の表記がされた。
運用
本形式は北海道の他に中国・九州地区でも運用された。また、国鉄では運用の効率上、1950年代までは鉱石輸送用ホッパ車の私有を認めなかったため、特定の荷主・区間では石炭車の使用を認めた。このため本形式は汎用ホッパ車の代用としても使われ、積荷も石炭だけでなく石灰石、鉄鉱石、硫化鉄鉱、甜菜の輸送などに使用された。
国鉄分割民営化時には日本貨物鉄道(JR貨物)にセキ3000形81両、セキ6000形536両継承されたが、石炭産業の衰退で北海道からは撤退しセキ3000形が1993年までに廃車され形式消滅となった。最後まで運用されていた美祢線美祢駅~宇部線宇部港駅間の石灰石輸送もトラック輸送に切り替えられ、セキ6000形も1998年までに全廃された。
改造など
セキ6000形への改造
セキ3000形は、積車時は最高速度が55kmに制限されるという欠点があった。これを解消するために、積車時でも最高速度65kmで運用できるようにしたのがセキ6000形である。
改造に際しては台車の枕ばねを柔らかいものに交換した程度である。これにより、台車形式はTR41Bとなる。1968年に岡山鉄道管理局所属の65両から改造され、その後は広島鉄道管理局や九州地区の運用車にも及び、北海道でも根室本線での脱線事故が相次いだことを受けて改造され1970年までに1509両(セキ6000-セキ7508)が改造された。
1968年10月1日のダイヤ改正以降は速度制限車両に指定され、側面に最高速度65km制限を示す黄色の帯が入れられた他、北海道地区で運用される車両には黄帯の部分に「道外禁止」の表記がされた。
ホキ650形への改造
消石灰輸送用として1971年に9両(ホキ650~ホキ658)が改造された25t積みホッパ車である。
改造に際してはホキ2800形との共通運用を行うため車体を切り詰めて重心を下げて台車をTR41Dに改造することで際高速度を75kmに引き上げホキ2800形に準じた屋根と積み込み口を追加した。
1979年10月に化成品分類番号「94」(有害性物質、禁水指定のもの)が追加された。
美濃赤坂駅を常備駅として西濃鉄道昼飯線昼飯駅から新湊線新湊駅及び信越本線妙高高原駅などへ運用されていたが1985年(昭和60年)に形式消滅した。
ホキ1900(2代)への改造
青函トンネル建設に伴うセメント輸送用として1972年に3両(ホキ1900~ホキ1902)が改造により登場した30t(後に20t)積みホッパ車である。
改造に際しては車体を撤去して台枠にタンク体を載せ台車をTR41Dに改造した。ホッパ車に分類されているが形態としてはタンク車に近い。
1968年10月1日のダイヤ改正以降は速度制限車両に指定され、側面に最高速度65km制限を示す黄色の帯が入れられた他、黄帯の部分に「道外禁止」の表記がされた。
上磯駅を常備駅として運用されたが実績は低く1982年に形式消滅した。
ホキ2100形への改造
釜石地区において石灰石及び鉄鉱石を輸送するための35t積みのホッパ車で1963年から1969年にかけて41両(ホキ2100~ホキ2140)が改造により登場した。
改造に際しては荷重増に対応するためブレーキを手動切り替えの積空ブレーキに変更したが釜石線は片勾配によるブレーキシューと磨耗が激しかったため1969年にブレーキ装置を改良するとともに制輪子をレジンシューに変更した。台車もブレーキ梁を強化したためTR4QC-2となった。
1968年10月1日のダイヤ改正以降は速度制限車両に指定され、側面に最高速度65km制限を示す黄色の帯が入れられた。
釜石駅を常備駅として上有住駅及び陸中大橋駅との間で運用されたが1980年(昭和55年)から廃車が開始され1985年(昭和60年)に形式消滅した。
ブレーキハンドルの移設
北海道地区及び九州地区で運用される車両は、架線電圧20000Vの交流電化区間があり感電防止のため妻面上部にあるブレーキハンドルを妻面に移設した。
譲渡
1979年(昭和54年)3月12日に太平洋石炭販売輸送に6両(セキ3309、セキ3660、セキ3866、セキ4101、セキ5062、セキ5206)が譲渡されセキ3001~セキ3006となった。
1980年(昭和55年)3月12日に太平洋石炭販売輸送に5両(セキ3108、セキ3129、セキ3240、セキ3478、セキ4662)が譲渡されセキ3007~セキ3011となった。
保存
セキ3820三井芦別鉄道炭山川橋梁上