カバーイラストは島田フミカネ(本文中に挿画なし)。
『オイレンシュピーゲル』『スプライトシュピーゲル』の続編にあたる。
上記二作の登場人物が互いに関わり合い、語られなかった物語の核に迫っていく、完成形にしてシュピーゲル・シリーズ完結作である。
同シリーズ特有のクランチ(バラバラ)文体はそのままに、オイレンシュピーゲルと同等かそれ以上に凄惨な描写が多く、更には社会問題、国際紛争など、ストーリーそのものが深い部分にまで踏み込んでいることが特徴。
また、ライトノベルであるにもかかわらず挿絵が少ないことも特徴で、今のところカラーページ以外にはイラストが存在しない。
さらには、あまりにも登場人物が多いため、登場人物紹介に2ページ、舞台設定や専門用語の解説にも2ページ分が割かれている。こちらは実際に見て確認して欲しい。
2009年12月に1巻が発売されて以来、数年間続刊の情報が無かったものの、約4年後の2014年に企画の再始動が発表され、kindleにて連載が開始。
翌2015年に5月から、2か月連続で「テスタメントシュピーゲル2」上下巻が発売された。
そして、2015年夏より、シリーズ最終章『テスタメントシュピーゲル3』の連載――だったが、色々あって劇中と同じ2016年に上巻、2017年に下巻が刊行。
テスタメントシュピーゲル1は、オイレンシュピーゲルのMPB側から描かれ、息をつかせぬ怒涛の展開が繰り広げられるとと共に、物語の根幹に関わる伏線が散りばめられている。
一方テスタメントシュピーゲル2は、スプライトシュピーゲルのMSS側からテスタメントシュピーゲル1と同じ時系列を展開していく形となっており、前巻で明かされなかった謎が明らかになっていく。
本作は『冲方丁最後のライトノベル』と称されており、冲方丁氏は、このシリーズの完結を持ってライトノベル作家からの引退を示唆している。