解説
『別冊少女コミック』(小学館)にて1995年4月号から1996年2月号まで、隔月で全6回連載された。
鎌倉を舞台に6人の男女の交錯する様々な恋のかたちとそれにまつわる繊細な心の機微を、同時系列の出来事をそれぞれの視点を通した3つのエピソードで描いているのが特徴。
また、海街diaryと世界観を共有しており、一部の登場人物やその関係者が海街diaryに登場している。
あらすじ
boy meets girl
高校3年生の川奈里伽子は断ることのできない性格のため惰性で男遍歴を重ねていた。そんなある時、一度だけ寝た同級生・藤井朋章に辛辣な言葉をかけられる。
周囲から悪いうわさの絶えない朋章だったが、彼が噂とは違い、本当はストイックで繊細な人物であることを知る里伽子。
ある日、彼女は酔って彼のアパートに寝かせてもらったとき思わず、自分の本心をつぶやいてしまう。翌朝、彼女は朋章にかけられた言葉から、二度とできないと思っていた自分の恋心に気が付く。
boy meets boy
朋章の後輩・鷺沢高尾は中学時代に朋章と同じバスケット部に所属しており、その頃から彼に憧れ、彼の様子が激変してからもずっと彼を見ていた。
高尾の1年後輩・緒方篤志は中学3年の時、中高合同の陸上大会の練習のとき、メガネを外した高尾に一目ぼれしてしまう。高尾の側にいるうち、しだいに彼が朋章が好きだということが分かってしまった高尾は、思い切って告白するが…。
girl meets girl
里伽子の2つ下の妹・川奈依里子は、小さな頃は姉と仲の良い姉妹だったが、今ではすっかり険悪な仲になってしまっていた。
友人の尾崎美樹の家は大家族であり、依里子はそのにぎやかな雰囲気が好きなため尾崎家にしょっちゅう出入りしている。姉とはちがい明るくてさっぱりした性格の美樹に依里子は惹かれていくが、その想いを口にすることはなかった。
一年前の夏、依里子は姉と美樹が一緒にピアノを弾いているところを目撃し、美樹が姉を好きなことを気づいてしまう。さらに高尾と緒方の会話から、緒方と高尾、朋章の気持ちの関係も知ってしまい…。