概要
工事現場やイベント会場などで、各種車両と歩行者が安全に通行できるよう、配置される人。
ライフライン、道路補修など公道を一時的に使用して工事を行わなければならない場合、所轄警察署で発行される「道路使用許可」の条件に「交通誘導員を配置すること」とある。
法律などで明文化された条項がないので、工事関係者で手が空いている者がやっても支障はないが、「交通誘導員は誘導に専従させること」という一文があるところもあり、また、片側交互通行など技能を要する場所もあることから、交通誘導警備を行う警備員がなっていることがほとんどである。
車両に対し行う合図
交通誘導員は交通の円滑を図るため、旗もしくは誘導棒(LED等の赤色で発光するバトン)により、以下のような合図を行う。
なお合図の方法、使用する機材は天候や時間帯、地域によっても異なる。
基本的には合図には赤・白旗を使用するが、地域によって赤・緑という組み合わせがある。
夜間や雨天時などは、旗が見えない・濡れて絡まるという理由で誘導棒を使用する。
片側交互通行を例に説明する。
停止
車両に対し正面に向き合い、左手に持った赤旗(誘導棒)を垂直に掲げ、これをピーッという笛を吹きながらを左右に15cm幅で2~3秒程度振る予告の合図を行った後、ピッという短い笛とともに肩の高さに振り下ろす。止まりそうにない場合、笛を吹いて停止を促す。完全に停止したことを確認し、協力してくれた運転者に対して一礼、左向け左をして(赤旗はそのまま車両に示しておく)、反対側からくる車両や、停止させた車両の群れに異常な動きがないかなど、周囲の安全を常に確認する。
※基本的には車に対し赤旗を出している、もしくは誘導棒を横や体の前に水平に出している場合、停止の合図と考えてよい。
進行
停止している車両に対し示していた赤旗をおろし、右手に持った白旗(誘導棒)を肩の高さから下方向に、体の中心線を超えるぐらいまで振る。
※相手が大型車の場合合図が見えにくいため、頭上で進行させたい方向へ振ることもある。
徐行
誘導員の立つ場所によって異なる
①工事区間より手前で、徐行・減速旗と書かれた旗を持っている場合、運転者へ文字を見せるように広げ、ピッピッと笛を吹く。
②工事の作業区画内、例えば重機のそば等にいる場合、片手を上下に動かし、押さえつけるような動作を行う。もしくは、横にした旗や誘導棒を上下させる。笛は動きに合わせてピッ、ピッと吹く。
車線変更
これは片側2車線以上ある道路で行う。走行車線側(左車線)で工事を行っている場合、右手に旗(黄色が多い。夜間等であれば誘導棒)を持ち垂直に掲げ、左側に振り下ろす。反対の場合、左右逆の振り方を行う。
交通誘導員の権限
交通誘導員は警察官と違い、他者を強制的に従わせる権限はない。
また、警察官の行う交通整理と違い、その場の信号・標識に従った誘導を行わなければならない。
これらは警備業法第15条に規定されており、交通誘導はあくまで通行者の協力よらなければならず、信号や標識に反する誘導を行えば、警備業法違反・道路交通法違反ほう助の罪に問われる。
だからといって、交通誘導員を無視していいというわけではない。
交通誘導員は権限を持たない分、無視されて起こった事柄に対する責任も存在しないのである。
わかりやすい例を挙げるなら、車が停止の合図を無視して進行し、何らかの事故が発生した場合、その責任は無視した運転者のものとなるということだ。
このような事態にならないためにも、通行者の方々には協力をお願いしたい。