概要
大正6年(1917年)に日本で公開されたトルストイ原作の戯曲「生ける屍」の劇中歌である。北原白秋作詞、中山晋平作曲の流行歌で日本初の歌う女優と言われた松井須磨子が歌った。後述する通り歌詞の一部が卑猥だと判断されて日本における発禁レコード第1号としても知られている。
日本初の発禁レコード
この曲が発売禁止にされたのは、2番の歌詞の一節が「かわい女子(おなご)と寝て暮らそ」となっているのを当時の文部省が猥褻扱いにしたからである。発売禁止は長野県をはじめ、山梨県・群馬県・神奈川県・静岡県等各地で広がった。しかしこの文部省の判断は当時としても「やり過ぎ」だと議論を呼び、反感を覚えた人が多かったのか、皮肉にもかえって売れ行きは伸びて、レコード売上は27万枚に達した。
歌詞
作詞した北原白秋は1942年に没しており、著作権が切れているため投稿する。
一、
今度生まれたら驢馬に乗っておいで
驢馬はよいもの、市場へつれて
そこで烏麦しこたま貰って
かわい女子と乗って帰えろ
二、
今度生まれたら金箱もっておいで
金はよいもの、呉服屋を呼んで
そこで緋繻子をどっさり買かつて
かわい女子と寝て暮らそ
三、
今度生まれたら鵞鳥拘いておいで
鵞鳥はよいもの、香水屋を呼んで
そこで、卵と品よく代へて
かわい女子のおめかしに
四、
今度生まれたら酒樽背負っておいで
酒はよいもの、たらふく飲んで
そこで、またまた卒倒して死んで
かわい女子を置きざりに