概要
「例の漫画」とは2020年10月15日にツイッターを震撼させた、あるWeb漫画のことである。
内容をざっくり説明すると、インディーズゲームメーカーの社長が新人の美大生に具体性のないモヤッとしたリテイク指示を上から目線で何度も繰り返し、それでも美大生が奮起して気に入った絵を仕上げたら最後に褒め称える……というものである。
断りを入れておくと、これはあくまでもフィクションであり、創作と現実を混同してはいけない。また、作中の社長(あるいは美大生)の思想と作者の思想がイコールではない可能性も考慮していただきたい。
この漫画について触れる人々の多くもそれは承知しており、あくまでも「例の漫画」と間接的に呼び、直接作品を晒すようなことはほぼ行っていない。故に、当記事でも直接外部リンクを貼ることは避ける。
なお、2021年7月5日のトレンドに表れたのは上述の作品とは全く無関係なのだが、作品名を伏せて「例の漫画」と拡散した結果としてtwitterトレンド入りしてしまった。→腐女子除霊師オサム
トレンドにて
「例の漫画」で検索しても元ツイートがなんなのかわからない者が続出し、しまいには「鮫島事件みたいなもの」「ズンドコベロンチョのように真相不明ネタ」と推測する者まで現れた程。
評価
賛否両論。
否定側の意見としては、主に作中の社長のようなクライアントにリアルで関わってしまった人からの非難……というより、「クライアントになる人は、この社長のマネをしてはいけない」という警鐘が多い。
さらに言うと「社長が行っているのは洗脳のプロセス」との指摘もある。
題材が現実における悪い意味でのあるあるネタであり、その気はなくてもクリエイターに心の傷やトラウマを作りかねないいい加減なクライアントを美化している点が刺さってしまった、という人は多い。
漫画の中では最後、クライアントに認められることで成長物語として成立しているものの、リアルではクライアントに振り回され続けた挙句に仕事自体が飛んでしまい、クリエイターは得るものが何も無い、という事例が少なくないのも当作を見たクリエイターのトラウマを刺激してしまった一因だと考えられる。
ただし、否定側にも「フィクションとしてなら面白い漫画」として認めている人は少なくない。
逆に、肯定側の人は純粋に成長物語であり、美談として楽しんでいるようである。
また、肯定側の人の中には、普段は幼児や女性を対象とした性的な作品や現実の犯罪を想起させる暴力的な表現に対し、何か言われると「これは創作なんだから誰かが現実で真似したらどうするとかあれこれ言うな、リアルと混同するな」と言うのに、この作品については「クライアントになる人が同じ事をしたらいけないと思って注意喚起してる」「これは洗脳に結び付く話だから良くない」「この漫画を見て多くの人がトラウマを刺激される」と、自分たちはOKだけど、そっちはダメという姿勢に批判的な人もいる。
ただし、このスタンスは「肯定」というよりは「批判の批判」にあたるだろう。
注意点として、前述したように「例の漫画」という呼び方と直接晒すような行為を避けること自体が現実とフィクションの混同を避けて、作者の表現の自由を守りつつ、作者に過度な批判が行かないようにする配慮の一環であることは忘れてはならない。
しかし一方で、「例の漫画という呼称で批判する姿勢が陰口のようで、見てて気分が悪い」とする声も見受けられ、感想が全体的に混沌とした状況になっている。
余談
社長が美大生に報酬を提示する場面で、電卓に9桁の数字(おそらく111,111,111)が確認できることから、「実は超優良案件なのでは?」という半ば冗談を込めた感想もある。