概要
「この話題を提示した途端誰もが口をつぐむほどの恐ろしく忌まわしいあの事件」というような設定のネタ。事件そのものは存在しない架空の事件であり、扱いとしては「牛の首」が近い。
発祥は2001年5月24日、2chに建てられた「伝説の「鮫島スレ」について語ろう」というスレ。
事件の内容やそれに対する質問が書き込まれた。しかし、このスレを立てた人物を含めて誰も事件の実像に触れないまま名前だけが一人歩きし、「公安が絡んでいる」、「事件について語るだけでも危ない」、「2chの影の部分」といった断片的なネタが追加されていったことで、次第に『鮫島事件=タブー』というネタが出来上がった。この鮫島事件が広まった当時は2chにまだアングラさが残っていたので妙なリアルさがあった。
とはいえ、発祥となったスレを立てた人物とスレ内で質問を行った人物のIPアドレスが一致したことから両者は同一人物であり、いわゆる自演を行っていたと思われる。怖いというか切ない話である。
その後スレッドを立てた本人を名乗る者が釣りであることを宣言した。
今でもときおり「『真相を探ろうとしたら消されるヤバい案件』というネタ」として話題に上がっており、この事件の話題が持ち出されると、「その話はまずい」という返信が来るのが定番。
さらには鮫島姓の実在人物やキャラクターになぞらえた風聞を提示する者、グリコ・森永事件犯人にまつわる話と言う説を掲げる者、将軍様の手先の事だとする者などなど様々なネタが加えられている。
ただ、何も知らない人に対していかにもそんな事件があったように思わせる釣りネタという側面もあり、20年以上前に生まれた話題であるため当時の詳細・状況を知らない層も多いのが現状。
そのため「表向きは存在しない事件として隠蔽されている」というネタや上記の実際の事件との関係を本気で捉えてしまう陰謀論者やマナーの悪いオカルトファン、これを下に政治・警察批判をする者も全くいないわけではなく、所謂「公式が勝手に言ってるだけ」に踏み入りつつあるという問題も。
この記事の概要でも長らくの間「表向きは架空の事件となっている」というオチが使われていたことからも、ネット掲示板にアングラさのあった時代だからこそ生まれ、楽しまれたジョークだったと評価できよう。
余談
- 鮫島事件はネット上での都市伝説の成り立ちにおけるモデルケースとして扱われることもある。
- 実際に2chで規制されている話題としては某弁護士の騒動がある。今でこそ本人も笑い話にしている(そもそもの原因は本人とその依頼人の方なのだが)が、訴訟を誘発しかねないタブーな内容を多く扱っており、今なお関連ワードが規制されている。
- 明治時代の1911年11月1日に現在の八戸市で発生した"八戸浦クジラ事件"こと「東洋捕鯨鮫事業所焼討事件」(海を荒らす捕鯨業者への漁民の怒りが爆発して発生した暴動。日本最大・最後の漁民一揆)は稀に「鮫浦事件」や「鮫村事件」と呼ばれることがあるため、鮫島事件と間違える人も見られる。これもまた、鮫島事件の実在を信じてしまう人の出現に一役買っていると思われる。
- 似たような事件として、1968年6月に日本経済新聞社の鮫島記者が中国当局にスパイ容疑で長期勾留された事件も「鮫島事件」と呼ばれることもある。注意されたし。
- 2011年に『2ちゃんねるの呪い』というホラー作品群の一環として映像化されている。そして時が流れて2020年、再びこの都市伝説を素材とした映画「真・鮫島事件」が公開されることが公表された。