概要
昔、ネットで話題になった「国営放送の放送終了後に謎の映像が流れる」という都市伝説の1つである。
本当にこれが放送された訳ではなく、実際に放送時刻が過ぎてから航空機か何らかの臨時放送はあった、とも言われている。
深夜、放送終了後にカラーテロップが突然消え、暗いクラシックの音とともに人の名がスタッフロールのように流れる。元の番組の名前は「明日の犠牲者」。それは読んで字のごとく、明日犠牲になってしまう人の名前を挙げるというものである。
ニコニコ動画やYouTubeで動画を検索すると、ゴミ処理場や寂れた工場の風景と不気味な音楽をバックに、様々な人の名前が画面下から上へ流れてゆき、最後に「明日の犠牲者はこの方です。おやすみなさい」といった文章が表示された後、顔面蒼白の顔が出てくる動画が多い。因みに、その顔の正式名称は「jeff_the_killer」。動画にはパターンがいくつかあるが、最後に顔が現れるビックリ系が多いので苦手な人は注意。
もちろんこれらネット上に存在する動画は創作であり、流れる人名に注目すると存在しない企業の名があったり、ふざけているとしか思えない名前や、とんでもない年齢の人がいたりする。
内容
「(※2000年代から数えて)15年くらい前夜中の2時30分頃テレビをつけたらカラーバーが映っていて(あたりまえですが)ああ、やっぱりこの時間は放送やってないな、寝ようとふと思ったその時急に画面が切り替わってゴミ処理場が映し出されました。そしてテロップにNNN臨時放送と出てひたすら処理場を遠景で映し続けるのです。なんなのだろうと思って様子をうかがっていると人の名前がスタッフロールのようにせり上がってきてナレーター?が抑揚のない声でそれを読み上げていきました。バックには暗い感じのクラシックが流れだいたいそれが5分くらい続いたでしょうか、最後に「明日の犠牲者はこの方々です、おやすみなさい。」と。
それ以来深夜放送が怖くてたまりません。周りは誰もこの話を信じてくれないし…」
「内職を夜中までやっていてTVをつけたまま寝てしまいふと起きると画面は放送終了の砂嵐。こんな時間だし本格的に床につこう思い片付けをしていた時プツっと砂嵐の音が途切れ無音状態になった。とりあえずTVを消そうと画面に目をやるとそこには緑の顔の男が写っていた。静止画のようにも人間がそこに居るようにも見える顔。一瞬何が起きているのかわからず見続けていると突然、緑の男の目が視線をこちらに向けた。当然恐怖にかられ、すぐに電源を落とし震えながら寝た。(当時リモコンなし)
同じようなことがもう一度あり、今度は砂嵐なのだが目と口の位置がアリ地獄のように窪み何かわからない言葉を話しているように聞こえた。
未だにTVの放送終了が苦手。約20年前の放送終了後の話。あれは一体何だったのだろうか。」
推測
※「ただのネタだろ」が一番正しいのかもしれませんがそれではつまらないので、記憶の混同説を中心に検証します
日本テレビ絡みと思われるもの
国営放送・受信料の謎
バリエーションとして、「国営放送で放送されていた」「受信料不払い者のリストを映している」というようなものがある。
しかしNNNは国営ではない。国営に近い性格を持つのはNHKである(独立採算制だが予算は国会での承認が必要)。
NNNは日本テレビ放送網をキーステーションとする民放テレビ局のニュースネットワークである。もちろん受信料も取らない。
2004年頃にNHKのトラブルが相次いで受信料不払い運動が起きたことがあり、「受信料~」型の亜種はそれに便乗した創作の可能性がある。
ゴミ処理場とクラシック音楽
「ゴミ処理場のイメージ」であるが、深夜番組の「NNNドキュメント'84」のオープニング映像は「ゴミ処理場で遊ぶ子供」というもので音楽もクラシック風である。
また、この頃の日本テレビは5時台のオープニング前と、24時以降のクロージング前に、クラシック以外も含んだイージーリスニングの曲を流していた。
緑の男
もうひとつの「緑の男」の話だが、これは松本人志の可能性がある。日テレ(NNNの親玉)の『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』の企画で「松ちゃんカラーバーでTVジャック!!」(1992年)というのがあり、松本が顔を緑に塗って「ピーーーーーーーーーー」と言い続けていた。本当にあった怖い話である。
内容はシュールギャグなのだが子供なら顔を塗りたくった松本人志は怖いかもしれない。
ただし、これは放送終了ではなく放送開始時(日テレオープニングである鳩の休日の後)に流れた。
カラーバー中断の謎
カラーバーを中断して番組を流すというのはアナログ時代には関東広域圏では珍しくなかった。
と言うのは、関東広域圏のテレビ放送は東京タワーから集約送信されていたのだが、何らかの理由で東京タワーが使用できなくなった際を考慮し、自社送信設備からの放送を想定し、関東広域圏の民放各局が定期的に試験放送を行っていたのである。
特にこれを繰り返していたのが日テレ。というのも、正力タワー構想に拘泥していた日テレは、東京タワーに送信所を移転した時期が遅く、本社(旧社屋。後の日本テレビ麹町分室)にかなりの規模の送信設備を持っており、頻繁に本社送信設備からの試験放送をやっていた。ちなみにこの時に使われたのは、「鳩の休日」をテーマにしたカラーの静止画である。
ちなみに東京タワーが機能ロストとなることはなく、地上デジタル放送移行に際しては、新たに建設された東京スカイツリーへ集約、以降はNHK・民放各局とも本社送信設備の地上波放送用の機能を廃止し、BS・CS放送の送信施設として活用している。
他にも、深夜帯には減力放送試験、かつて行われていたEDTV II試験、地デジ化試験などがあったが、これは一般人からすると番組表に載っていない意味不明な映像であるがホラーではない。
また可能性としては、自県の局が放送終了し砂嵐になった後に、他県のまだ放送している局の電波がわずかに入ったというものがある。
日航123便墜落事故との関係
体験者自身の記憶の混同によるものや、夢体験を長い期間を経て実体験と勘違いしてしまっていたなどの原因があったのではないかと推測される。
その元体験をさらに推測すると、まず『淡々と読み上げられる“犠牲者”の名前』これは『明日の犠牲者』ではないが、実際にあった。1985年の日本航空123便墜落事故である。この時、遺体から身元を判別することが困難な為、搭乗者名簿から安否確認を呼びかけるためにその読み上げが行われたのである。特に、民放では一般の放送が終わった(当時は24時間放送ではない)後の時間帯を使って行われた為、深夜に目にする機会は多かったと思われる。とりわけ事故当日の深夜である1985年8月13日未明放送のFM東京系列の音楽番組「ジェットストリーム」では、報道特別番組の形をとってMCの城達也が搭乗者名簿の名前を読み上げていたといわれる。
特に航空機事故の場合はカタカナ表記で行方不明者の名前をテロップとして流す場合もあるのでカタカナ表記の羅列がどこか不気味な印象を与えたのも一因ともいえる。
1986伊豆大島・三原山噴火との関係
日航123便と合わせて、時期的に判断すると1986年の伊豆大島・三原山噴火も元ではないかと疑われる。この際、無人カメラで裂け目噴火口から流れ出る溶岩が荒涼とした地表を流れる映像が映し出され、特にNHKでは通常放送終了後終夜放送でこの映像が流された。また、全島避難中の島内に無断で上陸し家庭用ビデオカメラで山中や噴火口近くを撮影したバカがおり(しかも複数)、在京キー局に持ち込んだためこれが繰り返し放映された。
深夜放送との関係
放送終了のクロージングコールサインでは上記に似た映像が流れていたテレビ局もある。NNNであれば北日本放送の1980年代~1990年代のクロージング映像がこれに近く、暗い音楽に合わせて中継局リストが流れ、技術情報を読み上げるというものであった。
また関東広域圏ではこの時代のTBSのオープニング・クロージング映像(通称「ガラス棒」)がちょっと怖いということで有名。
またとちぎテレビでは平日深夜におくやみという番組があり、上記とほぼ同様の番組が日常的に行われている。とちぎテレビの開局は1999年であり、かなりズレているものの、そもそもこの番組自体がかつてテレビ大阪や千葉テレビにおいて葬儀社提供で行われていた同様の番組のプラットフォームを模倣したものであるとされている。
このプラットフォームは、この他に富山や岡山、島根のケーブルテレビでも使用されている。
余談
この他、静岡某局で深夜に局員が放送機材でAVを視聴していたところ間違って電波に乗ってしまったという本当にあった怖い話もあるのだが…
まさかの再現?
任天堂のとびだせどうぶつの森において家具のテレビを深夜につけっぱなしにしていると、深夜帯のある時間にカラーバーから突然謎の映像が映る。
おそらくはこの「明日の犠牲者」を元ネタにした隠し要素だと思われる。