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影の大王

かげのだいおう

影の大王とは、エミリー・ロッダ原作の『デルトラ・クエスト』登場するキャラクター。
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影の大王、狐のごとく狡猾にして、あきらめることを知らず


そのケダモノの怒りと嫉妬においては、千年の時も一瞬にすぎない


概要編集

デルトラ王国の北の地に位置する「影の王国」の支配者にして、作中でも最大最悪の敵。シンボルとして手形に目玉の付いたマークが存在し、烙印などにこれを用いている。


人物編集

美しいものや清らかなものを忌み嫌い、冷酷非情かつ極めて残酷な性格。

「実験」の類が好きらしく、無力な人間を捕らえては闘技場へ連行させて自身の作り上げた怪物と死ぬまで戦わせたり、人間を怪物の姿に変えてしまうなど、その嗜好は悪趣味の一言に尽きる。

その強大な力によって多くの配下を持っており、彼らからは「大王様・ご主人様」と呼ばれているなど基本的に忠誠を誓われているが、一方の本人は配下のことを駒程度にしか思っておらず、少しでも失敗をしたり機嫌を損ねられると当然の如く粛清、罵倒、嘲笑、あるいはそれ以上の罰を与えている(それなりに成果を出した者には一定の褒美を与えることもある)。

また、かなりの策略家であり後述する過去の経験もあって幾重にも張り巡らせた謀略を駆使するほか、その成就のためには途方もない年月を浪費することも厭わないほど執念深い。


過去編集

古の時代より存在していたらしく、元々は人間の魔法使いだった。しかし、当時から美しいものや清らかなものに対する嫉妬や憎しみは備わっており、そうしたものや弱い存在を虐げていた。

ある時、「銀の海」と呼ばれる海域に浮かぶ小さな島で暮らしていた、とても美しい歌声を持つ四姉妹に例の如く嫉妬し、彼女らを島の四隅に幽閉した。しかし、それでも四姉妹は歌を止めなかったため、怒りに身を任せて四姉妹を殺害した結果、四姉妹の歌声で眠りについていた恐ろしい怪物を目覚めさせてしまい、命からがら逃げ出した。以来、この経験に大きな屈辱を覚えることとなる。

その後はデルトラの北に位置していた「ピラ」という美しい土地に目をつけ、そこの住人たちを仲違いさせることでじわじわと破滅に追い込み、程なくピラを乗っ取って影の王国を建国した。

やがて山脈を隔てた南にある「竜の地」ことデルトラの地を支配しようとあらゆる謀略を仕掛けたが、デルトラの七部族を統一し初代国王となったアディンおよび七部族の協力と宝石を得て作り上げたデルトラのベルトの力により敗北し、影の王国に閉じ込められてしまう。しかし、気の遠くなるような年月を経てもデルトラへの支配欲は衰えておらず、いつの間にか人間性も滅び去って人ならざる者へと変貌していた。


部下・使役する怪物および関係者編集

部下・使役する怪物編集

影の大王からデル城の管理を任されている男。大王の信頼を得ており、それゆえに他者を見下している。ベルトを完成させて乗り込んで来たリーフたちと交戦するが、最後はエンドン国王とシャーン王妃に鎖を巻きつけられた末に焼死した。


  • 主席顧問官たち

影の大王がデルトラ王室内に送り込んだスパイ。何世紀もかけて言葉巧みに王室を堕落させていった。


  • アグラ

エルスデット朝の女主席顧問官。贅沢三昧の国王にベルトを常備しなくても良いのではと進言し、王室を堕落させるきっかけを作った。また、自分にとって目障りだった国王の弟・バラムを嵌めて追放した。


  • ドラーム

ルカン朝、ガレス朝の男主席顧問官。「四人の歌姫」を配置するなどして暗躍したほか、ドランを警戒しており、彼の教えを受けていたガレス国王に『デルトラ王国探検記』を読ませないように妨害した。


オルトン朝、エンドン朝の男主席顧問官。オルトン国王を暗殺し、エンドン国王の信用も失墜させた。また、自分の正体に気づいたジャードを城から追放し、ベルトを破壊して影の大王の勢力を城へ招いた。後に城へ乗り込んで来たジャードと真実に気づいたエンドン国王を殺そうとするも、シャーン王妃の機転で塔から転落死した。


  • ネズヌク

表向きはチュルナイの街を治める清浄委員にして僧侶だが、実際は大王の手下たち。チュルナイで作った食料をデル城へ運ぶ役割を担っている。

第二作の冒頭では、チュルナイの人々を影の王国へ連行したことが語られている。


  • ライ

ネズヌクの主席。リーフたちと接触するが、フィリを邪悪なものと見做して襲いかかる。しかし、ティラの協力で倒され、最後は処理場の通路に生えている毒キノコに侵されて死亡した。


  • 影の憲兵団

文字通り影の王国における雑兵たち。兄弟の如くそっくりな10人一組で常に行動し、作中ではカーン隊・パーン隊・バク隊・クロップ隊が登場している(アニメ版では、カーン隊は大王直属の精鋭部隊として扱われている)。

仲間内では●●(部隊名)▲(1から10の数字)号と呼び合い、その性格は傲慢かつ粗暴なもの(アニメ版では、失敗作として6号という心優しい憲兵が登場した)。ジャスミンからは集団で育てられていると思われていたが、実は影の大王による魔力の産物であり、影の王国の工場内にある培養液で満たされた容器の中で部隊ごとに製造されている。そのため、影の憲兵団には使用期限が存在しており、期限を過ぎると生きたままゴミの山へと捨てられて新しい部隊と交換され、捨てられた者たちは生きながらにして腐敗していく様を味わうことになる。

使用する武器は「火ぶくれ弾」と呼ばれる毒入りの投擲爆弾のほか、「火花棒」という相手に打ち付けると火花を発する警棒。


死肉を喰らい、千年生きると伝えられる巨大な怪鳥。7羽存在する。


  • リア

ネズミの街に巣食う大蛇。頭の王冠にオパールをはめている。元々は小さな蛇だったが、大王配下のネズミ取り(ネズヌクの先祖)たちからネズミを与えられて巨大化した。

オパールを奪還すべく乗り込んできたリーフたちと交戦したが倒され、その遺体は散々虐げてきたネズミたちに食べられた。


  • ブラール

暗緑の甲殻と鋭い鉤爪、ムチのような長い尾、パックリ裂ける巨大な口と長い牙、強靭な蹄を持ち、体高こそ人間と同程度だが体長は人間の数倍を誇る二足歩行の怪物。闘うためだけに造られた究極の殺人マシーンであり、戦闘と鮮血を好む戦闘狂かつ極めて残忍な性格であり、標的を見つけると本能のままに甚振り暴れ回る。標的の範囲は時に影の憲兵団にまで及び、彼らからも恐れられている。一方で頭はあまり良くない。普段は闘技場で捕虜を惨殺するために飼育されているようだが、個体の中には脱走して影の王国内の荒れ地を彷徨いていたり、山脈を越えてデルトラ王国内の「恐怖の山」にも生息しているものもいる。


  • ゲリック

「恐怖の山」の小人族を暴力で支配している巨大なカエルのような怪物。ハエが好物で額にエメラルドを埋め込んでいる。横暴かつ傲慢な性格で、少しでも気に入らないことがあると小人族を容赦なく粛清する。身体から滴り落ちる毒液は火ぶくれ弾の原料。

エメラルド奪還を目指すリーフたちとクーデターを試みる小人族の利害が一致したことで交戦したが、最後はリーフの機転で「夢の泉」の水(この水は悪しき心を持つ者が飲むと報いを受ける)を飲まされて巨木と化した。


  • オル

白いブヨブヨの身体を持つ、右胸に心臓を宿す怪物。その手で首を絞められると身体の芯まで凍りつく。本種の最大の特徴は他のものに化けることができる能力であり、人間や動物などに化けることで相手を油断させて襲ったり、組織を中から崩したりする。

3つのランクに分かれており、1番下のCオルは生き物にしか化けられず体温の真似や飲食はできないほか、3日以上は姿を持続できない。真ん中のBオルは飲食や体温の真似はある程度できるが、Cオルと同様に3日以上は姿を持続できない。1番上のAオルは生き物の真似を完璧に再現できるほか、無機物にも化けられるため、影の大王による計画においても重要なポジションに置かれている。

しかし、性格は「好奇心やプライドが高い割には気が弱く、自惚れ屋」などと評されており、デルトラを支配する計画が失敗したこともあって第二作の時点では影の大王に愛想を尽かされ、憲兵とともに処分される末路が示唆されている。


表向きは影の大王に抵抗する組織『レジスタンス』に属するメンバーであるが、その正体はオルの中でも最高傑作であるAオル。優しい性格を演じ、レジスタンスおよびリーフたちの情報を影の大王に逐一報告するなどスパイの役割を果たしていた。本性は非常に用心深く計算高い性格であるが、傲慢な一面もあり自分の力を過信してトーラに立ち会った際は魔力によって死にかけている。

暗躍することで自分がエンドン国王の世継ぎであるとリーフたちに誤認させ、まんまとベルトを奪ったうえで正体を明かし、リーフを追い詰めるが、最期は一瞬の隙をつかれてベルトを巻かれてしまい、その魔力によって消滅した。なお、この一件がきっかけでオルは影の大王に愛想を尽かされてしまった。

アニメ版では、ダメージを負った部位が超強化されて再生するという特殊能力を持っている。


  • 三-一九号

第二作に登場したAオル。影の憲兵団を製造する工場の管理をティラとともに任されているが、オル全体が影の大王の信用を失っていることや、ティラが「転換計画」の産物であるために彼女からは見下されている。

影の大王が「転換計画」を実行しようとする際には、虫を入れてある箱を開ける役割を命じられたが、リーフが時間稼ぎとして放った「転換計画が完了すればオルは処分されるだろう」という言葉に惑わされてしまい、最後は箱を開けると同時に死亡した。


  • 転換計画の虫(仮称)

第二作から登場。影の大王がオルに代わって作り上げた産物。小さなミミズのような虫であり、人間の耳から脳に侵入して乗っ取る。そのため、ベースはあくまでも普通の人間であるかつ完全に従順であり、人間の代理に過ぎず良くも悪くも自我を持つオルの欠点を補った存在。試作品の段階では乗っ取った人間の身体のどこかに異常がでる副作用が確認されたが、完成品ではそれらを克服し、影の大王はデルトラから連行した捕虜にこの虫を植え付けて解放し、デルトラを乗っ取るつもりでいた。しかし、完成されたピラの笛を携えて影の王国に乗り込んできたリーフによって吹かれた笛の音により、人間の身体に入る前に全滅した。


  • 四人の歌姫

影の大王がデルトラをじわじわと破滅させるために何世紀もかけて仕掛けていた産物。デルトラの東西南北に番人とともに配置され、それぞれ「○(方角)の歌姫」と呼ばれる。「東の歌姫」は竜の巣に置かれた脈打つ卵のような物体、「北の歌姫」は影の門に置かれた黄色の縞模様を持つ太った蛇のような物体、「西の歌姫」は死の島に置かれた筋走ったゼリーのような物体、「南の歌姫」はデル城の地下に置かれた妖しい宝石のような物体。それぞれが魔力を発してデルトラの大地を毒していたが、いずれもリーフたち及びデルトラの竜たちによって滅ぼされた。


  • ロルフ

「東の歌姫」の番人であり、伝説の生き物とされるカプリコンの生き残り。古代に滅んだ故郷の幻影に耽っていたところに影の大王と接触し、ルビーの竜に化ける魔力を授かった。気弱で軟弱だがプライドだけは非常に高い性格。

リーフたちと接触し、ルビーの竜に化けて彼らを殺そうとするが、直後に目覚めた本物のルビーの竜の襲撃を受けて一瞬で惨敗。しかし、最後までリーフたちに侮蔑の言葉を吐いて死亡した。


  • クリステン

「北の歌姫」の番人であり、影の門に住む少女。自らの美貌に絶対の自信を持っている傲慢な性格で、かつて村を訪れた旅芸人・仮面一座(当時の主席顧問官の策略で追放されたエルスデット国王の弟・バラムが身を隠すために興した仮面を被る旅芸人の集団。歴代の座長はバラムの子孫であり、デルトラの国王と同じ血が流れている)の座長の息子であるファドレラにアプローチを仕掛けたがこっぴどくフラれてしまう。挙げ句にファドレラが自身の妹であるマリエットに本気で恋をしたことで心を闇に堕とし、影の大王の手下となって「仮面の人」と呼ばれる怪物に変身できる魔力を授かり、マリエットを封印したうえでファドレラを監禁していた。

リーフたちと接触し、ファドレラが送った歌に込められたメッセージに気づいたリーフに正体を見破られて交戦。一時はリーフを大量の蛇が巣食うほら穴に落として勝ち誇る。しかし、リーフからはファドレラという1人の男すら振り向かせられなかったと皮肉られたことで動揺して変身を解いてしまい、ベルトの魔力を恐れて穴を登ってきた蛇が髪に絡みついて毒牙を突き立てたことにより死亡した。


  • ドラン

「西の歌姫」の番人である老人。元は伝説の探検家にして通称『竜好きのドラン』。デルトラの地下世界を発見してそこの住民と交流したほか、デルトラの竜を愛し、彼らからも愛されていた。デルトラへの愛も強く、「四人の歌姫」計画を阻止しようと動いていたが、影の大王によって、自分がその番人とさせられ何世紀も生きながらえるという罰を受けた。

死の島にてリーフたちとアメジストの竜に接触し、彼らによって「四人の歌姫」計画が阻止されつつあることを知り安堵。最後は本当の死を迎えることを望み、死後の再会を誓ったアメジストの竜によって葬られた。


  • 金貸しジャック

影の大王の手下。平原族の男であり、トムとアバの兄。性格は非常に冷酷かつずる賢い。弱者に親切心を装って金を貸し、後に本性を現して相手の全てを奪い去る。かつては「ジェームズ・ガント」を名乗って「幸運の女神号」という賭場を開いており、その頃から影の大王の手下としてトーラの魔力に守られていた骨岬灯台の灯を消してデルトラと外国との交流を絶ち、挙げ句に水夫たちを騙して船に何年も縛り付けていた。

リーフたちが「北の歌姫」と接触する前に登場し、デルトラのベルトを処分しようとしたが失敗した。しかし、その時は何とか逃げ仰せ、後に「西の歌姫」が撃破された後に再会する。大王の手下に返り咲く見返りとしてジャスミンを人質にベルトを強奪しようとするが、彼女の機転で水夫たちとの契約の呪いが発動してしまい、最後は幽霊船と化していた幸運の女神号に引き摺り込まれて消滅した。


  • パフ

「南の歌姫」の番人であり、デル城の図書室員。表向きは金髪の勤勉な女性を装っており、裏で食材に毒を盛ることで、伝染病が発生しそれがトーラ族によるものというデマを流してデルとトーラの関係を壊そうと目論む。さらに、大王から授かった魔力でスライムのような異形の怪物を操り、リーフたちを追い詰めるが、最後は「四人の歌姫」計画に飽きて次の計画を実行しようとする大王に魔力を取り上げられて見捨てられたことを悟り、自らベルトに掴み掛かって安堵したような声をあげて死亡した。


  • 最大にして最後の計画(仮称)

「四人の歌姫」が倒された後に発動するように仕掛けられていた産物。灰色のねっとりとした液体であり、デルトラの大地を餌にどこまでも侵食し、王国全土を飲み込むという恐るべき力を持つ。デルトラ中央部の街・ヒラ(ネズミの街)から発生し、デルトラ全土を飲み込もうとするが、リーフの呼びかけに馳せ参じたデルトラの竜たちが力を合わせた結果、完全に焼き尽くされた。


関係者編集

デルトラの北東部を根城にする邪悪な魔女であり、美しいドールの街を「嘆きの湖」に変え、それに抗議したララド族から声を取り上げている。

大王とは協力関係にあるため、強大な魔力を有している。


  • イカボット

テーガンの子供の1人。テーガンの死後も大王と繋がりがあり、第一作の終盤でリーフたちを襲った。


劇中の動向編集

第一作ではエンドン国王の信用を失墜させ、デルトラのベルトを破壊することで王国の乗っ取りに成功する。しかし、ベルトの宝石を全て奪還しデル城に乗り込んで来たリーフたちとの交戦の末にベルトの魔力によって退けられ、デルトラ王国から追放された。

第二作ではデルトラを内部から破壊するために大量の捕虜を使って「転換計画」を実行しようとするが、地底世界に逃げていたピラの民たちから魔法の笛・ピラの笛を携えて乗り込んで来たリーフたちに計画を阻止され、捕虜たちも奪還されてしまう。

第三作では本編開始の数百年前から仕掛けていた「四人の歌姫」計画を本格的に実行し、デルトラをじわじわと破滅に追い込もうとするが、リーフたちの奮戦によって歌姫たちを倒される。しかし、その後に最大の罠を仕掛けており、今度こそデルトラを滅ぼそうとするが、リーフの呼びかけに馳せ参じたデルトラの竜たちによってアクババを4羽失ったうえに計画も完全に潰される痛手を負った。

しかし、結果的に自身は消滅しておらず、その後もデルトラの地を虎視眈々と狙っている模様。一方のリーフもそれを常に忘れず、ベルトを常備して警戒を続けている。


関連項目編集

デルトラ・クエスト

リーフ

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