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はじめに編集

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作品解説編集

『マンガワン』にて2021年11月24日から、『裏サンデー』では同年12月1日から連載されている。

この作品は、弁舌を駆使して日本を再統一しようとする主人公の様子が中心に描かれている。


文明崩壊後の日本が舞台となっている歴史フィクション漫画。後に奇才軍師と呼ばれる主人公、三角青輝(みすみ あおてる)を軸に日本再統一までの歴史を辿っていく漫画である。


2023年5月、聖夷西征編の終了をもって作者の体調不良、および展開の再構成のために長期休載となる。

その後2024年3月27日より、『マンガワン』にて「平家追討編」の連載を再開した。


あらすじ編集

令和末期、衰退した日本は世界で起きた核戦争の影響で多くの難民が流入した。そこからCOVID-19を超えるウイルスの猛威や東北大震災を超える大震災、悪政、重税に飢饉の影響で民衆の暴力革命が起き国体は崩壊。人口は10分の1以下まで減り文明は明治時代初期のレベルまで落ちた上に大和武凰聖夷の3つの国に分裂することとなった。そこからおよそ1世紀の時を経た大和歴56年、大和の愛媛郡に生まれ育った三角青輝を軸に日本再統一の物語が幕を開けるー。


ここまで読めばお分りになるだろうが、物語の作り込みが半端でないのである。

日本が衰退の一途を辿った過程から三国鼎立に至るまでの歴史が作中で事細かに描かれており、作者が独自に漫画内の出来事の年表まで作っているほどである。(しかも日本の衰退、核戦争に至るまでの過程、国体崩壊の様子などが不気味なほどに現実味があるものとなっている)


三国の内訳編集

大和(やまと)

三角の生まれた国。首都は大阪。最高統治者は大和帝→天満王(平殿器)、後に国家象徴が大和帝。政体は君主制。主たる農業は耕種と畜産。大和暦60年時点での人口約460万人(うち将36万・官6万)、64年では約620万人(うち将39万、官12万)。国の領域は旧愛知県から西の旧関西・西日本(沖縄を除く)。後に旧新潟、富山、石川の各旧県を聖夷より奪取、領土を拡大。


武凰(ぶおう)

首都は小田原都(旧神奈川県)。最高統治者は武凰帝。政体は君主制。主たる農業は耕種と畜産。大和暦60年で人口約317万人(うち将が20万・官4万)、64年では410万人(うち将39万、官8万)。国の領域は旧岐阜県から旧関東・東北は旧宮城県までの太平洋側。


聖夷(せいい)→奥和(おくわ)

首都は聖籠(せいろう)都(旧新潟県)→霞城都(旧山形県)。最高統治者は大統領(大和暦60年の政変後の一時期は総帥)、奥和となってからの執政は天満王・平殿器。政体は共和制。主たる農業は牧畜・耕種、狩猟。大和暦60年の人口約194万人(うち将18万・官6千)、64年の人口約280万人(うち将24万、官4万)。元の国の領域は旧石川県から北の日本海側と旧岩手県・北海道。

大和暦60年、大和に対して西征を行うも敗北、戦後の講和会議において平和的合意が締結されるも、会議の途上で平殿器による謀略により合意は破棄の上、平殿器率いる大和軍の侵攻を受け数十万の国民が虐殺され、首都を占領されたことで滅亡する。

大和暦62年、北陸の領土を割譲の上で大和の傀儡である「奥和」として生まれ変わる。(後に描写された世界地図では領域に千島列島も含む模様。)


なおこの世界線では沖縄県は独立して琉球国となっている。


海外についても、かつて存在したものとほぼ同じ領域に多民族国家である「渤海国」が存在するなど、世界規模の大戦の影響によりその形は大きく変貌している。

例を挙げると中華の中央部は五代十国時代以上に分裂し、中国東北部には先述の渤海国(かつて唐代に成立したものとほぼ同じ領域)や満州国(概ね日本が作ったものの北半で、本来の満州族居住地域である、の前身のアイシン(後金)やマンジュ・グルンの国土とは領域から異なる)が存在。モンゴルは蒙国となり領土が拡大している。

朝鮮は南部の金と中央部の高麗に分裂している。シベリアや樺太は遊牧国家である。


登場人物編集

三角青輝(みすみ あおてる)

大和歴41年、大和の愛媛郡で生まれ育った青年。役職は愛媛郡司農官→辺境将軍隊監事→役職剥奪の上収監→司農丞。幼くして両親を失い、両親の知人である図書館館長の東町信人の庇護の元で育てられた。図書館で文字と旧文明の知識に地図設計技能を身に付け、若くして愛媛郡の司農官となった。妻である東町小紀が内務卿平殿器の指示で処刑された際、その復讐を決意する。...が、激昂して感情的に暴力で反撃することを思い留まり、理屈で平を説き伏せ、元凶となった税吏を平に処断させた。小紀の埋葬を済ませると、小紀が生前に青輝に残した言葉に従い上阪し、そこで阿佐馬芳経との出会いを経て、弁舌で以て、辺境将軍である龍門光英への仕官「登龍門」を果たす。弁が立ち理路整然と人に対するため、義父である東町信人には「頭かっちかちの屁理屈男」と評されていた。趣味はマッピング。髪型は七三分け。喫煙者である。

聖夷の西征に際しては大阪での待機を命じられるが、軍師である賀来の発言から託された計略の意図を読み解き藤3世を説き伏せることに成功、勝利に貢献する。

しかし、平殿器の謀略による龍門の投獄に際して釈放を訴え出たことで逮捕され投獄、4年の間収監されることとなる。殿器の王位就任に伴う恩赦により解放され、司農丞(財務、農政などを司る司農府のNo.3)に任命され、戦時には参謀としての任を命じられる。


東町小紀(ひがしまち さき)

大和歴40年、愛媛郡出身。青輝の幼馴染で年齢は一つ上。感情的な面があり、喧嘩っぱやく自重が利かない。青輝と結婚したのち、内務卿・平殿器の巡察があった際、同行していた税吏の横暴な多重徴税行為に反撃したため、税吏の讒訴で翌朝処刑された。享年16歳。生前、青輝の智謀が三つに分かれた日本の再統一に役立つと青輝に発言し、小紀の死後に青輝が龍門光英に仕官するきっかけを作った。


東町 信人(ひがしまち のぶひと)

青輝の義理の父であり、幼くして両親を失った青輝を引き取り育てた人物。愛媛郡立図書館の館長を務める。青輝と小紀の結婚式から数日後、病で死去。感情で動く小紀のことを最後まで案じていた。


阿佐馬 芳経(あさま よしつね)

大和歴39年、和歌山郡出身。役職は辺境将軍隊武庫令補佐→右中将。母親に英才教育を受けて育ったがゆえに、母親をママと呼び極度のマザコンである。そのマザコン具合は凄まじく、母の伝記を書いているほど。大和建国の功臣かつ名門、阿佐馬家宗家の嫡子。周囲の者たちからは「ツネちゃんさん」と呼ばれている。「自身の力で三国時代を終わらせ国民すべてから尊敬を受ける存在になる」という上昇志向と承認欲求が強い人物。武技に秀でているが他者を見下し、上位に立とうとするため、人前では大和の標準語である関西弁ではなく、東の言語(要は標準語)を用いて喋り、自身がより聡明であるかに見せようとするなどの振舞をしている。青輝とは安宿で邂逅し、ひと悶着の末に同道して登龍門に挑み、武力で龍門光英の膝を地に付け登龍門を果たした。青輝の二つ年上。髪型は禿(おかっぱ)。

大和暦64年には右中将に昇進。恩赦により復帰した青輝と共に軍事にあたる。青輝が龍門の釈放を訴えにいく前に自身が捕えられた場合平家に従うよう伝えられていた。平派の中でうまく立ち回り、4年の間に平殿器の娘である汐莉と結婚し、確たる地位を築いた。


大和政府内の登場人物編集

藤3世(ふじさんせい)

大和歴33年、大阪都生まれ。先帝、藤2世の側室の3男であり、内務卿の平殿器が父である藤2世を毒殺し対抗勢力を駆逐したのち帝に擁立され、4歳にして帝位に就いた。国家元首の地位にあるものの、即位の経緯と皇后が平殿器の一女であるがために、政権を運営する権力は平殿器に握られている傀儡に等しい存在。


平 殿器(たいら でんき)

大和の内務卿→天満王。大和歴5年、大阪都出身。大和建国前からの豪族、平家の人物で、大和の帝である故・藤2世、現帝・藤3世の外戚。妹が皇后として嫁いだ藤2世を暴君の成敗という大義名分(罪をでっちあげたわけではなく、実際に享楽に耽り、大混乱を招いていたようである。)の元毒殺したのち、藤3世を擁立して自身の娘を嫁がせ、大和の国政を牛耳る。自身が国家であると言い放つほどである。体躯は肥満。自身をデブと言われることを最も嫌い、僅かでも嫌な思いをすると関係者を即処断するなど横暴かつ凶悪な独裁者。しかし、その政治力・謀略能力は一級品であるという「有能な独裁者」と言える人物である。愛媛郡滞在中に連れていた税吏に反抗した小紀を処断し、青輝が三国統一のために仕官するきっかけを作った人物。大和暦64年、藤3世の治世の下で打ち出した多数の経済政策、人道政策や聖夷への逆侵攻による領土拡大、傀儡化の功績をもってほぼ脅迫に近い形で王位を賜り、天満王となる。結構武芸にも秀でているらしい。私利私欲のための酒・金・女には一切興味がない。


龍門 光英(りゅうもん みつひで)

大和の辺境将軍。大和暦5年、兵庫郡出身。左目に眼帯をしている。眼帯の下の目は、17歳の時に100名を超える賊を仲間数名と討伐した際に射られて失明している。この功績で生野県司に就任し、24歳の頃に、評判を聞き及んだ大和の先帝、藤2世に召し出され辺境将軍に就任する。数々の戦を勝利に導いた、高潔で文武に秀で、誰もが尊敬の念を抱く人物。物語の2話で描かれた戦いにおいても、約2万の圧倒的兵数差を奇襲で武凰の総大将を自身の手で討ち取り勝利している。通天閣にある彼の邸宅で行われる仕官採用試験を果たして仕官が叶うことは「登龍門」と呼ばれている。

大和暦60年、福井へと侵攻した聖夷との戦いでは少ない軍勢や補佐の将不在、空城の計による矢傷、軍師の賀来の発病といった困難がありながらも、青輝に託した釣り野伏の計略により聖夷軍を撃破する。しかし、講和会議の裏で謀略を張り巡らせていた殿器により無実の罪で官職剥奪の上投獄という憂き目に遭ってしまう。



賀来 泰明(かく やすあき)

大和歴27年、大阪都出身。辺境将軍隊の軍師。大阪都の貧民の家柄の出であり、貧家ゆえに教育を受けられなかったが、幼い頃より大人相手に博打に勤しみ、勝った金で家計を潤す傍ら書物を手に入れて勉学に励んだ。21歳のころ龍門の辺境での仕事ぶりに感銘を受け「登龍門」を志し、採用される。決して失敗しないと評価され、龍門や属員の信頼も厚い。龍門に付き従い丸眼鏡を装着している。髪型は総髪。聖夷が自らと龍門を討つべく行った西征では、仕掛けられた苦肉の計による罠を事前に見抜き、島津の釣り野伏の計略を青輝に託し出陣。青輝の活躍によりこれを成功させ聖夷軍を撃破する。しかしこの時点で長期間に渡り病魔に蝕まれており、多数の薬を服用していた。戦地の治療でも治せる病ではあったが、乱世を終わらせるため戦い続ける覚悟を決めており、自身を一番よく知ると認める龍門にも隠し通した。治療を中断してでも軍を率い、文字通り自身の命と引き換えに戦闘に勝利、帰還中に病没する。享年32。

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