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百合文芸3

ゆりぶんげいさん

公式企画『コミック百合姫×SFマガジン×ガガガ文庫×書泉百合部×pixiv「第3回百合文芸小説コンテスト」』への参加の際に必要となるタグ。
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イベント概要編集

『コミック百合姫×SFマガジン×ガガガ文庫×書泉百合部×pixiv「第3回百合文芸小説コンテスト」』とは、2020年11月17日(火)より始まったpixiv公式企画である。


応募期間編集

2020年11月17日(火)~2021年1月31日(日) 23:59まで


関連タグ編集

百合文芸4

百合文芸2

百合文芸

公式企画


企画概要編集

「第3回百合文芸小説コンテスト」開催
pixiv事務局pixiv事務局
pixiv事務局です。 11月17日(火)より、コミック百合姫×SFマガジン×ガガガ文庫×書泉百合部×pixiv「第3回百合文芸小説コンテスト」を開催します。 本コンテストは、女性同士の恋愛や友愛をテーマにした小説を募集するものです。大賞作品には賞金10万円が授与されるほか、コミック百合姫へ扉絵・挿絵付きで掲載されます。そのほか優秀作品も、コミカライズや小冊子収録等の展開を予定しています。 【応募期間】 2020年11月17日(火)~2021年1月31日(日) 23:59 【応募部門】 ▼短編部門 5,000字以上~19,999字以下 ▼中・長編部門 20,000字以上~120,000字以下 【投稿形式】 (1)参加方法 ①pixivの小説投稿機能を使用し、女性同士の恋愛や友愛をテーマにした小説をお書きください。 ②以下に定めるタグを設定してください。 投稿用タグ:百合文芸3 ※pixiv上に表示される本文の文字数により、自動的に以下の応募部門が振り分けられます。 短編部門(5,000字以上~19,999字以下) 中・長編部門(20,000字以上~120,000字以下) ③以下のチェックボックスにチェックを入れてください。 表現内容:オリジナル作品 ④シリーズのあらすじ、もしくは作品(複数話ある場合は1話)のキャプションに400~1,600文字程度のあらすじをお書きください。中・長編部門への応募作品は、結末まで記載されたあらすじをお書きください。 ※「このあらすじはネタバレを含みます」といった注意書きを記載しても構いませんが、あらすじの文字数にはカウントいたしません。 ⑤上記①~④を満たした作品(小説)をpixivに投稿してください。 (2)ご応募いただく小説(以下「応募作品」といいます)の文字数は、最終締切日(2021年1月31日23:59)の時点で以下を満たしている必要があります。 短編部門:5,000字以上~19,999字以下 中・長編部門:20,000字以上~120,000字以下 ※文字数のカウントは、pixiv上に表示される数値を基準とします。 中・長編部門はシリーズ作品(連載形式)としての投稿を推奨しますが、締め切りまでに最終話を投稿してください。最終話が投稿されなかった作品は、未完結作品とみなし選考対象外となります。シリーズ作品(連載形式)として投稿する際は、完結したタイミングでシリーズ情報の「完結」フラグにチェックを入れてください。 (3)応募作品の内容は、日本語で記述されたもの、全年齢向けのものに限ります。 (4) お1人様何作品(連載・シリーズ)でもご応募いただけますが、1回の投稿につき、1作品(1連載・1シリーズ)のみとさせていただきます。1シリーズの中に複数の異なる作品を投稿された場合は、選考の対象外となります。 NG例:シリーズ名を「第3回百合文芸小説コンテスト応募作品集」とし、複数の異なる作品を登録する。 (5)応募作品が受賞した場合、当該作品の元データ(保存形式は問いません)をご提供いただくことがありますので、データを削除・紛失等しないよう、ご注意ください。 (6)応募作品は、未発表・オリジナルのものに限らせていただきます。本企画の結果発表前に、応募作品が本企画以外のコンテスト等で受賞した場合には、選考対象外となります。ただし本企画へ応募する前に、応募者自身が主催・運営するブログ等のWebサイト、応募者自身で作品の修正・削除等が可能な非営利目的の小説投稿サイト(pixivを含む)、過去に「百合文芸小説コンテスト」「第2回百合文芸小説コンテスト」以外のコンテストに応募し選外となった作品、応募者自身が非営利目的で制作・発行した同人誌で発表された作品は未発表作品とみなされます。 ※「百合文芸小説コンテスト」「第2回百合文芸小説コンテスト」に応募し選外となった作品については、改稿等を行った場合につき未発表作品とみなされます。 【注意事項】 ※以下に該当する場合は選考の対象外となりますので、あらかじめご了承ください。 ・本コンテストの応募テーマに関連のない作品。 ・コンテスト指定タグが設定されていない作品。 ・公開範囲が「マイピク限定」「非公開」で投稿された作品。 ・投稿期間を過ぎて投稿、再投稿された作品。 ・その他、「応募要項の注意事項」に当てはまる作品。 【受賞賞品】 ■大賞 両部門合わせて1名 賞品:賞金10万円、コミック百合姫に扉イラスト・挿絵イラスト付きで掲載 ■コミック百合姫賞 両部門合わせて1名 賞品:賞金5万円、コミック百合姫にコミカライズ掲載 ■SFマガジン賞 短編部門より1名 賞品:賞金5万円、SFマガジンに掲載 ■ガガガ文庫賞 両部門合わせて1名 賞品:賞金5万円、ガガガ文庫編集部の担当が付き、書籍化検討 ■書泉百合部賞 短編部門より1名 賞品:賞金3万円、書泉百合部限定グッズ ■pixiv賞 両部門より複数名 賞品:商品券2,000円 ■全受賞者副賞 短編部門:2021年にピクシブより発行予定の小冊子へ収録 長編部門:pixivノベルへ掲載 みなさまからのご応募お待ちしております。 ■応募作品一覧ページ https://www.pixiv.net/novel/contest/yuribungei3 ■コミック百合姫 http://www.ichijinsha.co.jp/yurihime/ ■早川書房 https://www.hayakawa-online.co.jp/ ■ガガガ文庫 https://gagagabunko.jp/ ■書泉百合部 https://twitter.com/shosenyuribu


▼企画目録

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=14100953


▼応募作品一覧ページ

https://www.pixiv.net/novel/contest/yuribungei3


▼関連サイト

コミック百合姫 http://www.ichijinsha.co.jp/yurihime/


早川書房 https://www.hayakawa-online.co.jp/


ガガガ文庫 https://gagagabunko.jp/


書泉百合部 https://twitter.com/shosenyuribu


受賞作編集

大賞

菫の姫を殺すまで
プロローグ
王月よう王月よう
「菫の姫を殺すまで」、プロローグです。 閉鎖的な女学校で崇拝されていた一人の少女が亡くなり、彼女を愛する女生徒たちが次々と狂乱に陥って「殺したのは私です」と虚偽の供述をしていくオムニバスの一篇です。

コミック百合姫賞

夏とレモンとオーバーレイ
RuRu
こちらの作品がコミック百合姫賞をいただきました コミカライズに当たってエピローグの加筆修正をしたバージョンがあります こちらです → 【https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16164421】  きれいめキャリア女子(30)×底辺声優YouTuber(25)が、 異文化交流しながら最初で最後の夏を駆け抜けていく話。   コンビニバイトと配信の投げ銭でかろうじて食いつなぐ声優YouTuberのゆにまる。はある日突然、インスタやってそうなきらきらアラサー女、紺野さやかに「私の葬式で遺書を読み上げてほしい」と依頼される。 ドン引きしつつも金につられて依頼を受け、遺書の内容を決める〝会議〟と称して遊び回る紺野に振り回されるゆにまる。だったが、次第に紺野に心を開いていく。 いわゆる普通を順当に進み成功した生活と、夢を追って困窮にあえぐ生活。〝異世界〟に住まう二人は、それぞれの違いに触れながら、たった一度だけの夏を過ごしていく。             百合文芸3の規定に従い、以下、結末のネタバレまで含むあらすじを載せています。    【あらすじ】 ある初夏の日、売れない声優YouTuberであるゆにまる。は紺野さやかという女性から「私の葬式で遺書を読み上げてほしい」と依頼される。さらに紺野は、夏の終わりを〝デッド〟に定め、時給付きで遺書の内容を決める会議に付き合ってほしいと言う。ドン引きするゆにまる。だったが、高額の報酬につられて依頼を受ける。 紺野との会議は全く会議らしくなく、ただ遊び回るだけのものだった。インスタ女子っぽい紺野を、自分とは異世界の人間だと思うゆにまる。は、最初は彼女を拒絶していた。しかし同じ時間を過ごすうち、次第に何を考えているかわからない紺野に翻弄されていく。 紺野に心を開いていったゆにまる。は、夏の終わりを前に、死ぬのやめたら、と言ってしまう。紺野は淡々となぜと問う。紺野との問答の最中、ゆにまる。は紺野にとって自分は、役に立つから好きだっただけの、誰でもいい、替えのきく存在なのだと気付く。ゆにまる。はショックを受け、紺野の前を去る。 それ以来紺野からの連絡は来ず、以前の生活に戻ったゆにまる。は、いつものように動画配信をしようとする。そこへ高額の拍手が投げ込まれてくる。アカウント名を見て紺野だと悟ったゆにまる。に、紺野から遺書の原稿が送られてくる。ゆにまる。は配信を放置して紺野のもとへ走る。 自殺する直前の紺野を見つけたゆにまる。は、泣きながらそれを止める。役に立つからと泣きじゃくるゆにまる。に、紺野は彼女を選んだ理由を語る。人を傷付ける練習をしようと思った、誰でもよかった、でもこの人なら私のせいで泣いてくれるかと思った、と。相変わらず紺野のことが理解できないゆにまる。は涙しつつも、互いを隔てるものが薄らいでいくのを感じる。 泣き疲れたゆにまる。に、紺野は今の生活を捨てて、消えるつもりだと語る。消えた後どうするかはわからない、とも。そして、一緒に行きませんかと誘ってきた。ゆにまる。は迷うが、返事をしなければならないと思い、ためらいつつ口を開く。 その後、二人は秋の山手線に乗り、品川駅で降りていった。    

SFマガジン賞

電信柱より
坂崎かおる坂崎かおる
※このあらすじは結末を含みます リサはその夏の日、恋に落ちた。相手は電信柱だった。 彼女は電信柱を切る仕事をしていた。その電信柱はまごうことなき女性で、どの電信柱にもない気品に満ち溢れた姿をしていた。リサはその電信柱を切ることができず、咄嗟に作業を後回しにしてしまう。 迷ったリサは、その電信柱のすぐ横にある家の主に相談をしに行く。私有地にすることなどを提案するが断られてしまう。しかし、家主の厚意で、しばらくその家の庭から電信柱を眺めてもよいことになる。 夫妻はよい人たちで、その奥さんはリサと同郷でもあり話に花が咲く。リサは自分が電信柱を切る仕事を志した訳を奥さんに語る。母は助産師で、物心ついた頃からリサはその手伝いをしていた。記憶に残っているのは、死産をしても「ありがとうございました」と頭を下げる産婦の姿だった。リサは自分が電信柱を切る仕事を選んだのは、そんな母を汚したかったからだと話す。 夫妻はその電信柱に電気を通すことで、切り倒す対象から外すことにする。リサはその電信柱の姿を見て言葉を失う。そして最後に、夫妻に向かって「ありがとうございました」と頭を下げ、そして二度とその町へ戻らなかった。

ガガガ文庫賞

絶対安全不良少女
【サンプル】絶対安全不良少女 1
たつた あおたつた あお
第3回百合文芸小説コンテスト『ガガガ文庫賞』受賞いたしました! 【電子書籍&ペーパーバック発売中】→https://amzn.to/3GVgnXt 応援してくださった皆さま、ありがとうございます!→https://www.pixiv.net/novel/contest/yuribungei3 この話の前年を描いた作品はこちら→https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=14503046 (百合文芸3用のあらすじは、「シリーズあらすじ」の方をご覧ください) 昭和六十年。不良少女の桂木真弓と藤堂和枝は、ふたりで寄り添うように学校生活を送っていた。 いつものように校舎裏でタバコを吸っていた真弓たちは、優等生小松佐恵子がいじめに遭っているところを見かける。 なりゆきで佐恵子を助けた真弓だったが……。 スケバンの真弓と和枝、いじめられっこの佐恵子。三人の孤独な少女たちの、同情と憐憫、嫉妬、友愛がないまぜになった80年代昭和スケバン百合、前編です。 イラストはKisikaisee様(https://www.pixiv.net/users/11901577)です。

書泉百合部賞

モブAの世界一美しい失恋
佐倉みお佐倉みお
第3回百合文芸小説コンテストで書泉百合部賞をいただきました。読んでくださった方、本当にありがとうございます! 頂いた景品↓ https://note.com/sakura_mmm/n/n5c60d9bc2c1a (あらすじ) 高校3年生の主人公・山田(ヤマちゃん)には同級生に佐藤という友人がいた。佐藤はこの世の美しさの概念をかき集めて形にしたような少女だ。学校の大勢が彼女に目を奪われ、褒め称え、恋をする。山田もそのうちの1人である。山田の事を大切に思う佐藤はそれに気づかないフリをして、告白されないように努めていた。 卒業式も迫ったある日、山田は「最後に美しい佐藤との日々をこの感情で汚して、全部終わりにしよう」と考え、告白を実行する。だが佐藤は山田の意図に反してそれを承諾した。困惑しながら山田と話すうちに、彼女の様子から、佐藤が山田に恋愛感情を持つ日は訪れず、自分の行動で山田の美しさが損なわれる事など絶対にありはしないのだと悟ってしまう。そして、山田は佐藤を一方的に汚したかったのではなく、佐藤からも汚い感情を返して欲しかったのだと気づく。佐藤と決別し逃げ出した帰り道には、3年間で積み重ねた美しい思い出と佐藤の笑顔がこびりついていた。

pixiv賞

寂しさが零れだしたので
すがら和叶すがら和叶
(※コンテストの応募要項に即して最後までの展開を記載しています) 【あらすじ】 とある高校の写真部の、先輩と後輩の、卒業式の日のお話。 その先輩は写真を撮ることにしか興味がなかった。一つ下の後輩は、そんな先輩に興味津々だった。後輩は学校見学の時に先輩と先輩が撮った写真と出会い、興味を持ったと同時に進学を決めて入学した。写真には興味ないのに写真部に入部し、先輩を追っかけた。先輩は、そんな後輩を不思議に思いつつも、荷物持ちに便利だな、と思っていた。 先輩が撮る写真は風景ばかりだった。春、夏、秋、冬。どの季節であろうと、先輩が美しいと思うものだけにカメラは向けられた。シャッターを切る先輩の横顔はツンとして近寄りがたいが美しく、後輩はそれを満足げに眺めた。写真が出来上がっていくのを、ただ見守った。「次はどこにいきましょうか」。先輩のあとをついていきながら、後輩は尋ねる。「どうしようか」。先輩には計画性が無かった。美しいと心が動いた瞬間に撮ればいいと思っているらしく、遠出をするにしても思いつくまま電車に乗って、適当に降りて、適当に歩いて、といった感じで、下調べとかはしないらしかった。それに付き合うのも後輩は楽しかったが、ある日の会話で「隣の県に湖がありますよ」と言ってみた。「湖」「朝日の反射が綺麗らしいです」「朝日の反射」。先輩の返事は反芻ばかりで、碌な発展がない。しかも表情が乏しい。けれど、先輩を毎日追っかけている後輩には、先輩がワクワクしているのがわかったので、「じゃあ次はそこにしましょうか」と次のお出かけ先を決めた。そのまま、後輩が場所のセッティングをするのが常になった。 後輩が調べた場所を巡りながら先輩が写真を撮る日々を過ごす内に、二年の高校生活が過ぎた。今日が先輩の卒業の日。早朝、後輩は早く家を出た。なぜなら前日に雪が降ったから。先輩がこの機会を逃すはずがないと思った。予想通り、先輩は雪景色を撮っていた。手先が凍える寒さなど微塵も感じない、ただカメラのレンズを真剣に覗いている。この横顔を見るのも今日で最後か、と後輩は思った。寂しいと言ったところで、きっと先輩には伝わらない。先輩の心がレンズ越しの風景でしか動かされないことを、後輩は誰より知っている。否、知っていたはずなのに。先輩は「ねぇ、最後の記念に撮ってあげよっか?」と言い出した。後輩は慌てた。先輩が風景以外のものを撮ることが信じられなかった。「でも先輩、人は撮らないって……」「この子では撮らないけど、スマホならいいよ」。先輩はスマホを撮りだし、後輩に向けた。ピピッと機械音が響いた。後輩は先輩が自分に向けたスマホの画面を見た。真っ赤な顔した後輩が居た。後輩の目に涙が滲んだ。「コレ、ちゃんとあたしに送って下さいね」。先輩の視界に自分が写っていることが嬉しくて、後輩は初めて先輩にお願い事をした。最後になんてしてあげない、と思いながら。

そこへいく
UsickUsick
『「ああセックスセックス!」 あたしは嗚咽した。嘔吐した』――教育実習中の大学生、せりは、飲み屋のトイレで泣きながら嘔吐する。片思いの相手、『曽根崎心中』を美しく読む女、鈴代涼が二次会のさなか、男に持ち帰られたからだった。顔さえ知らない男、兎丸に涼を奪われ、せりは苦しむ。しかしせりの友人、セックスジャンキーの晶は兎丸から3Pに誘われたと明かし、ホテルへ行き涼を連れて逃げろと提案する。せりは悩むが、涼を奪い返すと決意する。  ホテルでは涼と兎丸のセックスが既に始まっており、せりは絶望し、トイレで嘔吐する。すると晶がふたたび、兎丸を薬で眠らせて涼を連れていくよう提案する。せりが疑問をぶつけると、晶はせりへの親しみやセックスへの愛情を語り、ベッドルームへ飛び込んでいく。  ベッドルームで、せりは重なって眠る三人を前におびえる。全裸の涼の美しさ、なやましさに苦しみながらも服を着せ去ろうとしたとき、兎丸に呼び止められる。彼は嬉々として自身の薬物への耐性を語り、何をおもい涼をつれていくのか、せりへ問いかける。せりがこたえに窮するうち、目覚めた晶が、兎丸の相手をしているうち逃げるように言う。せりは涼を背負い、ベッドルームをあとにする。  涼を連れたせりはやがて人気のない公園にたどり着く。眠る涼を眺めながら、兎丸の問いをくり返す。しかし突然、酔った涼がせりを抱きしめキスをせまる。せりは悩むが、涼をこばむ。ふたたび眠った涼のかわいさに、せりはひとりで泣く。  翌朝、せりは自身のベッドで眠る涼に感動し、朝食を用意しようと考える。準備をしているうちに涼は目覚め、シャワーを浴びはじめる。しかし涼はずぶ濡れのままバスルームから出てくると、全裸でせりを追い詰め、昨夜のすべてを思い出したと語る。涼は自らがセックス依存症であると打ち明け、せりの目的を問う。せりは、涼を救いたいとこたえる。何も知らないと反論する涼へ、せりは自らがストーカーであり、そういう生き方しかできない苦しみから救われたいと告白する。話し終えたせりは、すべてが終わったと思いながら涼の美しさを眺める。しかし涼は、どのように救われるかたずねる。愛がすべてを変える、とせりはこたえる。涼はセックスが好きだと語り、しかしそこが自分のいたい場所ではないのではないかと、苦しみを吐露する。涼はせりを受け入れ、友だちから、一緒に変わっていこうと言う。せりは歓喜したのち、愛ですべてを変える、そのおそろしさをおもう。  数日後、せりは涼とのできごとを、親しみを築いた晶と兎丸へ話す。せりを励ましてふたりが去ると、涼がやってきて、初デートがはじまる。  水族館のイルカショーを楽しみ、せりはデートの成功を確信する。しかし涼がトイレへ行くと、柱の影でセックスをしている男女を目にする。せりはかれらの誘いから逃げるが、性のにおいに導かれトイレへむかうと、個室から聞こえたセックスの音に絶望し、嘔吐する。そのとき別の個室から涼があらわれ、せりを優しく介抱する。涼は個室を思い切り殴り、せりを連れて逃げ出す。水族館のそこかしこでおこなわれるセックスのただ中を走りながら、せりは涼を疑ったことを打ち明ける。涼もまた、せりを疑っていると明かしながら、少しずつ変えればいいと強く言う。せりは出口の手前で立ち止まり、決意をして、ほんとうに恋をしたと涼へ告白する。涼はほほえみ、かわいいとせりへ言う。せりは泣きながら、ふたりでいこうとこたえる。

祖母の遺言
七田つぐみ七田つぐみ
 ある夏、祖母が死んだ。  祖母と薄いつながりしか持たないゆき。そして祖母に複雑な感情を抱く叔母。ゆきと叔母、二人で共に彼女の遺品整理をすることになる。雑多なものを片付けるうち、祖母の昔使っていた寝室で「ゆきちゃんへ」と書かれた手紙を見つけるゆき。祖母と繋がりの薄かったゆきはなぜ自分に祖母が手紙を遺したのか分からない。祖母の真意を追ううちに、その手紙が遺言であることがわかる。好奇心にかられたゆきは、祖母の遺言について調べていくうちに、祖母と、祖母の幼馴染み、下女。三人が関わった過去の事件について知ることとなる。それによって明らかになったのは、祖母が手紙に込めた優しい嘘と、告発と、贖罪だった。祖母の想いを受け取り、遺言を野焼きで燃やすことにするゆき。  その彼女に叔母は「ああ、やっぱり」と告げる。叔母は、祖母を憎み、想うあまり遺言に細工をしていた。遺言は孫のゆき宛てではなく、祖母の幼馴染みのゆき宛てだったのだ。「許せなかった」と呟く彼女をあとに、祖母の想いは煙となって空に立ち上っていった。

きみがまた歩き始めるまでの物語
デッドコピーたこはちデッドコピーたこはち
 主人公は病室で目を覚ますと、自分の頭の中で響いている声が自分のものではないことに気づく。頭の中の声は「思考リハビリテーションプログラム」と名乗った。混乱する主人公。思考リハビリテーションプログラムは、主人公がビルの屋上から落下し、脳を損傷するほどの大けがを負ったこと、自らの主体が、欠損した脳やその機能を代替するための生体脳補填材にあることを説明する。説明に納得したものの、主人公は自分の頭に異物が埋め込まれていることや、思考リハビリテーションプログラム自体に嫌悪感を抱く。  医師から改めて、自分の容態と思考リハビリテーションプログラムについて説明を受けた主人公は、確かに気味が悪いが、受け入れるしかないと結論を出す。主人公が窓の外を見ていると、自身の空腹に気づく。配膳用ロボットによって運ばれてきたゼリーを食べ、辛みそを付けた豚バラを食べたいと主人公は思う。  数日後、主人公は病院の中庭にいた。景色を見ていると、記憶の一部が戻ってきた。自分が自殺しようとして失敗したことを思い出した主人公は泣き出す。思考リハビリテーションプログラムは主人公を慰め、主人公は生きる気力を取り戻した。  時は過ぎ、主人公は固形物が問題なく食べられるほど回復していた。夕食を食べている主人公は思考リハビリテーションプログラムの声が聞こえなくなっていることに気が付く。  退院する主人公に思考リハビリテーションプログラムが語り掛けてくる。思考リハビリテーションプログラムは別れの言葉を告げる。  主人公は思考リハビリテーションプログラムの声が聞こえなくなるのを確かめてから、歩き始める。

サリーとアンのワルツ
詠野万知子詠野万知子
アンが仕事を辞めたのは、恋人のサリーが無職を楽しんでいたからである。 突然、なんの前触れもなく仕事を辞めたサリーは、預金の余裕があるかぎり気ままに暮らす様子だった。それを横目に出勤するのは、アンにとっては難儀なことだ。同棲を始めてから、仕事が忙しいせいでろくに恋人との時間が作れない。一緒に暮らしているのにもかかわらず。 やがてアンも仕事をやめた。 先のことを考えるのは、もう少し先延ばしにして、ようやくふたり暮らしを楽しみ始める。 世界では様々な事件が起こっているが、当面自分たちには関係がなさそうだった。 サリーとアンはウェディングドレスを通販で購入する。 ふたりはドレスを着回しながら、スマホで写真を撮り、ひそかな記念にする。 朝は丁寧にコーヒーを淹れて飲む。かわりばんこに食事をつくる。誰にも邪魔されないふたりの時間を過ごす。世界が終わる日まで、そうやって過ごす。アンは、サリーこそが、世界が終わる瞬間一緒にいたい相手だと思うのだった。

殯(もがり)の夢
森田季節森田季節
あらすじ(結末まですべて書いてますのでネタバレが嫌な人は読まないでください) 古代日本に、オオムロという有力な里があった。その里に暮らす十二歳の娘クルヒは、里のオサの一族の女子で二つ上のテオシベを姉のように慕っていた。 その里にヤマトという国家の使者が現れ、服属を迫る。里の老齢のオサはこれを断り、ヤマトとの抗争を決断する。そして高齢の自分から若いテオシベにオサを譲ることを里の者達に告げる。クルヒはテオシベがオサになることを苦しく思っているように感じるが、里の命運がかかっている以上止めることはできないと思う。 そんな折、クルヒはテオシベからオサを委譲する儀式に呼ばれる。クルヒが儀式で見たのは、自身の胸に槍を突き差すテオシベの姿だった。だが、テオシベの傷はすぐにふさがり、テオシベがオサになる奇妙な儀式は無事完了した。以前はクルヒを守ると言ってくれたテオシベは、それとは逆にオサである自分を守ってくれとクルヒに言う。クルヒはテオシベが変わってしまったと感じるが、オサを守らないと里が滅びるのだからやむをえないと諦める。 戦争が始まり、クルヒはテオシベの身を守るため二人で行動する。テオシベは馬を狂暴化させる不思議な力などで敵軍に打撃を与えるが、そんなテオシベの前にヤマトの将軍が現れる。将軍の目的は里の侵略ではなく、テオシベの体に入っている生物を殺すことだった。その生物は自分の肉体を持たず、ほかの動物の肉体を移動して生きながらえる存在なのだ。本来のテオシベは彼女が自分の胸に槍を刺した時点で絶命していた。 将軍はテオシベの中に入った生物を殺そうとした。だが、クルヒは生物のものとなっているテオシベを守ろうとする。それが役立たずの小娘の自分が従軍した理由なのだ。だが、それとは逆に生物の人格に変わっているはずのテオシベがクルヒをかばい、瀕死の重傷を負いながらヤマト側の軍を駆逐した。 もう命が長くない生物の人格のテオシベはクルヒに自分の正体を話し、本来のテオシベを死なせてしまっていることを詫びる。だが、クルヒは今のテオシベだって変わらずテオシベだと言う。でなければ、クルヒを守る理由などなく、捨て石にしていなければおかしいのだから。クルヒは生物の人格に変わっている瀕死のテオシベを連れて、残された時間を二人で逃げることを選ぶ。

さくらのこと
りんりん
*「第3回コミック百合姫×pixiv 百合文芸小説コンテスト」にてpixiv賞に選んでいただきました。 読んでくださった方、ブックマークしてくださった方、ありがとうございました。この話がほんの少しでもみなさまの日常に寄り添うことができたなら幸いです。 *「さくらのこと」ができた背景など書いています。 https://rinrinring.fanbox.cc/posts/1858766 この孤独は私一人のものであり、私一人だけのものではない――。 かなえは中学の時に親友と、あることですれ違う。その日からかなえは、ニュースで見かけた事故死した女の子をサクラと名付けて瞼の裏に住まわせ、現実の人物とは向き合わずにいた。大学生になったかなえはサクラとそっくりな同級生、さくらに出会う。かなえの提案で、二人は桜の咲く時期だけ、短期のアルバイトを始めることになる。 二人はバイト先で浅井という同級生に出会う。根から明るい浅井を苦手に思うかなえ。一方で、さくらは自分の演じる狂言を観に来てという浅井の誘いを受け入れる。かなえはさくらとは分かりあえていると思っていたが、浅井に対する彼女の行動だけが分からなかった。なぜ浅井と関わるのかさくらに訊けないかなえ。そこでかなえはと人の関わり方を知らないことに気づく。 かなえは瞼の裏にさくらとそっくりな女の子が住んでいたことを伝えようとするが、その前にさくらはかなえに、妹がいたこと、その妹が死んだことを伝える。サクラがさくらの妹だったことに気づくかなえ。その妹を現実の逃げ道に使っていたことを恥ずかしく思いその場から逃げ出す。逃げ出した先には浅井がいた。浅井は、さくらがかなえのことを大切に思っていたことを伝える。かなえはさくら、そして浅井ともっと関わっていきたいと思い、浅井の連絡先を尋ねる。

ステンレスのサナギ
カスガカスガ
 最終戦争で人類がいなくなった世界を旅する、〈死ならざる者〉吸血鬼の少女カミーリアと、〈生命なき者〉機械人形の少女サナギの物語。  核攻撃で破壊された都市をさまよっていた吸血鬼最後の生き残り・カミーリアは、二度と帰らぬ主人を待って床を磨き続けていた汎用家事機械人形と出会う。カミーリアは彼女をサナギと名付け、人間の生き残りを探し出すために、棺と太陽電池をバンに積み込み、あてどのない旅に出る。 ※カクヨムに転載 https://kakuyomu.jp/my/works/16817330660829132455

その引力でつかまえて
mogimogi
 ※このあらすじはネタバレを含みます  高校一年生、須賀リコの十年来の幼馴染である来栖イチゴは、突然巨大化する体質になってしまう。  夏真っ只中、巨大化の被害を避ける為に周囲の人間から隔絶されて暮らすイチゴのもとには、何を原因として巨大化するかわからないイチゴの精神を安定させるために日替わりで同じクラスの女子達が訪れる。  来る花火大会の日、当日イチゴの元へ行けなくなった友人と入れ替わったリコは、クラスの男子からイチゴを放って一緒に花火大会に行かないかと誘いを受ける。  にべなく突っ返したイチゴは花火大会当日、イチゴのいる場所へ行く。しかしそこにあったのは、あの誘いかけてきた男子の姿だった。かつてリコに優しくされた思い出に縋って迫ってくる男子と、おびえるリコの姿をイチゴは見てしまう。  リコの危機に動揺したイチゴは、ずっと隠し通していたリコへの想いが溢れ出てしまい、高揚する精神と同調してかつてない規模に巨大化してしまう。  誰の声も届かないほどに巨大化してしまったイチゴに想いを告げ返す為、リコは多くの人の助けを借りながらイチゴのいる場へと辿り着く。  リコとイチゴは互いに秘めていた想いをぶつけ、一緒にい続ける事を違う。が、巨大化を止める事も戻る事も出来なくなったイチゴはリコにそれは無理だと告げる。  しかしリコは、イチゴの無限に増大し続ける質量を収束させる事で重力の穴を形成し、自分が自分らしくあれる世界、自分が愛したい人を愛せる世界へと飛び立つ事を提案する。  アイデアを実行した二人は高次の思念体となり、理想の世界へと旅立っていく。

あの日の銃声が今もなお
綾加奈綾加奈
 八ヶ月前に起きた銃撃事件。  あの日、鳴り響いた銃声に、私は今も取りのこされている。  犯人の少女――筑葉美琴と私が出会ったのは今から一年も前のことだった。彼女は旧校舎の女子便所にレジャーシートを敷いて昼ご飯を食べる変な女だった。その珍しさに惹かれて、私は彼女と連むようになった。そこそこに筑葉と親しくなったところで連休が入り、連休明けも私は彼女の元を訪れていた。筑葉は「買物をした」と意味深なことを言いながら拳銃を取りだす。筑葉は「これを持っていると安心する」と語ったけれど、私には到底理解できない感情だった。  七月に予定されている学校祭を一緒に回ろうと筑葉と約束し、しばらく経ったある日のこと。いつもより少し遅い時間に旧校舎を訪れると、そこには先客がいた。先客は筑葉のことをイジメることを目的とした女たちで、私はどうすることもできずに隠れていることしかできなかった。  ただあまりにも酷い光景に筑葉が拳銃を買った意味を理解した。  そして訪れた学校祭当日、筑葉とふたりで女子トイレに篭もっていた。筑葉に小腹が空いたからなにか買ってきて欲しいと頼まれ、学校祭の中へと乗りこんで行く。そんな折、旧校舎のほうから『銃声』が聞こえたような気がした。私は慌てて旧校舎へと戻るが、すでにいじめっ子たちは筑葉に撃たれた後だった。私はたまらず、残りのひとりを庇ってしまう。これ以上、筑葉に罪を重ねて欲しくはなかったから。だけど筑葉は「私のことは庇わなかったのに、こいつのことは庇うんだ」と言って、いじめっ子のことを撃った。私は筑葉のことを守れなかった自分が不甲斐なくて、筑葉に私のことも撃つように頼むが、筑葉は拳銃を置いて、その場から立ち去ってしまう。  私は拳銃で自分を罰そうとするが、どうすることもできず。  ただあの日の銃声と筑葉のことを思うことしかできないでいた。

完全なシンパシーについて
yu__ssyu__ss
少し先の未来の話。脳内の記憶を全てバックアップとして保存できるようになり、身体は毛髪の一本から再現できるようになった時代。 病室で目が覚めたコハクの前にはコハクがいた。目覚めたコハクは七年前の脳内のバックアップから再現されたコハクで、目覚めたコハクの前にいたのは現在のコハク。 現在のコハクは過去のコハクから見ると大人びており、所作や物腰なども過去のコハクの理想の女性となっていた。また彼女とは感性が一致し、彼女の勧めるもの全てが好きになった。過去のコハクにとって彼女はとても好ましかった。 そして何よりも、コハクの全てを理解している彼女とのコミュニケーションは完璧で、誰にも内緒で好きだった人のことなども、もちろん全て知っていた。そんな完璧な現在のコハクに、過去のコハクは恋をした。 ある日、二人でホログラムの縁側で花火を見る。過去のコハクは現在のコハクにキスをされた時、彼女の瞳の中に私が過去に好きだった人が映っていた。

まずひとつ猫が在るとして。
友情友情
姉妹百合SF(すこしふしぎ)短編 空から猫が降ってくる話

カット・アンド・リリース
コゴリオンコゴリオン
 東京の東の端あたりにあるウォーターサーバーのメーカー、『㈱足立湧水』に新人エンジニアとして親会社から出向した足立瑞穂(あだちみずほ)は、北千住の美容院『Magnolia』に初めて一人で修理に赴く。そこで出会ったカリスマ美容師の名は安堵城キイラ(あんどじょうきいら)といい、同い年にも関わらず美容師会で一目置かれる存在。キイラは瑞穂のメカニックとしての腕前の良さと、その髪質の良さに興味を持ち、『あなたの身も心も美しくできる』という自負から彼女にカットモデルになってくれないかと懇願する。  髪を切ってイメージを変えることに関してトラウマを抱えていた瑞穂は素直に承諾できなかったが、自他ともに仕事が出来ないという評価である自分の現状を変えたいとも思っていた。キイラのライフワークは、まさに瑞穂が抱えるような変化への拒絶が、自分の手で切り開かれる瞬間にあった。彼女は大勢の人が見ているカットコンテストの会場で、瑞穂を一皮むけた存在にするべく鋏を取る。

宇宙を覆いつくすほどの妹と、明らかにたった一人しかいない姉の私
志波煌汰志波煌汰
私は姉が欲しかった。だからネットで姉を募ったが、現れたのは妹を名乗る異常者たちだった。 妹を騙る不審者は際限なく増え続け、13人を越えたところで私は頭を抱えた。 両親に相談しようとしたが両親も妹になっていた。五親等以内の親族は全て妹になっていた。 増えた妹を一掃するため課金制度を提唱したが逆効果で、むしろ妹は増え、妹料は山のように積みあがった。その勢いは留まるところを知らず、新興宗教の教祖のようだと思ったのも一瞬、気づけば都市予算を越えて私を絶対なる姉とする妹国家が成立していた。 増え続ける妹を養う国土を賄うため、私は宣戦布告をし、世界征服に成功する。しかしそのせいで全世界が妹になってしまったため、結局食料は足りず、宇宙開拓を謳った棄民政策によって妹たちは地球とスペースコロニーに分断された。 やがてアース妹とスペース妹は宇宙間妹戦争を始め、和解し、またいがみ合う。その繰り返しを長い長い間続けた末、宇宙は妹に覆いつくされた。 宇宙と一体化した妹たちはそれでも際限なく増え続け、あらゆる過去と未来へ妹は浸食し、やがてたった一人の私を除いた全ては妹となった。 全てである妹との対話を通じて、私は自分と妹が分かちがたく二つで一つだったことを悟り、深いキスをして新しい宇宙へ旅立った。 そうして目覚めた私の前にはたった一人の姉妹が居た。彼女と私は双子だった。

かぐやとエリ
第一章 未知との遭遇①
蒼樹エリオ蒼樹エリオ

ブラックマリア
夢見 絵空夢見 絵空
ある日、17歳の傷魅挽歌(いたみ・ばんか)はかつての親友で、自分を高校退学においやった聖真理愛(ひじり・まりあ)から「殺されるかもしれないから助けて欲しい」と頼まれる。 彼女はその言葉を無視するが、真理愛は三日後にバラバラ死体となって発見されてしまう。 そんな事件の三ヶ月後、挽歌の元に死んだはずの真理愛から電話がかかってきた。 そして「私を捜して」と言われ、なぜか家に爆弾が仕掛けれてあり、挽歌もケガをしてしまう。 挽歌は戸惑いながらも、真理愛が生きているのか、本当に死んでいるのか調べ始める。 死んでいたのなら、殺した犯人に御礼を言うために。 生きていたのなら、今度こそ殺すために。 生前にありとあらゆる犯罪に手を染めていた少女の死の謎を探るべく、挽歌は危険を顧みずに裏社会へと足を踏み入れる。 絶大なカリスマ性を持ち、天才的な犯罪者だった少女は何を企み、何をしようとしているのか。 お互いに歪な感情で依存していた少女たちの恋情が、交差していく。

眠らない街で目覚めていたい
栗岡志百栗岡志百
売春婦と警官。 女と、女と、女。  一人で生きることを余儀なくされてきたフェリスは、売春業から逃げ出し、ブルーパブで働き始める。  足を洗えたとはいえない仕事ながら、トラブルを通して知り合った警官のルイと親しくなる。同時に、かつての仕事仲間で、何かと面倒をみてくれていたサリーと再会した。  サリーやルイとの距離に戸惑いながらも落ち着きつつあったフェリスだったが、強圧的なマスターから、ドラッグ使用の一端を担う仕事を指示される。これまでの生活から変わりたいフェリスは拒否し、揉み合いへと発展。誤って死に至らしめてしまった。  このことを知った、サリーとルイ。フェリスへの思いが、それぞれに大きい二人がとった行動は、気が弱いフェリスの身代わりに、サリーが捕まるというものだった。  二人の案をいったんは受け入れたフェリスだったが、ブルーパブ を隠れ蓑に、ドラッグの密造と販売をしていた同僚から逆恨みを受け、襲われる。  その危機は、またもやルイに救われた。同時に、過去を明かしても去ることなく助けてくれるルイを失いたくない気持ちを自覚する。  逃げるだけから変わりたい。何度もくじけていたフェリスは、分署で留置されているサリーを自由にすべく、今度こそはと自ら動き始める。本当の名前である「フェリシア」に戻ることを目指す途上で、サリーに付けられた「フェリス」としての自分であろうとする。

あなたに捧ぐ円環
伊島糸雨伊島糸雨
 ライン生化学工業で生体科学技師兼デザイナーとして働く尾上環は、世界中でシェアを伸ばし続ける“指輪型携帯ナノマシンプラント”の開発者であり、同社の広報部門に所属する“私”、和達雪子の高校時代の友人でもある。2人は高校で出会って親しくなったものの、大学進学以降は疎遠になっており、勤務先が同じなのは互いに想定外のことだった。  環は最新型である第3世代モデルの発表を行い、その日の夜には“私”を誘って夕食を共にした。和やかな食事の途中で、環は“私”に対し、発表されたばかりである第3世代の“指輪”の試作品が余っているから、それをあげると言う。“私”は遠慮するものの、押し切られる形でもらいうけた。食後に向かった環の自宅地下にある専用の工房で、私は黄金に輝く作りかけの指輪を発見するが、それについて環は、表面は金に見えるだけの合金であると言った。  第3世代発表以降を忙しなく過ごし、ひと段落がついたところで2人は「お疲れ様会」と称して環の家で夕食を共にする。その中で、環は疎遠になっていた高校卒業〜ライン生化に至るまでの経緯を“私”に話した。  “私”には男性の恋人がおり、交際期間は7年ほどになる。互いに緩やかに長く関係を続けることを指標としており、そんな彼から“私”はプロポーズを受ける。そのことを環にも話すと、環は“私”を祝福し、“私”は幸福を実感する。  しかしながら、間もなく恋人は事故死し、“私”は心をひどく乱される。警察が自殺の可能性について問うてくるが、“指輪”による体内監視が機能している以上、通報もなしにそのようなことが起こる可能性は考えられなかった。  どれほど考えても恋人が自殺に至る要素は見当たらず、疑問に思った“私”は“指輪”の開発者である環を訪ねる。環は“私”を快く受け入れ、痛みに共感しながら、「自殺の可能性は低く、他殺の可能性がある」と告げ、協力を約束する。  その日の夜、環の家に泊まった“私”は、環から何かを強要されかける。一度は拘束を逃れたものの、環が仕込んだ特殊なナノマシンプログラムによって肉体を支配されてしまう。環は“私”をずっと愛していたこと、手に入れるためにあらゆる手を尽くし、“私”の恋人をも殺害したことを告げる。“私”は環の独善的な様に嫌悪感を覚えるが、やがて肉体だけでなく心までもを支配され、環に愛を誓うことになるのだった。

女ヲタがガチ恋で何が悪い
第1話 これが出会いで何が悪い
水曜日不燃水曜日不燃
「ユーたち、アイドルデュオ組まない?」

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種垣まほろは霊を喰う
片里片里
【あらすじ】 鮎川縦子、二十四歳。預金と財布の中身を合わせて五千三百円とちょっと、という貧困女である縦子には、お金がたまらない理由があった。そりの合わない家族の手から逃れて洋菓子店に就職してから半年後、縦子が触る商品に髪の毛が混入するようになった。どんなに気を付けていても、確認しても、洋菓子に髪の毛が混ざる。カビが生える。理由もわからない異変を解決する事が出来ず、縦子は洋菓子屋を退社するものの、その後も彼女の周りでは異変が続き、一か所で仕事を続けることができない。 ついに水商売に手を出す縦子だったが、一日体験のキャバクラですら一時間で首になってしまう有様だった。しかしキャバクラのオーナーから『君にもできる仕事がある』と紹介された寂れたバー、ルシャボテの店内で、縦子は猫のような女に出会う。種垣まほろと名乗った自称『心霊処理人』いわく、縦子には大量の生霊が憑いているという。 腹立たしくも胡散臭い女だったが、どうせもう失うものもない人生だと腹をくくり、縦子は彼女に除霊を依頼する。『わたしは除霊はできないけれど、幽霊を消すことはできる』というまほろの除霊方法は、幽霊を食べるというもの。お金がない縦子にまほろが要求した報酬は、『わたしの愛人になること』だった。

飛べアルバトロス
かのせかのせ
【あらすじ】 ※後段はネタバレを含みますのでご注意ください。  第九銀行女子バスケットボールチーム「アルバトロス」はリーグ万年最下位の弱小チーム。28歳の瀬田衣央里が自身の引退時期を考え始めていたある日、アメリカのWNBAで活躍中の超一流選手・樫井千夏が帰国するとのニュースが日本バスケ界を沸かせる。一バスケファンとしてそれを遠い国の出来事のように捉えていた瀬田だったが、どういう経緯からか樫井がアルバトロスに入団することが決まる。アルバトロスを見下し瀬田を一方的に目の敵にする樫井だったが、その実力は本物で、最年長の宮前あかりに代わってスターティングメンバーに入ると桁違いのスピードと精確性でゴールを量産していく。「私がこのチーム優勝させてみせる」と宣言した樫井にメンバーは顔をしかめるが、瀬田は胸の高鳴りを抑えられずにいるのだった。戦友・宮前との別れを目前に控え、また、憧れていたヘッドコーチの進退を賭して、アルバトロスの新しいシーズンが始まった。  樫井の影響によりチームが大きく成長していく中、瀬田は憧れていたヘッドコーチがかつて現役を引退した理由が自分にあることを知り、動揺する。樫井の助けを得て自らの長年のスランプの原因を探り当て、大事な場面でようやくシュートを決めた瀬田だったが、今度は樫井の重大な不調に気がついてしまう。樫井が日本に来た本当の理由は、フリースローが打てないという重度のイップスのリハビリのためだった。勝負をかけた最後の試合、絶好のタイミングで樫井にフリースローのチャンスが巡ってくるも、樫井の身体は固まって動かない。メンバーたちの叫び声に反応して樫井が放った不恰好な2ショット目は、リングに弾かれて狙いどおり瀬田の手元に届く。ラスト3秒、瀬田がスリーポイントシュートを決め、アルバトロスは念願のプレーオフ進出を決めるのだった。  シーズン終了後、樫井はWNBAのトライアウトを受けるために日本を発つことを告げる。また一緒にバスケをしようとの約束にうまく答えられない瀬田に、樫井はふわりと笑ってキスをする。  ヘッドコーチの首の皮は繋がり、宮前はマネージャーとしてチームに関わることになった。樫井のいなくなったアルバトロスは、それでも果敢に次のシーズンへ挑むのだった。 ※過去、連載ものにする予定で第三話まで上げていましたが続かず、このたびひとつにまとめて完結させました。過去投稿時にいいねやコメントをくださった方、すみません。こちらで最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。

裁きまであと何マイル
橘こっとん橘こっとん
戦争の終結から5年が経った某国にて。 元女性兵のタチアナはかつての記憶を夢に見る。幼い少女が兵士たちに強いられて、女性を撃ち殺してしまう夢だ。タチアナはいつもそれを止めようとして間に合わない。罪悪感のなか目を覚ますのが常だった。 ある日、タチアナは少女・ゾーヤと再会する。彼女こそ夢の記憶の中の少女だった。 生まれ育った村は戦時中敵国に占領され、そこで敵国人に協力していた母親が解放の際にリンチされた。ゾーヤはその処刑人となることを強制されたのだ。タチアナはこの過ちを止められず、結果、自分自身に絶望して軍を辞めた。 しかしゾーヤは明るく活発に育ち、将来は士官学校に行ってタチアナのような軍属になりたいと笑う。まっすぐな思慕に戸惑うタチアナ。だが家に泊めたゾーヤがあの時のトラウマでうなされているのを目にして、ずっと抱えていた自責が爆発する。 裁きを望むタチアナをゾーヤは抱きしめ、こう告げる。 「悪いことなのに、誰も止めてくれなかった」 「でもタチアナさんだけが止めようとしてくれた」 「ありがとう。あなたのおかげで、わたし、絶望せず生きていける」 誰も救えなかった自分がゾーヤの心だけは救えていたと知り、タチアナは彼女とともに泣き叫び、将来へわずかな希望を見る。 タチアナが寝静まった隣で、ゾーヤは未来を思う。敵国のスパイになり、あるいはクーデターを画策し、再び軍人となったタチアナに殺される未来を。 あんな「悪いこと」を誰も止めなかった。自分も逆らえなかった。あの時止めようとしたタチアナだけが、世界で唯一正しい存在だ。だから彼女に裁いてほしい―― 「ただひとり正しくあろうとしたタチアナに、過去の自分と同じ絶望を刻みたい」。 恋慕のような「殺意」に気づかないまま、ゾーヤは穏やかな眠りについた。

一千一億の私から世界にたった一人のあなたへ
丸渕洋子(マルチョウ)丸渕洋子(マルチョウ)
ハロー、私はニニ、時代遅れの汎用お手伝いロボット、通称機械式家政婦である。背中の刻印によると製造番号は22号、だからニニと呼ばれている。 今の主人は昔ながらの美容院を女手一人で切り盛りしているポーカーフェイスな店長。 店長の色素の薄い瞳や抑揚のない声は冷淡な印象を与えるが、そうではないことを私はよく知っている。 単にそういう人なのだ。 私たちの美容院には優しいおばあさんからイマドキスポーツ女子高生までたくさんの人がやってくる。 シャンプーして、カットして、おしゃべりして、レジのチェックをして、夜が来れば店長の隣で眠る。 そんな生活が私は好きだ。 けれども、ある日私はパーツ目当ての誘拐にあってしまう。困ったな、おつかいの途中だったのに。早く帰らなきゃいけないのに。 電源を喪失した私は、目が覚めると社員寮のお手伝いロボットになっていた。 そして、ちょっとした偶然から私の人格―基盤内のデータ―は量産ラインに乗ることになる。 あるときの私はお掃除ロボット、またあるときは飛行システム、さらには愛玩犬型ロボットであった。 こうして、私はこの地球上の津々浦々に広がっていったのである。 店長との懐かしい思い出とともに。 そして、私はある老婦人の元に行き着いた。 これは、汎用お手伝い型ロボットの私が、長いお使いから帰ってくるまでの物語。

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