概要
中国語ではパンフー(Panhu)と呼ぶ。
高辛(こうしん)氏の時代に王宮にいた一人の老婦人の耳から取り出された蚕程の大きさの虫が変じて誕生した生まれた五彩の毛を持つ立派な体格の犬で、「犬戎」が攻めてきた際、容易に彼らを打ち破る事ができずにいた帝は、「犬戎」率いる将軍・呉を討ち取った者に賞金として娘を妻として与えるというお触れを出した。
やがて暫くすると盤瓠いう犬が呉将軍の首を噛み千切って王宮にやって来たので、帝を始め、臣下の者たちは畜生である盤瓠の功績は認めつつも、流石に娘を嫁がせる訳にはいかないと考えるが、娘は帝の言葉に嘘があっては国に禍をもたらす事になると考え、自ら進んで盤瓠に嫁ぐ決心をした。
両者は南山という人跡未踏へと赴き、その谷間にある石室で暮らし始めた。
帝は悲しんで時々娘の様子を見る為に使者を遣わすが、その度に嵐や厚い雲に阻まれて誰一人夫婦の元に辿り着く事ができなかった。
後に娘は3年間に6男6女の子供を授かり、夫である盤瓠が無くなったのを機に王宮へと戻り、山での暮らしぶりを話した。
帝は子供たちを迎える為に再び使者を派遣するが、今度は何の祟りも無く無事に子供たちを王宮へと迎え入れる事ができたが、彼らは人間世界の生活に馴染む事ができず、山での暮らしを好んだ。
そこで帝は彼らの意思を尊重して広大な山澤(さんたく)を与えたとされており、その子供たちの子孫が後に長沙武陵の蛮夷になったといわれている。