概要
自分が上を向いてるのか下を向いてるのか、移動してるのか止まっているのかわからなくなる症状のこと。
「バーティゴ」とも呼ばれる。
人間は昼行性の生物であり、また地に足をつけて生活する生物であるため、それ以上の環境を想定した五感は備えておらず、想定を上回る状況では五感がついていかない。
例えば真っ暗な容器の中に閉じ込められて自由落下している状況であれば、目視でも三半規管でも姿勢を確認できないため、上を向いているか下を向いているかが分からなくなってしまう。
航空機の操縦中、あるいはダイビングのように3次元的に大きく移動する環境で発生する事例が有名だが、自動車の運転程度でも空間識失調には簡単に陥ってしまう。
運転手が緩やかな上り坂、下り坂に差し掛かったことに気づくことができず、意に沿わない減速、加速が発生して渋滞や事故の原因になるということは多々ある。速度計は頻繁に確認しなさいと教習所で口を酸っぱくして言われる理由である。
対策
計器を見る。
以上である。計器さえこまめにチェックしていれば空間識失調など起こり得ない。
現在の航空機は人間の五感の性能に対して速度が高すぎるため、肉眼で危険を察知したところで既に手遅れである。そのため肉眼による監視は補助的な地位に交代している。
戦闘中の軍用機、あるいはよほど小型の軽飛行機を除けば、パイロットが五感を頼みにするのは離着陸の間のみ。空にいる間は主に計器によって飛行状況を確認している。
よって墜落事故において、計器に異常があったわけでもないのに「空間識失調が原因」などと報じられた場合、それは「極めて初歩的な計器確認の不足」をオブラートに包んだ表現である。