紬凛太郎
つむぎりんたろう
「諦めることにもう慣れたくねえ」
都立千鳥高校2年1組の生徒。ヒロインである和栗薫子の通う桔梗学園とは隣同士。
底辺校に通う強面の青年で、知らない人は一目見て怖がる程だが不良という程でも無く、どちらかというと無気力に人生を生きていた。実家は両親が経営しているケーキ屋で、たまに手伝っていたところに常連客の薫子と遭遇した事で人生が彩り始める。
幼い頃にクラスから孤立してしまったトラウマから、自分を上手くアピール出来ず、他者から向けられる感情を感じ取るのも苦手。自己評価は最低レベルで「何もかも全部諦める」と断言する程だった。高校からは友人には恵まれたものの、その過去から完全に信用する事が出来ず、何処か壁を作って遠ざけていた。
薫子が桔梗学園の生徒だと判明後も、「桔梗学園の生徒なら自分に会いたがらない筈」と、かつて自分に向けられていたような偏見・レッテルで彼女を見ていた事を恥じ、そんな自分を改善し己を表現するように努力を重ねていく事になる。
周りをよく見る事に長けており、他者の様子がおかしいとすぐ気付き相談に乗ったりしている。目つきが悪い為、結果的にこの洞察力が周りを怖がらせる一因になっていた。本人はそんな行動を全く意識しておらず記憶にも残ってないが、他者に寄り添い的確な言葉を与える凛太郎への友人の信頼は厚く、どれだけ壁を作られても心から感謝している。
薫子への誕生日プレゼントで悩んでた所母親に手作りケーキを考案され、シェフパティシエである父親に教わりながら完成させプレゼントし、感謝された事からケーキ作りに没頭するようになり友人にも振舞ったりしている。
薫子の笑顔を見ると心が揺れ、今までずっと抑えていた自分の欲を見せ始め自分で戸惑ってしまう。やがてその感情が"初恋"であると気付き、薫子の笑顔を見たいが為に行動するようになる。
地毛は黒だが染め上げた金の短髪で前髪は上げている。耳にはピアス穴を左右合計3つ開けており、その体躯と顔付きから不良その物だが、それらの要素は昔憧れていた外国人パティシエの真似をしているだけである。自己表現が下手で他人からの理解を諦めた凛太郎が唯一自分の欲を表した物でアイデンティティとなっている。結果的にもっと人が避けるようになってしまい、度々注意をされてたようだが頑なに変えなかった。前髪を上げるスタイルは兄・颯太郎の考案した物で、気に入っている為今も貫いている。
服装は無頓着で初期は無地のTシャツにパンツのみと味気ない物だったが、薫子と共に過ごすようになってから気にするようになり、物語が進むごとに私服が増えている。
※以下、スクロールした先に40話以降のネタバレがあります。
薫子との出会いは2年になってからが初めてだと思っていたが、実は数ヶ月前、1年生の頃に会話していた。外見が現在とは違い、御洒落も殆どしてなかった時という要素はあったにせよ凛太郎は全く記憶に無く、その事を恥じたが薫子は「普段から他者に寄り添える人だからきっと特別な事とも思わず覚えてない」と忘れている事自体を肯定した。
凛太郎は薫子に出会い、人生を変えられ救われたと思っていたが実際には逆で、薫子が先に凛太郎に救われており、その時からずっと恋してた事が明らかになる。心を通わせてからは、元来の優しさを心の底に隠さず薫子を絶対に守る、と男らしい一面が出るようになる。