統一協会

　下町の路地を曲がると、車一台がようやく抜けられるほどの坂の上に、苔むした門が現れる。さらに奥へ進むと石造りの大きな教会堂が見えてくる。統合キリスト教団中央教会だ。前の駐車場には、いつも緑色の英国車が停められている。五年前に任命された理事長の持ち物だ。顔は見たことがない。 　この会堂の大扉から花嫁が出てきたことは、一度もないらしい。会堂の右に植えられた西洋山査子の横を通り、鎮守の杜のような、静かな木立が囲む暗い池を越えると、神学校の古い建物が現れる。棟続きの教団本部はさらにその奥だ。ここまで一般信徒が来ることはまずない。本部の建物は教団が今の組織になる以前、つまり新興宗教「新世会」を母体とした前政権に統合させられるより前から、教会として建っていたそうだ。

新興宗教を信じることが合理的ではない理由を考えてみた。ま、暗殺されたくないので具体名は入れてない。読む人は少ないだろうから、ほぼ独り言になるけど。