──この部屋のエアコンディションは快適だ──
概要
1998年5月に祥伝社より刊行された楠本まきの短編漫画。全1巻。
耽美的で独特の空気感が漂う作風が話題となり、ヴィジュアル系界隈の人達、特にバンギャルの間で絶大な人気を博した。
あらすじ
本屋でアルバイトに励むバンドマンの青年・岸は、本を買いに来た美しい女性・蜜の不思議な魅力にとりつかれていく。一方で蜜は口には出さないが自虐的で不安定な自分を持て余していく。
蜜と関係を持ち、蜜に溺れていく岸を尻目に蜜はだんだんと不安定になって壊れていってしまう。
登場人物
岸(きし)
どこか飄々としている25歳の青年。
仲間とバンドをしておりギターを担当していたが仲違いからバンドを辞めて本屋のアルバイトに励んでいる。自信家で明るく軽い性格で蜜にも積極的に迫る。見た目は美しいがどこか壊れているような女性が好み。
蜜(みつ)
23歳の大学院生の女性。美術を専攻している。
やたらと髪型をコロコロ変える。血管が透けるように色が白く、年齢よりもかなり若く見えるほど美しい。
自分というものがなく無意識で相手の望むように自分を変えてしまう。岸と付き合う以前は中澤昌士の絵のモデルとしてドーリスになることで自己を保っていた。ドーリスをやめてから自傷行為を始める。今の言葉でいうとメンヘラや地雷系。
中澤昌士(なかざわ・まさし)
画家の男性。蜜をモデルにドーリスという少女の絵を描いていた。
蜜を自分の理想のモデルとしていたが、蜜が年をとることでドーリスからかけ離れていくことに堪えられなくなり自ら離れたことで絵が描けなくなっていた。
ドーリス
中澤昌士の画集のタイトル、及びその画集に登場する少女。
中澤昌士の理想の少女でもあり、蜜をモデルにしている。
盗作問題
2005年、集英社の文芸雑誌「すばる」8月号に掲載された篠原一の短編小説と、1998年に祥伝社から刊行された楠本まきの漫画が酷似している問題で、集英社は6日発売の同誌11月号に「読者の皆様へ」と題する見解を掲載する。「著作権上の問題がある」と篠原氏の盗作を認め、楠本氏と読者にお詫びしている。
文芸誌が作品に関する「お詫び」を載せるのは異例であり、篠原一は17歳だった93年、「壊音 KAI―ON」により史上最年少で文学界新人賞を受賞した女性作家。
氏の作品「19℃のロリータ」と本作と比べると、「夜ごと、僕らは街を徘徊した」、「僕等は夜毎、街を徘徊した」など30カ所以上の類似個所があり、「この部屋のエアコンディションは快適だ」「中途半端に破滅型なの」など同じ文言もある。
「読者の皆様へ」によると、集英社は読者の指摘を受けて調査に着手。編集部でただちに検討し、篠原氏と数回にわたり話し合いをもち、その結果看過できる程度でなく類似しており、著作権上の問題があるとの認識に至るという。
関連タグ
矢沢あい:作画・作風・キャラデザなどが似ている。