人物
本名:矢沢悠(やざわ ゆう)。第1級のゴンベン(詐欺師)で、囚人名は「音羽4号」。私立光学園中等部の数学教師で、3年B組担任→3年S組担任。童顔で制服を着せたら高校生に見えるくらいの若い外見をしており、外跳ねショートヘア+長い睫毛+八重歯(実は差し歯)が特徴(ドラマ版では身長186cmのイケメン)。教師として外出するときには7:3分けに伊達眼鏡をかけて行動する。作中の便宜上、本項では名前を「悟郎」と表記する。
護送車の事故により今村昌平(偽名)と共に逃亡した後、成り行きで私立光学園に放火しようとした男で、学園中等部の新任教師として赴任する予定だった蜂須賀悟郎(後のロク)を捕らえる。その折に私立光学園校長・坂本亨にこの不祥事を隠蔽するために数学教師・蜂須賀悟郎として雇われ、自身の詐欺師としての経歴を生かして「ハンマーセッション」という名の衝撃的授業で学園の風紀改善に取り組み、問題児を更正していく。また、詐欺師としてニセ教師を演じていくうちに、本当の教師としての頭角を顕にし、人格者としても成長していく。これは、自身の生い立ちや貧困で飢餓に苦しんでいた凄惨な境遇を経験し、人間不信に陥っていた折に最大の理解者であった白波学園の女性教師で園長・加古川の愛情を注がれて育った経緯あって成り立つものによるものであり、自身と似た境遇にある女子生徒の咲山エリカや天城麻耶に対しては共感を持ち、ハンマーセッションの禁じ手に当たる行為を犯してでも彼女たちを更正し、周囲に心を開かせている。これらの行為は、結果的に恩師の加古川への自分なりの恩返しを果たすことになり、当の加古川も悟郎(悠)自身が何をして生きているのかは彼女なりに察している模様。
IQ185の超天才で、騙すことをはじめとするあらゆる物事に精通しているが、同時に弱点や欠点も多い。心理学・法律・語学・着目眼・観察眼・洞察力に優れている。反面、女性とお酒が苦手で、女性に関しては誘惑されるように迫られるとたじろぎ、スカートの中を見たり、身体を密着されたり、エッチなことに絡むと赤面して硬直し、思考が停止する。お酒を飲むか浴びると、詐欺師としての本性を露にするか、意識不明に陥ったりする。
女性関係に関しては上記のとおり疎く奥手になりがちで狼狽するなどウブな場面が多い。しかし、詐欺師ゆえに口先や演技だけで口説き落とすのは簡単だが、そういう卑怯なことは嫌っている。ただし、番外編『アカサギ編』では、校長の依頼である「ハンマーセッション」のためとはいえ、女性徒3人の乙女心をもてあそぶに等しい行動をとってしまう(これは、世間知らずの女性徒たちに何処の馬の骨かもわからないナンパ男と接触してはいけないことを叩き込むための仕方が無い行為であった)。なお、水城涼子に対しては当初は同僚程度の感覚で接していたが、司馬祐生へのハンマーセッションでの一度目の失敗で死にそうになった際、加古川以来、本気で泣いて心配してくれた女性として多少の意識をするようになる。
来歴
矢沢悠として
資産家で裕福な家庭に生まれるも、3歳のときに事業の失敗により一家離散。貧困な幼少・少年時代を過ごす。お墓のお供え物を盗み食いしたり(これを自身の最初の犯罪だと語っているが、お供え物を食べることは犯罪には当たらない)、教会に行ってパンを貰うなどして飢えをしのぐ日々を送る。親戚宅や養護施設を転々とした末に能登半島にある白波学園に預けられる。その間に起こった自身の境遇による周囲からの偏見や差別・いじめから誰に対しても心を閉ざし、大人を忌み嫌っていたが、白波学園園長・加古川に「自分の息子だ」と言われてからは彼女に心を開き、愛情を受けながら育つ。
白波学園および中学卒業後、その生い立ちゆえに「人を騙して稼いでいくしか生きていけなくなった」ことから詐欺グループに入り、兄弟子・関谷昌幸のもとで詐欺師修行を積んでいくものの、関谷の「夢を見させて夢を食う」という悪辣なやり方に嫌気がさして袂を分かち、義賊としての詐欺師になって医者・国会議員・弁護士などの高所得者から金を騙し取り、振り込め詐欺の被害者を救うなどしていた(しかし一部、関谷の謀略により無駄になってしまう)。
次第に「アラビアンナイト事件」「136事件」などの大事件を起こし、巨額の資金を得るも、それらの義賊という名の詐欺師としての活動は長くは続かず、警察に超危険人物として逮捕される。その後、囚人名「音羽4号」として護送車に乗車し、キタカン(北関東刑務所)送りになりそうだったところ、交通事故により同乗していた麻布10号(後の今村昌平)と共に護送車から脱走した末に私立光学園にたどり着き、そこで放火しようとした赴任予定だった新任教師・蜂須賀悟郎(後のロク)を捕らえる。そして、校長・坂本亨からこの不祥事隠蔽を建前に、詐欺師の経歴を承知の上で「毒を持って毒を制す」やり方により学校の風紀改善・生徒の更生を託され、本物の蜂須賀悟郎に変わって教師として雇われ、数学教師・蜂須賀悟郎としての生活が始まったのであった。
ニセ教師・蜂須賀悟郎として
新任教師としての振る舞いを控えた前日から夜明けまでロクから東大生として生きてきた経歴を洗いざらい吐かせて情報を仕入れ、改めて私立光学園に赴く。そこで自身の教師としての指導役となる女教師・水城涼子と出会い、彼女から東大卒という経歴からいろいろ訊かれてもなんなく適当にスラスラ答え、詐欺師としての経歴を充分活かしている。あらためて教師として坂本校長と対面し、と成功報酬はハンマーセッションするたびにそれに見合った金額を貰うという条件で契約した。
やがて教壇に立ち、生徒から新任教師であることから舐められ教師いびりをはじめ、生徒の一人が半年間不登校になっている佐野直樹を学級委員に指名したことを逆手にとって連れてくると宣言した。そして夜、カツアゲしていた佐野を見つけるが、その時の状況を読んでホスト風の男・悟郎を名乗ってクラブへと誘う。そして佐野の心情を訊いた上で、金のありがたみを知らない彼を生徒の最初の衝撃的授業(ハンマーセッション)のターゲットに定める。そして大金を一晩で稼ぐことはどういうことかを教えるために違法カジノやヤクザのシマを渡り歩かせ、裏の世界の怖さを教え込み最初のハンマーセッションが完了。翌日佐野を連れてくることに成功した。