概要
横溝正史の長編推理小説「犬神家の一族」の登場人物。
那須神社の神官で野々宮珠世の祖父。犬神佐兵衛にとっては恩人。作中ではすでに故人だが、ある重要な秘密に関与していた。
42歳の頃、大弐は行き倒れていた佐兵衛を拾い、彼の面倒を見る。元々男色家だった大弐は美少年だった佐兵衛と関係を持つようになった。
大弐にはすでに妻晴世がいたが、晴世は20歳も年下で、さらに大弐が男色家のため処女妻だった。晴世は古風に育てられた女性だったため、二人の関係を知りつつも、夫が手を触れてくれなくても妻は耐え忍ぶものと、二人の関係を黙認していた。
やがて大弐と佐兵衛の男色関係は終わり、二人は恋人から友人の関係になるが、その後、佐兵衛は晴世と恋に落ちて男女の関係になってしまう。大弐への申し訳なさから佐兵衛と晴世は自殺を図るが、大弐に止められる。さらに大弐は佐兵衛と晴世の仲を認め、二人が逢引できるように計らい、二人が密会中は邪魔が入らないように見張っていたりもしていた。これは長い間、処女妻にしていた晴世に対する償いでもあった。
大弐と佐兵衛と晴世の奇妙な関係が続き、佐兵衛と晴世の間に一人娘祝子が生まれると、大弐は祝子を自分の娘とした。
やがて佐兵衛が事業家として成功して犬神家は日本有数の財閥となるが、大弐は佐兵衛からわずかな礼をもらっただけで、神官として質素で慎ましい生涯を送った。
那須神社の宝蔵には、若き日の大弐と佐兵衛が残した封印文書群が入った唐櫃が残っていて、それを大山泰輔(那須神社の当代の神主)が発見して秘められていた事実を明らかにしたことで、事件は意外な方向へと進むことになった。