概要
スペースシャトルの退役により減少するISSからの成果物の回収手段の確保と将来の有人宇宙活動に必要な回収技術の獲得を目的として、「こうのとり」(HTV)に回収機能を追加した宇宙機の名称である。
既存の「こうのとり」(HTV)の前方(打ち上げ時上部)の補給キャリア与圧部を「回収機」と「アダプタ部」に置き換えた構造となっている。「回収機」部分が大気圏再突入カプセルとなり、将来の有人機に近いサイズ・形態となっている。「回収機」の直径は4.2m(高さは公式CGからの推定では3m程度)であり、1.6t程度の回収能力を持つ。大気圏再突入時は揚力飛行による誘導制御を行い再突入時の加速度を低く抑えるものとしている。
構造
進行方向前方(打ち上げ時の上部)から順に次のモジュールで構成されている。
最初の二つの「回収機」と「アダプタ部」が新規開発部分となり、後の部分は「こうのとり」のモジュールを流用すると見られる。(細かな改善・変更が行われる可能性はある)
また、太陽電池パネルも現在の「こうのとり」と同様に機体表面に並べられる。
回収機 | 再突入カプセル本体であり、与圧キャリアを置き換える。 |
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アダプタ部 | 回収機の結合・分離機構及び全部RCSスラスタを搭載する。 |
非与圧キャリア | 暴露パレットを格納する。 |
電気モジュール | 主に航法システムを搭載する。 |
推進モジュール | メインスラスタおよび後部RCSスラスタ・推進薬タンクを搭載する。 |
余談
空飛ぶヤク○ト?
現行の「こうのとり」(HTV)はその形状から「空飛ぶビール缶」と呼ばれることがあるが、HTV-Rは「空飛ぶヤ○ルト」と呼ばれる…かもしれない。(togetterのHTV-Rを作ってみたを参照)
幻のHTV-R案モデル?
現在青島文化教材社より「No.SP 1/72 HTV-R 回収機能付加型HTV (想像モデル) 」というプラモデルが売られているが、これは2011年7月に与圧部置換型が選定される前に検討されていた3案のうち、中間規模の大きさに当たる非与圧部内搭載型のプランが元になっている。そのため形状は正式決定されたHTV-Rとは全く異なるものとなっている。