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SSTO

たんだんしきうちゅうおうかんき

エンジンや燃料タンクなどの機材を切り離さずに衛星軌道に到達できる宇宙機。

概要編集

日本での正式名称は単段式宇宙輸送機(たんだんしきうちゅうゆそうき、英語: single-stage-to-orbit、SSTOと略す)。単段式宇宙往還機などとも訳す。


燃料や推進剤のみを消費し、エンジンや燃料タンクなどの機材を切り離さずに衛星軌道に到達できる宇宙機である。"SSTO" は字義の上では必ずしも再使用できることを意味しないが、再利用しないものを捨てないメリットは薄いので、通常は単段式の再使用型宇宙往還機となる。


詳細編集

通常の乗り物は、出発から目的地への到着まで、燃料を消費することを除いては、機体(車体、船体)を大幅に変更したり切り捨てたりすることはない。これに対し、2024年現在の宇宙への運搬手段である化学ロケットは全て多段式で、軌道へ到達するのはペイロードのみであり機体の極く一部に限られる。加えて、有人宇宙船や、サンプルリターンで回収するペイロードがあるプロジェクトでは、最終的に地上に戻ってくる部分を除く機体は使い捨てであった。このことはロケットの飛行が複雑で高価なものとなる要因であり、出発から目的地到着、出発地への帰還まで主要部品を切り離さず、点検整備と推進剤充填だけで再度飛行できる機体であれば、航空機のように簡便で経済的な輸送手段になるとの考えが生まれた。


従来の化学ロケットが多段式であるのは、実現可能なロケットエンジンの性能及び燃料搭載量の制限と、ツィオルコフスキーの公式から導き出される結論である。この結論を覆して単段で宇宙に到達するには、従来より軽い、即ち離陸重量に占める推進剤の比率が大きい機体と、従来より高性能なエンジンの組み合わせが必要となる。しかも従来の多段式ロケットは機体を使い捨てにすることで構造を簡素化しているのに対し、機体を出発地に帰還させ再使用するためには大気圏再突入と減速、着陸の機能が必要であり、これらの技術的要求を解決しつつなお従来の使い捨てロケットより軽量な機体に仕上げる必要がある。


また、1機のSSTOの製造費用が、同等の運搬能力を持つ1機の使い捨てロケットよりはるかに高額になることは容易に想像されるところで、SSTOは繰り返しの飛行により減価償却しなければ運行費用は安くならない。このため、SSTOは機体を喪失するような重大事故を起こす可能性が極めて低く、仮に飛行中に故障を生じても安全に帰還できること、簡便で経済的な整備により短期間で次の飛行が可能であること、主要部分の寿命が充分に長く償却までの飛行回数を確保できることが必要である。


SSTOでは、多段式ロケットのような切り離し機構などが不要となり構造を簡素化でき、また1段目の再使用のみを考慮すればよいことから、再使用型宇宙往還機の形状として望ましいと言われている。しかし、ロケットエンジンによる設計ではツィオルコフスキーの公式が示すとおり機体の大幅な軽量化が必要であること、さらにスクラムジェットエンジン等の開発が難航していることなどから、デルタクリッパーやX-33、ロータリー・ロケット#ロトン等の数隻のSSTOが研究・設計されたが、いずれも軌道には到達しておらず、地球上でのSSTOは2024年現在実現していない。地球周回軌道への運搬手段として、いまだ多段式の使い捨て型ロケットが用いられている。

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