概要
フランスの詩人シャルル・ペロー(Charles Perrault)によって編纂された童話。
グリム童話集やマザー・グースなどより前に民間伝承をまとめたものとして知られている。
ペローの童話集は、民衆の間で語り継がれている口承の昔話が、乳母や召使いなどの口から、上流階級のお嬢様などに伝わっていったものを、宮廷を中心とするサロンの女性たちのために集大成したという側面がある。ペローの手によって、民間伝承に 当時の王朝時代の風俗が取り入れられ、また、下品なシーンや残酷なシーンに変更を加えたり、一部を削除したりと脚色されたことで、サロンの女性たちにとって読みやすい物語となった。
民間伝承としては余分なものが入る結果となってしまったともいえるが、物語の研究をする者には今でも、無視できない作品となっている。
また、グリム童話集とは収録された物語が重なることもあり(赤ずきん、眠りの森の美女など)、その比較研究が進められている。
童話集の作者は誰なのか
1694年に出版された『韻文による物語集』はペロー本人の手によるものであるが、1697年に発行された『過ぎし日の物語ならびに教訓』の作者は誰なのかという議論がある。
『過ぎし日の物語ならびに教訓』には発行当初、著者名がなく、第二版が出たときには「姫君へ」という献辞に息子のイニシャルが書かれており、ペロー自身の名前はない。しかし、大方の見方として、ペローの手が入ったことは間違いないのではないかといわれている。
シャルル・ペローの署名がない理由としては、「アカデミー・フランセーズ(フランスの国立学術団体)の一員として名をなした彼が、子どもや女性向けの物語に関わるのは恥ずかしいということで、息子の名を使ったのではないか」という説と「そもそも物語集を出すのは息子のアイデアであった」という説がある。