ペロー童話
ぺろーどうわ
フランスの詩人シャルル・ペロー(Charles Perrault)によって編纂された童話。
散文で綴られ、1697年に刊行された『過ぎし日の物語ならびに教訓』という題名の書籍に収録されたものが有名である。
グリム童話集やマザー・グースなどより前に民間伝承をまとめたものとして知られている。
ペローの童話集は、民衆の間で語り継がれている口承の昔話が、乳母や召使いなどの口から、上流階級のお嬢様などに伝わっていったものを、宮廷を中心とするサロンの女性たちのために集大成したという側面がある。
そして、ペローの手によって、民間伝承に当時の王朝時代の風俗が取り入れられた他、下品なシーンや残酷なシーンに変更を加えたり、一部を削除したりと脚色されたことで、サロンの女性たちにとって読みやすい物語となった。
このことは、民間伝承としては余分なものが入る結果となってしまったともいえるが、物語の研究をする者には今でも、無視できない作品となっている。
なお、一部がグリム童話集に収録された物語と重なることもあり(赤ずきん、眠りの森の美女など)、その比較研究が進められている。
第二版からは『姫君へ』と題する献辞が追加されている。
また、書籍の題名に『教訓』という語があるとおり、物語の末尾に教訓譚が添えられている。
- 赤ずきん(原題:Le Petit Chaperon rouge)
教訓:特に若い娘へ言いたい。一見優しそうな狼が、愛想よく女性に取り入り、果ては家の中そしてベッドの中へ潜り込んでくる最も危ない狼であると。
- 長靴をはいた猫(原題:Le Chat botté)
教訓:若者にとって、世渡りの術を心得、駆け引き上手であることは、どんな多額の遺産よりも代えがたい財産である。
- 青ひげ(原題:La Barbe Bleue)
別題:青髭
教訓:好奇心にまかせて行動すると身を滅ぼすことがある。
- 眠りの森の美女(原題:La Belle au bois dormant)
- 仙女たち(原題:Les Fées)
教訓:やさしい言葉と礼儀正しさは、宝石や金貨を上回る価値がある。
- サンドリヨン(原題:Cendrillon, ou la Petite Pantoufle de verre)
教訓:女性の善意は、その美しさより尊いものである。
- 巻き毛のリケ(原題:Riquet à La houppe)
教訓:愛するものは、すべてが美しく見えるものである。
- 親指小僧(原題:Le Petit Poucet)
別題:親指太郎
教訓:意外な子が知恵と勇気で未来を切り拓いていくものである。